キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva   作:シロX

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オリキャラの名前、どうやらドリステ限定で登場するキャラとほぼ被っている事に気付きました。代わりの名前で修正しようとしたのですが、思い付かないのでそのまま通す事を選びました。
過去にも被った事もありましたし、後出しで公式と被るのはもうしゃーなしです。
まあ、最後の1文字違いで済んでいるけど…

では本編をどうぞ


第39話 襲来!

 なんだろうか。とても良い匂いがする。それに温かい。太陽の光に包まれている感じだ。気持ちは穏やかで、いつまででもこうしていたいと思ってしまう。

 

 誰かの声がした。優しさに溢れた、母性のある声とも言える囁き。

 時折り、心配するような声を掛けてくれたり、話し掛けてくれたりもしてくれる。

 

 きっと、心優しい人なんだと。

 

 でも、そろそろ目覚めなきゃいかない。

 

 この名残惜しいひとときを手放してでも、目覚めなきゃいけない。

 

 嗚呼、本当に名残惜しい。

 

 願わくば、目が覚めてもこの声がずっと隣で聞けたらなと。

 

 

 ◯

 

 

 目が覚めると、見覚えのある天井が最初に目に入った。

 窓から差し込む太陽の光が、丁度ベッドの上で横になっているまもるを包み込んでいた。

 ふと、首を横にしてベッドの片隅に置かれている目覚まし時計に目を向ける。

 

 時刻は午前10時を回っていた。

 

「10時か……えっ、10時⁉︎」

 

「うわっ⁉︎」

 

 ベッドから上体を飛び起き上らせたら、その側でとても聞き慣れた女の子の声がした。

 女の子──うたは、目が覚めたまもるに涙、鼻水を垂らしながら両肩を掴んで思いっきり揺さぶって心配の声を掛けた。

 

「も゙ー! 心配したよー!」

 

「うたちゃん待って、待ってイマイチこの場の状況を呑み込めてない!」

 

 うたを引き剥がして、一体自分の身に何が起きたのかの説明を求める。

 まもるが覚えているのは、マックランダー3体と対峙するアイドルプリキュア。チョッキリーヌの策略によって分断され危機に瀕したが、合流する手立てがありアイドルを見送ったまでは記憶はある。

 

 しかしそこから先は、急な身体の痛みによって記憶が朧げ。

 

「あれから3人で力を合わせて、チョッキリ団を追い返したんだけど、そこでまもる君が急に倒れちゃったから。ホント、昨日はビックリしたよー」

 

「それはごめんね。そしてありがとう……えっ、昨日?」

 

 会話の中でとても違和感を感じて、思わずそこだけ抜き取って聞き返した。

 てっきり時間的に見て、朝の登校中にチョッキリ団と遭遇。うたの話でその後倒れたらしく、てっきりそのままかと思っていた。

 なのだが、どうやら1日中寝込んでいたみたいだ。

 

 それはうたも心配する訳だ。

 

「だから、暫くはわたしが面倒見てあげるね!」

 

「なにもそこまでしなくていいよ。うたちゃんには、うたちゃんの時間があるんだから。こんな俺の為に時間なわて割いちゃ勿体無いよ」

 

「『俺の為』なんて言わないで。わたしがやりたくてやっているのに、そんな事言われたら流石のわたしも怒るよ?」

 

「ごめんなさい……」

 

「それに、いつもまもる君に助けてもらっているからこれくらいお安いご用だよ!」

 

 まもるは苦笑いを浮かべた。

 

「そんなに俺、うたちゃんの助けになってたかな?」

 

「なってるよ。わたしだけじゃない。ななちゃんやこころも気持ちは同じだよ」

 

「そうかな……そうだと良いな」

 

 少しだけ俯いていた気持ち、そこから表情にも感情が出てきた。お世辞でもそう言われて、まもるは少しだけ心が軽くなった。

 

「まもるくんも目を覚ました事だし、ご飯作るね!」

 

「そこまでしなくても、気持ちだけで十分だよ」

 

「あー、またそう言う! さっきも言ったけど、わたしがやりたくてやってるんだから! 全くまもる君はいっつもそうだよ。他の人事気にし過ぎて、全然自分の事見えてないんだから」

 

 昔からの幼馴染の言葉故に、ずっと近くで見られているから事実で何も言い返せない。

 黙りして納得してくれたのを見たうたは、満面の笑みを浮かべた。

 

「お粥さん作ってくるね!」

 

「お粥さんって、それ熱がある時じゃない?」

 

「あ、そっか! じゃあ、お熱測るねー」

 

 まもるの前髪をたくし上げ、うたが急接近。おでこをくっ付けては熱を測っている。

 まもるは目を見開いて驚き、少しだけ上体が下がった。

 

「熱は無いみたい。良かった」

 

