二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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06話 初めてのマイホーム

 その日の朝はリムルの悲鳴から始まった。

 

 可哀そうに‥‥ハルナではなくリグルドに起こされるとは。

 

 俺が名付けをしたゴブリンたちは良く懐いてくれるし、頼み事を聞いて手伝ってくれるから非常に助かっている。

 

 俺はゴブツがとって来た岩塩を貰い、錬金で塩に精製した。

 

 その塩を使って朝食のキノコと肉の串焼きに、塩を振りかけ頬張る。

 

 口の中に放り込めば、固有スキルの消化で噛まずにすむことが分かった。

 

「うまい! 良い塩加減だ」

 

「リヴェル様、頼まれていた粘土を持ってきましたよ!」

 

 ゴブテが大ちゃん作の木造リアカーに、粘土を積み込み運んで来てくれた。

 

「ありがとねゴブテ。ゴブタとゴブゾウはまだ粘土を掘っているのか?」

 

「うん、すこっぷ? で掘れるのが楽しいみたい」

 

 ゴブタはサボってるイメージしかないんだが協力的で嬉しい。

 

「ゴブテ、悪いけどこの精製した塩をゴブツのところに持って行ってくれ。はい、塩肉」

 

「はーい。あっ! 美味しい〜! 精製した塩だと凄く美味しいよ、リヴェル様!」

 

 串肉を口に入れたまま、リアカーを引いてゴブテが去っていく。

 

 木造じゃ強度が知れてるので早く銅を入手したいな。

 

 革袋や木を繰り抜いたような入れ物しかゴブリンは持ってないので、俺は石と粘土で簡単な炉を作ることにした。

 

 作ると言ってもイメージだけ大ちゃんに伝えたら、道具や袋の中で作ってくれるんだよな‥‥大ちゃん様々だぜ。

 

 炉に粘土で作った壺・コップ・皿などを入れて焼き始める。

 

 陶芸が楽しくて陶芸職人ごっこをしているとリムルがこっちにやって来た。

 

「気に入らん! セイッ!」

 

「なんで割ってるんだよ? それより魔物の進化凄くね? リグルド若返ってるし」

 

「火加減が難しいからすぐにヒビが入るのよ。見た目が変わらない子もいるけどね」

 

 リムルを見つけて足早に駆け寄って来たランガ。

 

 嬉しくて振るう尻尾の風圧で、炉の火力が凄まじい勢いで増していく。

 

「あーもうなにやってんだよランガ‥‥」

 

 全滅してしまった黒焦げの陶器を、涙目で見つめている俺に話しかけてくる狼がいた。

 

「兄がすみません、リヴェル様」

 

「えっ兄? ランガに兄弟がいたのか?」

 

「はい! 死にかけた私を治していただいたので、生き残ることができました」

 

 じゃーこの子も親父殿の子なのか? 見た感じランガと同じく蟠りはなさそうかな?

 

「リヴェル様! 嬉しさの余りつい、申し訳ございません」

 

「大丈夫だよ。それよりランガ、この子に名前を付けた場合群れとしてはどうなるの?」

 

 私にも名を! と嬉しそうに鼻先を押し付けてくるランガの兄弟。

 

「どうといわれましても、我らは全にして個は変わりません。おそらく変化はないかと」

 

 つまり群れのリーダーは変わらないし、個別に名付けしても変化はないのか? 魔素も消費しないただの名付けになるのか。

 

「じゃー君の名前は風牙でフウガだ」

 

「‥‥‥」

 

 泣きそうな顔をした狼に俺は困惑する。

 

「気に入らなかった?」

 

「私は雌です‥‥」

 

 俺は謝りながら必死に考える、可愛い名前、嵐子? 風子? 悩むなぁ〜でも風を使いたいな。

 

「風音、かぜにおとでかざねって名前でどうだ?」

 

 ひと鳴きした風音が変化してるんだが‥‥。

 

《肯定。嵐牙狼の特殊個体へと変化しました 》

 

 黒と白から緑と白に変わった、それにもふもふ感がアップしてる。

 

 多少魔素を持ってかれたけどなんでだ? 進化はしなかったけど、名付けによって特殊個体に変化させるとか魔物は謎だらけだな。

 

「ありがとうございます! リヴェル様、貴方を守る力が欲しかったのです!」

 

「あっ、うん。これからもよろしくね風音」

 

 兄妹で炉の火力を上げながら邪魔してくるのは流石にやめてつかーさい。

 

 ちなみにリムルと俺で他の嵐牙狼に名前を付けても意味がなかった。

 

 リムルが村の広場に全員集合! と皆を呼び集めたので俺も移動する。

 

 どうやら村のルールを決めるらしい。

 

 俺はルールについては口を挟むつもりはなかったんだが、ゴブゾウが犠牲になるのが嫌で少しだけ追加することにした。

 

