二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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64話 友情破壊ゲームで生き残ったら親友

 絶句する二人を無視して、俺は黙々と作業を再開した。

 

 焙煎機はやっぱり、小型より大型で作る方が良い気がする。

 

 大量の豆をバラツキなく熱が伝わるようにするなら、リムルの刻印魔法で簡単にできるし。

 

 商売にする気はないが、大量にストックしていつでも飲めるようにしたいからな。

 

 熱風式や半熱風式も利用できるようにするか? じゃーこの小型ドラムは邪魔だな……。

 

「ちょっと、作業に戻らないで聞きなさいよリヴェル。姫様は偉いんだからね! その言い方はなんなのさ!」

 

「ほーん。もう国は滅びてないんだが? どこの誰が偉いっていうんでござるかぁ? 魔力純化効率ならミスリルよりもオリハルコンだけど見た目が金ピカなんだよなぁ〜」

 

 黄金の焙煎機とか慢心王様も持ってはおるまい……しかも錆びないからメンテナンスが凄く楽なんだよねオリハルコン。

 

「うううぅ……ティア~こいつ嫌い」

 

「お可哀そうな姫様……アタイに任せて! 元の姿に戻してみせるよ」

 

「そのままじゃ無理だぞ? カザリームの魂はグチャグチャだからな。頼み方が命令口調の上に図に乗り過ぎだし、ティアを救った恩人に対していう言葉ではないよね? 凄く無礼……まあ、それは置いといたとしても、ザオラルがないから肉体が作れないんだよ」

 

「俺の魂はそんなにひどい状況なのか……あなた滅茶苦茶根に持ってるじゃないの」

 

 カザリームとして話すかカガリで話すか、貴方もぐちゃぐちゃよ?

 

 レオンに封印されたかは知らんが、ずっと箱の中にいたのか? ティアの安否も何年も気にかけていたはずだし、精神的にまいってたところに出会えたから情緒不安定になってるみたいだ。

 

 口をパクパクさせて驚いていたティアは、カプセルを指さして言う。

 

「え〜~アタイの身体は作ったじゃないのさ!」

 

「お前の身体はソウル・ノアといって、遺伝子情報じゃなく魂の情報を読み取って肉体を精製するホムンクルスなんだが、問題は魂の情報を読み取って自動調節してくれる機能なんだよ。詳しい説明は面倒だから結果だけを言うぞ? ソウル・ノアだとハイエルフの肉体は作れん。俺のホムンクルスは魂と肉体が一致しないと成功しない。つまり、カザリームを蘇生するには別の方法をとる必要がある」

 

 初期のザオラルと召喚魔法を融合させたホムンクルスならハイエルフを作れるかもしれん。

 

「じゃー早く別の方法で姫様を作ってよ!」

 

「やなこったでゴザル」

 

「もう! なんでなのよ!」

 

「ただでは作らんという事か? 何が望みだ……俗物め!」

 

 貴様が言えたセリフか! ハマーン!

 

「貴重なオリハルコンやミスリルを使ってティアを生き返らせた俺を俗物だと! 俗物はお前だはにゃーん!」

 

「私はハニャーンではない! 我が名はセシリア・ウル・リュ・ソーマだ! ま、真名は預ける……だから私の身体を作ってくれ、頼む!」

 

「えっ……じゃー略してカガリで」

 

「どう略したらそうなるのさ! セシルかリア様でしょ! 王族の真名は魂をあなたに捧げますと、結婚する相手にだけ……なんで真名を明かすんですか姫様!!」

 

 知らん! ギレンの秘書だか、オルコッ党か知らんがカガリなの!

