二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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69話 眼鏡が本体なの? 

「えーっと、ヨウムさんで良いんですよね?」

 

「あ、ああ悪い。俺はヨウムって言うんだよろしくな。リムルのお嬢にリヴェルさんの所に行けば何とかしてくれると言われて連れてこさせられたんだが……」

 

 俺がエルフの幼女姿なので、暫くフリーズしていたヨウムさんが自己紹介してくれた。

 

 次元門も驚いただろうに、無理やり連れていかれたところで幼女エルフだもんな。

 

 俺がゴブタにフューズさんを迎えに行かせたから歴史が変わったとか?

 

 いやいや、もう修正不可能ぐらい意味不明だから今更だろ……この世界線。

 

「失礼ですが、貴方がリムルさんが言ってたリヴェルさんで合っていますか?」

 

「うん、俺がリヴェルで合ってるよ。そちらは何方ですか?」

 

 ヨウムに付いてきた黒髪の眼鏡くん……確か新八だったか?

 

「こちらのヨウムさんの軍師をやらせていただいています、ロンメルと申します。まずは我々の経緯をお話ししますね」

 

 ロンメルさんって確か無茶な人だっけ? 駄目だ、眼鏡しか印象にない。

 

 眼鏡くんがヨウム君の監視役をやっていたらしいけど、重税で苦しむ人達や貴族に奴隷にされた故郷の知り合いがいたらしく、怒りが爆発しちゃったようだ。

 

 どうも話を聞くと眼鏡くんが、ヨウムを革命軍のリーダーに押し上げた感じだな。

 

「眼鏡くん、革命軍といってもまだ城や砦に攻撃はしていないんだよね?」

 

「め、眼鏡くん……ロンメルです。はい、食糧問題のおかげでそれどころではありませんでしたから……最初は300人で小さい砦を落とし、反乱の狼煙をあげて不満を持った人を集めようと算段していたんですが」

 

「村の人が魔物に襲われているのを助けたり、盗賊が木の鍬で襲い掛かってくるのを説得したり、あれよあれよというまに人が増えちまってな……」

 

 眼鏡に続いてヨウムが言い終わるとお手上げのポーズをとる。

 

「名前で呼んでほしいならせめてターバンを巻いてくれ、眼鏡が強すぎる」

 

「なんでターバンを巻かないと呼んでくれないんですか!」

 

「まあ、それだけ困窮していた領民が多かったという事だろうね。脱走した領民は貴族の所有物、下手にこちらで引き取るわけにもいかないし……どうやって自然に消すかだよな」

 

「ハッ!? おい!!」

 

「落ち着いてくださいヨウムさん、リヴェルさんが言いたいのは不自然じゃない方法で領民を死んだことにするって意味ですから」

 

 流石眼鏡くん、理解が早くて助かるよ。

 

 確か、オークロードを倒した英雄にする計画だったよな? でも領民を消すならオークロードに殺されたことにする方が早いぞ……あとは正当性がな。

 

 オークロード討伐で英雄に祭りあげられ、ディアブロの協力で生まれた新国ファルメナス。

 

 片や革命で革命軍リーダーになり、貴族の圧政から民を解放させた英雄ヨウム。

 

 原作ルートみたいに黒もいないし、俺が全部面倒を見なきゃいかん。

 

 正当性がないからファルムス王族の血筋や一般人も俺も王になれるんじゃね? と暗殺や反乱ルートが待ち構えている状態だ。

 

 死んでも生き返らせたら良いだけだけど、イタチごっこだしヨウムくんの精神が病んじゃう。

 

 もう一つは解放軍ルート。

 

 こっちは貴族の圧政から民を救い出し、ファルムス王を打倒していくシナリオだから民からの支持が受けられる。

 

 あとうちの国の緩衝材兼、弾除けになって非常に助かるんだよね。

 

 先手を打つ為にファルムスとイングラシアに火種をせっせと作っていたんだが丁度いいな。

 

「ヨウムくん、オークロードを倒して英雄をやってみないか?」

 

