キミとアイドルプリキュア♪ Dream Diva   作:シロX

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ここ最近、丁寧に誤字脱字の報告をしてくれている方に感謝しかありません。ありがとうございます!


第73話 怒涛のオンパレード!

「よし、着いた! けど……」

 

 騎馬の形でまもるを乗せたアイドルプリキュア一向は、ようやくクラヤミンダーが暴れる場所まで辿り着いた。

 クラヤミンダーの傍らにはザックリーが浮遊して、命令を出して操っている。

 

 これから戦闘が行われる。なのだが、その前にアイドル達はまもるを地面に降ろす作業から始めた。

 

「安全面に考慮してくれたのは嬉しいけど。これだと効率が悪いよね」

 

「次からどうする?」

 

「担いでみるのはどうかな?」

 

「自分の足で行きますので心配はご無用だよ!」

 

 未だこのやり取りが抜けないまもる、アイドル、ウインクの3人だった。ザックリーも話の内容を全く読み取れずにいる。

 

「って、今はその話は一度置いときましょう!」

 

 キュンキュンは手を叩き、ザックリー含め全員が我に返って改めて対峙する。

 

 今回のクラヤミンダーは手鏡がモチーフにされている。いつもなら、見た目からどんな攻撃が仕掛けて来るのか大体の予想はつく。しかし、手鏡となってはその予測はいかんせん難しい。

 

「先ずは相手の出方を窺おう。いつも通りアイドルが先陣を切って、ウインクがその背中を守り、キュンキュンが2人の援護。いいね?」

 

「フン、そんな悠長にしてていいのか? いけ、クラヤミンダー!」

 

「クラヤ、ミ! ン! ダ!」

 

 先に動いたのはクラヤミンダー。取っての部分にある穴から円形の鏡が4つ撃ち出される。まもるの細かな指示で、僅かに出遅れてしまったアイドルプリキュアは、面を食らって身構えてしまう。

 

 先制攻撃をしてペースを持ち込もうとする筈が、逆に自分達が乱されてしまう。迫り来る鏡から守ろうと、ウインクが3人の前を飛び出した。

 

「ウインクバリア!」

 

 ひし形の青いバリアが大きく展開し、クラヤミンダーの攻撃を先ずは3つ防いだ。しかし、それだけでかなりの力を消耗してしまった。

 ウインクバリアに大きな亀裂が走っており、やっと防いだ程度。まだ4つ目の攻撃が残っており、それを防げる耐久力があるとは思えない。

 

「なんとかして……きゃっ!」

 

 案の定最後の鏡がバリアと衝突時、耐え切れずバラバラに砕け散った。ウインクも吹き飛ばされ地面を舐める羽目になってしまった。だが、攻撃自体はなんとか防ぎ切った。

 

 それでも以前としてピンチには変わりない。

 

「でも、近付いちゃえば!」

 

 初手で遠距離攻撃をしてきたという事は、それなりの自信があっての選択か。それともその攻撃方法しか無いのかの2択に絞られた。

 

 アイドルは唇を舐め、特攻攻撃で一気に勝負を終わらせようと膝を曲げた。

 

 が、それを読んでいたのか。クラヤミンダーは取っ手の穴の部分から、新たな手鏡を手にしてアイドルを鏡に映し込ませた。

 

「うわっ、眩しい!」

 

 鏡面から光が流れ、アイドル達を照らし出して目を眩ませる。眩しさに当てられ、反射的に手や腕で顔を覆い、目を瞑って光から逃げようとする。しかしそれが仇となる。

 

「クラヤミンダー‼︎」

 

 目がやられて硬直している彼女達に向けて、手鏡を扇いで風を巻き起こす。発生した突風には鋭さがあり、周囲のものを切り裂き、抉り飛ばす。

 

「うわっ!」

 

「まもるくんこっちに!」

 

「あれってもしかして、カマイタチですか⁉︎」

 