「あの、うたちゃん?」

 

「熱は無くてもお粥さんは作るよ。結局、1日何も口にしてないから」

 

 測り終えたうたは離れて、いつの間にか手に持っていたエプロンを可憐に身に付ける。

 ふわりと靡く彼女の髪にエプロン姿。そんな姿を見ていると、鼓動が早く脈打つ。

 

「待っててね、まもる君!」

 

「た、楽しみにしてる」

 

 うたが部屋の扉に手を掛けた時、窓から何か衝突した音が鳴った。2人は慌てて振り返ると、プリルンが思いっきり窓ガラスと正面衝突していた。

 

「「プリルン⁉︎」」

 

 うたは窓ガラスを開けてプリルンを部屋に入れ込んだ。強く打ち付けた箇所を優しく撫でながら、突然の訪問について問い掛けた。

 

「プリルン急にどうしたの?」

 

「ブルっときたプリ! うたにも伝えてようと思った急いで来たプリ!」

 

「『も』って事はななちゃんやこころも知ってるの?」

 

 プリルンは強く頷いた。

 

 うたはエプロンを脱ぎ、アイドルハートブローチを手にして部屋から出ようとする。そんな時、まもるは彼女を引き止めた。

 

「待ってうたちゃん。俺も行くから」

 

「でも、まもる君は起きたばかりで体調が……」

 

「見てよこの力こぶ。元気戻ってるでしょう?」

 

「全然無いプリ」

 

 そこまで鍛え上げられていない力こぶ。プリルンの感想は至極真っ当なもの。それに、力こぶと健康がどう結びつくのか意味不明である。

 

「任せんしゃい!」

 

 珍しく冗談めいた言い草に、うたは元気になっていると納得した。

 

「うた、早く行くプリ!」

 

「……行こうまもる君、プリルン」

 

 なあなあになってしまったが、うたはまもるも連れてチョッキリ団が現れたと思われる場所へ急行するのだった。

 

 

 ◯

 

 

 街のど真ん中に現れたマックランダー。蓄音機を模したマックランダーが、たった独りで暴れている。周りを見渡しても、上空に視線を向けても喚び出したチョッキリ団の姿が確認出来ない。

 

「これは一体どういう事だ?」

 

「チョッキリ団が見当たらないプリ!」

 

 いつもとは違う場の雰囲気に、まもるとプリルンは違和感を覚える。

 何か今回は嫌な予感がすると感じ、眉間に皺を寄せる。

 

「うた先輩、まもるお兄ちゃん、プリルン!」

 

 遅れてなな、こころが合流した。

 

「うたちゃん来てくれたんだ! それに紫雨君……」

 

 ななとこころも、まもるの体調の不安定さを知っている。だから、この場に居る事自体に不安を感じる。また、あの時みたいに急に倒れるのではないかと。

 

 2人の表情を見ただけで、まもるもそれを察した。これ以上皆に心配掛けさせたくない。まもるは表情を柔らかくして、なんとかその場を収めようとする。

 

「大丈夫、俺はもう元気になったから!」

 

「でも──」

 

「それよりも今は早く変身しないと。マックランダーは待ってくれない」

 

 まだ食い下がるななだが、マックランダーを引き合いに出されては口を閉じるしかなかった。

 

「いくよっ!」

 

 うたの合図で、アイドルハートブローチにプリキュアリボンをセットする。

 

「キミと歌う、ハートのキラキラ! 笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」

 

「キミと瞬く、ハートの勇気! お目目パッチン、キュアウインク!」

 

「キミと踊る、ハートのリズム! 心キュンキュン、キュアキュンキュン!」

 

 即座に変身を終えた3人。決めポーズと共に一斉に駆け出した。

 先手必勝。最初の攻撃はアイドルからだ。

 

「暴れちゃダメ!」

 

 強烈な拳がマックランダーに炸裂。その威力にマックランダーは後退させられる。不意を突かれた攻撃に、動きも僅かに硬直した。

 そこに追撃を仕掛けるウインクとキュンキュン。2人が足を払い、体勢を崩させて更に動きを鈍らせる。

 

「今がチャンスだよ!」

 

「はい! キュンキュンレーザー!」

 

 四つん這いになって倒れたマックランダーに、キュンキュンが追い討ちを掛けた。

 至近距離で放たれたキュンキュンレーザーによって、大きく吹っ飛んだマックランダーは成す術なく地面に伏した。

 

「今日の皆、凄く良いよ!」

 

「頑張れプリー!」

 

 昨日の一件から、3人の絆は更に強く、固く結ばれている。それがパフォーマンスに良い影響を与えている。

 この調子なら、いつもよりも早く、そして楽にマックランダーを浄化出来る。

 

「アイドルー! ウインクー! キュンキュンー!」

 

