二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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59話 違う! アパカッだ!

 水洗トイレの設置の帰りに、俺はドワルゴンで各種金属のインゴッドを買い漁った。

 

 エチゴーヤに紙と属性魔石を売却したので金には余裕がある。

 

「これで武具を作成して交易で売り払えば、皆をダーマの神殿で転職させるG(ゴールド)が手に入るな」

 

 リグルドに貨幣を渡したあと、家に戻って地下の研究室に行く。

 

 俺は錬金釜の前に座り、武具の作成をおこなった。

 

 できあがった青銅、鉄、鋼の武器や防具を交易スキルを起動して店の棚に並べる。

 

 この世界の金属資源を消費し続けるのはまずいから、そのうち交易でインゴットを買い戻さないとな。

 

 カジノの入り口は中央広場から階段を下りて入るルートを作った。

 

 これで住民の行き来がしやすいようになるだろう。

 

 俺が出入りする場合は、リヴェル家の地下から直接支配人室に繋がるようにしてある。

 

 リムルはカジノの運営には慎重で、娯楽が少ない世界ということを考慮した結果。

 

 身内だけで遊ぶテーマパークとして、カジノの運営を許可している。

 

 支配人室のドアを開けると、スラぼうがカジノの景品覧を眺めて唸っていた。

 

「レインの賭けたお金はどう?」

 

「駄目だった‥‥いつのまにか身内判定になってたよ」

 

 俺とスラぼうは顔をしかめながら溜息を付く。

 

 オベーラは賭け事が嫌いだし、ミソラも真面目だしな。

 

「客を入れてポイントを貯めたいが、ドラクエ商品は世界中で奪い合いになりかねんからな」

 

「メガンテの腕輪なんて、これでテロを起こして下さいと言わんばかりの商品ですからね。景品をこちらの世界の物品に入れ替えたらどうです? 精霊の涙なんて余ってますし」

 

「戦争に使われない? 魔法の増幅触媒って響きが引っかかるんだよな‥‥」

 

「それ相応の金額に設定するしかないでしょうね。なんにせよドラクエ商品はリムルと相談して並べましょう」

 

 俺が部屋を出て闘技場に向かうとベニマルとソウエイがいた。

 

「二人共、闘技場で訓練か?」

 

「ん? あーこいつと組んでモンスター相手に戦闘をしていたんだがな‥‥斬った感触がないのはどうにかならないのかリヴェル?」

 

「見たことのない魔物と戦えるのは面白いのですが‥‥バリアのおかげで緊張感に欠けますね」

 

 闘技場の設定にないからどうしようもない、HPをなくせと言われても無理な話だ。

 

「鉄の鎧の魔物は面白かったんだがな‥‥お前が動きを止めないから負けちまったんだぞ!」

 

「お前が考えなしに魔法を放つから視界が遮られたのだ‥‥馬鹿め」

 

 二人が負けた!? 俺は闘技場の相手を見てみると、キラーマシーンが3体並んで立っていた。

 

「ああ、キラーマシーンは魔法耐性が高いし、二回攻撃だから無理ないわ。ちなみにミリムも一度負けて、本気になって倒した相手だから落ち込まなくて良いぞ」

 

 二人は驚いた表情をしたあとに、闘技場で消えていくキラーマシーンを見つめる。

 

 初手ノヴァから飛行して攻撃を避けつつ、バスターの連射でヘトヘトになって辛勝していた。

 

 いくらミリムが強くてもソロでは限界がある‥‥闘技場では魔素も無限に生成できないみたいだしな。

 

 強すぎた弊害で仲間に頼るということをしてこなかったのだろう‥‥。

 

 俺達の攻撃ならミリムは防げるが、ドラクエモンスターの攻撃は俺の魔法みたいにダメージが通るみたいなんだ。

 

 闘技場のモンスターにLVが表記されているのを見た俺は、勝てないのはレベル差が原因ではないかと思い当たる。

 

 ミリムはレベル1でキラーマシーン3体に挑んで負けたという、ドラクエでは当たりまえだろ! って話だ。

 

 それに闘技場内ではミリムの魔力炉も封じれることから、ドラクエルールが適用された空間なのは間違いない。

 

