隣の席の柚木原さんは表面上だけ完璧美少女 作:あるふぁせんとーり
柚木原さんはものすごく勉強が出来る。模試でどこを書いてたってA判定割ってるのは見たことないし、でもまともに勉強してるのも見たことない。思い返すと、はじめっから柚木原さんはそんな感じだった。
「それじゃ、結果返すわよー」
一番最初の授業は、入学前に、入試とは別で受けた学力テストの返却。普通の試験というよりは、クイズみたいな知識問題だったり、あるいはIQテストみたいなのだったり。別に簡単じゃなかったけど、意外と面白い感じだった。
「ねえ、氷室ちゃん。どうだった?成績」
「どうって言われても……中の上くらいだよ。そういう柚木原さんは?」
「私は……ふふっ、上の上かなぁ」
「うわ、そういうの良くないよ、柚木原さん」
「いいじゃん、ちょっとくらい自慢したって」
「ほら、すごいんだよ?私」と言わんばかりの満面のドヤ顔で、口元を隠すように成績を見せてくる柚木原さん。話が合ったり、馬が合ったり、そもそも席が近かったりで、私達の距離は中々な速度で縮まっていた。そもそも私も柚木原さんも多少のコミュ障気味というか、まだお互い以外とはあんまり話してもいなかったし。
「1位、1位、1位、1位……すごいね、1ばっか。2進数みたい」
「それだと2^n-1位になっちゃうじゃん」
「あ、それもそっか。でもさ、柚木原さん、このテストだいぶマニアックな問題も多くなかった?「夏目漱石の名前の元となった故事を答えよ」とかさ。こんなんでよく満点取れたね?」
「実は私、中学時代はクイズ研究会だったんだ。割とおっきい大会で優勝したこともあるし」
「わ、ほんとに柚木原さんって何でも出来るんだね」
「後半のIQテストみたいなやつも?」と尋ねると、彼女は「もちもち」と紙をおいてダブルピース。これは自分が完璧美少女であると自覚してる立ち回りに違いない。けれどトトカマしてるよりずっと好感度は高いと思うし、大半の人がおんなじように感じると思う。柚木原さんはとにかく美少女なのだ。
「っていうかさ、こう言ってるけど氷室ちゃんだってだいぶ出来るよね?中の上とか言ってるけど、美術史なんて満点じゃん」
「まあ、それは趣味みたいなもんだし……覚えてただけだよ」
「それ持つ者の余裕だよ?」
そうケタケタ笑いながら言う柚木原さん。否定しても「どうだか〜」とその笑いを崩さない彼女はちょっとめんどくさいタイプだったりする。
「んー……あ、カプ厨のガリレオ、ガリレオ・マリレイ」
「柚木原さんマリレイ派なんだ」
「いやレイマリの方が好きかな。なんならマリアリが一番好き。氷室ちゃんは?」
「うーん、てるもこかな」
「わーお情熱的」
「意味が物理的すぎるよ柚木原さん」