キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva   作:シロX

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お気に入り、評価の方ぼちぼち頂いており嬉しい限りです。相変わらず遅い更新ですけど、今後とも宜しくお願いします。


第18話 まもるマジック

 翌日、3人はプリティホリックの前で周囲に気を配りながら陰に潜んでいた。

 街中だが、まだ朝の時間帯。人影が居ない事を十分に確認し終えると、うたとななは顔を見合わせて頷く。

 

「そろそろ時間だよ2人とも。変身して準備してね」

 

「ちゃちゃっと変身して、CM撮影頑張るよ!」

 

「こういう時の変身ってなんか緊張しちゃう」

 

「普段はこんな使い方はしないからね。ささ、雑談は一旦置いといて早く済ませてこはるさんに挨拶しに行こう!」

 

 まもるの合図と共に2人は、アイドルハートブローチをしようして瞬く間にアイドルプリキュアへと変身を遂げる。

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ! 笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

「キミと瞬く、ハートの勇気! お目目パッチン、キュアウインク!」

 

 変身が完了するのと同時に、田中とプリルンが顔を覗かせて3人の様子を見に来ていた。

 気付いたアイドルは胸を張り、自信持って宣言する。

 

「あ、田中さん、今日はわたし達にまっかせて下さい! こう、ドーンっと大船に乗ったつもりで!」

 

「期待していますよ。まもるさんも準備の方が大丈夫ですか?」

 

「大丈夫ですよ。準備って言っても俺は特に何も無いので」

 

「では行きましょうか」

 

「ちょっとだけタイム!」

 

 アイドルの唐突なストップの呼び掛けに全員が首根っこを掴まれた感覚に陥った。

 

「折角だし掛け声しようよ!」

 

「必要ですか?」

 

「はい、必要です!」

 

 田中の表情を見る限り、少々面倒だなという顔色が窺える。アイドルはそんな田中相手にもお構いなく、純粋無垢な瞳で訴えている。

 

「声出すなら早くしないと。もう約束の時間に迫って来ている」

 

 凝ったものじゃなくて良い。シンプルなもので構わない。これをするとしないとでは、テンションの向上、維持がまるっきり違うから。

 

 アイドルは浅い呼吸の後。

 

「初めてのお仕事、キラッキランランな形になるように皆頑張ろう!」

 

 拳を天高く掲げ、気合いの声を高らかに出した。

 

 

 ◯

 

 

 お店に入ってすぐ、こはるが挨拶と共に出迎えてくれた。同時に、現場に居る人達の視線が一気にアイドルとウインクの2人に集まった。

 

「キュアアイドルさん、キュアウインクさん。本日は宜しくお願いします!」

 

 握手を交わして、さあこれからCM撮影っと気持ちが前のめりになっていたこはるの視界に、ぬいぐるみのフリをしているプリルンが映り込んだ。

 

「あの、その子は?」

 

「プリルンはプリルンプリ!」

 

 プリルンが喋る事など想定外。あまりの出来事に事情を知るまもる達一同の空気が凍り付いた。

 事前に耳にタコが出来るくらい再三注意喚起をしていたのにも関わらず、このような結果になってまもるの胃の空きようは更に増すばかり。

 

 生きた心地がしない。

 

「あの、今そのぬいぐるみ喋りました?」

 

「き、気のせいじゃないですかなー?」

 

「ですが、口元が動いているように見えましたけど?」

 

 アイドルが懸命に誤魔化しているが、間近で見ていた分はっきりと目にしている。それを咄嗟の嘘でどうにかなる訳でもない。

 

 しかしまだ真偽を確かめているこはる。無理矢理にでも押し通す他無い。

 ウインクからも助け舟が入る、

 

「し、紫雨君得意の腹話術ですよ! だよね、紫雨君!」

 

「えっ、いくら器用な俺でも流石に腹話術は──」

 

「だ・よ・ね? ねッ‼︎」

 

 身を引いてしまう程の目力に圧倒され、まもるは「うん……」と言いくるめられた。

 

「そうだ、その子も出ちゃいましょう!」

 

「そんな、突発的に決めてもいいものなのかな?」

 

「構わないよ、寧ろそのアイディア採用!」

 