 クラヤミンダーが起こすカマイタチに恐れ、アイドル達は苦戦を強いられる。ただ真っ直ぐに飛来する鏡を避けたとしても、目には見えないカマイタチによる二段構えの遠距離攻撃。迂闊に近付けば輪切りにされるだけ。仮に二つを退けたとしても、次に待っているのは光による目潰し。

 

 徹底とされた敵の攻撃に、アイドル達は攻めあぐねる。

 

「また来るよ!」

 

 動き回るアイドル達の足を止めようと、また目眩しを仕掛けてくる。その事にいち早く気付いたウインクが呼び掛けてはいるものの、まだ攻略する算段を見出していない。

 

「わたしに考えがあります! お兄ちゃん!」

 

 キュンキュンが咄嗟に何か閃いた。応援の力も必要だと最低限の呼び掛けでまもるに訴える。

 

「ディーヴァ・ステージ!」

 

「キュンキュンレーザー!」

 

 そこからの判断は早く、瞬時にキュンキュンを応援。それを受けてブローチをタッチして、手鏡の破壊を目論んだ。

 即時行動のお陰で、光を流し込まれる前にキュンキュンレーザーが先に鏡を捉えた。

 

「やった!」

 

「これで壊れ……えっ?」

 

 キュンキュンレーザーが直撃したと思いきや、それを吸収して逆に跳ね返してきた。しかも威力、速度共に倍となって返ってきている。

 

「避け……ダメだ間に合わない!」

 

 反射したキュンキュンレーザーはアイドル達の足元に着弾した。反射した際に僅かに軌道が外れ、直撃は免れたのが幸いだった。それでもその余波で4人は吹き飛び、少なからずダメージを負った。

 

「つ、強過ぎます」

 

「それに、わたし達の動きを読まれてる」

 

「だったら、今度は皆でやろう!」

 

 個々の力が通用しないのであれば、チームとしての力で抗うしかない。3人は、もう一度立ち向かう為のフォーメンションを組み、全身に力を込める。

 まもるはディーヴァハートインカム、そしてアイドル達3人にはアイドルハートインカムが自動的に装着される。それが、まもるの新しい応援の合図となる。

 

「ディーヴァ・ステージ オーバーソング!」

 

 まもるの体から3人分のキラキラが放出され、それを受け取ったアイドル達の身体能力が爆発的に向上する。

 いきなり切り札を切るのは些か不服だが、今の状態が続けばそれこそジリ貧だ。ならば、最初から打てる算段を早目に講じるだけ。

 

「「「いくよ!」」」

 

 同時に地を蹴り、一直線にクラヤミンダーへ突撃する。

 

「返り討ちにしてやれ!」

 

「クラヤミン、ダー!」

 

 ザックリーもクラヤミンダーを動かし、迎撃の構えを取る。お互いの距離が次第に縮まり、ぶつかる間際それは突然現れた。

 

 遥か上空から現れる謎の黒い光。両者の間に割って入り、アイドルプリキュアを静止させ、クラヤミンダーを弾き飛ばした。

 離れた場所に位置していたまもるもザックリーも、何が起きているのか全く把握出来ていない。一体誰なのかも、土煙のせいで影でしか認識出来ない。

 

「あっ、君は!」

 

 土煙が晴れると、そこには先日アイドルプリキュアを窮地の危機から救ったキュアキッスが静かに佇んでいた。

 

「キッス張り切ってるね!」

 

 遅れてキュアズキューンも合流。ズキューンは腕を回してやる気十分。しかしその反対でキッスは何か冷めた表情をしている。

 彼女の棘のある視線はアイドル、そしてまもるへ移り行く。

 

「はぁ……」

 

 まるで呆れたと言わんばかりの溜め息。それが何を意味するのかまもるとアイドルには分からずじまい。

 

 キッスはまもるに近付き、額に向けて軽く指を弾いた。

 

