隣の席の柚木原さんは表面上だけ完璧美少女   作:あるふぁせんとーり

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七言目:柚木原さんとクイズ

 冬ヶ丘高校では、中間考査が終わった辺りで文化祭の予習、あと部活動勧誘を兼ねた新人歓迎会みたいなのがある。

 文化部は気合の入った展示を作ってるし、運動部もグラウンドや中庭、テニスコートなんかに屋台を出したりしていて、私はいつものように柚木原さんと一緒に見て回っていた。

 

「ね、氷室ちゃん。氷室ちゃんって何か部活動入る?」

「うーん、私は帰宅部かなぁ。柚木原さんは何か入るの?」

「私も予定なーし。適当に回ろ適当に」

 

 そんな感じでたこ焼きやらチョコバナナやらを食べ歩きしつつ適当に見て回っていると、柚木原さんは「あ」と少し楽しそうな声を上げた。

 

「あれ、クイズ研究会?」

「うん。氷室ちゃん、ちょっとクイズしてこうよ」

「良いけど……私、そんな自信ないよ」

「カマトト?」

「そんなんじゃないって……」

 

 というわけでクイ研の教室に足を踏み入れた私達。

 中ではペアを組んでのボードクイズが行われていた。

 

「途中参加大丈夫ですか?」

「全然大丈夫ですよ!経験者グループと初心者グループどっちにしますか?」

「どうする?柚木原さん」

「そりゃ経験者グループでしょ。初狩りは駄目だよ」

「了解です!それじゃあ空いてる8番席の方に!」

 

 そして案内されると、どうやら今は5問目が終わったところらしい。

 答えが「マルクス・アウレリウス・アントニヌス」なあたりちゃんと難しそうだけれど、まあ経験者の柚木原さんもいるし大丈夫でしょ、と私は肩の力を抜いた。

 

「それじゃあ、第6問目!「電球の改良、実用化などで知られるエジソンは、研究所を構えた地名から『何の魔術師』と呼ばれた?」、お書きください!」

 

 問題文を読み終えると、20秒カウントダウンするクイ研部員。

 柚木原さんはホワイトボードにさらさらっとその答えを書き込んで伏せると、ヒソヒソ声で私に聞いてきた。

 

「ね、氷室ちゃん分かる?」

「うん、聞いたことあったから。『メンロパークの魔術師』、だよね?」

「お、せーかい」

「まあ流石にこれくらいなら……」

 

 そしてカウントダウンが終わり、全員がボードを見せると正解発表。

 その答えは当然『メンロパークの魔術師』で、分かってはいたけれど普通に正解できた嬉しさで柚木原さんとタッチした。

 

「続きまして第7問!「1973年のケンタ」」

「これセクレタリアトだ」

「食い気味だね柚木原さん」

 

◇◇◇

 

「どう、面白かった?クイズ」

「うん、結構楽しかったよ。意外と私でも知ってるようなこと多かったし」

 

 クイズ研究会を出るなりそう尋ねる柚木原さん。

 私がその質問に対して素直に頷くと、彼女は幸せそうに笑った。

 

「良かったぁ。ほら、私実はオタクだからさ」

「うん知ってる」

「そう、だから全然興味ないことに付き合わせてたり、全く面白くもない話に付き合わちゃってる可能性めちゃあるでしょ?それが怖くて怖くて」

「あはは、そんなこと気にしてたんだ。全然大丈夫だよ?私、柚木原さんの話好きだから」

「うわもうオタクに優しいギャルギャル抜きじゃん……」

「形容詞?」

 

 そんなやり取りをしていたところで、キーンコーンカーンコーンと新人歓迎会の終わりを告げるチャイムが鳴る。

 「あ、そうだ」と私は思い出して、柚木原さんに問いかけた。

 

「入るの?クイズ研究会」

「え、帰宅部確定だけど」

「……ま、柚木原さんならそう言うよね」

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