砂漠の特異物捜索隊ーーレムナンツ回収班ーー   作:やさかみ

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二話目にしてレムナンツ回収を行わないタイトル詐欺。怒られちゃうね。


休み中の買い出し前

第一話

 自分たちの仕事は日が登ってすぐに始まるわけではない。

朝日が登ればすぐに行くという訳でもなく、日が上ってからある程度の時間は基本待機なのだ。

その理由としてあげられるのは主に化け物だ。化け物共は日が登ったら全ていなくなるというわけではない。日が上がる前にいなくなる奴もいれば、日が上がってからもしばらくは残っている奴もいる。自分たちはそいつらが遠目で確認されなくなってから現場に向かうのだ。

 

「リーダー。どんな感じですかー?」

「うーむ。なんかよくない感じだな。残党がいそうだ。」

 

 そして、当然ながら環境は毎日自分たちに都合がいいわけではない。日が登ってもいつまでも残っている化け物がたまにいるのだ。なので毎日行けるわけではない。

 日が登っても残ってる奴らだけならば、数も夜に比べ少ないし、比較的弱い個体が多いので自分たちでも討伐はできる。しかし、稀に群れ単位で残っていたり強い奴が残っていたりする。そんな奴らが残っていると命の危険もあるが、ただでさえ探しにくいレムナンツが場を荒らされ邪魔をされ余計に捜索しにくいのだ。リスクとリターンが釣り合わなくなる。まだ幼いササもいるうちはあまりそういう時はいかないようにしている。

 

「午後も無理そうですか?」

「うーむ。あれくらいなら装備積んでいけばどうにかなりそうだし、午後になればいなくなってるとは思う」

「ならいきます?」

「いや、今日はやめとく。テルノも回収した特異物の鑑定とかしたいだろうし用もあるしちょうどいいだろ。うちは切羽詰まってる訳でもないしな。今日はナシだ。」

「あいあいさー。」

 

 化け物が昼までたくさん残っていることはたまにある。しかし、それだけ化け物が残っているときは通常日よりも異変が発生する可能性が高いのだ。元の居場所に強大な存在が現れたとか、とてつもない現象が発生したとか。危険というのは目に見える化け物だけではない。目に見えない隠れた脅威や砂嵐などの自然現象も存在する。

 

「そんじゃ今日はフリーで?それとも何かすることあります?」

「そうだなぁ。今日はみんなで何かしないといけないこととかないし…まぁフリーでいいだろ。俺は買い出しにでも行くわ。」

「自分もついていっていいですか?」

「おうよ。荷物持ちにしてやるから覚悟しとけ。」

「はい。あ、皆にフリーってこと伝えときますねー」

「頼んだー!」

 

 そんな日は翌日に備えての準備をしたり、休日のように過ごしたりとそれぞれ自由行動となる。

 高台にいるリーダーを尻目に皆に伝えに行く。皆にはざっくりは伝声管で伝えるが、どうせサイカは寝ているので今日はフリーのお札をわかりやすいところにかけておく。わざわざ起こす必要はない。

 

 伝声管で今日はフリーということを伝えるだけ伝える。なんとなくだが全員寝ているか、作業に熱中して気づかないような気がするが、まぁ形式的にだ。仮にそうだったとしてもわかりやすいところにフリーの札をかけておけば起きた時に気づくだろう。これで残っている奴らのことは考えなくてもいい。

 

 札をかけ終わり、ガレージに行く。買い出しは車で行くので車が行ける状態か一応見ておく。床で寝ているテルノがいた。あまりにもガレージに籠るからという理由で置かれた安眠マットの上にすら寝ていない。触ると起こしてしまいそうなので布団をかけておく。

 そんなテルノを尻目に車にガソリンが入っているかを確認する。ガソリンメーターによるとタンクには3割くらいのガソリンが入っているらしい。買い出しに行くくらいならいけそうだが、一応補給することにした。ガソリンボトルにノズルをつけ、車のガソリン補給口の蓋を開ける。そこにノズルの先をを突き刺し、シュポシュポしてガソリンをタンクに注入する。大体タンク8割か9割くらいになるとガソリンを注ぐのを止める。

 ガソリン補給口の蓋を閉じて片付けをしていると、布が擦れるような音がした。その方向を見ると、テルノが体を起こして目をゴシゴシしていた。作業の音のせいか起きてしまったらしい。

 

「ルータおはよ。」

「おはよう。聞こえてなかったと思うから言っとくけど今日フリーだから。」

「おーけー。…ルータ、今日はどこかいくの??」

「ん?まぁ行くけど、リーダーと一緒に。」

「欲しいものメモに書くから少し待って」

「すぐには行かないから渡すの後でいい。テルノはこないのか?」

「私にはこの子らを見る義務がある。」

 

 テルノのすぐ近くには特異物や残骸やらが置いてある。どうやら昨夜に続いて今日も見る気らしい。好奇心旺盛なのはいいがちゃんとした寝床で寝て欲しい物だ。最近改善してきたが、また簡単栄養補給と称してなんでもミキサーしないかが心配だ。別に本人がいいのならそれでもいいのだが、形ある状態で食べて欲しいという気持ちがある。そんな気持ちが顔に出ていたのか、テルノに言われる。

