キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva   作:シロX

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第38話 連休明け

 薄暗く、アンニュイな雰囲気が織りなすとあるバー。此処はチョッキリ団のアジト。

 カウンター席にひっそりと腰を掛ける女性の姿があった。グラスに注がれている洋酒を口にする。柔らかい唇に、口内に流れて喉が動く。その絵面だけて妖艶な大人の女性。

 見た目年齢だけなら恐らく20代前半なのだが、衣服はカーディガンを羽織っており、その下は学校の制服と似たようなものを着用している。

 

 薄緑の長いポニーテールを揺らしながら、青い瞳はグラスの中を見つめる。

 

「ったく、なんなんだよアイツら。またパワーアップしやがって、ザックリ言ってやってられっか!」

 

「自分としては良いものを見れて良かったですぞ」

 

「あ゙? なんだって?」

 

 黄昏ていると、扉からカッティーとザックリーが愚痴をこぼしながら現れた。

 

「よっ!」

 

「「あっ」」

 

 女性が声を掛けると、2人して目を合わせて素っ頓狂な声を出して反応した。

 

「お前、どんだけ休んでたんだよ! お陰でこっちはボスに駆り出されてクタクタだってのによぉ!」

 

「うっさいわね。ちゃんと有給申請した上で休んでんのよ。あーやだやだ、女々しい男だこと」

 

「んだとぉ⁉︎」

 

「──その辺にしな」

 

 ザックリーが拳を振り上げた時、不意に現れたチョッキリーヌに腕を掴まれて静止させられた。

 突然に現れた事に、3人は肩をビクつかせて固まった。

 

「バッサリーネ、戻ってたのね」

 

 女性──バッサリーネは口角を上げて大きく背を伸ばす。

 

「まあね。にしても有給も連チャンで取るのも問題よね。暇過ぎて死にそうだったわ。にひひっ!」

 

 全く休みが取れない事への嫌味とも取れるその言動に、ザックリーは腹を立てて更に怒りが込み上がる。が、上司が居る手前、拳を振る事は出来ず、行き場の無い怒りはバーのカウンターに蹴りを入れる事で発散した。

 

「にしても、全然あの世界真っ暗闇に出来てないけど何手こずってんの?」

 

「ザックリ言って、アイドルプリキュアが邪魔してんだよ。お前は呑気に休んでたから知らないだろうけどな!」

 

「アイドルプリキュア、ね……面白そうじゃん!」

 

 カウンターで指をトントンとして考えてた様子の中で、新しい玩具を見つけたような反応を示すバッサリーネ。

 それを見たザックリーは、何か含みのある笑みを浮かべた。

 

「なら、今度はお前が行ってみたらどうなんだ? 休みを堪能したその分、ちゃんと働いてもらわないとな。ですよね、ボス⁉︎」

 

「行けるかい、バッサリーネ?」

 

「上司には逆らえないもんねー。ザックリーにあれこれ言われるのは癪だけど、実際そうだしね。あと、暇だし」

 

「そのままやらてこーい!」

 

 流石に鬱陶しいので、バッサリーネは笑顔で、それも無言でザックリーの左頬に渾身の右ストレート。

 チョッキリーヌは呆れており、カッティーは見て見ぬ振り。

 

「邪魔って言うなら片付けるけど、別にアタシがやっても良いんだよね?」

 

「そうしてくれた方が助かる」

 

 殴られた頬を摩りながら、ザックリーは拗ねた様子で背を見せる。カッティーは何か物言いたそうな様子。

 

「アイドルプリキュアって、アイドルと言うくらいだし歌って、踊ったりするんだよね?」

 

「そうですぞ! 特に自分、キュアアイドルに注目してるですぞ!」

 

 言い切った後、チョッキリーヌとザックリーの冷ややかな視線がカッティーの背中を刺す。バッサリーネは微笑ましく見守っており、一応助け舟は出す事にした。

 

「注目する事は良いんじゃない? それだけ敵の事をよく見ている証拠」

 

 バッサリーネはグラスに残っている洋酒を一気に飲み干し、カッティーの肩に手を掛ける。

 

「だけど、アタシも()()()()()()()()()()()()()()()()、もう少しアイドルプリキュアについて知る必要があるわ」

 

 バッサリーネは、カッティーに視線を送る。それだけで彼も彼女が何が言いたいのか理解した。

 カッティー自身も、そこに不平不満等の感情は無く、キュアアイドルについて語れるなら逆に良しとした。

 

「出る前に、カッティーとアイドルプリキュアの鑑賞会と洒落込むねー!」

 

「おい、そんなのボスが許す訳──」

 

「出るっていうなら許可してやろう。但し、今日中だ。分かったな?」

 

「はいはい。上司のチョッキリーヌ様には逆らいませんって」

 

 不問とした。まさかの事で、ザックリーは開いた口が塞がらなかった。

 バッサリーネは舌を出して、ザックリーを馬鹿にした後カッティーと別の部屋へと移動したのだった。

 

 出て行ったのを確認して、ザックリーは唇を尖らせてあからさまな不機嫌となった。

 

「毎回毎回、なんでアイツにはあんなに甘いんですか?」

 

「それは私達が一番理解してるだろう? あの日、キラキランドを襲撃した際、力の強いアイツがダークイーネ様と最前線。しかも、全体の7割の仕事はバッサリーネ1人でやったんだよ?」

 

 強いからこそ、有能だからバッサリーネの言動行動に目を瞑っているし、ある程度の自由度が与えられている。ザックリーもそこは頭で理解はしているが、同期でこの扱いの差には些か納得がいっていない。

 

「ま、アイツが帰って来たお陰でこっちの負担が軽くなったから良いけどよ……」

 

「何言ってんだい? アンタも働くんだよ」

 

「マジすか……」

 

 バッサリーネが帰って来ても、その理不尽は以前変わらず。ザックリーのストレスだけが増えていくだけであった。




本格的に物語を動かすにあたって、オリキャラ投入しました。
次回からは主人公側へと戻ります。それにしても、チョッキリーヌ様の口調ってこんな感じやっけ?(不安)

ここまでの拝読ありがとうございました!
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