 

「私がせっかく姫様の名を秘密にしていたのに!」と、ティアは怒ってサマタマを両手で持ちブンブンと振る。

 

「わ、私の生殺与奪を握られているんですよ? 真名を明かして信頼を得ないとティアも危ないじゃない!」

 

「リヴェルはスケベだし、女にはとことん甘い人ですから酷いことなんてされないんです! もう姫様は余計なことしないでください」

 

「スケベは否定せんが、俺が甘いのは胸が豊かな持ち主だけだぞ? 確か王族の婚姻の儀は互いの真名交換と大精霊の了承がいるはず、古いエルフの知識にも詳しいからね。始祖シルビアの名の元にセシリア・ウル・リュ・ソーマの真名を返上いたします」

 

 王女の真名だけを知り、告白を断って恥をかかせる感じにはなるが真名は呪術であり言霊だ。

 

 扱いは慎重にしないといけない。

 

 命を預けるとか言われても正直困るんだよ……好意はないけど結婚もするし、魂やるから信用してくれって意味だろうけど。

 

「私の一世一代の真名の交換の儀を……ティアぁ〜こいつ嫌い!! うえええぇ~〜ん」

 

「姫様落ち着いてください! リヴェルは姫様の美しい姿を知らないし、真名の持つ意味も知らない馬鹿ですから」

 

 その男性ボイスが元凶だと思いますよ? だからエルフの知識は知ってるよ。

 

 真名はこの身、この魂で愛を誓うとかヤンデレ的な重いやつだろ? いらん、いらん。

 

「魂を修復して女王様ごっこで罵倒された……失礼、欲望が漏れました。キリッとした秘書みたいなお姉さんに姫様を戻したいから、ティアちゃん早くサマタマを俺に返してくれないかい?」

 

「この変態に姫様を渡していいものか……絶体絶命の大ピンチじゃないのさ!」

 

 ピンチはチャンスだよティアちゃん。

 

 あと、おじさんは変態じゃないよ(ニッコリ)

 

「カザリーム、条件を3つだす! これをクリアしたらお前の魂を修理して、そのおっさんボイスを元のお前に戻してやるよ」

 

「下種な男め! 何が条件だ! 私の真名を聞くだけ聞いて弄ぶ気だろ! お前になんぞ、私とティアの身体には指一本触れさせん!」

 

「姫様、姫様! リヴェルは今はエルフの少女姿をしてますよ? 変身能力があるようで最初は小さい男の子でした。恐らく年齢的には子供じゃないかな? でも! す、すごいエッチな服を無理矢理着せられました! 変態なのは間違いないです」

 

「えっ!? 機械いじりが好きなぶくぶく太った醜い破廉恥漢じゃないのか? この中からは男の声が聞こえるんだが……」

 

 サマタマは魂で会話するので、ジャヒルに魔改造されたカザリーム様はダミ声だ。

 

「機械いじりは好きだが、生前も転生前も太ってないぞ失礼な! 変態ではない、紳士と言いたまえ諸君」

 

 最初の傲慢な態度も引っ込んだし、サマタマの中で精神は安定してきた頃合いだろう。

 

 そろそろ、おふざけは終了だな。

 

 俺は焙煎機の組み立てを中断して、真面目な顔でサマタマに向き直る。

 

「お前のところのクレイマンが俺達に喧嘩を売ってる問題が一つ。レオンの所にいた少女について全部話す事が二つ目。契約を受け入れる事が最後の条件だ。人格には影響が出ないように魂の束縛はしないと約束する。どうだ?」

 

「契約で魂を縛らないなんて不可能よ、真名も知った癖に馬鹿にしてるの? クレイマンが貴方にしていることは私が辞めさせます。申し訳ない……恐らく私を探しているのでしょうから、姿を見せれば止めさせられます」

 

「真名も使わないし、契約で魂を縛らずにできるのは本当だぞ? 俺のユニークスキルで魂に直接書き込みが可能なんだ。意思を縛り、命令に絶対服従するような人形にはしないから安心してくれよ。契約するときに嘘を付いていたら偽誓反転を組み込んでも良いぞ?」

 

 誓約は強制力が軽いが契約は重い、危害をくわえない命令も契約だと敵対行動はすべて封じる。

 

 つまりコスプレで色々な恰好にさせても殴られないという事だ! 勝ったなガハハ!