「はぁ? オークロードはお嬢の仲間が倒したみたいだし、そんなもんに興味はねーよチビ助」

 

「これから成長するんですぅ~チビじゃねーよ鬼太郎!」

 

 鬼太郎って誰だよチビ助! と怒るヨウムに目玉の親父を落としてきたのかと煽る。

 

「二人とも喧嘩はやめてください! 既にオークロードはライヤンさんが倒したと聞きましたが、違うのですかリヴェルさん?」

 

「ライヤン? なにその王宮騎士みたいな名前……ホイミスライムと一緒にいたの?」

 

「ホイミ? いえ、リムルさんが俺達がオークロードを討伐したと言っていましたので……そのメンバーに凄腕の剣士でライヤンという方がいたんですよ」

 

 そういう話は先にしようねリムル! 俺はさっそくとばかりに念話を飛ばす。

 

『野生のライアンが勇者リムルを探してる件について!』

 

『知ってしまったのかリヴェル……っていうか探してるまで言い当てるなよな! ん? いや、そこはゲームと同じだから予想はできたか……はぁ』

 

『で? ホイミンはいたの? 赤い鎧のイケおじ?』

 

『ホイミンはいないけどスライムを使い魔にしてた。鎧は赤じゃないし、トサカの兜も付けてない。色は深緑かな? あと傭兵王みたいな恰好良いイケオジだったぞ! 仙人に進化したみたいで二十代に見える』

 

 送られてきたイメージはトレードマークの髭のボリュームがダウンしているが、ライアンに良く似ていた。

 

「討伐したのは事実だけどライヤンさんは関係ないよ、オークはこちらで用意するから一芝居打ってよヨウムくん」

 

「オークを用意するって、魔物が素直にいう事を聞くわけないだろ」

 

「あー俺達の事をどこまで話してるんだリムルは? まさか俺達が魔物ということも言ってないわけ?」

 

「……はい?」「えっ!?」

 

 まじかよリムル……相談せずになんでも勝手に決める俺への当てつけかよ。

 

《否定。リムルはマスターに丸投げしただけと推測します》

 

『おい、コラ! 何でも勝手に決める俺の当てつけに丸投げすんじゃねーよ!』

 

『煩いな~今、ライアンの武勇伝が面白いとこなんだから後にしてくれ』

 

 切りやがった……おのれ悟、許すまじ。

 

「実際に見る方が早い、ほら外に行くぞ!」

 

 俺は二人を家から外に連れ出して、中央まで連れていく。

 

「人間とも暮らしているし、変な騒動は起こさないでくれよ? ジュラ・テンペスト! 俺達の国へようこそヨウム、眼鏡くん!」

 

「「……」」

 

 街の景観や行き交う魔物や人々の活気に圧倒される二人。

 

「おお、閣下。今日も一杯どうです?」

 

「フューズくん……早く自分のギルドに帰りなさいよ。三日も滞在してるじゃないか」

 

「あいつらを残していくのが心配で……ははは」

 

 次元門で送るのを拒み続けて早三日、温泉と食事を堪能してるフューズ君は一向にブルムンドへ帰ろうとしない。

 

 カバル、ギド、エレンはうちのクエストを楽しそうにこなしているから、真面目に仕事しているんだが?

 

「おい! あんた魔物の国が人間と仲良く暮らしてるとかなにかの冗談だろ!」

 

「誰だお前は? ドワルゴンだって魔物と共存している。おかしな話ではないだろうに」

 

「そりゃそうだけどよ……ここはジュラの森だよな? オークロードは本当に討伐されたのか?」

 

「ん? ああ、閣下とリムル様が討伐されたようだ。安心しろ」

 

 半信半疑だったヨウムはフューズさんの言葉に安堵し、大きく溜息を吐く。

 

「たくっ……お嬢はでたらめだぜ。だがこれで町の人にも安全だと伝えてやれるな」

 

「ドワーフにエルフや人間もいますね。商人がほとんどのようですが……」

 