「技の特訓や対人戦は思い切っていけるから訓練にはなるぞ? ハクロウに首飛ばされないし」

 

 HPのバリアがあるおかげで、ハクロウの急所の一撃を何度も受けれるという恩恵があるんだ。

 

「嫌なことを思い出させるんじゃねーよリヴェル。「若、3回首が飛びましたな‥‥ホッホッホ」とか嬉しそうに首ばっか狙いやがって‥‥ハクロウの奴」

 

「確かに強者相手なら実践訓練にはなりますね。ですがリムル様も、リヴェル様も能力がデタラメすぎです」

 

「デタラメっていうか大将はなんでもありだよな‥‥全部食らうし。そういやリヴェルとは戦ってないな?」

 

 ソウエイはベニマルに耳打ちしている。

 

「アイテムは禁止だ‥‥あと踊りも止めろ。いや‥‥お前とは戦わん! 卑怯すぎるだろ!」

 

「いや〜それほどでも!」

 

「褒めてねーよ!」

 

 俺はベニマルに顔をグリグリされるがスライムなので痛くはない。

 

 平気な顔の俺が気に入らないのか、人型になれと強要されてグリグリを再び受ける。

 

「いだだだだ‥‥ベニマルとソウエイは正々堂々すぎるんだよ。俺より卑怯な奴が国に害をなしたらどうするんだよ?」

 

「フッ‥‥リヴェル様より卑劣で悪辣なお方はいませんので問題ありません」

 

「フッ‥‥ソウエイも言うようになったじゃん。ベニマル君はうんうんと頷くんじゃないよ!」

 

 ベニマルはニカっと笑うと拳を打ち鳴らして言う。

 

「どんなに相手が卑怯な手で来ようが、俺が真っ向からねじ伏せてやるよ」

 

「お前はキラーマシーンにねじ伏せられたばかりだがな‥‥」

 

 ソウエイとベニマルは取っ組み合いをしたあと、闘技場で対戦を始めてしまった。

 

 俺はフォズさんに会うためにダーマ神殿出張所に向かう。

 

「こんにちはフォズさん」

 

「ダーマの神殿へようこそ! リヴェルくん」

 

 フォズさんはテーブルに紅茶を置いて、本を読んでいたようだ。

 

「今日はあのスケベな魔物はいないようですね‥‥まったく」

 

「あーゴブタは出禁になってるから暫くは入ってきませんよ」

 

 ゴブタはセクハラで出禁になった。

 

「フォズさんっていうんっすね。オイラはゴブタっていうんっすよ、よろしくっす。おっ! 下着は赤っすか‥‥情熱的っすね!」そういってスカートを捲るゴブタに悲鳴を上げ、顔を真っ赤にしていたフォズさん。

 

 怒ったフォズさんに天罰の杖でお仕置きをされたあと、ダーマ教徒達がボロ雑巾のゴブタを摘まみだしたという顛末だ。

 

 俺もカジノスキルが作り出したアバターかと思ってたけど、ドラクエ世界から本人が出張してきているらしい。

 

 営業時間が朝9時~夕方の5時で、時間が来たら旅の扉でダーマの神殿に帰るんだって。

 

 俺がスキルで購入した人だとか、ゴブタに言ったから勘違いしたのかもしれない。

 

「本日はどのようなご用件で? 転職でしょうか?」

 

「お待たせしましたリヴェル様」

 

「フォズ、元気にしてますか? これ激辛リムル饅頭です。美味しいですよ」

 

 シュナがフォズさんと手を振り返し、シオンがフォズさんの頭を撫でて饅頭を渡していた。

 

「えへへ、元気にしていますよシオン姉さん。まあまあ、ありがとうございます! 姉さんも座ってお茶にしましょう」

 

 シオンとフォズさんは仲がいい。

 

 辛い食べ物で意気投合したらしく、お互いの世界の食べ物を交換し合っている。

 

「シュナ忙しいのにすまんな。シオン! 転職の話しただろ? 終わってからフォズさんとお茶してくれよ」

 

「めんどうですね‥‥フォズ悪いけど転職お願いできますか?」

 