 

 少し沈黙してからカガリは話す。

 

「少女とはクロエの事かしら? あなたは何者? レオンの奴とはどういう関係?」

 

「俺はお前の敵じゃない、それにレオンは俺の存在を知らないからな。ただ、クロエの置かれた状況を知りたいのと……あーくそ、ティア! お前記憶は? お前がカザリームに偽装してクロエを襲ったらしいが覚えているか?」

 

「ふぇ? アタイはラスさんと一緒に逃げてそれからの記憶はないよ? クレイマンて誰だい、料理長のクレイヴさんのこと?」

 

「それよ! リヴェル、貴方死者の記憶を戻せるの!!」

 

 だーもう! 話が進まんだろ。

 

「ザオラルがないっていっただろ! それにティアみたいに魂を修復してみないとわからん! クロエは何の病気だ? ティアも含めてお前の仲間がレオンに復讐しに挑んだらしいがクロエを標的にした理由は?」

 

「お願い! 皆の記憶と生前のように生き返るならいくらでも話す! 契約もする! 何でもいう事を聞きますから! お願い皆を助けて!」

 

「アタイからもお願いします。姫様や皆が元に戻るなら何でも言うこと……でもエッチなのは駄目だからね!」

 

 今何でもするって言ったでゴザルよ~〜ティア殿! 

 

「わかったから……そのおっさんボイスでなんでもしますはやめてくれ! 記憶が戻るかわからんが協力はすると約束する。だからクロエについて早く話してくれ」

 

 

 

 カザリームから色々状況は聞けたが……。

 

「それは、早く助けてやらんといけないな。クロエは時の旅人のユニークスキルじゃないのか?」

 

「あの子のユニークスキルは《時の揺り籠》で時間を逆行できる。能力が制御できないから何度も同じ時間を繰り返していたのよ……」

 

 クロエは病気なんかではなく、レオンとこの世界にやって来た時間に1年おきに戻される能力だった。

 

 世界を渡る時に膨大な魔素を取り込んだ影響で、子供のクロエは力を制御できずに自動発動する強力な時の力に肉体が蝕まれていった。

 

 痛みで歩く事もままならないのか、それは自身も周りも辛いだろうな。

 

「そのクロエって子、可哀想だよ……一年で全部思い出を忘れちゃうなんてさ」

 

 永遠ともいえる長い一年を繰り返すのは……。

 

「地獄だな……その姿に同情して止めたから、レオンに命まで奪われなかったんじゃないのか?」

 

「……煩いわね。私がクロエの肉体を奪って過去に戻ろうとしたというわけ。これでいいでしょ?」

 

「レオンの美貌に嫉妬して、喧嘩を売ったくだりが抜けてるけどな」

 

「!!!!!!?」

 

 少し口煩くなったので、サマタマに鉄の箱を上から被せた。

 

 時の旅人にはシエルさんの協力で能力を改変したのか? リムルを救うためか、クロエ自信を救う為かはわからんが……。

 

 レオンが旅してるのはクロエの能力を制御する方法を探してだろうな。

 

 まずは時の大精霊を宿して肉体の崩壊を止める。

 

 現状何年も死なずにすんでるのはユニークスキルのお陰なのは皮肉だな。

 

 スキルを改変するにはシエルさんを智慧之王に進化させる必要があるけど、それはシズさんを吸収してスキルの改変能力を持ったリムルが必要で……あーーーーあああもう! 