 まもるが現場の動向について心配していると、とある男性が歩み寄って許可の声を出していた。

 誰なのかと3人が困惑していると、察してくれたこはるが自己紹介を買って出てくれた。

 

「こちら、今日のディレクターさんです」

 

「来たばかりで申し訳ないけど、早速撮影をしちゃうよ。準備は大丈夫かな?」

 

「「はい!」」

 

 こうしてアイドルとウインク、初めての撮影が始まるのであった。

 

 

 ◯

 

 

 撮影が始まって早々にまもると田中は、口元が引き攣ってしまう程に見ていられない光景を目の当たりにしていた。

 

 アイドルは台詞の順番間違いにリップを使っての失敗。ウインクもカメラに近付き過ぎて衝突。

 2人共、カメラを前にした途端失敗続きで、負の連鎖が止まらない。

 

「いつもの調子はどうした?」と言いたいところだが、慣れていない事を完璧に、それも経験や練習無しに全部やれの言うのが酷だ。

 

 かと言って「仕方ない」だけで済まされる内容でもない。紹介といえど、これでは先方に申し訳が無い。

 

 周囲の方々は「気にする事ない」と励ましてくれてはいるが、いつまででもそれに甘えて頼っているようではダメだ。

 

 これは立派な「お仕事」なのだから。

 

「あの、まもるさん。どうしましょうか? ここは一旦休憩を挟んで緊張をほぐした方が……」

 

 右往左往して心配の色を隠せずにいる田中の様子を見て、まもるはクスリと笑う。

 

「そんなに心配でしたら声の一つや二つ掛けてみては?」

 

「しかし私には、彼女達にどういった励ましの言葉を言えば良いのかまだ」

 

「言葉なんて選ばなくても、自分の気持ちそのままに伝えれば良いんですよ。その方が素直に受け取りやすい。少し任せても良いですか?」

 

 まもるはそうして、アイドルとウインクの元へ歩いて行った。

 2人に話しかけるなり急に笑い声が田中の耳に入る。まもるは何やら2人と談笑していた。

 

 そして、数分も経たない内にまもるは田中の側へと戻って来た。

 

「お待たせしました。バッチグーですよ」

 

「何を話されていたのです?」

 

「何って言われても、適当に話しただけですけど?」

 

「はい? アドバイスとかそういうのではなく?」

 

「アドバイス? 俺が? 無いですよ」

 

 謙遜しているが、まもると話してからのアイドルとウインクの魅せ方が先程までよりも格段に上がっている。

 たった数分話しただけで、ここまでの立ち上がりには些か疑問符を浮かべる。

 でも本人は、そこまで大した事は言っていないと言っている。

 

 田中は気になってしょうがない。

 

「俺はただのファンですよ。ファンが推しを応援するなんて当たり前じゃないですか。でもただがむしゃらに応援したってダメな時はダメ。そんな時は触れ合えば良いんですよ。ザ・コミュニケーション!」

 

「彼女らの事をよく理解していないと出来ないマジックですね」

 

「タネも仕掛けもない。それに理解も何も俺達友達なんで」

 

 先程からまもるは、田中と話している間も2人から目を離さず、手を振って笑顔を向けている。

 

「強いて言うなら、カメラじゃなくて俺の事を見て楽しい事を思い浮かべながら撮影に挑めば良いと伝えたくらいかな?」

 

「やはり、アドバイスされているではないですか」

 

「それもそっか! まあ、向ける視線は俺じゃなくても、このCMを観てくれるファンの人達に向けてって言えば良かったんだけど。今の2人にまだそこまで求めてないだろうし、先ずは目先の事だけ」

 

 田中と話している間、一旦撮影の方は落ち着いたらしく休憩を挟んでいた。

 アイドルとウインクと目が合うと、2人はサムズアップをして手応えを確かに感じさせていた。

 

「この調子なら、滞りなく撮影は終われそうですね」

 

 2人の緊張はもう何処にもない。後はこのままこなしていくだけ。

 まもるも一安心、胸を撫で下ろしていると外から地響きが聞こえてきた。

 

 異変に気付き、まもると田中は急いでアイドルもウインクを呼んで外へ飛び出した。

 

 外に出て4人が目にした光景は、チョッキリ団のザックリーがマックランダーを喚び出して暴れさせていた。




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