スローダンサーの奇妙な競走   作:アイソ

1 / 8
興味をもっていただきありがとうございます。

何番煎じかわからないかつ独自設定、独自解釈が含まれている上に拙い文章ですが最後まで読んでいただけたら幸いです。



スローダンサーの始まり

まずは僕スローダンサーのトレセン学園入学までの話をさせていただきたい。

 

僕スローダンサーは一般家庭の下に生まれた。

父はヒト、母はウマ娘。

そう、ウマ娘「スローダンサー」の誕生である。

 

 

 

そんな僕は時々夢を見る。

誰かと共に走った、そう、長い長い気の遠くなるような旅と呼ばれるものだった。

でも顔は覚えていない、まるで一部だけ真っ白に日焼けした写真やポスターのように。

そして夢から醒めたら決まって何を見たのか忘れてしまう。

まるで流れ星が燃え尽きるように。

ただ喪失感だけが残った。

 

 

 

 

 

 

父と母はアウトドアが好きだ。

キャンプはもちろんドライブで県外まで行くこともしばしばであった。

博物館や美術館も行った。

そこで見たものはキャンプで見た自然と違うようで共通した「美しさ」を感じた。

でも家の掃除を忘れるのは勘弁してほしい。「少しほっといてもいいんじゃあないか」

と話すがそれで僕のお気に入りの食器のインクが剥げて捨ててしまうハメになるのは

とても悲しかった。まだ両手で数えるくらいしか使ってないのに。

でも新しく買ってくれた。

 

 

 

そんなある日とあるレースを観戦した。どんなレースか忘れてしまったが自分より大きなウマ娘がゴールへと駆けていく姿は幼少ながらとても「美しい」と感じた。

誰かひとりではなく全てがたった1つのものを勝ち取るためにまるで重力に引っ張られるように熱と声と視線が集まる。

ゴールした時の歓声は僕を興奮の重力に引き込んだ。

その後、緑を基調とした勝負服を着たウマ娘がなにか丸い物と旗みたいなものを受け取った。盾と優勝レイと呼ばれるものだそうだ。

 

 

 

 

地域にはウマ娘向けのレースクラブがある。あの日から僕はレースをやってみたいと両親に話した。

両親はいい機会じゃあないかな?これも運命では?と同意を得ることができた。

入ってから最初は遅かった、誰も抜くことはできず悔しかった。コーチからの指導で少しずつ早くなり、クラブ以外の時間も早くなるように練習に費やした。そして初めて勝ったときは僕もそして両親も喜んでくれた。もっと頑張ろうと思った。夢で感じた喪失感はこれでなくすことができるんじゃあないかと思った。

 

ある日

 

「スローダンサーはもっといいところでやらせてみたらいかがでしょう?」

コーチからそんな言葉がでたのは僕がクラブに入って約2年のことであった。

 

「同じ時期に入った娘よりも早くなりましたし上級生に追いつく勢いですよ。破竹の勢いってヤツですよ。ここより上のクラブに推薦を出しますけど、やってみますか?」

 

コーチは両親にそう話した。確かにレースで負けることは少なくなったし負けてもせいぜい2,3着くらいだ。

 

「スロー、お前はどうしたい?父さんはどっちでもいいぞ、どっちを選んでも応援してるぞ。」

 

「そうね。近所の子と一緒にやってもいいし。もっと速く走るために上を目指していいわよ。」

 

とりあえずよく見るお決まりの『あなた!お金はどうするの!?』とか『子どもの将来のためにいいじゃあないか?!』とかがなさそうでよかった。

僕はいつかのレースを思い出した。あれに少しでも近づきたい。もっと速くなりたい。

そんなウマ娘の本能と呼ばれるものが飢えてるかのように叫んでいるような気がした。

 

「やってみたい。もっと速くなりたい...!」

 

自分の意志を両親に伝えた。が...。

 

 

 

1年後

 

 

 

 

「スローダンサーには才能があります!この娘はうちよりもっと上へ行けると思いますよ!」

 

いつか聞いた言葉がまた出てきた。確かにこの前のレースで勝つことはできたがハナ差と呼ばれるくらいギリギリだし、まだ指導が残っている。ようやくメンバーと仲良くできるようになって新しい靴でも買いに行こうと約束したばかりなのにそれを水泡に帰して吹き飛ばすようにコーチは話す。

「いっそのこと一番上のクラブに入ってみる気はありませんか!?推薦は出しますし、数カ月の無料体験もあります。場合によっては地方のトレセン学園に入学できますしその際にそれまでの入会費込みの費用も免除されますよ!いや!もしかしたら中央に入れる可能性も.....!」

そう長々と倍速で流されるビデオみたいに話すクラブのコーチ。

なんでも地方であるがトレセン学園出身らしい。

 

「「どォ~~する?」」

 

流石に今回は両親も困惑している。推薦してくれるのはありがたいがいきなり飛び級みたいなことを話されても『イイね』とはならなかった。

とりあえずその体験ってヤツに入ってみないとわからないので参加することにした。

 