 

 いや、神智核したら魂の回路からハヤテのスキルを引っ張ってこられないか? 冥ちゃんと協力したらなんでもできそうだぞあの姉妹。

 

「レオンって人に嫉妬!? 誰もがうらやむ美貌の持ち主の姫様が? わけわかんないじゃん……」

 

「まーカザリーム時代は醜い姿にされてたとかあるから突っ込んでやるなよ? ちなみに姫様の姿ってどんなん?」

 

「ふっふっふ、見て驚くがいいのよさ!」

 

 ティアの水魔法が大きな鏡を作り、目つきが鋭い美しいエルフの女性が映し出される。

 

「レオンに嫉妬する意味がわからん……エルさんといい勝負じゃないか?」

 

「姫様より美しいエルフなんているもんか! 誰だいそのエルさんって!」

 

 カザリームが煩いので、ティアが箱を持ち上げて姫様を出してしまったようだ。

 

「あれは違う! 私だって負けてないはずだ! うがー腹立つ! 男の癖にありえないのよレオンの糞野郎!」

 

「姫様、汚い言葉遣いは駄目ですよ! これを見なさい、リヴェル! 目つきが悪いのは人前で緊張してるからよ? でも、ほらベットでゴロゴロしてるときは姫様すっごく可愛いのよ!」

 

 ムスッとした顔ではなく、人形を抱いてゴロゴロしてる姫は目つきも柔らかくポワポワして可愛かった。

 

「ちょっとティア! あなた今何してるの! 嫌な予感がするんだけど」

 

「気にするな、ベットでワニのヌイグルミを抱きしめて、パンツ一丁でゴロゴロしてるお前を水鏡で見てるだけだから」

 

「いやああああああああぁぁ~〜!! なにを見せてるのティア!!」

 

「サービスも必要かと思いまして……テヘッ」

 

 よし、良い物も拝めたし治療をしてやるか。

 

「じゃーサマタマは回収するな、しばらく寝ていろリア」

 

「ちょ!? まちっ……」

 

「あっ!? もう~大丈夫なんでしょうねリヴェル!」

 

 俺は素早くティアからサマタマを奪って道具に収納する。

 

「任せておきなさいって、美しい姫様には力の限りを尽くしますよっと」

 

「胸が大きいもんねリア様……リヴェルのスケベ」

 

 自分の胸をペタペタと触りながら口を尖らすティアちゃん。

 

 現実的なのは俺が作るエルフ型のホムンクルスに呪術で乗り移る方が手っ取り早いんだが、元のハイエルフの能力はエルフにまで落ちるだろうな。

 

『リヴェル様、魔人が街に侵入しました! 叔父上がリムル様に報告に行きましたが、どういたしましょう?』

 

『魔人? ハンゾウ、そいつは仮面を付けているのか?』

 

『いえ、恐らくは獣人だと思います。ピリノに似た姿をしていますから』

 

『じゃーカリオンの配下のフォビオ達だと思う。喧嘩っ早いからリグルドはさがらせといて』

 

 リグルドのHPはまだ減ってないな? スカラにマホカンタをかけときゃ大丈夫だろ。

 

『アイエェェ何をしたんですか!? 獣人の方の腕が折れてしまいましたよ! ああ~これは惨い……。自身の炎の拳が反射して半身が吹き飛びました……リヴェル様でしょ! どうするんですかこれ』

 

『リヴェル様ーーーーーー!! リヴェル様の仕業でしょう! 客人が私を殴って腕が折れてしまいましたよ! おまけに逆上された客人の能力まで反射させて! 何をやっておられるのですかっーーー!!』

 

 フォビオさんの技は火属性なのでマホカンタ判定で魔法と判断されたようだ。

 

 無属性や魔力の塊、リムルのグラトニーなんかは反射できないからな。

 

「……ティア少し夜逃げをしようと思う。二人で竜の都にバカンスにいかない?」

 

「なんでそうなったのさ……姫が戻るまでの間はアタイのご主人様になるんだから問題をおこさないでよね」

 

 俺はリグルドが怪我するから守っただけじゃん!