「あー聖水を買いに来てるんだよ、商人のネットワークは怖いよね……どこで漏れたんだか」

 

 聖水!? 魔物の国で!? と眼鏡君が凄く驚いている。

 

「まてまて! 聖水を作って売ってる魔物って色々おかしいだろ!!」

 

「そう言われても、ファルムスで売ってる聖水は薄めてあるか、偽物ばっかだし……うちは本物だから安心しなよヨウム」

 

「違う!! そうじゃない!! 魔物が聖水を売るなっていってんの!!」

 

「低ランク魔物は死んだら大気のマナに溶けやすいから聖水を使う必要はあまりないけど、俺達は意思ある魔物だろ? 念のために聖水を使うようにしてるんだよ」

 

 名付けが遅れてリグルドみたいに若返らず、年老いた魔物もいたからね……。

 

 頭を押さえて地面に跪きウガーと吠えるヨウムくん。どったの? 頭痛いの?

 

「リヴェルさん、魔物にとっての劇薬を魔物が取り扱っている……そんな非常識な状況に、ヨウムさんは憤っているんですよ」

 

「あー教会に黙って魔物が聖水を販売してるからヨウムくんが怒っているのかと……ただでさえ偽物が横行してるからね」

 

 聖水を取り出し、販売店に置いてある悪魔の腕にかける。

 

 ジタバタと暴れだし、煙をあげて沈黙する悪魔の腕。

 

「ほら? 本物でしょ?」

 

「うわ~~なんですかこれ……悪魔の腕?」

 

「気持ち悪! 何でこんなもん置いてあるんだよ!?」

 

「いや、ヨウムくんみたいに偽物か疑うお客様がいるからね」

 

 だからそっちじゃねーって言ってんだろチビ助! とすぐに怒るヨウムくんはカルシウムが足りないな。

 

「それにほら、うちの聖水って善悪判定ができるから便利だぞ? 他にも効果が色々あるから面白いんだ」

 

 俺は聖水を飲んで少し胸を押さえるが、売り子のヒカルは一気飲みして「大丈夫でしょ?」と胸を張る。

 

 ヒカルの美貌と大きな胸にくぎ付けになった二人は、顔を赤らめて慌てて顔を反らす。

 

「ダメージ受けてんじゃねーか! 大丈夫なのかチビ助!」

 

「うん、ヨウムくんを利用して自国を守ろうとした罰かな? 邪気をやわらげてくれる効果もあって心の健康にもいいと思うよ聖水って」

 

「俺だってお前を利用しにきてるんだ、そこは気にすんな……ていうか! 普通、魔物は内臓が焼けて死ぬんだがっ!?」

 

「聖水のおかげで邪気が消滅している? 魔物が理性的なのも聖水のおかげか?」

 

 眼鏡くんがぶつぶつと考え込んでるけど、うちの魔物は元からリムル効果で温厚なんだよ。

 

 俺は二人にも飲んでみてよと道具から取り出して勧めると、ヨウムくんは何ともないが眼鏡君は胸を押さえて痛み出す。

 

「ははは、私もヨウムさんをリーダーに祭り上げた罪悪感があったからかな? でも確かに思った罪を吐き出せますねこれ……自白剤のような強制力はないですが懺悔にも使えるのかな? 興味深いですね」

 

 聖水を飲み干してスッキリした笑顔の眼鏡くんは、自分も購入しようとするが並んでいる長蛇の列を見てうんざりする。

 

「でしょ? 教会が扱う本物の聖水が欲しいのに偽物ばっかり掴まされて嫌になるわ」

 

「だから魔物が飲んで平気なのがおかしいの! いい加減にしろよ!」

 

 俺の聖水は魔物を殺すんじゃなく、邪悪なものを追い払う別モノとヨウムの認識を変えさせることで落ち着かせる。

 

 商人のおっちゃんの話とほぼ水の聖水成分から冥ちゃんが分析してくれた結果、聖属性の水が溶け込んだものが聖水という事がわかった。

 

 魔物の魔素を分解、消滅させる効果がある神聖魔法と同じだな。

 

