キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva   作:シロX

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今回の話はちょっとテンポ早くしております


第36話 わたしの夢 みんなの夢

 学校でのとあるお昼休み。青く澄んだ空の下で、温かい日差しが照らし出されながらもまもる、うた、なな、こころの4人とプリルンで共にお弁当を広げていた。

 

 楽しい話題で盛り上がり、お昼を過ごすのがいつもの定番なのだが、今日に限ってはそうもいかなかった。

 その原因を作っているのが、底抜けの明るさを振り撒いているうただった。

 

「はぁ……」

 

 大袈裟にも思える溜め息に、皆はご飯を口に運びながらその様子を見ていた。

 

「わたしの夢って何だろう?」

 

 珍しくも思い悩ますうたは、そう自分に語り掛ける。何故こうなっているのかというと、原因は少し前に校内で流された放送。

 毎週テーマがお題として出され、それについて生徒からのメールを受け取り校内放送として流す。今日はこころがメールを出し、放送で読まれた事でうたも「次回から出す!」と意気込んでいた。

 

 しかしその次回のテーマというものが「貴方の夢」についてなのだ。

 そして現在、自分の夢とはなんだろうと改めてうたは考えている途中。

 

「ねえねえ、ななちゃんは何になるか決めてるの?」

 

「わたし? わたしはピアニストかな?」

 

「こころの夢は何プリ?」

 

「わたしはダンサー、とか?」

 

「蒼風さんもこころも、今夢中になってやっている事を夢にしているね。良いね良いね、すっごくキラッキランランだよ!」

 

 無難と言ってしまったらそれまでだが、特に2人に似合う職種等は思い付かない。それに似合うかどうかだけでは、中々厳しいのもある。

 2人は偶々、同年代よりも頭一つ抜けているのがあるから尚更イメージしやすい。

 

「まもる君はー?」

 

「俺? 俺の夢は、いつまでもうたちゃんを応援出来ればそれで満足だよ!」

 

「それ夢って言うんですか?」

 

 こころから厳しい言葉を投げ掛けられるも、まもるは全く持って気にしない。

 

「取り敢えず、やってみたい事を抜き出して、その中から更に抜粋してみればどうかな? 出来る出来ないは置いといて」

 

「うーん……」

 

 うたは、いつもの歌を口ずさみながら頭の中で考える。しかしながら、歌詞の内容があからさまに悩ましいものと化している。

 まもる達3人は苦笑いを浮かべるばかり。

 

「俺達はまだ中学2年生だし、そんなに深く考えなくても」

 

「そういう訳にもいかないよ? まもるお兄ちゃん達は、来年で高校に進学する為の受験が待ってるんだよ。将来何になるかの最初の準備だから、そんな悠長に構えていたらいざという時困るのは自分です」

 

「ゔーん゙!」

 

 こころのありがたくも、痛い言葉を耳にしたうたは更に呻き声をあげる。悩みの種を増やしてしまった。

 

「あっ、そうですよ。うた先輩には実家のお店があります!」

 

「確かに! そういえばそうだった!」

 

「うん、うたちゃんにピッタリだよ!」

 

 ななも、こころの意見に賛成。実際、家業を継ぐのも一つの夢でもある。

 うた自信もそれに納得はしているみたいだ。でもまもるだけは、それをあまり良い方向には受け取っていない。

 

「悪くはないんだけど、それって本当にうたちゃんの"したいこと"なの?」

 

「うん、したいしたい! お母さんとお父さんとはもりときゅーちゃんの皆で、お店をもっと盛り上げたい!」

 

「うたちゃんが言うなら俺は何も言わないけど……」

 

 一度やる気の火が点いたうたを止める事は中々の至難。一旦本人の意思を尊重させた方が良いだろう。家に帰って、冷静な判断をしてくれるのを願っている。

 

 そんな陽気なまま、今日1日を過ごした。

 

 

 ◯

 

 

 次の日。誰がどう見てもうたの様子はおかしかった。心ここに在らず、魂が抜けた様子のうたは歩いているだけでも不安定。右へ左へとフラフラおぼつかない。

 

 これは芳しくないと判断したまもる、なな、こころはあるプロジェクトを考案した。

 

「という事で、うた先輩の!」

 

「「夢を探そうプロジェクト!」」

 

「ドンドンパフパフー!」

 

