食事の用意をすると言われたので手伝うと言ったが「客人なので座っていてくれ」と言われた。
と言うわけで大人しく待っていたのだが…。
「…!今日は祭日か何かか…!?」
俺は目の前に置かれた食事の内容に驚愕した。
皿に盛られた大きな具がゴロゴロと入っているシチュー。それにこの置かれたパン…! まさかライ麦ではなく小麦のパンなのか…? しかも
「祭日って…昨日の夕飯の残りだけど…」
「夕飯の残り…!?」
夜も食べられるのか…!? この温かい食事を…!*1
しかもこのシチュ―…肉が入っている…!
「驚きだ暫定並行世界…!」
「君を見ていると飽きないね」
ジークは少し笑いながらそう言って席に着いた。そのまま食事を始める。
パンをちぎるとふわりとパンが裂けて純白の
シチューもとても濃厚な味だ…バターも牛乳も使ってある…飽きるほど食べた
「こほん…落ち着いたところで話をしよう」
「ふふっ、もういいのかい?」
「揶揄わないでくれ…私がこの体になるまでの話をしよう」
俺はジークにこの世界に来るまでの話をした。
13歳の頃に第六次世界大戦が起こり、徴兵されてタリィア、ヤマトなどの国と同盟を組みブリリス、リカメア、スフランなどと戦争を行ったこと。
そして第七次世界大戦、攻撃し合う戦争を終わらせるためにブリリスが開発した大規模戦略魔導兵器『クラカチット』を破壊する任務を行い。完遂した。
あの後武力を失ったブリリスを降伏したかどうかは分からないが平和になっているといいな…。
それを聞いたジークはカップを傾けるとそうかを呟く。
「中々壮絶な人生だったんだね。まるで英雄だ」
「…そういえばこっちの私も英雄と呼ばれているんだったか」
「あぁ、そうだね。ではこっちの話をしよう」
そう言ってジークはこの世界の話をしてくれた。
かなり最初の歴史から離してくれて途中まで変わらなかった。決定的に違うのは今から約500年前。
リカメアとヤマトの間の海、そこに突然島が現れた。そこはのちに魔界と呼ばれ魔王と呼ばれる異界の王と魔物と呼ばれる異形の怪物が世界に現れた。
そこから長らく続く魔物との戦争。そして昨年、勇者と呼ばれる者に魔王が倒されたとか。
そしてその勇者と呼ばれる者の名が…。
「パトリック・ヴォルヴァドス…ねぇ…」
「そう…だから僕は君を疑っていたのさ」
と言っても証明できるものは何もない。ここは彼の言う通り今後は別の名前を名乗った方がいいだろう。
「ともかく私がこの世界に来たのは何故だろうな、このように姿すら変わって」
「最近はやっている読み物だと神様に呼ばれてとかあるけどね」
「悪いがその辺はさっぱりだ」
何かしらの理由があるのだろうか…?
今の所何もかもわかってないし…そう思っているとふと思い出したようにジークの視線が立てかけられた俺の愛銃に向けられる。
「そういえばあの魔導銃変な機構が付いていたけど何だい?」
「変な機構?」
少し変なカスタムはしているが別におかしい所はなかったと思うが…。
食事が終わりジークは少し席を外すと一丁の拳銃型の魔導銃を持ってきた。許可を貰い受け取る。
ぱっと見はおかしい所はない一般的にあったルガー型の魔導銃だが…。
「…!? 実弾機構がない…?」
渡された銃には実弾を発射するための機構が付いていなかった、動く部分と言えば引き金とエアショットとマジックバレットを切り替えるレバーぐらいだ。*3
…そうか、実弾機構は第三次世界大戦時に障壁の技術が向上したからヤマト国などが過去に開発した実銃から開発されたものだ。
世界大戦が起こっていないこの国では障壁の技術がそこまで向上していないのか…。
「ジツダン機構?」
「あぁ…この鉛で出来た弾丸を発射し殺傷力を上げるために付けられたものだ。相手の障壁に当たった後。ここに詰められている火薬と呼ばれる爆発する粉が炸裂しこの先端の弾頭が相手を射抜く」
俺は1マガジンだけ持っていた弾丸を一発だけ取り出して触れてはいけない部分を説明してジークに弾丸を渡す。ジークは物珍しそうに弾丸を眺めた。
「ジツダンもカヤクも知らないからとても新鮮だね…ともかくこれは使わない方がよさそうだ」
「そうだな、火薬も一般的ではないなら使うのは控えた方がいいか…」
存在はしていたはずだが魔導術の進化により廃れたか…?
それにしてもこれからどうすればいいのか…さっさと出ていくべきなのか…。
するとジークがこれ幸いと提案してくれた。
「よかったらしばらくこの家で過ごさないかい? いく所がないだろうしもうすぐ始まる僕の仕事も手伝ってほしくてね」
仕事は教会で怪我人の治療を主に行っているのだとか。
そうか、この世界だと衛生兵基地*4がないから教会が行っているのか。
それにしてもこの世界でも怪我人が多いんだな。
「その辺はまた話そう、それでこの提案を受け入れてもらえるかい?」
「喜んで、本当に今は目的すらないからな」
「…と、なると早急に名前が必要になるね」
「あー…それなら」
「…あれ、君見ない顔だね。ジーク先生の助手さんかい?」
教会にて怪我をした者にそう問いかけられ俺はこう答えた。
「お手伝いをさせていただいているノアです。よろしくお願いします」
とりあえず今の名前は「ノア」となった。
最初ウェンディ(さまよう人、放浪者)とかにしようと思ったけど
何かピンとこなかったので起動していたソシャゲから取りました