『ゲルド、今時間あいてる?』

 

『はっ! すぐにでも向かえます』

 

「今、手の空いてるオーク達とゲルドを呼んでるから少し待ってね」

 

 顎に手を当て考え込んでいたヨウムはハッという顔をして俺に言う。

 

「なんか展開が読めてきたぞ、そのオークが進化していてチビ助んとこの部下になってるんだろ? オークロードもそのゲルドってのが役割を演じていただけで、討伐自体が嘘って事か?」

 

「半分正解で半分間違いだな。オークロードは実際に存在していたぞ? 討伐とは言いたくない……俺達は友を弔ったんだ」

 

 なんかすまんとヨウムが謝るが、気にしないでくれと俺も頭を振る。

 

「お待たせしましたリヴェル様」

 

「ごめんね。ゲルド達にも協力して欲しいことがあってさ」

 

「……帰りたい」

 

「……奇遇ですね、私もです」

 

 ゲルドの風貌と存在感に押されて涙ぐむ二人。

 

「猪人王(オークキング)のゲルドくんだ、仲良くしてやってくれ二人とも」

 

「お、オークキング!? すまん……ゲルドさんかよろしくな! 俺はヨウムだ」

 

「わ、私は眼鏡……じゃないロンメルです」

 

「ああ、よろしくたのむ二人とも」

 

 オークロードが村を襲撃したと装い、領民が全員殺されたように見せかける策をゲルド達に説明する。

 

「なるほど、攻め込むふりをしてカザックめを殺せばいいのですか?」

 

「違うよ!? どんだけアイツの事を根に持ってんの! 攻め込むのはファルムス方面の村だよ、そこでお前が撃退されたふりをするの!」

 

 俺はゲルドにカザック子爵は婆さんに取り押さえられて、現在護送中だと教える。

 

「チッ、命拾いしたなアヤツ。わかりました、見せかけの芝居だけでよろしいのですか?」

 

「命拾いはどうだろ? たぶんサントハイム領で処刑されると思うよゲルド。うん、そうだよ。ヨウムに撃退されて一度森に帰る。これで時間を稼ぎたいんだ」

 

 ヨウムもハクロウにしごかれたいだろうし、討伐軍が向かってきても正規の兵じゃなく領民の寄せ集めならこっちに取り込めるし、兵力を削れるからどっちに転んでもいいからな。

 

 まだ森の中にオークロードが存在してる方が都合がいい。

 

 リムルも俺に丸投げしてきたんだから、多少人間と戦闘しても怒らないでくれよ……とにかく人を殺さなきゃ大丈夫だろ。

 

「村を襲うって被害は大丈夫なんだろうなチビ助?」

 

「避難に従わない場合は? 強制的に避難させるんですかリヴェルさん?」

 

「その村って重税と食糧難に絶望して滅びかけてるから簡単に取り込めると思うよ? ヨウムくんが貴族の支配から民を救うために一芝居を討つことを、真摯に村人達に伝えて協力してくれるように頼んだらいう事を聞くと思う」

 

 食料を持参していき、村人の協力を得て逃げながら他の村へオークロードの襲撃を伝えて帰還させる。

 

 周辺の貴族が偵察しに来るときにその村で色々偽装工作をして、ヨウムくんの私兵だけで村人は守れなかった惨状を作る。

 

「この悲劇を二度と起こさせないために、英雄ヨウムは強くなって再びオークロードを討伐する流れだな」

 

「英雄はやめろチビ助! まずは村人を説得かよ……苦手なんだよな俺そういうの」

 

「ゲルドさん達が村を壊したあとに、私達が魔獣の血をそこら中に巻くんですね?」

 

「うん、俺のスキルに相手の場所がわかるものがあって、貴族の偵察部隊が来たら教えるから戦闘を開始してくれ。ゲルド達は傷を負ったりもしないでいいよ、余裕をみせて強者感を演出した方が恐怖を煽れるから。手加減してヨウムと斬り合った末に「俺を倒したければ強くなれ小僧!」とでも言って軽く吹き飛ばし、悠々と森に帰れば完璧だね」

