「ひひっ、お嬢ちゃん少しいいかい?」
ねっとりとした厭らしい声感じで声を掛けられる。
振り向くとニタニタと笑みを浮かべる『いかにも』な二人組の男達がいた。
薄汚れた服、拳銃型魔導銃のホルスターも見える。人気がないちょっと入った路地に入った途端これだ。
いや待てよ、普通なら声をかけずに行動を起こせばいいだけでわざわざ声をかける必要はない。
「…どうかされましたか?」
出来る限り笑顔で返す。向こうの笑みが深まった気がした。
二人組は笑いながらこちらへ近づいてくる。
「いやぁ…少し道を教えてほしくてねぇ」
「…残念ながら私もこちらに来たばかりで私も道も知らないんですよ」
二人組はどんどん距離を詰めてくる。見えないようにしているがホルスターから銃を抜こうとしているしこれは確定か。
「…知らなくてもいいよぉ」
「おじさん達についてきてくれれば…」
相手が銃をこちらに向けようとした瞬間に担いでいた銃を地面に落とし、一人ずつ相手の手首をひねりながら魔導銃を奪い遠くへと投げ捨てる。
ディスアームと呼ばれる技術だ。銃を取られた二人はあっけにとられたように固まる。
「へ?」
「はっ?」
「…フッ!」
そのまま地面に手を着き回転して二人組の顎を蹴り飛ばす。
二人はカクンと意識を飛ばし、地面へ倒れた。
「…ふぅ」
手をパンパンと叩き手に付いた汚れを落とす。
治安はいいと聞いていたがこういう輩はいるもんなんだな…。地面に落としていた銃を担ぎ直し倒れている二人を確認する。
ふむ…服はくたびれた浮浪者のようなもの、だが髪や爪は洗っていたのか妙に綺麗だ。普段洗い残すようなところまでしっかりと洗われている。たっぷりの水と長い時間を使って洗った証拠だ。
弾き飛ばした拳銃を確認する。コルト型のリボルバータイプ、粗悪品や中古でもなく新品同然のようだ。
なんともちぐはぐな奴らだ。しかし顔はツィード人ではないな、どこの国かは分からないが。
「どこかの潜入員か…しかし何故…? 戦争は長らく起っていないはずだが…火種作りか?」
子供を攫う目的は人売りか火種作りか身代金が主だが、俺を襲おうとしたってことは人売りの可能性が高いか?
とりあえず憲兵…の役割を担っている人に連絡した方がいいか?
表通りに戻ると交番という場所を教えられた、どうやらこの世界の憲兵は警察兵と呼ばれる存在らしい。
交番に駆け込み警察兵を連れて行くとその二人組は問題なく連れていかれた。とりあえず帰ったらジークに報告しないとな。日も落ちてきたし早く帰宅しよう。
「大変だったみたいだね。怪我はないかい?」
警察兵の付き添いで帰宅したらすでに帰宅していたようであったことを早速ジークに伝えるとどうやら俺が二人組を連れて交番で事情を説明していた頃にジークに警察兵から話していたようで俺は少し驚くような表情をした。
「あぁ、似たような事件はなかったのか?」
「うん、全くなかったよ。人さらいどころか事件すらろくにないぐらいだったからね。警察兵の人も驚いていたよ。ここでこんな事件が起きるのはこの仕事について初めてだって」
普段は酔っぱらいや喧嘩ぐらいでしか呼び出されないから人攫いと聞いて驚いたとのこと。そんなに田舎って訳でもないここでもそれぐらいしかないのか。ずいぶんと平和なようでいいことだ。俺のいたところだと毎日憲兵に引きずられていく罪人をよく見たものだが。
「ともかく一人で返してしまった僕の責任だね。申し訳ない」
「止めてくれ、見た目は10代そこらだが中身は30越えてるんだ、実際問題なかったしな。それよりも気になるのはその人攫いだ」
「あぁ、うちに来た時に聞いてみたけどどこから来たか誰なのかも一切口を割らないとか」
やはりどこかからか雇われた存在か…。しかし何故俺を?
誰でもよかったのか? いや、俺が首を突っ込むことでもないか。
「夕食にしよう。手伝ってくれるかい?」
「あぁ、分かったよ」
ちなみに夜は温かい
「俺はどうしたらいいんだろうなぁ…」
本日は教会の仕事がないらしくジークは用事があって外出している。
一応お金を少し貰っているから出かけようと思えば出来るがジークから「外出するなら表通りを歩いてね!」って口を酸っぱく言われたがどうするべきか…。
とりあえず言われた通り人の多い表通りを歩く、俺の知ってるフルハンクとはやはり違うな。
しばらく歩くと町の中心に来たらしくそこには銅像があった
【英雄 パトリック・ヴォルヴァドス】
少し若い頃の俺だな…、20代半ばぐらいの俺だ。
しかし魔王が倒されたのが去年と聞いたがもう銅像が作られるほどなのか。本も作られているし…。
そういえば、この世界の俺は何をしているんだろうか。
死んだのならその話が出るだろうし存命だとは思うが…。
「…会ってみたいかもな」
この世界のパトリック・ヴォルヴァドスに。
オリジナルって目的を上手く描けないから難しいな。