第二の戦場   作:ガチタン愛好者

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アイアム戦闘描写苦手


第二話~葦名流の戦い~

冬木郊外にある貨物港。閑静なはずのその場所は今夜に限り、何かが打ち付けられる金属音だけが響く

 

「くっ!」

 

「どうしたセイバー。そんなものか?」

 

「戯れ言を!」

 

方や靄に覆われたおおよそ剣らしき武器を振るう西洋風の女、方や両手に槍を携え、その美貌を隠しもせず戦う男。ランサーとセイバーが戦っていた。だが形勢はランサーに味方しているようだ。というのも

 

「片手が使えないだけでこうも…」

 

「降参するなら今のうちだが?」

 

「ほざけ!」

 

ランサーの呪いにより片手が使えず、防戦一方となるセイバー。だがそこへ乱入する者があった。

 

「「!」」

 

方や直感、方や積み上げた技巧にて凌ぐ。飛んできたのは槍と見間違える程の大矢

 

「誰だ!真剣勝負に水を差す者は!」

 

ゆら…と遠くより姿を見せる男、葦名弦一郎である。

 

「名を、名乗れと申すか」

 

「その気配、さてはバーサーカーか!」

 

「然り」

 

ゆらゆらと距離を詰める。先程の一撃を放った弓は背負われ、その手には禍々しい刀が一振

 

「我こそは!葦名弦一郎なり!」

 

名乗りを挙げ突撃する。まさか本当に名乗られるとは思いもよらず面食らうがそこはかつての英雄。互いに構え、弦一郎が斬り掛かったのは

 

「私か!」

 

ガキィン!

 

重い一撃。手負いから潰すのは道理であり、それ故弦一郎は握った不死斬りを袈裟懸けに振るう。だが相手は仮にもセイバー、こと剣の技量においては遥かに格上、それは片手を使えぬ不利を背負っても同じこと

 

「次はこちらから行くぞ!」

 

ガキィン!キィン!カァン!…

 

初太刀を含め四度刃を交えたところでセイバーの剣が僅かに届かず、隙を晒す。その隙を見逃す筈もなく、横一文字に一撃がセイバーに届く

 

「ぐぁ…貴様、さては…」

 

「見えぬ剣とてそこに有ることに変わりない」

 

見えぬ剣が完璧に見切られたことを意味する。本来セイバーの正体を隠すためであり、間合いの隠蔽は副次的な効果。だが効果的ではあり、現にランサーも多少慣れてはいるが完璧ではない。それを数回刃を交えただけで完璧に見切る弦一郎

 

「余程の猛者なのであろうな。だが間合いを見切られた程度でどうこうなる私では…!」

 

「許せ、セイバー」

 

完全に意識の外へ追いやっていたランサーの一撃。だが辛うじて凌ぐセイバー

 

「貴様!」

 

「令呪まで使われては騎士道も何もない。我がマスターはバーサーカーと共同でお前を倒せと仰せだ」

 

「おのれ!」

 

古来より、戦いに勝つ最も確実な方法は数的有利である。いかなる猛者とて、囲まれて四方より斬られては無力。それが猛者ならばなおのこと。セイバーの命運もこれまで…

 

「Alalalalalalalalalaaaaaaaai!」

 

ではなかった。突如として雷を纏いし牛が2頭。それに牽かれた戦車が突っ込んできた。赤毛の大男が雄叫びを添えて

 

「「くっ!」」

 

セイバーとランサーは避けるも、哀れマトモに食らってしまった弦一郎は

 

「ぶぇ!」

 

華麗な放物線を描き頭から地面に突き刺さり、動かなくなった。赤毛の大男はそれを一瞥し

 

「情けない奴だなぁ」

 

そう言い残し

 

「我が名は征服王イスカンダル!此度の戦争においてはライダーのクラスで参上した!」

 

高らかに名乗った

 

「何を考えてやがりますかこのバカはぁ!」

 

哀れな男はここにも。大男の足元で情けなく喚く少年。恐らくはマスターか

 

「むぅ、これで余とそこで延びておる者を含めて4人のサーヴァントか…」

 

少年の抗議を完全に無視して周りを見回す大男。すると

 

「他にもおるであろう!こそこそと姿を隠しておる者が!」

 

 「尚も顔見せを恥じるような臆病者は!征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れぇ!」 

 

空気が震えた。そしてそのような見え透いた挑発に乗るものなど

 

「ほう、この我を差し置いて王を名乗るものが現れるとはな…」

 

いた。黄金の鎧に身を包んだ金髪の男が一人。街灯の上に佇み、溢れ出るオーラを隠しもしないその姿は明らかに大英雄のそれだ

 

「そして…そこの雑種。誰の許可を得て我を見ている?」

 

「!」

 

ダメージから立ち直り、立ち上がった弦一郎は偶然にもその男と目を合わせてしまう。その瞬間

 

ガキキキキィン!