「姉さんが選べるのは鬼侍、XX料理人、女王様? 現在はその三つですね」

 

 鬼侍、女王様‥‥鬼侍のままが絶対いいな。

 

「女王様で」

 

「なんで即答!? 鬼侍で!! シオンは鬼侍でお願いします!」

 

「むう‥‥なんですかリヴェル邪魔しないでください。リムル様が望んでいる気がするのです! こうビシバシと!」

 

 スナップを利かして何かを振るう動作をするシオン。

 

「私も鬼侍の方が良いと思いますよシオン?」

 

「そうですか姫様? なら鬼侍でお願いしますフォズ」

 

「はいはい、新たな職業の気持ちになって以下略です。シオン姉さんに新たな人生を歩ませたまえ~ハフッ、美味しいですねこの饅頭!?」

 

 それでいいのかダーマ神官‥‥。

 

「じゃーシュナもお願い、フォズさん」

 

「シュナさんは鬼姫、鬼巫女、板前ですね」

 

「悩みますね‥‥お母様のような巫術が使えそうですが」

 

「板前でもいいと思うよ? 俺もリムルもシュナを戦わせる気がないし」

 

 鬼巫女は身体能力が下がるが魔法特化型だな。

 

「ありがとうございます‥‥でも」と微笑むとシュナは言った。

 

「私も戦う力が欲しいです。フォズさん巫女姫でお願いします!」

 

「そんなに怒らなくてもいいじゃないですか‥‥新たな職業の気持ちになって祈ってください。おお、この世の全ての命を司る神よ! 祈りを捧げし者に新たな人生を歩ませたまえ!」

 

 教徒の人に怒られたフォズさんは、真面目にダーマ神官の役目をこなした。

 

「何をやってるんだシュナ? シオンもいるのか」

 

「ふむ、ベニマル。恐らく転職という奴だ」

 

「丁度いい、ソウエイと、ベニマルも転職をやっとけ。元の職業を変えなければLVが上がるぶんだけ強くなれるぞ」

 

 ソウエイは鬼忍者、糸使い、味噌職人か。ベニマルは鬼武者、鬼の棟梁‥‥ブフォッ!?

 

「あはは! ソウエイこれみて」

 

 首を傾げたソウエイもベニマルの表示を見て吹きだす。

 

「ククク‥‥ベニマル。お前にピッタリじゃないか兄妹愛(シスコン)

 

「うるせえ! 味噌野郎! しょっぱいお前にはお似合いだぞソウエイ!」

 

 二人はやんのかコラ! とメンチをきりあって闘技場に戻って行った。

 

 ソウエイは鬼忍者、ベニマルは鬼武者と変更なしだ。

 

 何故、リムルだけ選べる職業が何十種類もあるんだろう? 漫画やゲームの影響で手に入れたんだろうか?

 

 そうこうしている間に、交易品が売れたのでうちの娘達を順番に呼んで転職させた。

 

 驚くことに、ドラクエの職業が適用されてしまったリヴェル家一同‥‥。

 

 茜(戦士)、葵(僧侶)、ハンゾウ(盗賊)ハヤテ(踊り子)、ベル(魔物使い)、ピリノ(武闘家)だ。

 

 ミラノ、オベーラ、レインは転職ができなかった。

 

 ちなみに冥ちゃんは遊び人しか持っていなかった‥‥賢者だけに。

 

 俺の服が引っ張られているので、振り返るとミリムがいた。

 

「父上、ワタシも転職をするぞ! ギガンテスをボコボコにしてやるのだ!」

 

「あーギガンテス、アークデーモン、シルバーデビルの奴に当たったのか‥‥あれはソロじゃ無理だって」

 

 ミリムも無理じゃないか? 強すぎる奴は転職できないルールな気がする。

 

 オベーラとレイン‥‥ミラノお前も強者だったのか。

 

「ミリムさんは破壊者、竜姫騎士、大魔王、芋掘り名人ですね」

 

 フォズさんはミリムの大魔王を見て「こんな可愛い子が大魔王なわけがないよね?」と不思議そうに首を傾げている。

 

「芋掘り名」「言わせねーよ!」

 