 

 ゲルドの仲間達が楽しそうだとワイワイと騒ぐ。

 

「調査も終えてないから国が動く段階じゃないし、その伯爵がまともな討伐軍を向かわせるとも思わんからな」

 

「まあそうだろうな、俺達も寄せ集めのごろつき集団だったし」

 

「ですが血だけで誤魔化せるものなんですか?」

 

「オークロードがどんな存在か知ってる奴なら疑問にも思わないし、信憑性が増すんだよ。村人の死体が残らないのも……あ~すまんなお前達、こんな話をして」

 

 俺は背後のオーク達に一言謝る。

 

「いえ、お心遣い感謝しますが気になさらないでください」

 

「それに魔物は人を食らうモノですよリヴェル様? オークなら尚更です」

 

 特に困った顔をしてるオークもおらずに、皆気にしていない様子でホッとする。

 

 ゲルド達と話し合っているヨウムを横目に、台車に食料を出して積んでいく。

 

「おっすまねーなチビ助、何から何まで世話になって……金もそうだがよ、借りはいつか必ず返すぜ!」

 

「出世払いでいいよヨウム……くくく。今後とも支援は続けるから返せると良いね?」

 

「お手柔らかにお願いしますよリヴェルさん……」

 

 苦笑いを浮かべた眼鏡と乾いた笑いを浮かべたヨウムくん。

 

 村人を説得できたら連絡をくれと劣化スライムをヨウムに渡すと、次元門を通って元の場所に帰っていった。

 

 

 

 俺は一先ずリムルにまとまった話をした。

 

『ていう事になったよリムル。あと、お前さぁ~なんでヨウムに女扱いされてるの?』

 

『えっ! そうなの!? あ~ライヤンさんがいたから、下手にスライムの姿になれなかったからかも?』

 

『あーなるほどね。そういやライヤンさんは魔物に対してどう思ってるの? 確かスライムを使い魔にしてるんでしょ?』

 

『武勇伝を聞いてたときも魔物を助けていたから、スライム姿を明かしても大丈夫と思う。それより、リヴェル。他国の問題に首を突っ込んで本当に大丈夫なのか? 巻き込まれた俺が言うのもなんだけど……』

 

 ファルムスはいずれ俺達の国を攻撃する存在と言えれば楽なんだが……。

 

『人間主情主義の国だし、ファルムス王の首をヨウム君に挿げ替えた方が民にとっても幸せでしょ?』

 

『お前は本当にヨウム達が国をひっくり返せると思っているのか? 相手は大国だ、解放軍を助けるためにテンペストの軍は動かせないぞ……』

 

『わかってるってリムル。トルネゴさんの故郷も戦場にしたくないし、なるべく人が死なないように手を打つよ』

 

『ほんとに頼むぞ? ベルを使ってファルムス王を拉致したりするのはやめてくれよ?』

 

『その手があったか!』

 

『やめろ馬鹿リヴェル! 他国の王を簡単に拉致できるなんてバレたら国際的にやばいだろ!』

 

 いや、お前が先に言ったんじゃん。

 

 でも代わりに弟が即位するだけだから意味がないな、う~ん。

 

 やっぱり根本的に国を滅ぼさないと次の王がでてくるだけだな。

 

『冗談だって、ベルを危険な目に合わせる気なんてサラサラねーよ』

 

『もう一人の娘も駄目だからな?』

 

『あの娘はお前がなんとかしてくれ、ヨウムの協力を遊びと勘違いして付いてきそうで怖いんだが……』

 

『そこはほら、こう~上手いこと誤魔化しながら……ハヤテに任せよう』

 

 こいつ、丸投げの癖がついてきてやがる……。

 

 冒険者がいい具合に暇つぶしにはなっているんだが、三人娘には早すぎるんだよな。

 

 カバル達と合同でドワルゴンの討伐依頼を受けさせるか?

