キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva 作:シロX
メロロンは宣言通りプリルンを連れて、ハートの木でのデートを現在進行形で楽しんでいた。同じ場所、同じ時間、同じ空間で2人きり。そして、メロロンお手製のお弁当をプリルンに食べさせていた。
少し離れた場所の茂みの中。2人の様子をまもる、うた、なな、こころの4人は隠れて伺っていた。
「2人共良い感じだね!」
「ハラハラします!」
「メロロン頑張って!」
うた、こころ、ななの順にそれぞれ声を漏らしている隣で、まもるだけは少々乗り気ではない様子だった。
「な、なぁ3人共。本当に後をつけてよかったのかな? もし見つかったら、後でメロロンの雷が落ちると思うんだけど」
「大丈夫だよまもる君。見つからなきゃ良いんだし!」
「そうですよ、見つからなきゃセーフです!」
「なんて言っている紫雨君も結局ついて来ちゃってよ?」
そう言われてはぐぅの音も出ない。相手がプリルンというのもあって、心配という気持ちもある。ちゃんと上手くデート出来ているのか、と。プリルンは少々抜けているところが沢山ある。それも含め、そこが彼女の美徳でもあるが。
「罪悪感とかはないの?」
「乙女の恋の行方を知りたくないんですか?」
「こころ、結構食いつくね」
「わたし達ももう大人って事ですよ。恋話の一つや二つくらいしますよ」
鼻息を荒くして、こころの興奮は冷めやまない。寧ろ熱を上げるばかり。
「……紫雨君は、恋愛にはあまり興味無いの?」
ななの質問に、うたとこころの視線がプリルンとメロロンからまもるへと変わった。
幼馴染、同級生、従兄妹と異性を意識するのには十分過ぎるくらいそれぞれまもると関係性を持っている。
「どうだろうね。その時になってみないと」
まもるはメロロンとプリルンの方に意識を向ける。2人は何か話しているみたいだ。耳を傾け、どんな会話をしているのか聞き耳を立てた。
「そういえば、2人はさっきから何話してるんだろう?」
ダークイーネがキラキランドを襲撃してきたあの日。逃げる場所も、キラキランドの仲間も皆水晶に閉じ込められた。
元々、周囲の妖精と仲良くなかったが、それでも頼る相手がいなくなってメロロンは孤独となった。そんな時、メロロンが独り逃げ惑っている前にプリルンが現れた。「大丈夫」と声を掛け、手を差し出される。そしてプリルンがメロロンのお姉ちゃんになると言い、その時から「ねえたま」と慕うように。
それが今に至るまでの2人の関係性。
2人の話を聞いて、メロロンがどうしてあそこまでプリルンに執着するのか納得した。仮に自分がメロロンの立場ならきっと同じ道を辿るに違いない。
唯一、心を開けれる相手を奪われないよう全力で周囲から遠ざける。例え世界中の人から嫌われたとしても、好きな人が側に居て、自分を見てくれるならそれだけで幸せなのだから。
話を聞いたまもるは、3人の腕を掴んでこの場から去ろうと促す。
「流石に長居し過ぎたかな。これ以上2人だけの時間を壊す訳にはいかない。見守るのも十分だし、外野は黙って帰るよ」
「ええー、わたしとしてはもう少し──」
「余計メロロンに嫌われちゃうよ。うたちゃんはそれでも良いの?」
これ以上嫌われたらほぼ修復不可能。これ以上2人の邪魔をする事はせず、泣く泣くその場から離れようとした矢先だった。
「ブルっときたプリ!」
「「「「えっ、クラヤミンダー⁉︎」」」」
「貴女達、ついてきたのメロ⁉︎」
予期せぬ事態にまもる達4人は声を出してしまい、メロロンに存在を気付かれた。しかし、今は気付かれたどうの言っている場合ではない。
うた、なな、こころは慌ててアイドルハートブローチを取り出した。
「「「プリキュア! ライトアップ!」」」
久々の3人による同時変身。1、2、3回とブローチをタッチして内に秘めたるキラキラを解放させる。
「「「キラキラ、ドレスチェンジ! YEAH!」」」
ブローチの両脇にあるボタンを同時に押し込み、3人は変身シークエンスへ移行する。
髪色から身に付けている衣服全てに至るまで、自分ではない自分に変化をもたらす。
「キミと歌う、ハートのキラキラ! 笑顔ニッコリ、キュアアイドル!」
「キミと瞬く、ハートの勇気! お目目パッチン、キュアウインク!」
「キミと踊る、ハートのリズム! 心キュンキュン、キュアキュンキュン!」