 

 

 

「だから俺は殴られるリグルドを庇ったの! 俺は悪くないもんね〜!」

 

「それなら防壁結界だけでよろしかったでしょうに……もう少しリムル様が遅ければ危ない所でしたよ」

 

「確かに瀕死に追い込むのはやりすぎだけどな。だが、殺されそうになったお前を守る為にリヴェルはやったんだ、怒るところじゃないぞリグルド? ところでリヴェル、そのダークエルフは誰? なんでお前もダークエルフなの?」

 

「初めまして、リムル王様。本日よりこちらのリヴェル様に仕える事となりました、セレスティア・フォン・クローバーと申します。ティアとお呼びください」

 

 ティアは綺麗なカーテシーをしてリムルに自己紹介し、俺の後ろに下がる。

 

『お前また内緒でエルフを勝手にスカウトして来たのか!? 自分だけドワルゴンで楽しんでるんじゃないだろうな!』

 

『あっ! 思い出した。ティアが死にかけていたときにお前に相談しようとしたけど、留守電だったから報告できなかったんだよ!』

 

 俺が睨むとリムルはシエルさんに状況を確かめて、バツが悪そうにスマンと両手を合わせた。

 

 ティア、リアの経緯とクロエの事を簡単にリムルに説明すると、俺も協力してやるから全力で助けろと言ってくれる。

 

「大体そいつから殴って来たんじゃないか! リグルドはどっちの味方なんだよ!」

 

 短く舌打ちをして椅子にふんずりかえるフォビオを指さして俺は言う。

 

「もちろんリヴェル様です! ですが力を制御して頂かないと困りますぞ」

 

 宰相の立場から穏便にすまそうとして俺を叱るのはわかるけど、魔物同士なら拳で語る方が早いぞ? 脳筋が多くて困るのだと魔王様もおっしゃられていたからな。

 

「フォビオ君だったかな? 君達は何しにここにきたんだ?」

 

「小娘なんぞに答える気はない……おい、リグルドとやら! 俺ともう一度勝負しろ!」

 

「いやいや、フォビオ殿。私では貴方様には敵いません、あの力はこちらのリヴェル様が起こしたものですよ」

 

 ダークエルフの小娘の俺を見て鼻で笑うフォビオ君だが、ティアを見て黙り込む。

 

「貴様! リムル様に向かってなんだその態度は!」

 

「殺していいですよね? リムル様」

 

 シオンとベニマルがリムルを馬鹿にしたフォビオにキレる。

 

「ストップ! シオン、ベニマル落ち着けって。話してくれないと話が進まんぞ?」

 

「カリオン、ミリム、フレイ、クレイマンの四人の魔王が俺達を配下にスカウトする為にやってきてるんだよリムル」

 

「貴様! それを何処で! それよりカリオン様と呼べ殺すぞ!」

 

「やれるもんならやってみなさい、皆殺しですよ?」

 

 茜が赤いオーラで威嚇すると、大量の汗をかいたフォビオがすとんと着席する。

 

 たぶん茜のコレはハイテンション状態だと思う。

 

 この状態だと存在値は俺とリムルに並ぶからな、ただし腹は減るからあとで大量に飯を作らされるだろうな。

 

「こら茜! ティアの事はあとで紹介するから威嚇するんじゃないよ。ティアも対抗して覇気を返すんじゃない!」

 

「ああ……ミリムが言ってた他の魔王三人だな? 順にスカウトに来るって事か」

 

「おい、おい、おい! お前らミリム様を呼び捨てなんて馬鹿でもしないぞ! 勝手に滅びるのは構わんが巻き込むなよ!」

 

 俺は次元門をだして、皿に乗ったはちみつドーナツをテーブルに置く。

 

「遅いぞ父上! 三時はとっくに過ぎてるのだ。まったく、これは貰っておくぞ。なんだ母上とベルはおらんのか? つまらん……」

 

 そういって皿を持って竜の都に帰るミリム。

 