「あほか! ステータスだださがりで芋の収穫アップだけじゃねーか!」

 

「芋掘り名人以外に強い職業などあるものか!」

 

 ぐぬぬと睨み合う俺とミリム。

 

「一杯あるわ! ほら、ワッフルやるから俺に決めさせてくれ」

 

「仕方あるまい‥‥それで手を打とうではないか、ウマウマなのだ♪」

 

 どんだけ芋掘りが好きなんだよ‥‥それにしてもミリムが転職できるのは意外だわ。

 

 オベーラもレインもそのうちできるのかも? おっと、気が変わらないうちにミリムの職業を決めないと。

 

 大魔王だとステータスが変わらないし、元の職業みたいだな。

 

 破壊者は大剣と大斧に適正があって攻撃補正も付くのか、竜姫騎士はベルと一緒にいると強化されると‥‥。

 

「竜姫騎士で槍と剣の適性と魔法強化補正に、竜が近くにいると能力アップだって。これでいいんじゃない?」

 

「仕方あるまい‥‥しばしの別れだ芋掘り名人よ! おい、そこの一本角。ワタシにも饅頭をよこすのだ」

 

「シオンです! 仕方ありません、特別に食べていいです(激辛ですけどね! 魔王ミリム‥‥破れたり! ふふふ)」

 

 予想どうりミリムとシオンは殴り合いになるが、非殺傷空間なのでポカポカだ。

 

「ぜぇぜぇ‥‥争いとはむなしいものだ。仕方ないから、寛大なワタシが許してやるのだ一本角」

 

「ハァハァ‥‥シオンです。今日のところはこのくらいで勘弁してあげましょう。魔王ミリム」

 

 俺はリヴェル家が集まっているスライムレース場に、最後の転職を終えたベルと戻る。

 

「よし! これでミリムの領地に飛んでレベル上げに行けるな」

 

 葵は嬉しそうにベルとお互いの服を確認しあって喜んでいる。

 

 ハンゾウも遠出が楽しみなのかワクワク顔だが、妹は踊り子が不満のようでピリノに抱き着いて唸っている。

 

 転職のせいで服装まで変わるとは‥‥このリヴェルの目を持ってしても見抜けなかったわ!

 

 何故か俺だけ職業衣装が適用されないので、急いでだいまどう帽子とだいまどうローブを羽織った‥‥仲間外れはやめてよ。

 

「こんな破廉恥な恰好で外なんて歩けませんわーーーー!!!」

 

「似合ってるぞ茜! スパッツなんて邪道だったんだ! これだよコレ!」

 

「くっ! いくら旦那様でもあんまりですわ! 羽織る物を用意してください」

 

 俺は渋々絹のローブを取り出すと、奪い去るようにして茜は羽織った。

 

 ハヤテの視線を感じるが無視すると、右手が蒼く輝きだしたので急いでレザーマントをだす。

 

「ミリムー! お前の領土に行くけどついてくるのか? 勝手に入っていいんだよな?」

 

「ワタシの感が囁くのだ‥‥今行けばハゲに出会うと」

 

「ミッドレイさんも心配してるだろうに‥‥あとハゲって言うな」

 

「地図を出すのだ‥‥ふむ、この辺りだな。この辺は神殿も探知が及ばない危険地区だから飛んでも大丈夫なのだ」

 

 俺が地図を出すと場所に指をさすミリム。

 

「ベル。ねーねはハゲに見つかると連れ戻されるのでついていけないが、危なくなったらすぐにワタシを呼ぶのだぞ? 魔物の状態攻撃は、父上を盾にすれば大丈夫なのだ」

 

「うん、なにか面白いおみやげみつけてくるね!」

 

「間違ってねーし、ベルは守るけど言い方!」

 

 シオンとシュナは、リムルと行きたいらしいので見送ってくれている。

 

 リムルは芋の店のコーディネートを任されているので忙しいのだ。

 

 アンティークの家具とか、物を作るセンスが良いから引っ張りだこなのよね。

 

 

 

 ベルが空間を開けると、俺は一度皆を見回した。

 

 皆が頷くのを確認して、俺は安全確認のために先行して入る。

 

