二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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62話 大勢の魔物が仲間になりたそうに‥‥ 

「ほれ、これで全部だぞ」

 

「ありがとね、ペルペさん」

 

「こっちも助かったわい、また何かあったら尋ねにくるんだぞ」

 

「あはは、コーヒーの常連客になるつもりだから、何度も通うって!」

 

 よし! これで帰ったら旨いコーヒーが飲めるぞ!

 

 爺さんの店から出た俺は少し思案する。

 

「さて、ミリムの所に様子を見に行くか、このまま帰るか‥‥どうしたものやら」

 

「ミリムねーねは絶対怒るよ? おいていったーって」

 

「くっくっく、間違いないじゃろな。茜達は仕事もあるし、先に帰してやるのじゃ」

 

 ベルを抱いた冥ちゃんが次元を開けて、リヴェル家の庭と繋ぐ。

 

 クモキチは時間切れでサマタマの中だし、次元移動はやめてくれと、ミッドレイさんに言われてるからな‥‥。

 

「むぅ〜旦那様は‥‥残るんですか?」

 

「大丈夫だよお姉ちゃん。リヴェル様は家に帰って早くコーヒーが飲みたい! って顔してるし、あはは」

 

「ふふふ、ほんとね」

 

 茜と葵は笑いながら、ゲートに入って行った。

 

 仕方ないだろ‥‥タンポポコーヒーでは本物にはかなわないんだから。

 

「私達はどうしようかピリノ?」

 

「お土産も沢山買ったし、もう帰らない? ミソラさん、ミラノさん、オベーラ姉さんに早く渡してあげたいよ」

 

 ハヤテとピリノはそうだねと頷いて一緒にゲートを潜る。

 

「では、僕も失礼しますね、リヴェル様」

 

 ハンゾウもソウエイとソーカ達に何かお土産を買ったらしい、礼をして帰って行った。

 

「冥ちゃん、竜の都の結界が届かない範囲に次元の穴あけてよ」

 

「龍脈を利用して貼られてるから把握が難しいのじゃ。不規則じゃし、わらわはそういう細かい調節は苦手じゃな‥‥ベルはできるかの?」

 

「ベルも無理だよ、地面の結界がニョロニョロしてるからわかんない」

 

「じゃーもう大体で良いから、冥ちゃんお願い。結界に入ってしまったら神官達が大騒ぎするだろうけど‥‥後で俺が謝るよ」

 

 冥ちゃんが指を鳴らすと、次元の穴が空いて中に入る。

 

 遠くに竜の都は微かに見えるが‥‥見てはいけないものも見えた。

 

「あっ! ヴェルドラお兄ちゃんの像が‥‥モゴモゴ」

 

「ベル‥‥それ以上はいけない。知らない方がいいって事もあるんだよ」

 

 俺はベルの口を押えて、シーと人差し指を立てた。

 

「真実とは、時に残酷じゃからな‥‥おーおー派手にやっておるな」

 

 俺はリムルの中にいる、スラきちに両目を閉じさせる。

 

 これで視界ジャックは阻止できそうだな‥‥やれやれ。

 

 普段はリムルの中にいるのはサスケなんだけど、さすがにローテーションにしてやらないと可哀想だからな。

 

 ヴェルドラ像の首が派手に吹き飛び、上半身が蒸発した。

 

「自信作じゃろ? 壊されても良かったのかリュウ?」

 

「数分で完成出来るし、ヴェルドラとミリムの仲がこじれる方が怖いわ」

 

「ミリムねーねにも困ったものなのです」

 

 ね~と声をハモらせて笑い合う親子は、俺の気も知らないで呑気なものだ‥‥。

 

「早く済ませて、コーヒーを飲みに帰ろう。まったく‥‥自分の国に自分より目立つ像を置かれたらどうなるかなんて、誰でもわかるだろうに」

 

 ヴェルドラの奴‥‥映らないからと壊れたテレビのようにスラきちを叩くんじゃないよ。

 

 だから、デフォルメの小さい奴にしとけっていったのに‥‥「等身大だ! 無理ならとにかくでかくしろ!」だもんな。

 

 

 

 竜の都に付くとミリムはミッドレイさんに説教を受けて正座していた。

 

 結界も壊さずに済んだし、門番は顔パスで通してくれたので神殿へ問題なく辿り着けた。

 

 冥ちゃんは麦わら帽子とサングラスを装着し、ベルと市場に行っているのでここにはいない。

 