「まあ、こういうことだ。ミリムは身内みたいなもんだから気にするなフォビっち」

 

「グッ、誰がフォビっちだ! 小娘が調子に乗るなよ! ミリム様に取り入ってるだけの分際で!」

 

 俺は仕事中のオベーラ様が飲み物を運んで来たので力を解放して貰う。

 

 部屋の空気が一瞬にして重圧に晒されたあと、スッと神聖な澄んだ巨大なオーラに変わり空間が安定する。

 

「急に何ですか主様……あら? 見ない顔ですね、貴方名前は?」

 

「テ、テ、ティアと申します!? よろしくお願いします」

 

 腰を抜かしてアタフタと自己紹介するティアは涙目だ。

 

「じゃー仕事を教えますので付いて来てください、主様もういいですよね? 止めますよ」

 

「ひゃい……リヴェル覚えておきなさいよ!」

 

 ブリキの人形のようにガチガチになったティアちゃんは、俺を睨みながら去っていく。

 

 顔が青くなったフォビオや獣人達にドヤ顔をする。

 

「取り入ってるのはミリム様だけではないのだガハハ! 他にも沢山いるんだぞ!」

 

「おい馬鹿止めろ! あーごほん。どのみち俺は国を興したばかりだから、誰が来てもお断りをするつもりだ。カリオンさんのメンツも潰さんし、交渉があるなら日を改めてお願いしたい」

 

 リムルは俺の頭をはたいてフォビオにそう告げた。

 

「腹は立つが、あのメイドはカリオン様と並ぶ強さを持っているのは確かだ。だがお前はなんだ! 他人の力ばかり頼りやがって情けない! 獣人とは己の力を示す事こそ存在意義があるのだ。正々堂々一対一で俺と戦えリヴェル! 強者の配下を持ちながらその態度は許せんぞ! 力を俺に示せ」

 

「気持ちは凄~くわかるけどフォビオ君。こいつの戦い方は卑怯すぎて正々堂々の獣人からしたら、今度は決闘を汚したとか喧嘩になりかねんぞ?」

 

「どういうことだ? どんなに卑怯な手でこようが部下が貼る結界内では罠も使えんぞ?」

 

 猿人の仲間を見て答えるフォビオ。

 

「魔物に必要な命の源である魔素を直接奪うことができるんだ。しかも、体に触れずにものすごい速度でだぞ? それに次元門見ただろ? あれは移動するときの大きさだが、小型は場所の特定も要らないし、好きな場所に沢山配置できる。つまり、死角からろくでもない攻撃が色々飛んでくる……これが非常にやっかいでな。こいつをボコボコにするなら遠距離の火力で焼き払う方が良い。近距離は絶対避けろ」

 

「ひでぇ……お前味方に言うセリフじゃないだろ」

 

「大して力を感じないと思ったらスキルがデタラメだったのか……お前武器(えもの)は? 能力なしで武器だけで戦え。お前が負けたら配下を一人貰う。俺が負けたらお前の言う事を何でも聞いてやる」

 

「のった!! 俺は二刀流だ防具はつけていいのか?」

 

 リムルは結果が見えているので、フォビオ君を哀れんだ目で見ている。

 

「防具でも何でも好きに着込めばいい、ガキを切り刻むのも性に合わんからな」

 

 俺はフォビオにモシャスをとなえて豹の獣人になる。

 

「あ~ぁぁん! 旦那様が私を賭けて奪い合いをするなんて……いや~ん」

 

 嬉しそうに身体を抱きよせ、いやんいやんと頬を赤らめてるが……甘いぞ茜!

 

 お前達は配下じゃなく家族だもんね。

 

 俺の配下は華麗な我がゴブリン四天王と実質トレント君(苗木98体)意思疎通が可能な子だけだからな!