 名付け親っていうのはそういうものなんだよ‥‥。

 

 1つ仲間内で争わない、2つ多種族を見下さない、3つ人間を襲わない、だがリグルの質問のあとに続いて俺は言った。

 

「ただし専守防衛はすること! 人間にも魔物にも良い奴、悪い奴はいるからな」

 

 専守防衛を皆に説明した。

 

 リムルがすんなり認めてくれて助かったよ。

 

「次に役割分担だが‥‥」

 

 

 

 

 

 この集落では森での遭難や死亡した冒険者の遺品で賄ってる。

 

 弱い部類のゴブリンでは運よく見つけた品しか確保はできないみたいなので、生活する食器などは使い回しがほとんどだ。

 

 だから俺はせっせと経験値も入らないのに食器作りを頑張っていたわけだが‥‥。

 

「俺に任せろ。ほい、ほい、ほいっと」

 

 リムルが粘土を取り込み、完成した食器や壺を複製しだした。

 

「なんだよその顔は、最初の現物はおまえの作品なんだからいいだろう別に」

 

「目の前で贋作を作られていく職人の気持ちが、おまえにはわかるまい…」

 

 炉の強化にレンガ作りをと考えていたら、リグルドが言っていたことを思い出した。

 

「そういやリグルドが村の真ん中にお二人の住居を作りますぞ! とか言ってたぞ」

 

「弥生時代よりも文明低いのになにを作る気なんだか…」

 

 家をレンガか木造かで色々話したが、モルタルがないし木造で作ることになった。

 

 早速リグルドの所へ行き、自分の家は俺たちが作ると場所の案内を頼んだ。

 

「リムル様、リヴェル様この辺りにお願いしますぞ」

 

 俺は綺麗に整地された場所の真ん中に立ち呪文を唱える。

 

「まずはギラで穴開けて支柱を入れてっと‥‥切れ込み部分を繋げて、ほい出来た。これで骨組みは完成っと」

 

 スキル通信で設計図を共有しており、板や丸太の加工はリムルが担当し俺はスキルで設置していった。

 

「お前のスキル、ハンマーも要らないし十分チートだな」

 

 チート代表のリムル様は無視して壁の板材をはめ込んでいく、宮大工のはめ込み式だ。

 

 屋根は瓦もないし木材で二重構造にして水が流れるように、床板を貼るのは寝床を決めてからにしよう。

 

「よし! ひとまず完成かな」

 

 感嘆のため息を吐きながらリグルドが言う

 

「凄いですなリヴェル様は、熱線の魔法をこういう風に使うとは」

 

 様子を見に来たリグルもあとに続く。

 

「あっという間に建ちましたね。我々の作るものとは大違いだ‥‥」

 

 耐震性や断熱性はわからんけどな。

 

 隣に村長の家を建てたら後は、大きな狼厩舎と長屋の建築に取り掛かるか。

 

「人数が増えたし、建築はリヴェルに任せて俺たちは食料の確保だな。衣・食・住の住はOK、食もまぁ良いとしよう。問題は服だよな…」

 

 周囲のホブゴブリン、特に女性陣のボロ布姿を見回して顔を赤らめながら言うリムル。

 

「皮の服は作れるが圧倒的に皮が足りない。それに下着類は俺には作れないぞ? 耐熱レンガも失敗。井戸の掘り方もわからないままだ」

 

「つまり職人の確保は必須と‥‥。あとは資材調達だな」

 

 牙狼族の死骸は埋葬したので倫理的にも皮は使えない。

 

 皮をなめす方法も、噛んで柔らかくして作る方法なので数は少ないとのこと。

 

 数がないのに申し訳ないが、現存する2枚は俺たちの寝床に敷かれる予定だ。

 

 リグルドが交易はドワーフ王国で行っていますと教えてくれた。

 

 追加の情報としてはリグルが我々の交易品は干し肉、皮、岩塩で物々交換をしているとのこと。

 

 どうりで村の在庫に皮が無いはずだよ。

 

 みなで話し合った結果。

 

 ドワーフ王国に職人と衣服の買い出し、それと足りない資材の調達に行くことに決まった。

 

 ゴブタが皮鎧の件でブーブー文句を言うので仕方なく作ったが、お陰で俺の寝床は冷たい床板だけになる。

 

 とにかく金だ! 先立つものがなければ何もできない。

 

 岩塩を精製し、壺に詰めればいい金になりそうだ。

 

 それに確か戦争中でポーションが不足してなかったか? 