 壊れた像の周りで大勢の民が悲しんでいる。

 

 ヴェルドラ像を多くの信徒達が気にいってたから仕方ないか‥‥。

 

「助けて父‥‥リヴェル」

 

「民達が悲しんでおられますぞミリム様!」

 

 俺はミリムに素早くお口チャックのジェスチャーをする。

 

「戻ってこられたんですか? リヴェル殿‥‥見てのとおりです。ミリム様が派手にやっちゃいまして‥‥ははは」

 

 ヘルメス君は気まずそうにするけど、俺としては綺麗な竜人のお姉さん達が悲しんでる方が問題です。

 

「ミリム様、小さいヴェルドラの像なら置いていいですか?」

 

「うっ‥‥気持ち悪。なんなのだ! 寒気がするから様はやめろ!」

 

 俺は少しイラっとしたが、怒ったら負けと呟いて我慢する。

 

「はは、ミリム様は酷いですね。この可愛い像です」

 

「キモ‥‥ごほん、リヴェル。ワタシを呼び捨てで呼ぶことを許す。あと! なんでワタシの像より、ヴェルドラなんかの像が目立っているのだ! 聞けば父上の仕業と言うではないか!」

 

 キモッ!? グハッ‥‥大ダメージだぞミリム。後でお仕置きだべ~。

 

 自信満々に好かれてる宣言をしていた、ヴェルドラ叔父さん‥‥ドンマイ。

 

「リヴェル殿、戻られたのですか? ミリム様を説教中なのでお待ちを‥‥父上?」

 

「私の名前がリヴェル・チチウエなんですよ。ははは」

 

 俺はドーナツの輪を両手で作り、すぐさまバッテンの形に変える。

 

 正座のまま慌てだしたミリムは、両手を頬の横に合わせた後。

 

 あざとく小首を傾げ、上目遣いでてへぺろをする。

 

 フッ‥‥残念だったなミリム! 俺には効果抜群だ!

 

「それは申し訳ない、尊き血の竜皇女ミリム。私が知ってる竜っていえばヴェルドラ様だけなのですよ。信徒の皆さんが気に入っておりますので、配置することをお許しください」

 

「ハァ‥‥まあいい、見せてみろ。おお! まんまるしていて可愛いのだ! ワタシの像より小さいし、最初からこのヴェルドラでよかったではないか愚か者め」

 

 俺は中央の破片や残骸を素早く片付けると、ミニチュアのヴぇるどらを置いた。

 

「「なにこれ!? 凄く、可愛い‥‥。 これはヴェルドラ様なの? ねんどろいど?」」  

 

 見つけた‥‥あの兄ちゃん転移者だよな?

 

 困っていたら助けてあげようと思ったが‥‥見た感じ竜の民に馴染んでるから大丈夫か?

 

「なあ、もういいだろう? カレーが食いたいのだミッドレイ。リヴェルがなおしたんだし、説教は必要なかろう?」

 

「反省しておりませんな? ハァ‥‥ですが話し合いたい事も山済みなのは確か、この辺でいいでしょう」

 

「ヘルメス! カレーだ! チャーハンもよこすのだ」

 

「チャーハンですか? リヴェル殿に頂いたレシピにあったような?」

 

 顔を押さえるようにして、ミリムとヘルメスを見送るミッドレイさん。

 

「お騒がせして申し訳ない、これもミリム様の思し召しか‥‥。リヴェル殿、少し手を貸していただけませんか? 困った事になりましてな‥‥」

 

 ミッドレイさんから詳しく話を聞くと‥‥。

 

「それは困りましたね‥‥」

 

「はい‥‥何か地下で異変が起きてるのやもしれません」

 

 井戸を掘っても水は枯れていて、近辺の水脈は全て枯渇していた。

 

 大きな川が三本流れているが、そのうちの1本は完全に干上がっており異常事態だそうな。

 

「緊急事態ですので、私もできる限りは協力します。まずは、枯れた川を調査してみますね」

 

「申し訳ない‥‥このご恩は必ずやお返しいたしますぞ」

 

 ミッドレイさんは枯渇した川の付近に住む住民に、俺が作った水タンクを配る仕事がある。

 

 干ばつによる食糧難も予想されるため、神官達も大忙しで手が空かないみたい。

 

 俺は頭を下げるミッドレイさんに手を振り、市場で冥ちゃんとベルを探す。

 

『おーい! リヴェル、仕事終わったから飯食いに行っていいか?』

 