「「「中学生ばっかりじゃあないか!!」」」

 

家族3人そう心の中で叫んだ。

なんだアこれは?自分より背が高いとか足が長いとかそんなレベルじゃあ断じてない

デカい。どこもかしこもデカい。

もはや感覚は大人と大差ナシ。これを推薦で入れようとしているのか?!一応高学年であるがそれでも大差がありすぎる。

一応練習も一緒にやらせていただいたが、まァ、ウン、ギリッギリついてこれるくらいだった。

まわりの人たちは「よくできたね!」とか「まだ小学生でしょ!?」と褒めてくれるが

覚えていない。

息を入れるのに精一杯だった、声より酸素が欲しいと感じたのはいつぶりだろうか...。

 

 

 

 

 

 

 

今は無理と判断した僕はそれからまた徐々に力をつけ改めて例のクラブに入った。

今度は2年かけて、そして...。

 

 

 

 

 

 

「いよいよだね。スロー。」

 

「うん。行ってくるよ母さん」

これからクラブ合同のレースが行われる。

ただのレースではないなんと、トレセン学園の関係者が来ているという。

ただのトレセンではない、かの天下の中央のトレセン学園が来ているとの

「噂」

が流れていた。そうただの「噂」である。

しかし、どちらにせよ勝ちに行くことには変わりない。

 

 

 

このレースでは各クラブの代表数名を集めたレースである。

距離は1,500m、本格的だ。

 

「負けないからね!スローちゃん!」

 

「今日こそは大差をつけて勝つ!」

 

このレースで走るチームメイトが今ゲート前で集まっている。チームメイトだが個人戦であるためライバルでもある。

 

「今日も僕が勝つ!」

 

互いに勝利宣言やどう走るのかを話している内に1人、また1人と係員に呼ばれゲートへと入ってゆく。

そして

 

「次、スローダンサーさん」

 

「はい」

 

僕が呼ばれたその時、これまでが走マ灯のように流れてきた。

初めてのレースでぼろ負けした時あの日。

初めて勝ったあの日。

ゲートをタイミングよく出られず、出遅れるばかりだったあの日。

練習に疲れて初めて帰った後、即入眠したあの日。

 

遠く長く険しい、小・中学生生活だった...。(まだ卒業ではない)

 

 

 

ゲートに入りスタートの体勢に入る。集中が高まっていくのを感じるとともに勝利への渇望も引き上げられていくのを感じる。

 

観客の声や実況・解説の声も聞こえるが頭に残らない。

 

 

ガシャン!

 

ゲートが開く、それに合わせて勢いよく駆けだす、出遅れることもあったが今回は遅れなかった。

広い目で自分の得意な位置にゆっくりと合わせる。

距離を半分越える、仕掛けるタイミングを見極めていく、

ガンマンが早打ち勝負を待つように。

抜け出す娘が出てきているがまだ行かない。

自身の「最速」をで勝負に出るために。

 

!!!

 

ここだ。

理性と本能が同時に合図を出す。

これまで苦手だった自身の最速のためのフォームで

全ての日々はこのために...!

 

スピードが上がってゆく、今なら何にでも追いつけるような気がする。

あの日観た「あのレースのウマ娘」にも

今でも夢で出てくる「あの人」にも

あらゆるものを自身という重力で引き寄せられるような、

そんな

感覚

 

 

 

 

 

結果は1着ッ!

絶好調からの勝利ほど自身に満たされるものはない。

 

歓声がようやく脳に刻まれていく。その中でも

 

「「スロー!!、おめでとう!!!」」

 

聞きなれているか、最前列にいるのか両親の喜ぶ声がひときわ聞こえる。

手を振ると勝者のアピールに見えたかさらに歓声が高まっていく。

まわりからもチームメイトだけじゃない、他のクラブのウマ娘達も

勝利を祝ってくれた。

この時ひときわあふれたのは

 

「っ...!ありがとう!みんな!本当に、...ありがとう!」

 

ただただ感謝を述べる。

それしか言葉が出なかった。

 

 

 

 

 

 

 

全てのレースが終了し閉会式も終わった後。

 

「スローダンサーさんとそのご家族でしょうか?」

 

家族とともに帰る準備を行っているときに1人の女性が声を掛けてきた。

 

「私は日本ウマ娘トレーニングセンター学園の者です。」

「中学校を卒業した後、高等部に編入しませんか?」

 

と名刺と共に彼女は名乗りを上げた。

そしてトレセン学園に編入しないかと提案された。

 

 

「噂」は「本当」だった。

 

そして、すべてが回り始める。

 




長文大変失礼しました。
次はトレセン学園編に入らせていただきます。

初めて書いてみてわかったこと、
書くのがすっごく難しいです。(雑)
これを最後までできる人は本当に尊敬します。
そりゃー途中で更新されなくなりますよね。
私もその1人になるかもしれません。(汗)

誤字脱字、読みやすさなどの報告、感想お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。