「あ痛⁉︎」

 

 軽くといえど侮りがたし。プリキュアの力を持つ彼女の軽くは、常人のそれを遥かに凌駕している。当然、まもるの額は赤く染め上がった。

 

「まもる君……あっ」

 

 付け加えて、オーバーソングまで解ける始末。

 

「今ので集中力欠いてしまったよ。これじゃあ、アイドル達の力を最大限まで発揮させられない」

 

「大丈夫。キュアアイドルはわたしが守る。だからそんな必要は無いよ」

 

 まもるの応援を信用していないのか、それとも自分達の力に絶対の自信を持っているからなのか。2人だけでこの場を切り抜けようとしている。

 

「お前達はもしかして、パッチリーネが言っていた例の──」

 

「キュアズキューンにキュアキッスだよ! そんな事も知らないのー?」

 

「知ってるわ! てか遮んな!」

 

 ザックリーもズキューンキッスの存在は、パッチリーネが聞いており一応認識はしていた。が、その認識を確信へと切り替えようとした矢先にアイドルが自慢げに話したせいで、調子を狂わされた。

 只今絶賛ズキューン沼にハマっているアイドルの事を考えると、興奮してしまう気持ちは少なからず分からなくもない。

 

「あの、貴女達もアイドルプリキュアなんですよね?」

 

「それはどうかしら?」

 

 キュンキュンの質問に対し、相変わらず素っ気ない返事でキッスは答える。

 

「てか、必要無いって……それって俺の応援どころか、アイドル達の手も借りずにクラヤミンダーをなんとかするってこと?」

 

「うん、そうだよ!」

 

「いくらなんでも無謀だよ」

 

「無謀かどうか判断するのは、ちゃんとその目で確かめてからするのね。お姉様」

 

「キッス、行くよ!」

 

 ズキューンとキッス、2人同時に飛び出し、先に先陣を切ったのはキッスから。

 

 腰にあるハートの形取られたコンパクトを開き、リップを塗る。そのまま投げキッスで頭上に電撃を帯びた巨大なハートを生成させた。

 

「キッスショック!」

 

 投げキッスのハートに直撃したクラヤミンダーは、全身に電撃を浴びて痺れる。あのクラヤミンダーをそれだけで足止めさせている。見た目に反して、相当厳つい技だというのが見て取れる。

 

「いいね、わたしも!」

 

 ズキューンは跳躍し、クラヤミンダーの頭上を陣取った。

 

「撃ち抜いちゃうよ!」

 

 ズキューンも同様に、ハートを模した鍵の形取っているコンパクトを開け、アイシャドウを塗る。左手に、凄まじく凝縮された音符型のエネルギーを生成。

 

「ズキューンバズーカ!」

 

 それを弾として撃ち出し、クラヤミンダーに命中させる。

 

 たったの一撃でクラヤミンダーで弾き飛び、堪らず地面に沈めた。

 

「……やっぱりあの2人凄い」

 

 前回のライブステージで薄々感じていたが、今ので確信した。歌やダンス、そこからくる新鮮さだけではない。プリキュアとしてのポテンシャルは、圧倒的にアイドルプリキュアを超えている。状況判断にその立ち振る舞い。どれを取っても一級品。

 

「絶対キラッキラにするよ! キッス!」

 

「ええ、お姉様」

 

 2人が並ぶのと同時に、アイドルプリキュア同様に専用のステージが展開される。クラヤミンダーを強制的に着席させ、イントロが流れ始める。

 

「「ふたりの誓い、いま輝け!」」

 

 キラキラショータイムマイクを持ち、プリキュアリボンをセットした。それがステージ開演の合図となり、会場は盛り上がる。

 

 鏡越しに映っているかの如く2人のダンスはシンクロしており、それがより一層ステージを煌びやかに、そして華やかにさせる。

 

