キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva 作:シロX
チョッキリ団のアジトに帰ってきたバッサリーネ。しかし、身も心もボロボロになっており、自分自身を支え切れないでいた。
おぼつかない足取りで、アジトにあるバーのカウンターに倒れ込む様に座り込んだ。
「何で、どうしてアタシがここまで追い詰められる? アタシの方が歌も踊りも全部上なのに……!」
プライドさえ保っていられるのも時間の問題。そんな最悪なタイミングで、バッサリーネの頭の中に辛辣な声が響く。
『それはキミの驕りだよ。これが結果、これが現実。これが今のキミとアイドルプリキュアとの差だって事よ』
「アタシがあんなごっこ遊びでしてる奴らよりも劣っていると言いたいの⁉︎」
『そうだけど?』
バッサリーネの怒りのボルテージがとうとう最高潮に達し、先程まで弱り切っていたのが嘘のように勢いよく立ち上がり、声を荒げる。
「大体アタシは負けてない! なのに何で出てこようとするの?」
『キミが限界だと感じたから』
「そんな事──」
『ある。一度目ならまだ言い訳が立つけど、二度目は決定的。ここまでの失態は類を見ないわ』
自慢の編曲は全てキュアキュンキュンに見切られ、自信のあるバッサリーネ自身の戦闘スタイルもそこまで目立った事はなかった。
『なにより、キュアキュンキュンとキミでは相性がとても悪い。このまま数を重ねていくと、見切られるのは編曲だけじゃすまないわよ?』
一番の誤算はキュアキュンキュンが天敵となってしまったこと。この誤算さえ無ければ、まだバッサリーネは舞台の上に立つ事が許された。
『キュアアイドルはともかく、キュアキュンキュンをなんとかしないとキミに勝ち目は無い。全然ね』
「だったらキュアキュンキュンの相手をしなければいい……違う。もっと根本から絶たないといけない」
『そこまで理解しているならあとは簡単なこと』
ディーヴァ・ステージの力で、今のアイドルプリキュアが手に負えないのなら狙うべき相手は1人に絞られる。
「紫雨まもる」
『正解。あの力は確かに厄介極まりないけど、所詮弱点だらけの欠陥能力に過ぎない。頑張って分断する事ね』
「……まだアタシにやらせるんだ?」
『別にワタシがやっても良いのよ? でも、そこまで頭で理解しているなら今度は上手く行く筈でしょう? ま、出来なければその時はその時って事で』
その言葉を最後に頭の中に響く声はフェードアウトしていき、聴こえなくなった。
「アイドルプリキュア。今度こそ、今度こそは!」
恐らく次負けたらもう何も残らない。次で最後のチャンスとバッサリーネは意気込む。
席を立ち上がり、一度その場を後にするのだった。
◯
その場を後にする様子をチョッキリーヌ、ザックリー、カッティーの3人が特に声も掛けずに見ていた。
「アイツ、何独りでぶつぶつ言ってんだ?」
「偶にああいう姿を目撃しますが、自分にもさっぱりですぞ」
「嗚呼、そういえばアンタ達にはまだ言ってなかったわね。アイツはあれが普通なのよ」
バッサリーネが独り言を呟くのが当たり前。不自然極まりないが、ボスであるチョッキリーヌはそう言った。
「いやいや、いくらなんでも独り言で騒ぐ奴を『普通』って無理がありますよ?」
「普通だ。なんせ──バッサリーネの中にはもう1人居るんだからな」
「もう1人? ていう事は2人になりますが、自分にはバッサリーネは1人にしか見えませんですぞ?」
「いずれお前達にも分かる事だ」
チョッキリーヌはそう言ってダーツに手を付けるのだった。結局、チョッキリーヌの言っている本当の意味を2人は最後まで理解は出来なかった。
次回からようやく本編にレールを戻します。母の日の回からですね。
ここまでの拝読ありがとうございました。