キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva 作:シロX
カッティンダーとの屈辱的な敗北をきしたその日の夜。まもるはベッドで寝転がって自分自身を見つめ直していた。
(ディーヴァ・ステージが、俺の応援がカッティンダーに通用しなかった。だから負けたんだ)
ここの力を最大限にまで引き出す応援は確かに強い。けれどそれが通用しなかった今、戦えないまもるは足手纏いにしかならない。
何か他に策はあるのかと考えるも、今回ばかりは思いつかない。何故なら単純に力不足だから。どれほど小細工に立ち回ろうと、カッティンダーはそれを正面から尽く摘んでいく。
「うたちゃんの歌のように、応援だっていつも誰の心もキラッキランランにしてくれる。諦めるにはまだ早い」
上体を起こし、まもるはある決断をした。
「そうだ、全部終わった訳じゃない。応援にだって様々な形がある。進化させるんだ、ディーヴァ・ステージを」
今が駄目なら次に希望を懸けるしかない。アイドルプリキュアはこれまで心身共にレベルアップを果たしている。ならば今度は、まもる自身も次に向けてステップアップするしかない。
「勝つ。そして、カッティーを元の姿に戻すんだ」
部屋の窓を開け、夜空に浮かぶ綺麗な月に拳を上げて誓った。次こそは、と。
「……あれ? あれってもしかして?」
月明かりに紛れて、奇妙な影が二つまもるの視界に入った。「もしかして」の曖昧なもので手を振ってみると、こちらの存在に気付いて二つの影は段々と近付いて来た。
「やっぱり、プリルンとメロロンじゃないか。こんな夜更けにお散歩?」
「まもる。プリルン達は、プリルン達はキラキランドに帰るプリ!」
突然言い投げ出された言葉に、まもるは困惑した。けれど、プリルンの目を見て単なる冗談ではなく本気だった。眉間に皺を寄せていた表情から、いつもの物腰の柔らかい表情へと戻った。
◯
プリルンとメロロンから事の経緯を聞く為、一度部屋へと上がらせた。このまま黙って見送っても良いが、こちらとしては心配でしかない。
「カッティーは未だ何処かに隠れている。それに、はなみちタウンフェスだって控えている。今このタイミングでキラキランドに帰るって事は、よほど大事な事なんだよね?」
「プリルンは、何も出来なかったから。だから決めたプリ」
あまりにも抽象的な理由。正直なところ、たったそれだけの理由でキラキランドに帰らすにはいかない。しかし、深く語ろうとしない今のプリルンの心情を考えると、まもるも自然と口を閉じて沈黙する。
「メロロンは、プリルンについて行くの?」
「ねえたまが望むなら、メロロンは何処まででもついて行くメロ」
「そっか。なら、自分自身で決めたのなら頑張れ。俺はそんな君達の事を全力で応援する」
「頑張るプリ」
「但し、ひとつだけ約束してくれ」
人差し指を立てて、プリルンの顎下を優しく撫で上げる。
「必ず帰ってくること。じゃないと、気分が盛り上がらないからね」
「約束するプリ」
「そして俺も約束する。プリルンとメロロンが居ない間、俺がうたちゃん、なな、こころを支える。プリルンが帰って来た時、皆が笑い合えるように」
「ありがとうプリ!」
自分が今出来る事をする。その約束を交わして、プリルンは窓の外へと飛び出した。メロロンもその後を付いて行こうとすると。
「メロロン」
まもるが呼び止めた。
「……何メロ?」
「プリルンの事を頼んだよ」
「……そんな当たり前な事、貴方に言われるまでもないメロ。ねえたまの為なら、メロロンはなんでもするメロ」
優しく頬を撫で上げた。その行為が些か不快と感じられ、振り払われてしまう。
露骨な態度を取られても、まもるはメロロンの事を心配している。
「なんでも、か。だからと言って、自分の気持ちに嘘は駄目だよ」
「嘘なんて言ってないメロ」
「なら良いんだ。つい長話しちゃったね。プリルンが待ってるから行っておいで」
メロロンは何も言わず、駆け足でプリルンの元へと窓から飛び出した。
そして2人の妖精は、手を繋いで夜空へと姿を消した。
「はなみちタウンフェス。成功すると良いな」
ポツリと呟き、まもるはベッドに潜るのだった。
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