 

『丸投げはやめような? そのまま西へ向かって、廃坑でレッドオーブ回収したら帰るんだろリムル?』

 

『ああ、結構レベルも上がったし、早く帰らないとリグルドに怒られるからな』

 

『気をつけて帰れよ』

 

『あいよ、ドワルゴンで面白いお土産買ったから楽しみにしろよ星』

 

 あいつの出張のお土産って毎回地酒なんだが……ネタバレがひどすぎる。

 

 さて、引き受ける村人はいいとして野党や犯罪者をテンペストに入れるわけにもいかん。

 

 ヨウムの解放軍の本拠地は丁度いい場所がある。

 

 火種を作るために買った、イングラシアの国境近くにある屋敷が使えるな。

 

 地下に空間も作ってあるから大人数でも生活できるスペースがある。

 

 村人はそこで生活して解放軍を支えていけばいい、問題は悪事に手を染めた奴らだよな……。

 

 何処かに仕える場所はなかったか?

 

「リヴェル様~叔父上が呼んでいますよ~」

 

 ヒカルに売り子の駄賃代わりのドーナツを渡していると、ハンゾウが手を振って呼びかけてきた。

 

「ん? ソウエイが直接俺を呼ばないのは珍しいな」

 

「醤油ができたみたいで、今手が離せないようです」

 

「なに!? 今行く」

 

 俺はいてもたってもいられずに次元門ですぐに駆け付ける。

 

 醤油小屋に行くとホクソウとソウエイが壺に醤油を移しているところだった。

 

「できたのか! く~これで変な柑橘系が混ざったエルフ醤油を使わないですむぞ! でかしたソウエイ!」

 

「ありがとうございます。やはり実家のようにはいきませんね……苦労しましたよ」

 

「いつのまにきたんですか……リヴェル様」

 

 遠い目をしているソウエイだが、実家の味に近づけたのか誇らしげだ。 

 

「ぜぇ、ぜぇ……次元門を……使うとか……どんだけ醤油が好きなんですかリヴェル様」

 

「ハンゾウ水だ、伝達ご苦労であった」

 

「ありがとうございます、叔父上」

 

 家からソウエイの小屋まで全速力で走ってきたのかハンゾウ。

 

「すまんな、つい嬉しくて」

 

「醤油があれば色々作れるとか言ってましたもんね」

 

「そうだな刺身が……あっ! いい場所あるじゃん」

 

 ソウエイ、ハンゾウ、ホクソウは俺の言葉に首をかしげている。

 

「ホクソウは今、手が空いてるのかな?」

 

「私ですか? 最近は冒険者ギルドのおかげで雑用が減りましたから……大丈夫ですよね? ソウエイ様?」

 

「ああ、問題ない。それより私よりホクソウを?」

 

「いや、ソウエイだと殺して……やりすぎてしまいそうでな」

 

 俺はソウエイにヨウムの事と部下のごろつき集団を更生させる案を話す。

 

「それは面白……私も参加してよろしいですか?」

 

「う~ん。人数が多いから助かるけど壊さないでね?」

 

「フッ、それは相手次第ですよリヴェル様」

 

「カンスケいるんでしょ?」

 

 屋根から飛び降りてきて跪くカンスケ。

 

「こいつはいけねぇ、バレていましたかリヴェル様」

 

「地図機能はズルみたいなもんだからね~聞いてたなら手伝ってよ」

 

「多少手荒になっても構わないんで?」

 

「うちにはドSしかいないのかよ……精神を壊さないなら大丈夫だよ」

 

 ニヤニヤと悪い笑みを浮かべたソウエイとカンスケ。

 

 呆れた顔をするホクソウとハンゾウに小屋の影で「そんな顔もステキ……」と呟くストーカーが一名。

 

 ミリムの領土で建設予定の港もそいつらを使って建設しよう。

 

 俺はログルドに資材を貰うために資材置き場に行き、リグルドに港を建設する事を伝えているとヨウムから説得に成功したと連絡が届いた。

 

「よし、それじゃー領民救出作戦を始めますか!!」

 

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