キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva   作:シロX

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第50話 迷子

 喫茶グリッターでいつもの様に集まっているまもる達。今日も今日とて、最近あった話題で盛り上がっている様子。

 たった1人を除いて。

 

 まもる、うた、ななが話している間、こころだけはその会話の輪の中に入らずずっと一点だけを見つめて微動だにしない。

 その一点というのが、まもるである。微熱を出したあの日から、こころの心はまもるに奪われている。

 

 勿論、その視線に気付かないまもるではない。

 

「こころ、何か俺に言いたい事でもあるの?」

 

「ううん、無い」

 

「じゃあ、何でそんなに見つめるのかな? 俺結構気になってて」

 

「良いの、気にしないでお兄ちゃん」

 

 笑顔満点の表情でそう返された。「気にしないで」と言っているが、かれこれずっとこの状態を放置し続けるのは無理がある。

 

「紫雨君、こころちゃんに何かしたの?」

 

「してないよ。1日中側に居ただけで特には」

 

「じゃあ何で?」

 

「さぁ?」

 

 3人は首を傾げて、こころが何故こうなってしまったかの原因を考える。しかしこれといった心当たりが無く、考えるだけ時間は過ぎていく。これでは埒があかない。

 

「息が詰まるから皆でお散歩しよう!」

 

「お散歩プリ? プリルンもしたいプリー!」

 

「あっ、ねえたまー!」

 

 一体何処から聞いていたのか、上から降って来たプリルンが賛同の手を差し伸べた。それに伴ってメロロンも付いてくる事に。

 

「3人は?」

 

「行く行く! もっちろん行くよー!」

 

「お天気も良いからお散歩日和だしね。うん」

 

「え、あっ、良いですよ。わたしも皆さんとお散歩したいです」

 

 全員気分転換のお散歩に賛成。特に何処のルートを歩くか全く決めていないが、外で歩く事に意味がある。

 

 全員準備が終わり、元気良く外へ飛び出した。田中はというと、店番もあってまもる達の事を手を振って見送った。

 

 

 ◯

 

 

 うたは皆の前に出て、いつもの様に即興の歌を歌いながらスキップをしていた。第三者から見ても、相当ご機嫌が良い。

 

「皆でお散歩なんてキラッキランランー!」

 

「うたー、何処にお散歩するプリ?」

 

「えーっと……何処に?」

 

「何で先頭を歩いているのメロ……?」

 

 行く当てもなくフラフラと先頭を歩く3人を少し後方から、まもるとなな、こころは歩いてその背中を見守っていた。

 

「外に出て正解だったね」

 

「そうだね! こころちゃんもそう思うよね?」

 

「はい! ですが、今日はやけに人が多いですね。何かイベントがあるんでしょうか?」

 

 周囲を見渡せば確かに親子連れが多くおり占めている。今日何のイベントがあったのか、こころがスマホで調べていると、それよりも先にうたがその答えに辿り着いた。

 

「あっ、見て見て皆! この先の広場で動物と触れ合えるイベントやってるって!」

 

 街中のある張り紙に目を通すと、丁度今日の日付けでうたが言うイベントが開催されていた。

 お散歩する為に外に出て、かなり良い情報を得た。これで変に暇を持て余さずに今日という日が過ごせそうだ。

 

「プリルン行ってみたいプリー!」

 

「ねえたまが行くのなら、仕方なくメロロンも行くメロ」

 

「じゃあ、レッツゴー!」

 

 うたの声で、まもる達も流れに沿って動物の触れ合いイベントに参加するのだった。

 

 

 ◯

 

 

 入場して早々、まもるとこころは困り果ててしまった。イベントには意外にも人が多く参加しており、途中でうた達皆と逸れてしまった。

 偶々まもるとこころは並んで歩いており、こうして2人だけ取り残されたという始末だ。

 

「迷子になりましたね」

 

「一旦連絡取ろうか。その方が早い」

 

「お兄ちゃん!」

 

 まもるがうたと連絡を取ろうとしたが、こころはその手を止めさせた。

 

「ちょっとだけ、ちょっとだけ2人で回りませんか?」

 

「でも皆心配しているだろうし」

 

「ちょっとだけで良いんです!」

 

「……そんなに言うなら。取り敢えずメッセージだけ入れておくよ。さっきも言った通り、心配してるに違いないから」

 

 まもるはスマホの画面を操作してメッセージだけ送り、ポケットに仕舞い込んだ。

 これで何事も心配無くこころとイベントを見て回れると思った矢先、誰かから服の袖を引っ張られるのを感じた。

 

「こころ?」

 

「わたしじゃないですよ。この子達です」

 

 引っ張っていたのはこころではない。誰なのかと視線を少し変えてみると、自分達より背丈が小さい小学生の年齢の男の子と女の子が潤んだ瞳で見上げていた。

 

「どうしたの?」

 

「……迷子」

 

「2人は兄妹なんですか?」

 

「うん、お兄ちゃんと走ってたらパパとママが居なくなったの!」

 