 まもるの声援によって、3人のパフォーマンスにキレが増す。怒涛の攻めで、マックランダーは手も足も出せずに一方的に殴られては蹴られての劣勢。

 ここから覆す技量は無い。

 

「3人の歌また聴きたいプリー!」

 

「3人の歌って?」

 

「3人のステージプリ! あれを観たら、まもるももっとキラキラになるプリ!」

 

 プリルンの言葉に、まもるは胸に期待を抱かせた。倒れ込んだまもるはまだどんなものか知らない。未知のステージがある事に、その期待度は計り知れない。

 

「俺も観てみたい! 聴いてみたい! 3人のステージを、歌を!」

 

 まもるの中にあるキラキラが更に増幅する。もはや今のまもるのキラキラは、明らかにアイドルプリキュアよりも遥かに凌ぐ光量を放っている。

 

 そして、3人が横並びになった。

 

「「「ウー、レッツゴー!」」」

 

 ステージの展開、3色のスポットライトの光が周囲を包み込む。そのステージの中心には、アイドルハートインカムを装着したアイドル、ウインク、キュンキュンの姿。

 

「「「ハートを上げてくよ」」」

 

 イントロから始まり、曲調と共に3人のボルテージも段々と上がる。

 

 そして、口を開けようとしたその瞬間──ステージが真っ二つに切り裂かれた。

 

「「「えっ……?」」」

 

 敢えなく3人のステージが中止となり、鳴り響いていた音楽も強制的にストップされる。

 

「何だ?」

 

 突然の事でまもるは困惑しているが、それ以上に当の3人の方が愕然としている。

 

 当然、ライブステージを妨害された事でマックランダーも観客席から飛び出して自由の身と化している。

 

 何が何だか分からない状況下で、コツコツと足音を立てて、アイドルプリキュアとマックランダーの両者の間を優雅に歩く1人の女性が現れた。

 

「あのまま観てても良かったけど、本来の目的を忘れちゃ元も子もないからね。邪魔させてもらったよ」

 

 学生服に背中にハサミが描かれているカーディガンを羽織り、ポニーテールの髪型をした綺麗な薄緑色の髪色をした女性が薄笑いを浮かべなら、そう口にした。

 

 全てを見通しているかのような青い瞳が、アイドルプリキュアの3人を映す。

 

「貴女は誰なの?」

 

 アイドルがそう尋ねると、女性は蔑んだ目でアイドルを見た。

 

「この程度の歌と踊りでアイドルを語るなんて、笑っちゃうわ」

 

 髪を掻き上げる仕草をするのと同時に女性の姿が消え、瞬きする間もなくアイドルの目の前まで接近していた。

 顎を上げて反応を示すも防御するまでには至らない。肺にあたる部分に掌打を繰り出され、体内にある空気を全て吐き出された。

 

 その場で、前のめりに崩れ落ちるアイドル。その頭に足を掛けて踏み潰す。

 

「アタシはチョッキリ団のバッサリーネ」

 

「ちょ、チョッキリ団……!」

 

 吐き出した空気を必死に肺の中にかき集め、アイドルはオウム返しでその名を口にした。

 

「どうも初めまして、世界をクラクラの真っ暗闇にします」

 

「「アイドルから離れて!」」

 

 ウインクとキュンキュンが、アイドルを助けるべく飛び出した。

 それに合わせ、バッサリーネはアイドルを蹴り飛ばし、向かって来た2人にぶつけさせてまとめて転倒させた。

 

「魅せてあげるわ。世界に君臨する歌姫の姿を!」

 

 バッサリーネの胸から膨大な闇のエネルギーが溢れ出して、渦を巻く。

 膨大なエネルギーはバッサリーネの衣服を別のものへと変化させた。

 

 地面にも届きそうな程に髪が伸び、頭部にティアラが乗せられる。アイドルプリキュア同様に、衣服も緑を基調として黒色が含まれたアイドル仕様の衣装に身を包ませる。

 

 その姿は、歌姫と呼ぶに相応しい。

 

 バッサリーネの姿に一同は生唾を呑んだ。

 

「その姿、まさかアイドルプリキュアか⁉︎」

 

「この姿になったのはいつ以来か……そうだ、折角だからアナタ達のステージ(次元)に合わせてこう名乗ろうかしら?」

 

 バッサリーネは顎に手を当てて何か考え事をしていた。

 

「──歌姫(ディーヴァ)

 

 両手を大きく広げて彼女は堂々と名乗りを上げる。

 

「そう『キュアディーヴァ』なんてどうかしら?」

 

「キュア、ディーヴァ……」

 

「さあ、ライブスタートよ!」

 

 煌々とした笑みを浮かべるディーヴァを前に、アイドルプリキュアは拳を握るのだった。




ここまでの拝読ありがとうございました!
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