 

4つの黄金に輝く武具が撃ち放たれた。それを驚きはするも完璧に弾く弦一郎。弾く。それは相手の攻撃が掠める瞬間に僅かに刃を沿わせ、受け流し、弾く技術。葦名の地ではそこいらの足軽でさえも使えるありふれた技術だが、熟練者ともなればあらゆる攻撃を無傷で凌ぐという。

 

「ほう、凌ぐか。む」

 

カーン…

 

虚しい金属音の正体は弦一郎の放った大矢。常人ならば体が肉片となる一撃も、黄金の鎧の前では無力

 

「フハハハ!そんなありふれた矢が我に通用するとでも思ったか?」

 

慢心しているのか先程の武具を撃ち放つ攻撃を止め、高らかに笑う男。だが弦一郎は次の一手を放つ

 

「ただの矢が効かぬなら…」

 

その場で高く跳躍する。おもむろに構えた弓矢に突如として天より雷が降り注ぐ

 

"かつて葦名に、あやかしきたり"

 

「むん!」

 

弓矢がバチバチと電撃を纏う

 

"あやかしの雷は、源の神鳴り"

 

「はぁ!」

 

神の雷を纏った矢が男を襲う。しかし

 

「面白い技を使うな。だが、」

 

黄金の揺らぎより姿を見せるのは一枚の鏡。飛来物を反射させる逸話を持つそれは

 

「そら、返してやろう」

 

神の雷をそっくりそのまま弦一郎へ返す。自らが放った雷を前にして弦一郎は冷静だった。再び高く舞い

 

"源の神鳴り

神業無くば、弾き返せぬ"

 

「むん!」

 

不死斬りを高々と構え

 

"即ち、地に足つけぬ、雷返しなり"

 

その刀身で雷を受け止め、空中でそのまま振り抜いた。神の雷は再び男を襲い

 

「何!?」

 

雷返し返しを想定していなかった男はその雷を一身に浴び、街灯より落下、体が痺れてろくに受け身も取れず無様を晒したせいかプライドが強かに傷つけられたらしい

 

「おのれ…この我を同じ地の上に立たせるかぁ!」

 

怒りに任せて開かれし黄金の揺らぎは数十に及ぶ。だが

 

「ここで引けと言うか。高くつくぞ」

 

マスターから止められたのか揺らぎを閉じ、踵を返す。

 

「次に我が出るまでに間引きを済ませておけ、雑種。我と戦うのは偉大なる英雄のみよ」

 

そう言い残して

 

 

 

★★★

 

 

 

赤毛の大男と黄金の男の乱入により、興が削がれたこと、朝日も見え始めたことによってそのまま戦闘はお開きとなった。弦一郎も拠点へ引き揚げる。結局誰も倒せなかったが得られたものは多い

 

「我が主、ひとまずセイバー、ランサー、ライダー及びクラス不明の男と交戦、ある程度の情報を持ち帰った」

 

「聞こう」

 

「まずはセイバー、見えぬ剣を用いるが長さは2尺4寸といったところ。恐らくは宝具を隠すためか。ランサーは二振りの槍を使う。呪いの類いか傷が治らぬらしい。ライダーは…あの戦車は驚異だ。最後に戦った黄金の男はあの撃ち放たれる武具こそ強力だが弾ける上に性格に難があると見た」

 

「ふむ…」

 

弦一郎とて元は一心より国を引き継いだ城主。敵の分析や戦略立ては慣れたものだ

 

「これを踏まえて今後はどう立ち回る。我が主」

 

「桜ちゃんを救うためにはなるべく早く聖杯を勝ち取らないといけない。今こうしている時も桜ちゃんは苦しんでいる」

 

「同じく、早く聖杯を勝ち取ることに異義はない。だが相手も一騎当千の英雄。生半可な用意では勝てぬ」

 

「あぁ」

 

「加えて未だに正体が見えぬアサシン、キャスターも気になる…となるとあの黄金の男はアーチャーと見るのが自然か」

 

「バーサーカーはどう思う」

 

「各個撃破が理想だ。落とすとすればセイバーかライダーか」

 

「なぜ?」

 

「呪いというのは術者を倒せば良いのが通説だ。となればセイバーより先にランサーを倒す道理はない。ライダーに関しては主が貧弱と見た。そこを突く」

 

「なるほど」

 

「だが俺も我が主も偵察の手段がない。せめて寄鷹衆がいれば…無い物ねだりだな。なら戦闘が起こり次第向かい、乱入で漁夫の利を狙うとしよう」

 

「あぁ、それでいこう。じゃあ」

 

「「葦名/桜ちゃんの為に!」」

 

 

 

 




冷静に考えてラスボスでさえも倒せる存在を、うっかりミスひとつで窮地に追い込める雑魚モブがそこいらに蔓延ってる葦名やべぇです。当たり前のように攻撃を弾くし
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