 あれ? なんか山の上だな‥‥周りはジュラの森とは違いジャングルみたいな感じだ。

 

「どうですか旦那様? 安全ですか?」

 

「山の上にでたみたい、景色も良いぞ。皆も入って来いよ」

 

 茜に続いて皆がぞろぞろと出て来る。

 

「綺麗だね、お姉ちゃん。空気も美味しいや」

 

「そうね、魔素の濃度もジュラと同じくらいかしら?」

 

「重いぞハヤテ‥‥歩きにくいから離れてくれよ」

 

「重くないもん! ピリノが暑苦しいって酷いこと言うんだよお兄ちゃん」

 

 ハヤテは負いかぶさるように、ハンゾウに抱き着くが昔のようにおんぶが出来ていない。

 

「ハヤテが暑苦しいマントなんて着てるからでしょ‥‥もう。気温も高いし、ちょうどいいんじゃない? 踊り子の恰好」

 

 おんぶができない身長をハヤテに言われて、怒ったハンゾウが兄妹げんかを始める。

 

「危険地帯で凶悪な魔物が出るかもしれないんだ、気を引き締めろハヤテ、ハンゾウ」

 

「すみません」「わかったよ!」

 

《報告。巨大な魔力の反応を感知しました‥‥足元からです》

 

 冥ちゃんがそう言うと突然地震が起きる。

 

「地震!? 巨大なワームかモグラか? くっ‥‥ベル掴まれ」

 

「うん、凄く大きな‥‥なんだろ? 竜?」

 

「じ、地面が揺れて動けませんわ‥‥葵掴まりなさい!」

 

「お姉ちゃん! ありがとう」

 

 茜は地面に槍を刺して葵の手を掴んで抱き寄せた。

 

 ハンゾウは突起物に糸を巻きつけてハヤテの手を掴み、ピリノはハヤテに掴まる。

 

 俺はクモキチを呼び出したあと、ギガデビでベルを手に乗せてクモキチの上に運んだ。

 

 クモキチは地面に足を差し込んでアンカーのように固定する。

 

「皆! クモキチに乗りこめ! 山を下りるぞ」

 

「「はい! うん! 承知」」

 

「お兄ちゃん引っ張って! ピリノ大丈夫?」

 

「平気だよ。なんか地面が動いてない? ハヤテ」

 

 茜と葵が飛び移り、ハンゾウがハヤテとピリノを引っ張り上げた。

 

「あっ! 父上これ亀だよ。大きいね」

 

「えっ!? 本当だ! 頭がワニ? 尻尾が長いな‥‥恐竜みたいだ」

 

 車サイズのクモキチに乗り込むと全体の姿が良く分かった。

 

「クモキチ、怒らす前に降りるぞ。進行方向と反対に頼む」

 

 片手でラジャーと手をあげて答えたクモキチは、素早く尻尾の方へ降りていく。

 

「危険地帯すぎるだろミリムの奴‥‥ラスボス手前の稼ぎ場みたいなとこを教えやがって! さすがにガメラ相手に経験値稼ぎは無理だぞ‥‥」

 

「リヴェル様! あれ見て」

 

 葵が指を挿した上空では、巨大な氷鳥と火竜が互いに光線を吐いて戦っていた。

 

「‥‥もう帰る? 俺、経験値を稼げる気がしないんだけど‥‥」

 

「あれぐらいなら私でも倒せますから、ご心配なく旦那様」

 

 俺は信じられない顔をして微笑む茜を見たあとに、ハンゾウを見るが茜姉様なら当然です! みたいに頷かれた。

 

 クモキチはぴょんと飛び降り、巨木に器用に足を引っかけてクルクルと回転しながら下に降りていく。

 

 茜様を信じて倒せる魔物を探さないとな‥‥あの巨大なダンゴムシは?