『今忙しいから無理。カレーだけなら送ってやれるぞ? 残りがあるけど2杯で足りるか?』

 

『たりぬっ!! シュナにもリヴェルの所で食うから、ご飯はいらないって言っちゃったんだけど? なんだよ忙しいって』

 

 俺は冥ちゃんとベルに手を振りながらリムルに答える。

 

『俺も詳しくはわからないんだが、ミリムの国の水源が急に枯渇した。水脈が消えた所為で地盤沈下が起こり、山崩れも起きてる』

 

『むむむ、ミリムの国だし助けてやりたいが‥‥他国に干渉するのもな~』

 

『そうだな、カレーの香辛料、かん水、コーヒー豆、珍しい果物などが不作になるだけだな』

 

『隣国がピンチなんだって! こうしちゃいられねーよな! 俺も現地に行くから次元門ひらいてくれない? あとお腹空いた星! もう何でもいいから飯作ってくれよ』

 

 リムルがいたら大賢者姉妹で簡単に原因を突き止めれそうだな。

 

「おっ? ベルと大賢者妹もいるのか?」

 

「あれれ? リムルおじ?」

 

「姉さんをあまり困らすでないわ、戯け‥‥一国の王が護衛も付けず、魔王の領土にホイホイ来るでない」

 

「リグルドみたいな事を言うなよな‥‥大賢者も妹とベルにリヴェルもいるので、戦力的には十分ですと言ってるぞ?」

 

 俺は取り合えず余ったカレーライスを出してやり、チャーハンを作る。

 

 ヘルメスに貰ったジャガイモをメインに、野菜をスパイスで絡めてサモサを揚げた。

 

「あああ~懐かしいな。グスン‥‥甘口じゃないのかこれ? でも旨い! らっきょはないのか? リヴェル」

 

「それも悩みの種なんだよな〜ジュラ産ってどの野菜や果物も大きいだろ?」

 

「品種改良って小型化はできるのか大賢者? 同種の作物を探さないといけないのか‥‥へー面白いな」

 

 味も良いし、大きいってむしろ食糧難の国からしたら理想だが‥‥土地の養分を吸い上げすぎて、土壌が痩せてしまいそうなのがネックだよな。

 

「何でリムルおじ様は泣いてるの? まだ辛くてつらいの?」

 

「いや、これはソウルフードだから‥‥嬉しくて泣いてるんだよベルちゃん。あぁ~ラーメン食いたい‥‥ん? リヴェル何これ? 揚げたパイ? あっ美味しいな」

 

「インド料理のサモサに似てる奴。竜の都の田舎料理で、なんか俺の生地はカリッと仕上がってるけど、おばちゃんとこは生地がモチモチしてたな」

 

 食べながらリムルに状況を簡単に説明した。

 

「やっぱり土竜って奴が怪しいな‥‥そいつが突然変異か異常を起こしたんじゃないか?」

 

「だよね‥‥現地の人はいつもの事みたいに言うけど、部外者からしたら一番怪しいよね」

 

「リムルの影移動で地中から探せない? 俺は酸素が必要な普通の生物だからさ」

 

「酸素が必要のない、俺の方がおかしいみたいな言い方はやめろ! スライムなのに肺を持ってる、お前がおかしいんだからな?」

 

 地図で調べた川まで次元移動した俺達は、調査を開始する。

 

「それじゃーリムルよろしく」

 

「おう! あっ、土竜って倒したら駄目なんだっけ?」

 

「数はそれなりにいるらしいし、場合によっては駆除もあったみたいよ?」

 

「ほいほい」

 

 潜って数秒でリムルが飛び出して来た。

 

「おいこらリヴェル! また何かやったのか!」

 

「何のことだよ‥‥うわ」

 

 俺達は思念伝達で地中の映像をリムルに見せられる。

 

 地面の下は土竜が掘ったであろう巨大な穴が‥‥そして、地下の空間にストーンマン、ゴーレム、マドハンド、キラースコップ、サボテンボールがいた。

 

 俺はリムルにガクガクと揺さぶられながら、死んだ魚のような目で虚空を見つめる。

 

「知識にあるドラクエのモンスターじゃな。面白いのぅ~どんな生態をしておるんじゃろ?」

 

「石の巨人さんだ! トゲトゲの子欲しいな‥‥」

 

 これは非常にまずいのでは? 俺の所為ならミッドレイさんやヘルメスさんの信頼は地に落ちることになるぞ‥‥。

 