 可愛い動物の群れを見て興奮し、その衝動のまま行動をしていたら2人して親と逸れてしまったらしい。

 まもるとこころはお互いに顔を見合わせて頷く。流石にこんな小さな子2人を置いて行く訳にはいかない。

 

「お姉ちゃん達が一緒にパパとママを探してあげる。行こう!」

 

「手っ取り早いのは、受付の辺りで放送してもらうかだね」

 

 まもるは男の子、こころは女の子の手を繋いで入り口付近の受付まで連れて行く。

 

 一緒に探すとは言ったものの、やはり親が居ない事で小さな兄妹2人は寂しさと不安で気持ちがいっぱい。それを少しでも和らげようと、こころが話しやすい話題を振った。

 

「2人は何の動物が好きなんですか? わたしは犬さんとか猫さんが好きですね。あ、あと狐も可愛いですよね!」

 

「わたし、犬が好き」

 

 女の子は手に持っている犬のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめながら口を開けてくれた。こころも共感して話の話題を繰り広げる。

 一方その隣のまもるも男の子と他愛のない会話をしてしいる。

 

「君ははなみちタウンに住んでいるのかな?」

 

「うん。今日すっごく楽しみにしてたんだ。特に妹が」

 

「それは良かったね。早くお父さんもお母さんも見つけて、皆で楽しんじゃおう!」

 

 

 それから暫くして、受付前まで来たまもる達はスタッフの方に事情を説明して放送で呼び掛けをしてくれた。

 スタッフの方に貰った飴を4人は並んで口の中で転がし、親御さんが来るのをひたすら待ち続ける。

 

 飴が小さくなって噛み砕いた辺りで、ようやくお迎えが来た。

 

「あっ、パパ! ママ!」

 

 元気良く走り出した妹。その後ろからゆっくりと兄も歩き出した。

 

 4人の家族がようやく合流する。その様子をまもるとこころは微笑ましく見ていた。

 

「良いですね、家族というものは」

 

「俺達もそろそろ行こっか」

 

「はい!」

 

 迷子のお世話をしていた事もあって時間は経ってしまった。2人で見回るのもこれ以上は無理があり、切り上げてうた達と合流しようとしたその時だった。

 

「待ってお兄ちゃん。あそこ!」

 

 人混みの中でこころが指を差し示した場所に、見覚えのある顔と服装をした女性が立っていた。

 女性──バッサリーネは口角を上げ、手を翳し、先程別れた4人の家族へと何か邪悪な事をしでかす。

 

「お前のキラキラ、オーエス!」

 

 2人がバッサリーネの存在に気が付くも一足遅かった。

 

「来い、クラヤミンダー!」

 

 一度に4人のキラキラを奪い取り、それを核にして迷子になっていた妹が持つ犬のぬいぐるみを模したクラヤミンダーが誕生した。

 

「クラヤミンダー‼︎」

 

 明るく澄み切った青空は瞬く間に暗雲に包まれ、周囲を恐怖の底へと叩き落とす。

 人は勿論、動物達も威嚇等でクラヤミンダーの出現にパニックになる。

 

「「バッサリーネ!」」

 

「キュアキュンキュンか。キュアアイドルでないなら用無しよ。クラヤミンダー!」

 

 犬のクラヤミンダーが吠え、2人に向かって突進して来た。

 こころはアイドルハートブローチを構えて変身しようとするも、此処は人の目も多い街中。変身するのを躊躇わせる。

 

「大丈夫だこころ。不幸中の幸いか、皆パニックになって逃げる事に一生懸命だ。誰も見ていない」

 

「は、はい──まもるお兄ちゃん危ない!」

 

 こころが相槌を打った時、クラヤミンダーがもう目の前まで差し迫っていた。変身出来ないまもるに危機感を察して突き飛ばした。

 

「こころ⁉︎」

 

 手を伸ばそうとするが、こころとクラヤミンダーが衝突。生身のまま地面を抉りながら引き倒されて行った。

 段々とクラヤミンダーの速度が緩み、最後にその足を止めた。土煙が邪魔で、こころの身がどうなったのか確認のしようがない。

 

「こころー!」

 

 青ざめた様子で名前を叫ぶ。

 

「……クラ?」

 

 土煙が晴れるとそこには、生身でクラヤミンダーの突進を受け止めたこころが目を光らせていた。そして押し返すように一歩前に踏み出す。

 

 元の髪から変身後の髪色と長さに変貌。

 

「キミと踊る、ハートのリズム!」

 

 拳で殴り飛ばた直後、両の手から順にアイドルプリキュアの衣装へと変え。

 

「心キュンキュン」

 

 深く息を吸い、顔を上げ、逞しいアイドルとなった。

 

「キュアキュンキュン!」

 

 間一髪の所で変身を終えたキュアキュンキュンは、浄化すべき敵に鋭い視線を向けて臨戦態勢へ移行するのだった。




導入部分があまりにも雑過ぎて泣いた。

ここまでの拝読ありがとうございました
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