キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva   作:シロX

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第27話 みんなでお泊まり会だよ!

 とあるお昼休みの日。アイドルプリキュアが3人全員揃ったという事もあって、折角だからお昼を皆で食べようとした時にその話題は出された。

 

「アイドルプリキュアのお2人の事、研究させて下さい!」」

 

 突然言い渡されたこころの発言。

 

「アイドルプリキュアの研究って、いつも研究会でやっているような?」

 

「いえ、あれはファンとしての探求。しかし、目の前に研究対象が居る今、直接質問出来ちゃうんです!」

 

 身近に居ればそうなるだろう。

 うたは「なんでも聞いて!」と言った風な雰囲気を醸し出しているが、この場に居る者全員アイドルプリキュアに変身してから日が浅い。

 

「うたちゃん達のプライベートならともかく『アイドルプリキュア』に関する質問は2人にも分かってない気がすると思うけど?」

 

「ちょっとこれを見て下さい」

 

 こころはまもる達にスマホの画面を見せてくれた。そこに映っているのは、キュアキュンキュンの姿だった。

 うたが真剣な眼差しで見ている両隣で、まもるとななは顔を見合わせて首を傾げていた。

 

「キュアキュンキュンはキュンキュンが足りない。アイドルプリキュアとして、まだまだって事です。ですがお2人は違います!」

 

 こころの質問の意図がようやく理解した。アイドルとしての研究がしたいと。そう言っているに違いない。

 

「そういえば、何でキュンキュンの動画が?」

 

「ネットで見つけたんです。誰がアップロードしたんでしょうか?」

 

 こころを覗く全員がプリルンはと目を向けた。瞬間、プリルンの髪がクラッカーのように弾けてモサモサのアフロと化した。

 

「プリッ⁉︎」

 

「ははーん、女王様にバレてるねプリルン」

 

 これはいつも優しいうたでも擁護は出来ず、訝しげな目でプリルンを見た。

 プリルンの変わり果ては姿を初めて目撃するこころは、開いた口が塞がらず。

 

「な、何ですかこれ⁉︎」

 

 うたとななは苦笑いしながら、木陰に移動してアイドルハートブローチを取り出すのだった。

 

 

 ◯

 

 

 プリルンは自分の胸元にあるリボンを外して、うたのアイドルハートブローチにセットした。

 こころは、一体何が始まるのか不思議そうに見ている。その隣では、こころ以上にまもるがソワソワしていた。

 

「紫雨君、落ち着きがないけど?」

 

「いやぁ、女王様の話とかならうたちゃん達の言伝で知ってたけど、実際にこの目で見るのは初めてで。だから少しだけ、ドキドキワクワクしてて」

 

 ななは子供っぽいまもるの様子に、クスリと微笑んだ。

 

「あ、ごめんね。そんなつもりで笑ったつもりないんだよ?」

 

「分かってるよ。でも、蒼風さんを笑わせて結果的にラッキーだと思ってるよ」

 

「どうして?」

 

「えっ? だって蒼風さんが笑ってる姿、俺好きなんだもん」

 

 不意の言葉にななは表情が固まった。その様子の中挟まれていたこころは、何か言いたげな薄目の視線をまもるに送っていた。

 

「何、こころ?」

 

「いえ、なんでもないですので」

 

 3人のやり取りがひと段落ついたタイミングで、アイドルハートブローチから女王・ピカリーネの姿が映し出された。

 

「「おぉ……!」」

 

 アイドルハートブローチの機能、そしてピカリーネの姿を見て初見の2人は感心の言葉を溢す。

 女王というだけあり、その貫禄は通信越しでも十分伝わっている。

 無礼のないよう緊張して生唾を飲み込む2人を映す青い瞳が、揺れ動いた。

 

『貴女が3人目のプリキュア、そしてそんな彼女達を支えているのが貴方ですね?』

 

「し、紫雨こころです!」

 

「紫雨まもるです。ようやくお目に掛かれて光栄な思いです」

 

『そう。なるほど、タナカーンから聞いていた通りの人ですね』

 