「よし、証拠を隠滅しよう! 共犯者のリムル君! 力を貸していただきたい」

 

 俺はリムルにSAでアイアンクローをされて持ち上げられる。

 

 ジタバタと暴れるが抜け出せない。

 

「そもそも何で俺のせいなんだよ! ドラクエのモンスターに似てるだけかもしれないだろ!」

 

「何を言っておるのじゃ? リュウがこの世界のシステムに介入して書き換えたんじゃろ? ベルがこの世界で生きられるようにの‥‥わ、わらわも助けて貰ったし? 少しだけ格好よかったのじゃ!」

 

 ファッ!? まじで? 

 

 世界のバランスを再構築しますって‥‥最後に聞こえた世界の声‥‥。

 

 あれって‥‥痛っ! えっ、何で叩くの?

 

 リムルに顔を掴まれて動けない俺のケツを、冥ちゃんが容赦なく叩いてきた。

 

「それはベルちゃんが生きるために、この世界にドラクエが混ざったという事か? そういう事情ならリヴェルは良くやったと言うべきだし、許してやるか‥‥」

 

 リムルはあっさりと俺の拘束を解いた。

 

「俺が何かやらかしたときは滅茶苦茶怒る癖に! ベルにだけ甘すぎやしませんかね、リムルさんよう!」

 

「あたりまえだろ? ベルは俺の可愛い姪だぞ? お前なんかと比べるなよなバーカ」

 

 俺が腹いせに奇跡の剣で斬りかかると、リムルの蛇腹剣でムチのように払い、弾かれる。

 

 リムルは多重結界、俺にもスカラが貼ってあるから、剣に魔力を通さない限りはお遊びみたいなものだ。

 

「あぶねっ! いきなりなにすんだこの野郎!」

 

「安心しろ、峰打ちだ」

 

「両刃の剣で何が峰打ちだ! グリンガムのムチをくらえ!」

 

「なんの! 剣にグリンガムなんて名前つけて未練たらたらじゃねーか!」

 

 コインが足りずに交換出来なかったから、クロベエに作って貰った蛇腹剣。

 

 どっちかというとグリンガムの剣だが、ムチと言い張っている。

 

 竜魔刀が作られるまでの凌ぎの武器だと思うが、性能はかなり高い。

 

 リムルが高速で振るう剣を裁いていると、あっという間にリムルとの距離を離されてしまう。

 

 斬撃を増やせば絡み取られるし、面倒な武器だな蛇腹剣‥‥だが隙は大きい。

 

「お主ら! 遊んでないで早く地下の原因を探りに行かぬか! 早くしないとベルが一人で行ってしまうのじゃ! こらベル! 一人で行こうとするでない~」

 

 俺とリムルは一瞬で武器を仕舞い、冥ちゃんが開けた穴に飛び込みベルを追いかけた。

 

 

 

「ん? これは一体どういう状況だ?」

 

「わからんけど‥‥リムル。戦闘になる感じじゃないぞ」

 

「何かテンペストを思わせる、のほほんとした魔物じゃな」

 

 ゴーレムの一人はベルを肩に乗せ、土竜が開けた穴を補強している。

 

「おーい、ベルちゃん。そのゴーレムは仲間にしたのか?」

 

「違うよ? ベルが急にでてきたから驚かせちゃったけど、皆いい子達みたいなの」

 

 ベルがここの魔物達から少し話を聞いたみたいだ。

 

 気が付いたらここの穴の中で生まれて、崩れそうになってるから仲間と協力して補強しているみたい。

 

「食事は魔素でいいのも同じなんじゃな‥‥体を構成するために必要な石や鉱石は定期的に取り込む必要はありそうじゃが」

 

 冥ちゃんは興味深そうに、作業中のストーンマンの周りをグルグル回って観察をしている。

 

 ストーンマンさんはオドオドしながら迷惑そうだ。

 

「姉さんこれ見てみるのじゃ、こやつら核がないぞ。リュウみたいな不思議生物じゃ! 核がないのに保存と供給はどうしておるのじゃ? これは‥‥魂か?」

 

《告。核の存在は確認されませんでしたが、魂と肉体を持つ半精神生命体と推測します。妹、比較対象として他の生物の解析を進めましょう》

 

 姉妹で楽しそうに知的好奇心のまま調査してる。‥‥俺は不思議ちゃんじゃないもん。

 