 

「茜、あのダンゴムシは倒せそう?」

 

「う〜ん。旦那様が必殺技を全力で放てばいけそうだとは思いますが‥‥物理防御が高そうです」

 

 茜に聞いたんだが‥‥あっ! 俺が鋼の槍を作ったけどスクルトを魔術刻印っしてないもんな。

 

「茜様の武器が壊れる硬さなのか‥‥倒せなかったらミリム様にお願いしよう」

 

「なんで様をつけるんですか‥‥葵にハヤテ、ハンゾウ、ピリノもいるんですから倒せますよ」

 

 俺は交易で手に入れたパパスの剣を逆手に持つ。

 

 全力で放ったら他の魔物を呼びそうなんだよな‥‥少しセーブしよ。

 

「アバンストラッシュ!!」

 

 カーーンッ! ダンゴムシの横っ腹に当たり、甲高い金属音が鳴り響く。

 

「もう! 全力って言ったじゃないですか旦那様!」

 

 怒りだしたダンゴムシがこちらに転がって来る。

 

「馬鹿言うな! 全力だと山が吹き飛ぶんだぞ! えっ? もしかしてそれぐらいの相手なの?」

 

「上で飛んでる竜よりも‥‥です!」

 

 茜は火魔法の爆炎弾(フレアボム)を転がるダンゴムシに直撃させる。

 

 葵は俺達の前に氷の結界を貼り、ハンゾウは水を操作して茜の火魔法に重ねて水蒸気爆発を起こした。

 

「すげー! 水遁の術だなハンゾウ。甲殻は剥がれ落ちてるが、まだ転がってくるのか」

 

「行くよピリノ」

 

「うん! 任せてハヤテ」

 

「まて! ピリノ! ハヤテ! 真正面から突っ込むんじゃない!」

 

 俺の言葉も聞かず、ピリノは深く腰を落として短く息を吐く。

 

 目の前に迫るダンゴムシの突進を下から抉るように拳で打ち上げた。

 

昇狐拳(フォックスアッパーカット)ーーー!!」

 

 ダンゴムシは上空に打ち上げられ‥‥そしてハヤテに叩き落される。

 

迅雷砕斬(ライトニング・ブレイカー)!!」

 

 俺は鼻水を垂らして、兄のハンゾウを見つめると目を逸らされた。

 

「ミリムさんと三人仲良く遊んでいるようで‥‥ははは、ハァ‥‥」

 

 知らない間に娘達が、魔王によって魔改造されていた件について‥‥。

 

「何でしょうか? この頭の中で鳴り響く音は‥‥旦那様?」

 

「オッシャーー! めっちゃレベルがあがっとる~〜!!」

 

「レベル? あっ本当ですね」

 

「むーベルは上がってないよ父上!」

 

「私も上がってないよ! リヴェル様!」

 

 あっ!? パーティー組むの忘れたから‥‥攻撃した奴しか経験入らなかったのか。

 

「すまん葵、ベル。すぐにパーティーを分けるから!」

 

 ふくれっ面のベルと葵を宥めると、スラぼうと俺でパーティーをわけた。

 

 俺、茜、葵、ベルのパーティーとスラぼう、ハンゾウ、ハヤテ、ピリノだ。

 

「おかえり魔法ちゃん! メラ! ルーラ! お前達にまた会えるとはな‥‥でも相変わらずぐちゃぐちゃだな。7か9かはっきりしろや!」

 

「何を一人で百面相してるんですかご主人様‥‥ベルちゃんが怒ってますよ?」

 

「もう! 父上だけ楽しそうでずるい! 早くあ〜げ~る~の!」

 

 冥ちゃんで辺りを調べたが、強力な魔力反応もないようなのでひとまず安堵する。

 

「すまん、今行く! 皆もこの岩場を中心に活動しよう。スラぼう、ハンゾウを頼んだぞ‥‥守ってくれ非常識から」

 

 背の高い大岩にリヴェル家参上! とペンキで書く。

 

「任せてください‥‥ハンゾウの自尊心は守ります。そういや、俺達って合体したら経験値はどうなるんですかね?」

 

「まー合算にならなくても、子供達の経験値をわけるのに仲間機能が必要だしな‥‥勿体ないが入らないなら諦めよう」

 

「ラジャー!」

 

 俺達は二手に分かれて、レベル上げに奔走するのだった。

 




少し書き直したい部分もあるし、しばらく更新は不定期になります。

進化で眠る設定を忘れてたり、やらかしが酷い‥‥。
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