「「「ウィアー! キミとアイドルプリキュア!」」」
ステージの上に現れた3人のアイドル。キミとアイドルプリキュアが、また色鮮やかなステージにさせる為クラヤミンダーと対峙する。
◯
クラヤミンダーを喚び出したのはカッティーだった。いつものようにこちらを見下しているのかと思っていたが、少し様子がおかしかった。
「ムホホ、アイドルプリキュア……ゴホン! 待ってましたぞ!」
今回のクラヤミンダーは錠前を模した相手。一体どういう攻撃をしてくるのか予想がつかない。アイドル達は出方を伺っている。
悠長にしていると、クラヤミンダーが先制攻撃を仕掛けてきた。
鍵穴から、鍵をそのまま射出する遠距離攻撃。アイドル達3人はその場でジャンプ、まもるは横へ避け、プリルンとメロロンは一緒に逆方向に逃げ出した。
「3人共、あの様子だと遠くからの攻撃しか来ないみたい。攻めて行くよ!」
まもるの言葉でアイドル、ウインク、キュンキュンはそれぞれ三方向から攻撃を行う。クラヤミンダーは1人ずつ対処して、3人の攻撃を全て防ぎ切った。それでも数では圧倒的にアイドルプリキュアが有利。防がれてはいるが、押してはいる。
「プリキュアー! 頑張れプリー!」
プリルンの声援もあり、より一層アイドル達に力が入る。一撃一撃がクラヤミンダーに重くのしかかる。
応援するプリルンを横目に、カッティーは少し渋い顔をしていた。
「自分だって、あんな風に存分にプリキュアを応援したいですぞー!」
少しずつ絆されているカッティーの本音が漏れ出た。自分も思う存分応援したいという感情を抑えている。周囲の目など気にしないプリルンにカッティーは嫉妬し、荒技にでる。
「クラヤミンダー、あそこにいる羨ましい妖精共を捕まえるのですぞ!」
ターゲットをアイドル達からプリルンとメロロンに切り替えたクラヤミンダー。両手でハートを形取ると、2人の背後に宝箱が出現して閉じ込めた。
「ガッチャンですぞ」
「プリルン、メロロン!」
ご丁寧に施錠までして、その鍵を持ってカッティーは安全圏である空へ逃げた。当然、プリルンとメロロンを閉じ込めている箱はクラヤミンダーの手中にある。
予想外の事態となってしまった。まさかプリルンとメロロンを狙われるとは思わなかった事に、アイドル達3人は地面を蹴る。
「先に2人を助けるんだ!」
鍵は最悪後でどうとでもなる。優先すべきはプリルンとメロロンの奪還だ。
「クラッ! クラッ! クラッ!」
連続で鍵を撃ち放ってくる。この勢いを止めたくはない。
ウインクが前に出て、ブローチをタッチする。
「ウインクバリア!」
バリアを展開し、足色を全く緩める事なく正面から鍵を弾き、アイドルとキュンキュンを率いて進む。
「今です! まもるお兄ちゃん!」
全ての鍵を防ぎ切ったところで、キュンキュンはウインクの脇から素早く出て単独でクラヤミンダーへ駆け込む。
更にキュンキュンの呼び掛けに応じてまもるも動いた。
「行くよキュンキュン! ディーヴァ・ステージ!」
淡い紫のキラキラがまもるからキュンキュンへと受け渡り、プリキュアの力を更に底上げする。
「クラヤミンダッ!」
近接戦闘に持ち込まれる。そう判断してクラヤミンダーは、鍵穴に手を突っ込ませて大きな鍵を取り出した。そして、身構える。
今度は真っ直ぐ飛ばす単調な攻撃方法から、剣のようにして戦うスタイルに変えてきた。
キュンキュンの拳とクラヤミンダーの鍵が激突する。火花を散らし両者微動だにせず。
「「ッ!」」
競り合った衝撃で両者一度後方に弾かれる。
「ですが、負けません!」
キュンキュンの猛威が始まる。手足を最大限活用して次から次へと休まず立て続けに攻める。
クラヤミンダーも対抗して全て弾き、隙があれば負けじとやり返す。
「クラヤミンダー‼︎」
中々キュンキュンに攻撃が当たらない事に痺れを切らして、クラヤミンダーが大振りになってきた。
最小限の動きのみで避け、鍵が地面に突き刺さる。
「ク、クラッ⁉︎」
引っこ抜こうとするも思った以上に深く刺さり込み、クラヤミンダーの力でもビクともしない。
すかさずキュンキュンが裏拳で側面から鍵をへし折る。
クラヤミンダーに武器が失ったのと同時に、キュンキュンの背中をアイドルが踏んで跳躍した。
「アイドル今です!」
「アイドルグータッチ!」
無防備なところに必殺の一撃を叩き込んでクラヤミンダーが撃沈。手にしていた箱が投げられ、ウインクが落下地点まで移動してキャッチした。