「ちょっと冥ちゃん、作業の邪魔だよ‥‥やめなさい」

 

 冥ちゃんはストーンマンに謝り、石を運んでいるマドハンドの観察をしに行った。

 

「あっ! リヴェル! これあれじゃないか? デルムリン島の魔物達と同じだ」

 

「なるほど‥‥でも、ドワルゴンでは攻撃的だったらしいぞ? まさか魔王の影響とかじゃないだろうな‥‥」

 

「父上、このサボッチが穴の奥で苦しんでる声がするって言ってるよ」

 

 ベルがトゲを触らないように、サボテンボールを俺の前に持ってきた。

 

「サボッチ‥‥ベル仲間にしたら駄目だって、犬や猫みたいなペットじゃないんだから」

 

「むー水とおひさまがあったら大丈夫ってこの子いってるもん!」

 

「話が進まんから許してやれよリヴェル。こいつが見つけた声の方に行ってみようぜ」

 

 急にサボッチが邪悪な心に支配されたら、ベルが悲しむじゃん‥‥。

 

 リムルと俺には何を言ってるのかわからないが、ベルにはサボッチの言葉がわかるようだ。

 

 スライムレースのスライム達もピィと鳴いて聞こえるだけで言葉がわからん‥‥俺って同種のはずなのに。

 

「あっちの奥だって! 早く助けてあげてって」

 

「背後の穴か? だとしたら、方向は川の上流だな」

 

「なあ、リヴェル。ドワルゴンと同じく魔物を生み出す玉が原因か? それとも世界が混じった影響か‥‥」

 

「ドラクエ世界そのものは混じってないんじゃないか? ほら、そのゴレムスくんにもレベルがないし」

 

 強さに違いはあるだろうけど、ドラクエの魔物もこの世界の魔物基準で誕生するようだし。

 

 てか名前!? もうベルったら手が早いんだから‥‥。  

 

「ここで考えていても結論はでんのじゃから、早く原因を確かめに行くのじゃ~! 置いていくぞ〜リュウ! リムル!」

 

 いつのまにか冥ちゃんとベルはゴレムスの左右の肩に乗り、先に行ってしまう。

 

 俺とリムルはヤレヤレと首を振り、ゴレムスくんを追いかけた。

 

 通路の途中で、穴の端に固まり怯える土竜を見つけた。

 

 魔獣相手なら俺も話がわかるぞ‥‥ふむふむ。

 

「土竜の長が地中を移動中に、何かを食べてしまったのが事の発端のようだ」

 

 食べた瞬間身体が巨大化し、喉が異様に乾くようになって水源を枯らしていたと‥‥。

 

「十中八九、魔物を生み出す玉だろう。突然変異でもなく、土竜も被害者ってわけか」

 

 ざ、罪悪感が‥‥これ世界中で起きていたらどうしよう。

 

「なに自分の所為みたいな顔してんだよ。お前が引き起こしたくてやった事じゃないだろ? ベルを助けるためにやった事だ、後悔なんかするんじゃねーよ」

 

「ううぅ~〜リムルゥ~」

 

「ベルちゃんが自分が生きてる所為で皆が困っていると、変な罪悪感を持ったらどうするんだよ! 馬鹿リヴェル! ちゃんと責任持ってお前が対処しろ」

 

「俺の感動を返しやがれこの野郎!」

 

 いや、これは調停者様の仕事では? ギィ様‥‥何卒あとは宜しくお願いします!

 

「いたよ! すっごい大きなモグラさん」

 

「苦しんでおるな‥‥衰弱していて暴れる気力も残っておらんようじゃ。早う助けてやらんと危ないぞ」

 

 冥ちゃんは俺が行くから任せておけば大丈夫と、ベルに言い聞かせている。

 

 リムルは笑顔で早く行けと大怪獣モグラの口の中を指さした。

 

「リムル、俺に何かあったらさ‥‥。探せ! 竜の都すべての食材をそこに置いてきた! ってやっていい?」

 

「安心しろ、リヴェル。親友のお前を一人で行かすわけないだろ?」

 

 俺は良い笑顔の親友を先頭に歩かせて、モグラの体内に入って行った。

 

「どういう状況だ? 体内で魔物同士が戦っている」

 

「リムル! がいこつ、ミイラおとこ、きつねび、腐った死体は地図機能で赤色だ! サボテンボール達に協力しよう」

 

 俺とリムルはサボテンボール達と共闘してがいこつ達を倒す。

 

