キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva 作:シロX
チョッキリ団アジトのとある一室。暗く、そしてただひたすら広いだけの空間。その中心で、バッサリーネが1人必死にダンスの練習をしていた。床に流れている汗の量からして、かなりの時間没頭しているのが見受けられる。
(感覚が研ぎ澄まされていくこの感じ。ベストな状態になってるようね)
自分のポテンシャルが元に戻っていくのを実感して、バッサリーネは思わず笑みが溢れる。
調子も気分も良いと言う時に、バッサリーネの脳内に誰かの声が響いて水を差される。
『随分と頑張っているのね。練習熱心で感心するわ』
「……うるさい」
『でーも、歌姫を冠している癖にあの負け方は少しどうかと思うわよ?』
バッサリーネの目付きが鋭く変わり、振り払う様に何もない所に腕を振るって声を荒げる。
「負けた? このアタシが? ハッ、あんなのウォーミングアップ程度。カウントしないでくれる?」
『でも、負けは負け。この事実だけは重く受け止めなさい。ダークイーネ様にはそんな言い訳は通じないのだから』
「だからこうやって調子を元に戻してるんでしょう? ったく、癪に障るわ」
床に置いてあるペットボトルに口を付けて水分補給をする。体内に水が含まれると、すぐに汗となって肌から滲み出る。
呼吸を整えさせる為に周辺を少しばかり歩き始めた。
「所詮ごっこ遊びのアイドル集団」
『そんなごっこ遊びのなんちゃってアイドル集団を相手に、本気になるなんてね。ワタシと代わっても良いのよ?』
歩んでいた足が止まった。拳を握り締め、今までとは全く異なった雰囲気を醸し出し、殺気が充満する。
明らかにバッサリーネの様子が変わった。
「ふざけるな。アタシは歌姫よ? それじゃあまるで、アタシが尻尾巻いて逃げたみたいじゃない」
『あら、違った?』
「調子に乗らないでよね?」
『それはワタシの台詞よ。何処ぞの誰かさんが歌姫の座だけは譲らないって我が儘言うからワタシが折れたのよ? アナタとワタシの実力差は明確だと言うのに──』
「もういい黙って!」
バッサリーネの怒号が室内に響き渡った。それから頭の中に響いていた声も次第に聞こえなくなり、そのなりを潜めた。
ようやく静かな空間に戻った。
「バッサリーネ……」
「あっ、カッティー居たんだ」
不意に名前を呼ばれ、振り返ればカッティーがバッサリーネの様子を見に部屋に入っていた。
頭の中に響く声に気を取られて、その気配にすら気付けなかった。
「チョッキリーヌ様がお呼びされてましたが」
「ああ、ありがとうね」
「顔色が悪い様にも見えますぞ? 自分が変わっても──」
「大丈夫気にしないで。
胸がモヤモヤする。このどうしようもない気持ちを発散させるには、もっと体を動かす必要がある。その捌け口となる相手は勿論アイドルプリキュア。その中でも、特にバッサリーネが注視しているのが。
(キュアアイドル。アンタの為に特別なステージを用意をしてあげたのだから、それなりに頑張ってもらわないとここまで仕上げた意味が無い。ちょっとは粘ってよね)
バッサリーネは次にキュアアイドルと相見えるのを興奮していた。
そして、バッサリーネはチョッキリーヌに従ってはなみちタウンへ赴いた。
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