 

「ハッ! 俺の種族になったからと手加減はせんぞ! だが女よりはやりやすいぜ」

 

 闘技場を説明したあと、フォビオの部下が中で戦闘を行って結果を報告している。

 

「確かにこれは全力で戦えるが、痛みもないなど訓練になるのか?」

 

「HPのおかげで格上相手の重い一撃も耐えるから、カリオンさんとお前なら修行になるんじゃないか?」

 

 リムルがそう言うと、万全な状態で戦闘継続できる利点もあるのかと考え込むフォビオ。

 

「リムル様、私が先にこいつと戦いたいです!」

 

「だ〜め。お前じゃフォビオに勝てないって」

 

 シオンが「リヴェルなら勝てるって言うんですか!」と怒ってるけどシオンも俺の装備で固めたら勝てるんじゃね?

 

 武器は奇跡の剣にルカナン、氷の刃にヒャダルコを埋め込んでる。

 

 魔法使いだからって剣が持てないわけじゃない、適性がなく攻撃力が半減するだけだ。

 

 職業をはずしてすっぴんになれば装備に制限はない。

 

 覚えた魔法も特技も茜がそのままだったし、俺やベルもそうだと願う……お願いしますよダーマ様。

 

 防具は風のぼうし、カメの甲羅、ゴームの手袋、まどうのズボン、エンジニアブーツだ、奇跡の剣以外は自作なのでステ+がちゃんと付いてる。

 

 防具にも魔術刻印をしたいけど、魔石か何かMPを蓄えるものを付けないと、自分のMPを消費するので武器にしか付けていない。

 

「なんだリヴェル貴様!! その恰好は俺を馬鹿にしているのか!」

 

「魔法使いなんだから仕方ないだろ! 亀の甲羅を馬鹿にすんなよ? トリプルステなんだからな」

 

「あーそのフォビオ君、リヴェルの剣は魔剣に匹敵すると思うけどいいのか? 取り上げとくべきだと思うが……」

 

「リムルは俺の事が嫌いなの!? さっきから俺の能力や攻略法をばらしたりとかひどくない!」

 

 魔剣だと!? と慌てて俺の武器を奪ってながめるフォビオ君。

 

 魔力を流して振ってみるが、MPが無いのでフォビオ君は発動できない。

 

「いや? 魔剣ではなくただの両刃の武器にしか見えんが……質はかなり良いな」

 

「でしょ? ふふふ、魔剣だなんてリムルは大げさなんだから困っちゃうよ〜」

 

 リムルは俺をゴミを見るような目で見て来るが、ビアンカの顔でそれは効くから止めろ。

 

『お前の勝つためなら何でもするところ嫌い……』

 

『なんだよ格ゲーで、永パして泣かせたことをまだ根に持ってんの悟くん?』

 

『泣いたのは小学生のときのドカポンだけだろ! もう許さんぞ星!』

 

「フォビオ! こんな性格の悪い奴ギッタギタの! ボッコボコにして泣かしてしまえ!」

 

 リムルは顔を真っ赤にしてメガホンで俺を罵倒し、フォビオを応援し始めた。

 

 俺はなぜか同情されながらフォビオ君に小声で話し掛けられる。

 

「リムルってここのトップだよな? お前嫌われすぎだろ……獣人国にくるか? その姿なら構わんぞ」

 

「いいけどカカオ手に入れたら世界中からユーラザニア狙われるけど大丈夫?」

 

「まったく理解が追い付かんが、お前は関わったらろくな事にならん奴ということは良く分かった……」

 

 

 

 俺とフォビオは闘技場に登録して戦いは始まる。

 

 闘技場でレベル差がもろに適用されてしまい、何故かリムルやシオンまで能力禁止なのに卑怯だと結果に納得がいかず怒りだす。

 

 闘技場での戦いは、開始の合図と同時に終わってしまったからだ。

 

 初手氷の刃の連撃でヒャダルコを数回放つとフォビオ君は気が付くと闘技場の外だった……悪かったよ、そんなにキレなくてもいいだろフォビっち!

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