 心の奥まで見透かされている様な瞳に、まもるは一瞬表情が強張った。何かマズい事でもやらかしてしまったのだろうかと。

 だが、その気持ちとは裏腹にピカリーネはそれ以上何も口にはしなかった。

 

『プリルン、よく彼女を見つけ出してくれました。ありがとう』

 

 キュアキュンキュンの動画を世に晒してしまった事に咎められるかと、いつの間にか身を隠していたプリルンだったが、ピカリーネ直々に褒められた事でそんな後ろ向きな気持ちは何処へやらで出てきた。

 

「プリ! キラルンリボンも沢山集めたプリ!」

 

「アイドルプリキュアは、このキラルンリボンを沢山集めるんだ!」

 

「キラキランドを元に戻す為に。アイドルプリキュアは、光で闇を照らすって言い伝えがあるんだって」

 

 うたとななが補足説明をしてくれたお陰で、アイドルプリキュアがどんな存在かがすんなりと頭の中に入り込んだ。

 勿論、改めて聞いたまもる、それを口にしたうたとななもその事を再確認する。

 

『キュアアイドル、キュアウインク、キュアキュンキュン。ダークイーネはチョッキリ団という手下を使って世界を真っ暗闇にしようとしています。これからも、3人で力を合わせて頑張って下さい』

 

 3人は気合の入った返事をして、期待に沿えられるよう決心するのだった。

 

『それとプリルン』

 

「プリ?」

 

『次にアップリしたら、モッサモサどころではありませんよ?』

 

 プリルンに忠告をした後、ピカリーネは最後にまもるへ視線を向けて微笑んで連絡を切った。

 最後の意味深な視線に違和感を感じて、まもるは眉を顰める。まるで、何か観察しているかの視線。それが気になって仕方なかったが、今は考える事を後にして片隅にでも置く。

 

「わたし、もっともっと頑張りたいです。なので、研究良いですか? おはようからおやすみまで色んな事を聞きたいです!」

 

「こころ、あんまり2人を困らせちゃダメだよ? 2人にだって用事というものがあってだな──」

 

「それなら皆で、お泊まり会でもしてみる?」

 

「えぇ⁉︎ い、良いんですか⁉︎」

 

 会話を遮られて苦笑いしか出ない。しかし、うたの唐突な提案のお泊まり会にいち早く反応したのがこころ。憧れの対象から、お泊まり会を持ち掛けて来られたのだ。嬉々として反応するのは当然だろう。

 

「この機会だしさ、わたし2人の事もっと知りたいなって」

 

「わたしも良いの?」

 

「決まってんじゃん! 勿論、まもる君も来てくれるよね? ね?」

 

「俺も参加して良いんだ」

 

 そんな訳で、あれよあれよと流れのままに決まった突然のお泊まり会。

 各自、家の人と連絡をして許可を得てから学校が終わり次第今日お泊まり会を開催する事となった。

 

 

 ◯

 

 

 1泊分の荷物を背負い、咲良家に移動をするまもる。その道中で、偶然にもこころと居合わせた。

 お互い、道角から急に出て来た事も相まって目を丸くさせ硬直する。

 

「偶然だね、こころ」

 

「ホントですね」

 

 こころとはここ最近、こうしてかち合う場面に遭遇する確率が高くなっている。ロマンチックに言葉を飾るならこれを"運命"とでも言うのか。

 

 特にお互い何も言う事なく、2人並んで咲良家へと足を運ばせる。

 

「それにしても、1泊分にしては随分とまた大きなバッグだね」

 

 こころの両手には、旅行用のバッグが握られていた。女の子の事は全然理解しているまもるからしたら、それなりの準備物があるのだろうと勝手に解釈する。

 

「友達の家とかでのお泊まりは、今回が初めてなのでいっぱい詰め込んじゃって。逆にまもるお兄ちゃんは軽装ですね」

 

「1泊だからね。変えの服とか歯ブラシとか、そんな程度しか入ってないよ」

 

 こころの頬に汗が滲み出ている。余程重たいのだろうと、まもるは兄として気を利かせる。

 