 

 リムルが「何を悪い顔をしているんだ?」と聞いてくるが、気にせず俺は空いた魔法の小瓶を並べていく。

 

 これにフルポを詰めてくれと指示すると、リムルは一度収納してから再度フルポの瓶を並べて出した。

 

 樽一杯をタダでやらんでも良いだろう‥‥なにをするにも金はいるんだからな。

 

「ほい、できたぞ星? なにをたくらんでいるんだ?」

 

「この小瓶1個の量で金貨30枚くらいはすると思うぞ? お前のフルポーション」

 

「本当なのか大賢者? ふむふむ、金銭価値が付けられないほど貴重なのか‥‥なるほどね」

 

 物凄く悪い顔をしたスライム二匹が、色々商談をはじめる。

 

「市場を荒らすのは良くない、まず売りさばくのは水で薄めたポーションだ」

 

「個数制限して売ればいいだろ? 水で薄めるのは違法じゃないのか?」

 

 俺はリムルに違法性はないと教え、原液はリムルが持ち歩くことに。

 

 水割の品質調節を俺が持つことにした。

 

「兎に角まとまった金銭がいる。職人を雇うならそのお金もいるし、石灰も欲しいから購入してくれよ」

 

「確かに人を雇うなら金も要るか‥‥お前は来ないのか?」

 

 俺はニヤリと笑いながら言った。

 

「分裂体を連れて行ってくれたら、現地で切り替わりルーラを登録できるようにする」

 

「おおぉ〜この世界はドラクエなんだ! とか言ってたうちの子が立派になって‥‥」

 

 泣き真似で俺を煽るスライムの横に、ギラを段々強くしながら俺は威圧を込めた笑顔で言った。

 

「もうそれ、黒歴史だからやめような?」

 

「アッ‥‥ハイ‥‥」

 

 当初の予定通り、リムルは数人を引き連れて狩に行った。

 

 

 

 ドワーフ王国で交易品を売る為に、岩塩から塩に精製し壺に詰める。

 

 フルポーションを薄めて、低・中・高ポーションを作成した。

 

 ほかにも旅先や村の備蓄にも保存食が必要なので準備し、結局出発には1週間ほどかかることになった。

 

 俺はその間に名付けた4人組と協力して整地と建築を開始。

 

 村長の家・長屋・集団トイレをまずは作成することにした。

 

 住民が暮らす長屋は3割程度は完成。

 

 狼厩舎は最後で良いとランガに言われたので、先に要望があった食糧庫の建築予定場所を整地していくことにした。

 

「あっという間に村が様変わりしたっすね」

 

「だべな‥‥。あっリヴェル様! オラ、畑で作物育ててみてえだ」

 

 村長のボロ小屋が1件、藁の家が数件だけだった頃を思い出して呟く二人。

 

 俺はまだまだ色々作るぞ! とゴブタとゴブゾウに笑いかけた。

 

 二人に整地を頼み、俺は邪魔な石や岩などをスキルで回収していく。

 

「なら種イモや小麦の種子もリストに入れとかないとな」

 

 即席で作った燻製機に、干し肉を並べてるゴブテとゴブツが嬉しそうに続く。

 

「美味しいもの一杯食べたいです!」

 

「俺は飢えない暮らしがしたいです」

 

 何を植えるか皆で色々話し合っていたら、遠くでリムルが呼んでる声がする。

 

 どうやらゴブタを探しに来たみたいだ。  

 

「おーい、ゴブタ。旅の準備しろよ」

 

「何時でも行けるっすよ。リヴェル様! 後で合流っす」

 

 ゴブタはリムルの道案内で、一緒に同行する予定だ。

 

 今、目の前で嬉しそうに皮鎧を装着している。

 

 鎧はイメージで好きに形を変えれるので、パーカーみたいな感じにした。

 

 分裂した俺もゴブタが背負子で運んでくれるらしい。

 

「リムルもゴブタも気をつけて行って来いよ」

 

「おう、じゃー行ってくるわ」

 

 滝のような涙を流して、大きく手を振るリグルドは大声で叫んでいる。

 

 「行ってらっしゃいませ! リムル様〜〜!」

 

 盛大に見送られながら、リムル一行はドワーフ王国へ旅立っていった。

 

 我が家に帰ると、リムルの毛皮に寝転がって思案する。

 

「時期がズレても門前で絡まれたりするのかな? それと鉱山事故で三人の治療が間に合わなかったらどうしよう」

 

 ゴロゴロと転がりながら悩む。

 

「あと裁判も気になる。国外追放にならなかったら…うがーーーーっ!」

 

「大丈夫ですか! リヴェル様!」

 

 ハルナが昼ご飯を持って来てくれたみたいだ。

 

「あーごめんハルナ、リムル達が心配でつい」

 

「うふふ、心配しなくてもリムル様はお強いですよ」

 

 強さは関係無いんだよな‥‥主人公の運命力に賭けるしかないか。

 

 俺は謎芋と焼きリンゴを食べながら、不安をハルナの笑顔でかき消した。




予定ではべビーパンサーに似た山猫モンスターを拾う予定だったけど。移動する脚がすぐに欲しかったから仕方ないね‥‥
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