 唐突に始まったこの企画。こころからの発案で、まもるとななもそれに賛同して協力したという訳だ。

 自分で見つける事も大切だが、独り悩んでいては本末転倒だ。まもる達が出来るのは、悩める子羊の道標になる事だ。

 

「一つずつ職業上げていくから、何かピンときたものに反応してね」

 

「ピンときたもの?」

 

「心キュンキュン……はわたしか。うた先輩でいうところの、キラッキランランです!」

 

「最初はこれ、パティシエ」

 

 なながスケッチブックに作成した絵をうたに見せながら訊いてみる。そうすると。

 

「キラッキランランー!」

 

 急に立ち上がって叫んだ。ここまで興奮するとは思わなかった為に、意表を突かれて3人は一歩後ろへと下がった。

 しかし、うたの反応を見る限りでは手応えはあった。

 

「も、もう夢が見つかっちゃったの?」

 

「いやー、これはなんというか……」

 

「パティシエになった自分を想像して、キラッキランランになったといいますか。念の為、他にも試してみましょう!」

 

 まもるとこころは妙な違和感を感じ取り、一旦全部の職業を確認してみようと試みる。

 

「続いてはこちら、看護師!」

 

「キラッキランランー!」

 

 まもるは、ななが持つスケッチブックを静かに閉じさせた。

 

「紫雨君、まだ2つ目だけど?」

 

「うたちゃんの性格から考えると、なんだか全部に反応しそうな気がして」

 

「やだなーまもるお兄ちゃん。そんなの偶々ですよ。全部の職業に反応してたらもうお手上げだよ」

 

 先行き不安なまま、開かれたプロジェクトは進んで行った。

 

 

 案の定だが、まもるの予想は的中した。

 

 まもる達が出した職業に対して、全てうたはキラッキランランで反応を示した為か結果は微妙なものとなっていた。

 

「だから言ったのに。2人共、うたちゃんのこと甘く見過ぎだよ」

 

「全部に反応するなんて思わないよ! それならそうと、最初から言ってくれればこんな回りくどい事しなくても済んだのに!」

 

「まあまあ、紫雨君もこころちゃんも落ち着いて」

 

 10以上の数をうたに紹介したが、全てが空回り。残る職業は一つだけとなり、一応最後までやり切るだけやってみる。

 

「一応これが最後だよ。はい、うたちゃん。アイドルなんてどうかな?」

 

 なながスケッチブックのページを捲ると、意外にもこれまでとは違った反応をうたは示した。

 

「アイドル……」

 

「良い感じみたいだ!」

 

「ですね!」

 

「うたちゃん、どうかな?」

 

 3人の期待の眼差しに、うたはゆっくりと答える。

 

「アイドルは、キュアアイドルは夢……ううん、アイドルは夢じゃないよ。だってわたし、もう"キュアアイドル"だもん。夢って未来の事でしょう?」

 

「言われてみれば、夢はこれから叶えるものですよね?」

 

「確かに」

 

「ちょっと盲点だったね。まさか、うたちゃんからそんな返しが来るなんて予想外だったよ」

 

 アイドルは夢じゃないときっぱり言われたが、その返しに3人は納得した。

 既に叶えられているものに夢を抱くなんて、おかしな話だ。

 

「3人共ありがとう。わたし、1人で考えてみるよ」

 

 こうしてうたは、一度自分一人で夢について向き合う事にした。

 

 

 ◯

 

 

 帰り道にてまもる、なな、こころの3人で川を見つめながらうたについて考えていた。

 

「うたちゃん、あまり思い詰めないでいると良いんだけど……」

 

「大丈夫だよ紫雨君。うたちゃんならきっと、自分自身の夢が見つかるよ。わたしはそう信じてる」

 

「はい! なんせうた先輩はうた先輩だから!」

 

 根拠と呼べる材料は無いけど、そこには確かな信頼がある。相手を信じる気持ちはそれだけで十分過ぎる。

 

 まもるは笑みを溢した。

 

「うたちゃんの夢、見つかると良いね」

 

「わたし達もうたちゃんの為にもっと頑張らなくちゃ!」

 

「夢探しプロジェクト第2弾ですね。任せて下さい!」

 

 明日も、その明日もまたうたちゃんの為に頑張ろうと意気込む3人だった。




ここまでの拝読ありがとうございました
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