「そんなに重たいのなら、俺が持つよ」

 

「大丈夫ですよ、わたしが詰め込んだのが原因だから」

 

「いいからいいから」

 

 そう言いながら、まもるはこころの荷物を引ったくるように持った。その時だった、一点のみに集中されたずっしりとくる重量物に負けて、腰を大きく落として驚愕する。

 

「一体何を詰め込んだらこうなるの⁉︎」

 

 よくもまあ、こんなに重たい物をここまで1人で持てたと感心の他ない。男の子のまもるでさえも、油断してたとはいえ地面に落としてしまっている。

 

「だから言ったのに」

 

「こんな重たい物を1人で持たせる訳にはいかないな」

 

「引き摺られても困るからわたしが持つよ」

 

「じゃあこうしよう」

 

 昔から、この様な場面は幾つもある。どちらかが折れて譲らない限り、この均衡とした状況が変動する事はない。なので、無駄な時間を過ごす前にまもるが提案をする。

 

 それはとてもシンプルなもの。

 

「一緒に持とう!」

 

「一緒にですか? まあ、それくらいなら」

 

 よいしょ、と仲良く2人で荷物を持って喫茶グリッターに行くのであった。

 

 

 ◯

 

 

 こんにちは、と挨拶して喫茶グリッターに入る2人。既にななもその場に来ており、うたとプリルンの3人で談笑をしていた。

 

「うたちゃん、蒼風さん、プリルン。さっきぶり」

 

「さっきぶりー!」

 

 ようやく一息ついて、こころの重たい荷物を一度床に置く。その時ふと、ななの手荷物に目が行く。

 こころとはまた違うが、こちらもこれから旅行にでも行くかのようなキャリーバッグを片手に持っていた。

 

「蒼風さんもその大きさなんだ……」

 

「お泊まりって初めてて、何を持ってくれば良いのか分かんなくて」

 

「なな先輩もそうなんですか?」

 

「もしかして、こころちゃんも?」

 

 変な所で気が合うななとこころを、まもるとうたは外から微笑ましくその光景を眺めていた。2人の意外な一面を見れて、なんとも心がほっこりとして和んだ。

 

「あ、なな先輩。私に『ちゃん』は要らないです」

 

「あっ……こころ……ちゃん!」

 

 ちゃん付けに不満を持つ心に対して、ななも精一杯の努力を見せたのだが、見せた程度だった。結局ななが、こころを呼び捨てで呼ぶ事は出来なかった。

 

 丁度そこへ、キッチンの奥から田中の姿が見えた。

 

「貴女がキュアキュンキュンですね?」

 

「何故わたしがキュアキュンキュンと? ハッ⁉︎」

 

 こころは反射的に口を塞いだ。見ず知らずの人に、自分がアイドルプリキュアの1人だとバラしてしまったから。この後どうなってしまうのか、ドキドキハラハラと緊張したがその必要は無い。

 

「そういえばまだ、全員の自己紹介が終わってなかったね。こちらは」

 

「喫茶グリッターのアルバイト兼アイドルプリキュアのマネージャーの田中です」

 

「タナカーンプリ!」

 

 こころは田中から名刺を受け取り「おぉ……!」と謎の感動を受けていた。

 

「それとこれを」

 

 こころに差し出したのは、綺麗にラッピングされた小さな箱。

 こころは興味津々に封を開けると中身は、いつかプリティホリックでうたとななが宣伝していたリップクリームだった。

 

「あれ? 見た事の無い色です」

 

 こころが手にしているリップクリームのカラーリングは紫。アイドルとウインクとは似ても似つかない。どちらかというと、キュンキュンに近い新色だった。

 

「キュアキュンキュンをイメージした色です」

 

「ありがとうございます!」

 

 案の定キュンキュンをイメージした色であっていた。しかしながら、サンプルといえどもう新色が完成している事に驚きを隠せなかった。

 

「じゃ、そろそろ夕ご飯の買い出しに行こうか!」

 

 うたの一声で皆荷物を置いて、お財布を持って買い出しに出向くのだった。




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