「ナイスキャッチウインク!」
「あとは鍵だけですね!」
「カッティーは何処に……あっ、見つけた!」
カッティーはまもる達が先程まで居た、ハートの木の近くに居た。
「紫雨君、プリルンとメロロンをお願い」
「任せて!」
ウインクから箱を受け取り、アイドル達3人はカッティーを追い掛けて行った。
プリキュアの身体能力なら簡単にカッティーに追い付き、回り込んだ。今はクラヤミンダーは倒れてい動けないでいる。鍵を取り返すなら今しかない。
「んっ⁉︎」
「カッティー、鍵を渡して」
アイドルは静かに詰め寄る。
カッティーは渡すか渡さないかで葛藤をしている。
「はぁ……やっと追い付いた」
遅れてまもるも到着した。追い詰められているカッティーを目にしたが、どうにもその様子がおかしいと怪訝な表情を浮かべる。
「ねぇ、ウインク。今日のカッティー何か様子おかしくない?」
「そうかな?」
カッティーの不自然さに目を向けていると。
「はいですぞ!」
何か抵抗とか企んでいるなどの悪意は一切感じられない。ただ素直に鍵をアイドルに手渡した。
「あ、あれ? でもありがとう!」
意図は全く読めないが、それでも鍵を渡してくれた事にアイドルは敵でありながらも笑顔で感謝の言葉を投げ掛けた。
「うぅ……」
カッティーはその場に崩れ落ちた。
まもるはアイドルとカッティーを交互に見たあと、何かを察した様な表情をする。
「あっ、もしかして?」
「まもるくーん、箱貸してー!」
「はいはーい」
今は閉じ込められているプリルンとメロロンの保護が先。鍵穴をアイドルに向けて、鍵を挿してもらった。箱の施錠を解けるやいなや、プリルンが中からアイドルの胸へ飛び込んだ。
「ありがとうプリ!」
「あ、ありがとうメロ」
「残すはクラヤミンダーだけだね!」
ようやくながらクラヤミンダーがやって来たが、アイドル達はそれを迎え討つ準備を整えている。
「いくよ、皆!」
クラヤミンダーが3人の声が届く範囲に足を踏み入れた瞬間、アイドルプリキュア専用のステージが展開される。
「「「ウー、レッツゴー!」」」
Trio Dreamsの盛大な音楽がステージ全体に鳴り響き、三色のスポットライトが照らし出される。そして、クラヤミンダーは強制的に観客席を座らせた。
「「「ハートを上げてくよ!」」」
文字通り3人の歌声が噛み合い、会場のボルテージが急上昇する。キラキライトの光量、そして盛り上がる熱気。その全てがキラキラと変換されていき、アイドルプリキュアの力をなる。
「「「プリキュア! ハイエモーション!」」」
最大限にまでは高められたキラキラはアイドルプリキュアの手の中に凝縮され、それをクラヤミンダーへ解き放った。
「キラッキラッター」
3人の渾身の浄化技を食らい、見事クラヤミンダーを浄化し切った。そして、閉じ込められていた人や滅茶苦茶になっていた街も元の姿を取り戻した。
「おっと。にしてもキラルンリボンも随分集まったな」
浄化する度に毎回キラルンリボンを回収する。かれこれ数十は手にしており、その数がアイドルプリキュアの頑張りとも言える。それをしみじみ思いながら、バインダーにしまうのだった。
「ま、眩しいですぞー!」
カッティーは終始普段とおかしな言動をしたまま、そのままチョッキリ団アジトへと撤退していった。
◯
「早いところ帰らないといけないぞ、3人共」
クラヤミンダーを浄化し終わって早々、まもるがそのような言葉を投げ掛けた。
「やっぱり帰らなきゃいけない?」
「なら、ウインクとキュンキュンの3人で帰るけど良いのかな?」
「わーん! 分かったよ、まもる君のいじわるー!」
「せめてプリルンとメロロンに挨拶してから帰りましょう」
それだけなら、と。4人はプリルンとメロロンの方に振り返った。
風で未だ桜の花びらが舞うその光景の中で、4人は興奮するものを目撃した。
「チュッ」
メロロンが、プリルンの頬にキスしていた。
「「おぉー!」」
アイドルとキュンキュンは興奮の言葉を漏らす。まもるも微笑ましく見守っていた。ウインクは他3人とは違った反応を示していた。
「ウインク?」
憧れとも言えるその眼差しに、まもるだけが気付いていた。
何気にハートキラリロックに関してほぼ触れてなかったな…ま、まあそこはおいおいね!
次回からまた数話に渡ってのオリ回です。うたちゃん、こころちゃんときて、ようやく次は!って感じです!
ここまでの拝読ありがとうございました!