キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva   作:シロX

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第43話 ねえたま探して東奔西走!

 まもるは浮き足立ちながら、喫茶グリッターに足を運ばせていた。

 先日の件から、まもるはうたの役に立てた。それも大活躍をして。うたの事を背中で支え、特等席とも言える場所でそのステージが観れる。

 これ程嬉しい事はない。

 

 まもるは一度足を止めて、ポケットからプリキュアリボンを取り出して眺める。

 

 あの時、力が覚醒した時に生まれたまもるだけのプリキュアリボン。ピンク、青、紫、白、黒とカラフルな色が施されている不思議なリボン。これが一体なんなのかは本人でさえも分からない。

 ただ一つ言える事は、この力で皆の力になれるという事だ。

 

「っと、こうしちゃいられない。早くお店の方に行かなきゃ」

 

 プリキュアリボンをポケットの中に戻して、まもるは歩き出した。その時だった。

 目線の高さ辺りから、何かが横切って行くのを見た。単なるものなら気にはしないのだが、それはどうにも見過ごせなかった。

 

「今のって確か……プリルン?」

 

 かなり特徴的な大きさ。ぬいぐるみくらいの大きさで、ふわふわと宙に浮かんでいた。でも少しだけ、首を傾げてしまう部分も見受けられた。

 

 先ず第一に、体の色がピンク色だった。髪型もツインテールとなっており、いつも目にしているプリルンのシルエットではなかった。イメージチェンジならそれで別段気に留める事もないが。

 

「ま、いっか!」

 

 仮にプリルンではないにしても、それはあり得ないこと。先ず前提として、ダークイーネによってキラキランドは壊滅。今に至るまでプリルンや田中以外のキラキランド出身の妖精は、見た事も聞いた事もない。

 

「きっと気のせいだろう」

 

 そう心の中で納得していた。後ろからの騒ぎを耳にするまでは。

 

「何だあれ? ぬいぐるみが飛んでるぞ⁉︎」

 

「ママァー、ピンクの兎さんがいるよー!」

 

 バッ、と振り返るまもる。皆が指さす場所には、確かにぬいぐるみサイズのピンク色をした生き物が浮かんでいた。

 

(プリルン……じゃないよね? あの子誰?)

 

 目視の確認で断定は出来ないが、どこからどう見てもキラキランド出身の妖精に間違いない。しかし、プリルンではない。

 いくらプリルンでも、ここ最近は上手く身を隠して姿を見られないようにしている。

 

 最初の疑問に戻る。あの子は誰だ、と。

 

「ねえたまー、何処に居るメロー?」

 

 唖然としている場合ではない。あんな物珍しい生き物が浮かんで動いて、更には喋っているとなると余計に騒ぎが大きくなる。

 これ以上は、後々処理し切れなくなる。

 

「ねえたまー? ねえたまー?」

 

「ちょっと良いですかー⁉︎」

 

 猛ダッシュで妖精を抱き抱え、そのまま走り去って行く。妖精が何か口にしているが、この際どうだっていい。

 

 

 ◯

 

 

 人目の付かない場所に移動したものの、保護した妖精の扱いに困り果てていた。

 

「さて、どうしたものか」

 

「離すメロー!」

 

「ごめんごめん!」

 

 脇の中で暴れる妖精を解放させると、物凄い形相でまもるを睨め付けてきた。怒るのも無理もない。知らない人に、それに勝手に連れ出したのだ。怒らない人はいない。

 

「えっと、君はキラキランドから来たって事で良いんだよね?」

 

「メロ⁉︎ 知ってるメロ?」

 

 形相の表情から一変して、今度は驚きのものへとなった。コロコロと変わる妖精を前に、まもるは蕩けた表情を浮かべている。

 

「か──」

 

「か?」

 

「可愛いー‼︎」

 

「メロォォー⁉︎」

 

 普段、まもるがこの様な姿を見せる事は滅多に無い。頬擦りまでする始末。距離感の近いうたやこころにも、ここまでする事はない。

 

「俺は紫雨まもる。君の名前は?」

 

「メロロンは『メロロン』メロ……暑苦しいメロ!」

 

 いつまででも、しつこく頬擦りするまもるを無理矢理引き剥がした。もう既にメロロンは満身創痍で、息が上がっている。これなら、まだ人混みの中に居た方がマシだ。

 