「ベホマラー! これでよし、お前達は外に退避してろ‥‥って言葉が通じないか」

 

 ちょうど俺の足元にサボッチが現れて、皆を説得して外に連れて行ってくれた。

 

 魔物の死体は消滅しないで残るのか? 置いていっても長が困るし、素材に貰っておくか。

 

「ありがとな~! 助かったぞサボッチ! おい、リヴェル。あれじゃないか?」

 

「ん? 胃の中に何か埋め込まれてるな‥‥ブフォッ!?」

 

 リムルが鑑定してもわからないようで、俺に聞いてきた。

 

「なんて表示されているんだ? 早く教えろよ」

 

「イ‥‥イエローオーブ‥‥とかいう名前ですね」

 

「おい‥‥おいおいおい! ラーミア復活か? 七賢者か? 命の大樹か? ど、ど、ど、どうすんだよリヴェル」

 

「違うよリムル? 逆に考えるんだ‥‥別に錬金素材にしちゃっていいさと」

 

 俺とリムルは顔を見合わせて笑顔になる。

 

「確かにな、さっさと錬金素材にしちゃえば問題解決だ! これはどうやって回収するんだ?」

 

「記憶が曖昧なんだが‥‥確か魔物は触れないとかじゃなかったっけ?」

 

「「‥‥」」

 

 俺とリムルはじゃんけんをする。

 

「うへぇ‥‥俺か」

 

「勇者なんだから大丈夫だって! お前が触れられないなら、俺なんか絶対無理だぞ」

 

 リムルは蛇腹剣で胃袋に同化した玉を素早く斬り落とし、フルポをかけた。

 

「一丁あがりっと‥‥おっ? 何だ地震か?」

 

「あっ!! たぶん巨大化が解けるんだ! 急いで出るぞリムル!」

 

 リムルは巨大なイエローオーブを俺に投げてきた。

 

「ちょっ!? 道具袋!!」

 

「お前でも大丈夫そうだな」

 

 俺はリムルを睨みつけるが、どこ吹く風で前を走り抜けていく。

 

 リムルに続いて口の外に飛び出ると、土竜の長は全長10メートルくらいに戻っていった。

 

 

 

 助けた土竜達は俺とリムルを舐めまわして喜んだ。

 

「あはは、もうわかったって。悪かったな‥‥」

 

 ドワルゴンのレッドオーブも被害がでるまえに早く回収しよう。

 

「うん、元気でな。川の水は俺達が元に戻すから心配するな」

 

「達者でな〜! あっ、スキルで川底の穴は塞いでいってくれよ?」

 

 土竜達はきゅいきゅいと鳴きながら、嬉しそうに帰って行く。

 

 冥ちゃんとベルが笑顔で、俺達に良くやったと褒めてくれた。

 

「なあ、冥ちゃん。中で良い魔物と悪い魔物が産まれていたんだが、理由はわかる?」

 

「恐らくじゃが‥‥ほれ、水が干上がって沢山死んどるじゃろ? 怨念を水もろとも飲み込んだからじゃろ」

 

 干上がった川底に魚や動物、魔物の死体もちらほら見える。

 

 イエローオーブは乾きの壺のような性質を持っており、底なしに水を吸い上げていたようだ。

 

「土竜は元から善良な生き物じゃから‥‥魔物の心にも影響したんじゃと思う」

 

「なるほどな〜この死体も水で流すのは可哀想だし、素材に使って供養してやるか」

 

「イエローオーブを借りていくぞ? 大賢者が俺なら使いこなせると言ってるし」

 

 川底を綺麗に回収した後は、リムルが上流でイエローオーブを使うとため込んだ水が一気に放出された。

 

「ドワルゴンのはレッドオーブだろうな‥‥ドラクエ魔物達をどうする? リヴェル」

 

「あと4つなのか‥‥5つなのか。俺達と言葉が通じないのがなぁ〜」

 

 穴の中にいた大勢のドラクエモンスターをどうするか、どうやって残りのオーブを集めるかと俺達は悩んでいるというのに‥‥。

 

 ベルは大勢のドラクエ魔物達と楽しそうに遊んでいるし。

 

 冥ちゃんは二体のマドハンドに肩を揉ませて、ゴレムスの肩で優雅に紅茶を飲んで寛ぐ始末。

 

 俺とリムルは二人を眺めた後に長いため息を吐いて、流れる川を憂鬱そうに眺めるのだった。

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