キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva   作:シロX

15 / 78
第15話 全然悩むところじゃない!

 街での騒ぎを終えて、とある海外近くのベンチで合流したまもるとうた達。

 チョッキリ団を撃退し、キラルンリボンも回収出来た。これ以上無いくらい完全勝利で幕を閉じたのだが、その内容とは裏腹に4人の空気はとても暗かった。

 

 特にうた。

 

「元気無いけど、どうしたのうたちゃん?」

 

 落ち込んでいるそんな彼女に、ななが心配になって声を掛けた。

 

「ちょっと反省」

 

「プリ? 今日も最高のステージもだったプリ」

 

「でも、カイトさんが助けてくれなかったら、まもる君やプリルンがどうなってたか分からない。それに、お店の事だって迷惑掛けてばかりで、『ありがとう』もちゃんと言えてないのに……」

 

 今にも泣きそうになる表情に、まもる達はなんて声を掛ければ良いか躊躇する。下手にフォローしたとしても、それがかえってうたを傷付けかねない。

 

 そうなってしまえば、今以上の沼にハマって立ち上がり難くなる。

 

(こんな時こそ、俺が彼女の事を支えないといけないのに)

 

 友達として、幼馴染として、こんなにも参った姿を見るのは辛い。だからこそ元気の言葉を投げ掛けたいが、見繕った言葉ではどうにも出来ない。

 

 彼女が今、本当に必要とする言葉が出てこない。

 

 そんな時だった。

 

「あ、れ?」

 

 海風に乗って聴こえる誰かの美声。その声を耳にしたうたは、俯いていた顔を上げる。

 

「この声!」

 

 その声を頼りにうたは走り出した。

 

「うたちゃん!」

 

 ななの声も無視して、うたはその声を追い掛けた。プリルンも何も言わず駆け出すうたについて行く。

 

 ななも追い掛けようとしたが、その歩みを止めた。

 

「紫雨君も行こう?」

 

 まもるが動いていない事に気付いたななが呼び掛けた。しかし、まもるは一向に動こうとしない。

 

「どうしたの? いつもの紫雨君らしくないけど」

 

「……俺、2人の側に居て良いのかなって考えてた」

 

「何で急にそんな事言うの?」

 

「だって、下手に前に出てしまったせいで2人の足を引っ張っちゃったし。何より、応援しか出来ない(・・・・・・・・)俺なんか居ても邪魔なだけだから」

 

「そんな事ない!」

 

 荒げた声にまもるは両肩をビクつかせた。ななが、そこまで声を出すとは思わなかったからだ。

 

「紫雨君は足なんか引っ張ってないよ。それに紫雨君は少し思い違いをしてる」

 

「思い、違い?」

 

「『応援しか出来ない』じゃないよ。『応援だって出来る』だよ。皆怖くて逃げている中で、紫雨君だけは必死にわたし達を応援してくれている。それって、とても勇気がいる事なんだよ?」

 

 面と向かってそう言われると、なんだか照れ臭くなる。

 

「それに、紫雨君の声援。わたしは安心するよ。背中を押されているって言うか、力をくれるみたいで」

 

「それなら良いんだけど」

 

「もっと自信を持って! そこ、全然悩むところじゃないよ?」

 

 悩むほどではない。その言葉で少しは楽になった。確かに、無いものねだりしたり、存在の有無に価値観を付けてそれに何の意味がある。

 

「そこまで言われたら俺も頑張るよ。自信持って応援する。2人の友達として。そして、2人の『ファン』としてこれからも背中を支えるよ」

 

「頼りにしてるよ」

 

 背中がむず痒い。

 

 いつの間にか、不思議とまもるの悩みの曇りは晴れていた。

 

 

 ◯

 

 

 2人は話に夢中なっており、うたを追い掛ける事をすっかり忘れていた。その事を思い出して慌てて歌を探しに歩き出した。

 

「うたちゃんだ……ってあの人って」

 

 うたを発見した。しかし、その入れ違いでカイトもその姿を目にした。何故この場に居たのか疑問だが、恐らく先程の歌声はカイトのものだと勝手に納得した。

 

 すれ違うカイトに2人は頭を下げ、その場で呆けているうたの元へ行く。

 

「うたちゃん、カイトさんと何話しての? 顔真っ赤だけど?」

 

「べ、別に!」

 

「プリ?」

 

 うたから目を離してまだ数分程度。どうやら、先程まで抱えていたモヤモヤは晴れているように見えた。そこだけは3人は安心したが、今度はまた違った動揺の仕方をしている。

 

 相変わらず感情の緩急が激しく、掴み難い子だ。

 

「その顔、いつものうたちゃんに戻ってる。何を話していたかまでは聞かないけど良かった」

 

「それはまもる君もでしょう?」

 

「えっ?」

 

「まもる君も、表情が柔らかくなってる。さっきまでムスーってしてて、いつものまもる君らしくなかったから」

 

 自分もあんな状態になっていたのに、よく他の人の顔色まで把握して。よく周りを見ている証拠だ。

 

「気付いてたのか」

 

「そりゃ勿論幼馴染だからね!」

 

 うたには何でもバレている、なんて感心した。

 

 そんな時だった。まもる達の前に1人の男性が現れた。

 

「貴女達──プリキュア、ですよね?」

 

 キッチリとスーツを着こなしている大人の男性。

 思わぬ呼び掛けに、その場に居る一同は困惑の色を隠せずにいた。




ここまでの拝読ありがとうございました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。