 歌唱力もアイドルプリキュアとは引けを取らない。寧ろ、彼女達にしか出せない魅力がそこにはある。アイドルがズキューンの沼にハマってしまうのも頷ける。

 

「「プリキュア! ズキューンキッスディスティニー!」」

 

 最後に2人にしか出来ないファンサを届け、ステージは閉演となる。

 

「キラッキラッター」

 

 まさに電光石火の如く、クラヤミンダーをあっという間に浄化して騒動を鎮静化させてしまった。今回もズキューンとキッスの2人だけで。

 

 

 ◯

 

 

「ズキューンとキッスのお陰で、スムーズにクラヤミンダーを浄化出来たね」

 

「ついでに、アイドルの沼が更に加速しました」

 

 クラヤミンダーを浄化した影響で、街はいつもの風景に戻った。その横目で、アイドルは改めてズキューンの魅力に取り憑かれて限界突破して悶えていた。

 

「気持ちは分からなくはないけど」

 

「まもるくんはアイドルのファンだったよね? まもるくんもあんな感じなの?」

 

「聞きたい?」

 

「ま、また今度で」

 

 まもるも、キュンキュンに負けず劣らずのアイドルのファン。久々にアイドルについて語ろうとしたが、まもるの目を見て察したのか、ウインクは即時話を切り上げる。

 

「あ、あの! キュアズキューン! わたしと友達になって下さい!」

 

 胸に秘めていた思いが遂に爆発。慌てふためくアイドルの様子を「可愛い」と思いながらズキューンは、その気持ちに応えようとする。

 

「フフ、勿論わたしも──」

 

「いいえ。お姉様、参りましょう」

 

 ズキューンが心を許そうとした矢先、キッスは遮った。ズキューンはもう少しのところだったが、キッスに関してはまだ壁が隔たれている。

 

「ん? うん! じゃ、またね!」

 

 ズキューンは仕方なしでキッスを優先させ、差し出そうとした手を引っ込めた。そして、別れの挨拶を交わした後、2人はまた何処かへと去って行った。

 

「中々距離が縮まらないね。俺としても、もう少し関係を深めたいけどキッスの壁が高い」

 

「でもでも、わたしあの2人とお友達になりたい!」

 

「そうだね。取り敢えず今日のところは帰って──」

 

「追い掛けよう!」

 

「「「えっ⁉︎」」」

 

 アイドルの突発的な行動に、まもる達3人は振り回されるのだった。

 

 

 ◯

 

 

 人気の無い林の中まで移動したズキューンとキッス。今日もキュアアイドルを助けれた事に満足するズキューンだったが、最後のやり取りだけには少し納得していなかった。

 

「ねえ、どうして仲良くなっちゃいけないの?」

 

 向こうからの誘いを断る理由をズキューンは理解出来なかった。その問いに、キッスは遠い目をして答えた。

 

「あの日、あの時。貴女と決めた運命(さだめ)の道は2人で歩む、2人の旅路」

 

 彼女のポエムにズキューンは全く理解しておらず、首を傾げるだけ。意味が分からずともよい。今はまだ。

 

「──その旅路の果てで、貴女達は一体何を見るのかな?」

 

「「ッ⁉︎」」

 

 何処からともなく声がした。それも女性の声。ズキューンとキッスは背中合わせで、視界に入る全てに対して警戒をする。

 

「こっちこっち。やっほー」

 

 上から声。2人は顔を上げると、木の枝にパッチリーネが座っていた。呑気に手を振っては笑顔を振り撒いている。

 

 2人の前に降り立ち、謎めいた笑みを浮かばせている。

 

「お話、しようか?」

 

 ズキューンは僅かに警戒を緩め、キッスは生唾を飲み込んだ。緊張感漂う雰囲気に空気がヒリつく。




次回からちょいオリ回が何回か続きます。内容としては「一方その頃…」的な感じの内容をお届けします-。

ここまでの拝読ありがとうございました!
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