隣の席の柚木原さんは表面上だけ完璧美少女 作:あるふぁせんとーり
私が柚木原さんと初めて会ったのは、冬ヶ丘高校の入学式だった。いや、思い出してみると多分入試会場だったと思うけど、初めて私達が面識を持ったのは間違いなくあの入学式のこと。
「ここ、165番?」
「あ、そうだと思います、多分……」
開始時刻より15分くらい早く入場して席に座っていると、一人の女の子が私に話しかけてきた。髪も顔も、何もかもがびっくりするくらい綺麗な女の子。どうやら入学式の座席は受験番号順だったらしく、私は受験会場でも似たような姿を見かけたことを思い出した。試験時間中、彼女はだいぶぐっすりだったような気もしたけど。
そして彼女は私の隣に座り、「名前、聞いても良い?」と尋ねてきた。
「えっと……私は氷室咲楽。冬中出身です」
「冬中かぁ。私、柚木原彩花。出身は一中」
「一中……あ、高速道路の方の?」
「そうそう。だから丘高の方が近いんだよね」
取り留めもない、よくあるような初対面での会話。少し砕けたような感じだけど、違和感とか不躾さは感じなかった。顔が良いっていうのは、ある意味そういう才能なのかな、とか考えたりもした。
「じゃあ、柚木原さんも帰宅部だったんですか?」
「一応、クイズ研究会は入ってたけどね。後、敬語よりタメ口の方が良いな。せっかくの、高校入って初めての友達なんだから」
「ええっと、じゃあ……よろしくね、柚木原さん」
「うん。よろしく、氷室ちゃん」
思えば、この頃はまだ名字呼びだったっけ。それでも式が始まってからは静かにしていた辺り、ちゃんと猫を被ってたんだろうな、柚木原さん。
「ふふっ、こっちでも一緒だね、氷室ちゃん」
「そうみたい。奇遇だね」
柚木原さんの出席番号はクラスで一番後ろで、私もそこそこ後ろの方。式が終わって教室に移動すると、最後列の窓際と、最後列の窓際から2番目で教室の席も隣同士だった。クラス替えも席替えもない、そこだけは楽しみがない学校だったから、これから3年間ずっとお隣同士に決定。柚木原さんはすごく嬉しそうだったし、そんな顔を見てたら私も悪くないような気がした。
そして教室に移動してからもうしばらくして、担任の先生も入ってきた。メガネがよく似合う、気の強そうな女の先生。数学教師だという話は聞いていたから、皆も少し警戒というか、「怖い先生なのかな」くらいは思ってたと思うけど、そんな感情は彼女の「言っとくけど、この眼鏡は伊達よ」という一言目で打ち消された。
そんなこんなで進んでいく高校のオリエンテーション。隣の席の柚木原さんも静かにノートを取っている。私もちゃんと覚えとかないとな、とプリントに目を通していると、彼女はトントンと私の肩を叩いた。
「料理する豚、エースコック」
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