キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva   作:シロX

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第30話 いつもとは違う雰囲気

 まもるもその場に集まって、これでようやくアイドルプリキュアの本格的な研究が始まった。

 研究といっても、そこまで固くなる必要もなかった。アイドルとウインクの姿を写真で撮り、衣装の装飾等をじっくりと観察したいとのこと。

「ならキュンキュンも!」とアイドルが誘い、アイドルプリキュア3人での写真を多く撮った。

 

 

 時間はもう遅い。子供は就寝しなきゃいけない。

 

 研究は結果的に、ただの思い出作りとなった。それもそれで良いものだと、まもるは3人を見守る。けれどそんな和気藹々とした雰囲気の中で、プリルンだけは不満そうな表情を見せていた。

 

「プリルン、お揃いじゃないプリ……」

 

「プリルン?」

 

「3人はいっぱいお揃いでも、プリルンとまもるだけお揃いじゃないプリ」

 

 

 ◯

 

 

 明かりを消し、プリルンが寝静まったタイミングでこころは口を開けた。

 

「わたし、プリルンを置いてけぼりにしちゃってました。それに、まもるお兄ちゃんまで……」

 

「寂しくなっちゃったのかな?」

 

「そうだな。皆はアイドルプリキュアなって盛り上がっているけど、そうでないプリルンは蚊帳の外。今の3人を見て、そう思ってしまうのも無理はない」

 

「紫雨君もプリルンと同じ気持ち?」

 

「俺は、そうだな」

 

 プリルンと同じ気持ちかと問われれば同じではある。けれども別に、アイドルプリキュアになりたくて羨ましいなんて感情は湧かない。

 そのチャンスがあったが、自らその道を絶った。何度も心に思っているが、まもるはそういうのは違う。

 

「プリルンの気持ちは理解出来る。でも、俺は皆のファンである事に誇りを持っている。だから別に、お揃いじゃなくて仲間外れだとかなんて微塵も思ってない」

 

「だから気にするな」と、まもるはこころに言う。その言葉のお陰か、少しだけ肩の荷が軽くなった。

 

「あの、まもるお兄ちゃん、うた先輩、なな先輩。少しだけ夜更かししても大丈夫ですか?」

 

 これからまたアイドルプリキュアの研究でもするのだろうか。なんて安易な考えをしていたが、こころが口にしたのは全く違っており、プリルンへの気遣いとなるものだった。

 

「プリルンのアイドルプリキュアの衣装を作りたいんです!」

 

 それに反対を意見する人はおらず、ただ柔らかい表情で頷いた。

 

 

 ◯

 

 

 プリルンに贈る衣装作りに、夜のお泊まり会は延長された。こころが中心になって作業をして、予想していたより早く終わらせた。

 出来栄えに4人は満足気と同時に、眠気が限界に来てあくびをする。

 

「付き合ってくれましてありがとうございます。1人じゃ、朝まで掛かってました」

 

「ううん、気にしないで。そろそろ寝よっか?」

 

「あっ、その前にわたし喉渇いたからお水だけ飲んでくる! 皆は先に寝ててー!」

 

 うたが先を外すのを見送った。しかし、眠気があるせいで右へ左へと体が流れて行ってしまっている。

 危ないと感じたまもるは、2人に断りを入れてうたの側へ向かった。

 

「うたちゃんが心配だから着いていくよ」

 

 残った2人は、またあくびをしながら布団に潜るのだった。

 

 

 うたはコップ一杯の水を一気に飲み干し、後から着いてきたまもるにも水を注いだ。手渡された水を、無言のまま飲み干す。

 

「プリルン、喜んでくれるかなぁー?」

 

 うたは椅子に座り、天井を見上げてプリルンが喜ぶ姿をその瞳に浮かばせながら尋ねる。

 

「喜ぶさ、絶対」

 

 うたがコップを流しへ片付けると、まもるの顔を見てある事を呟く。

 

「まもる君ってさ、いつも他の人ばっかり見てるよね。わたし少し心配だよ」

 

「心配って。俺、もしかして迷惑掛けてた?」

 

「ううん、そうじゃないよ。ただちょっと、まもる君が遠くに感じてるっていうか。なんというか、無理に応援しているっていうか」

 

 口にしている自分でも混乱しているのか。呻き声を出しながら首をグルグルと回している。

 

 苦笑いを浮かべていると、いきなりうたが差し迫って来た。急な事に驚き、一歩二歩と後ろへ下がってしまうも壁に追い詰められてもたつく。そのままうたの両手が壁を突き、まもるの逃げ場さえも絶った。

 

 詰まるところ、壁ドンである。

 

「う、うたちゃん?」

 

 いつもは清々しい顔を浮かべているまもるも、うたとこのような状況下になった事は過去一度も無く、動揺を隠せないでいる。

 

「いつも思うの。まもる君はいつだって側に居てくれるのに、時々手から離れてく感覚があるの。わたしがキュアアイドルに変身したあの日から」

 

 気付かなかった。普段と変わりなく接してくれて、様子を伺っている視線も感じなかった。なのに、自分でも知らない一面を彼女は見ていたのだ。

 

 素直に嬉しかった。密かに想いを寄せていた彼女が、視線を向けていた事に。

 

 でも──。

 

「それは多分、気のせいだよ」

 

 そんな一面は知って欲しくない。見られて欲しくない。せめて、彼女だけには。

 

 余計な心配をして欲しくない。

 

「俺が遠くなったんじゃないよ。皆が前に歩き始めたんだよ。俺はその背中を支えてるから、余計そう感じてるだけ」

 

「そう、なのかな?」

 

「そうだよ。それに、無理に応援はしてないよ。俺が好きで応援してるだけだから」

 

「そーなんだけど……じゃあ、ちょっといいかな?」

 

 うたは、壁に当てていた両手をまもるの背中に回した。そして、顔を胸の中に埋めて思いっきり抱き締めてあげた。

 

「まもる君に、わたしの元気をお裾分け!」

 

「ありがとう」

 

 まもるを抱く両手に更に力が込められる。

 

「ついでにまもる君成分も補充!」

 

「変な成分だな」

 

 夜で、しかも2人っきりだったからだろうか。いつもとは違う会話とその雰囲気。

 珍しい事の起きた深い夜は、もう間も無く世が明ける時間帯に迫って来ている。

 2人は急いで部屋に戻って、健やかに布団を被るのだった。




うたとの絡みを書こうとしたら少々蛇足感になっちゃいました。もう少し内容の構築に励みます!

ここまでの拝読ありがとうございました
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