「ごめんよ。あまりにも可愛いくてつい」

 

「『つい』の匙加減じゃないメロ。だけど、言われて嫌でもないメロ」

 

「それは良かった」

 

 うた達とはまた違った女の子。それがとても新鮮で、たまらなく愛おしく思える。だからまもるも、ついつい口に出してしまう。

 

 そんな彼に、メロロンは呆れて溜め息を吐いているが。

 

「で、話を戻すんだけど。キラキランドから来たって事は、プリルンや田中さんとは知り合いなのかな?」

 

 プリルンの名を出した途端、メロロンの目の色が変わった。今度はメロロンがまもるに食い付いてきた。

 

「ねえたまは何処に居るメロ⁉︎」

 

「なるほど、君の言うねえたまってプリルンの事だった」

 

 それなら話が早い。プリルンは基本、咲良家でお世話になっている。歩き回って探す必要性もない。

 

「丁度良かった。俺、これからプリルンが居る場所に向かう途中だったんだ。一緒に来るかい?」

 

「勿論行くメロ! ねえたまが居る所にメロロン有りメロ!」

 

「そうと決まれば早速行こうか」

 

 そのタイミングでだった。まもるの携帯から着信が入った。誰なのかと画面を見れば、噂をすれば影がさす。うたから電話だった。

 

『まもる君聞いて聞いてー!』

 

「もしもしうたちゃん、落ち着いてね。俺も聞きたい事あるんだけど」

 

『あーごめんね。でも、先にわたしからで良いかな? 大事な話があるんだけど』

 

 大事な話とは何だろうか。一度うたから先に話を聞く事にした。

 

『あのね、メロ──』

 

 プツン、と突然通話が切れた。何事かと画面を見ると、バッテリーが無くなっており携帯の電源が落ちたのだ。

 

「あ、しまった充電してなかった。うたちゃん何を言いたかったんだろう?」

 

 なんとも不幸なもんだ。しかし、それも喫茶グリッターへ行けば分かる事だ。

 どちらしにしろ、まもるもメロロンも用事があるのだから。

 

 まもるはメロロンへ愛想よくして、両手を差し出した。

 

「変に飛んで彷徨いても、また周囲の人達に迷惑掛けるからぬいぐるみのフリして行こっか」

 

 先程までの言動行動から、メロロンは少しばかり女の子として警戒する。いきなり抱き抱えたり、頬擦りされたり。あまりにもデリカシーの配慮が無い。

 それでも、自分が探している人物に会えるならという理由で渋々まもるの手を取る。

 

「……案内するメロ」

 

 

 ◯

 

 

 歩く事少しして、ようやく喫茶グリッターまで辿り着いた。

 ようやくプリルンに会えると、メロロンはそわそわして落ち着かない様子でいる。その様が、これまた可愛くまもるはメロロンの頭を優しく撫でる。

 

 そして扉を開けて挨拶をした。

 

「こんにちはー。うたちゃん、プリルン遊び来たよー……って。あれ?」

 

 がらんとした店内。お客は誰一人として居らず、まもるとメロロンしかこの場しか存在しなかった。

 2階に居るのかと思い、顔を覗かせてみるもやはり見当たらない。

 

「ねえたまー? 何処に居るメロー?」

 

「うたちゃーん?」

 

 2人してうたとプリルンを呼ぶも返事は返って来ず。困り果てていると、厨房の奥から田中が顔を出してくれた。

 

「おや、まもるさん。こんにちは」

 

 あまりにも気配を感じずだったが、どうやら田中だけは居てくれた。

 

「田中さん、うたちゃんは?」

 

「それでしたら、プリルンと出掛けました。メロロンという人物を探しに」

 

 まさかの入れ違いだった。恐らくだが、先程うたからの電話はメロロンに関する事だったのかも知れない、携帯のバッテリーも無いなので、もうそれを確かめる術は無い。

 

 まもるが仕方のないといった雰囲気をしているが、プリルンを探していたメロロンは愕然としていた。

 

「まもるさん、その子は一体?」

 

「ねえぇぇたまァァー‼︎」

 

 メロロンの悲痛な叫び声が、はなみちタウン全体に響き渡るのだった。




ここまでの拝読ありがとうございました
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