 

「そんな顔しなくても今日はちゃんと食べる。カレーあるし」

「カレー飲む気だったりしない?」

「ルータは私をなんだと思ってるの。」

「いや別に。」

 

 テルノから逃げるように車の用を済ませてガレージから出る。いつくらいから出発するとか聞いていなかったが午前中にいくのだろうか。そんなことを考えながら朝ごはん分のカレーを出して温める。そういえばリーダーはどこに行ったのだろうか。流石にまだ高台から降りてないということはないだろう。

カレーをことこと温めていると、階段から足音がした。一瞬リーダーかと思ったが足音の特徴を考えるとその正体はササだろう。

 

「おはよーるーたー」

「おはよーさん。」

 

 パジャマ姿のササが目をこすりながら降りてきた。眠った時に抱いていたのかぬいぐるみのワーミーちゃんを抱いている。

 

「るーたー。きょうはいくのー?」

「今日はないぞ。フリーだ。札にも書いてあっただろ?」

「そだっけ。」

 

 まだ眠たいのか「ふわぁ」とあくびをしている。

 

「るーたはきょうなにするのー?」

「リーダーと買い出し」

「でーと?わたしもいくー」

「デートじゃないし、仮にデートだとしたら一緒に言っちゃダメだろ。」

「なんでー?みんなのほうがたのしいじゃん」

「お前さてはデートが何かわかってないだろ」

「うーん。…zzz」

「寝るな寝るな」

 

 まだ眠たそうなササは体をゆらゆら揺らしながら寝そうになっていた。せっかくここまで来たのだからこのままは寝させはしない。起こして顔を洗いに向かわせる。行ったのを見届けてカレーを温めに戻る。

 トコトコとかき混ぜながら温め、ササのデートの知識の出所はどこかと考える。瞬時に元凶はサイカという結論に辿り着いた。サイカは自分と出かける時に「デートやなぁ。」とか言うので、それをササと2人の時にも言ったのだろう。そして疑問に思ったササに色々雑に説明したに違いない。

 

 温めたカレーを皿によそう。ササとテルノの分もよそう。ササの分は洗顔が終わったらすぐ来ると思うので机に置いておき、テルノの分はガレージまでカレー運ぶ。多分だがテルノはここにはこない。サイカはどうせ、「起こされへんってことは今日はフリーやな。そなこのまま寝といたろー。」みたいなふうに昼まで寝るので用意しない。

 

 

 

「いただきます!」

「いただきます。」

「いただきます」

 この場には3人いた。自分とササとテルノだ。テルノはどうせ来ないので皿を持って行こうと思っていたのだが、予想外にもこちらに来たのだ。

 

「テルノはなんでこっち来たんだ?ガレージに籠るもんかと。」

「解析難航中。たまにはリフレッシュ必要。気分一変化視点解析成功v。」

「なるほど。」

「ルータカレーおかわり!」

「ほいほい。」

 

 口元を茶色に染めたササに空になった皿を渡されたのでカレーをよそう。

 

「ルータ。私にも。」

「ほいほい。」

 

 さっさとどっかにいくと思っていたテルノは意外にもおかわりを要求してきた。昨日のようにすぐに戻ると思ったのだが、本当にリフレッシュをする気なのだろうか。

 

「1日籠るんだから栄養必要。」

「なるほど。つまり朝飯のうちに昼飯の分も食べちまおうと?」

「夜の分も。」

「せめて晩飯はちゃんと食べてくれ。」

 

 全てを強制する気はないので昼飯を抜くのは許すが、全て許してしまえば堕落していきそうなので最低限は止める。

 

「ルータは私のお母さんか」

「誰が母じゃ。」

「まぁりょうかい、ちゃんと夜ご飯飲むから」

「ミキサーする気だな?」

 

 テルノはなんでもかんでもミキサーにかけてジュースにしてしまう悪癖が存在する。自分は彼女によって作られるミキサージュースは人が食事として飲むものに思えない。彼女は野菜や果物にとどまらず、肉まで液状にする。美味しく食べてもらおうと焼いた肉がサラダやミルク、パンと共にミキサーにかけられた時の衝撃はとてつもない。

 

「私は飲めるよ。」

「やめろやめろ。」

「ルータおかわり!」

 

 また全てを食べ切ったササはおかわりを求めてきた。リーダーの分が残るか心配である。

 

 

 

 

 

「ご馳走様でした。」

 カレーを食べ終わり、3人の分の皿を片付けているとリーダーが戻ってきた。

「今戻ったぞー。」

「おかえりなさい。どこ行ってたんですか?」

「ちょっと同業者と情報共有に。今日砂漠に行くのかとかな。」

「なるほど、それで行く人とかいました?」

「おう。結構いたぞ?」

 

 ちなみに、自分たちはレムスターの中でも安全主義のチームだ。無理しないといけない状況であったり特殊な状況でなければ無理をしない。うちはだいたいこんなスタイル。

 

「おっ、カレーあたためてくれたのか?」

「はい。リーダーの分よそいましょうか?」

「頼む、ありがとな。」

 

 リーダーの分のカレーをよそい、リーダーに渡す。リーダーは手を合わせていただきます。と言って食べ始めた。

「そういえばあいつらは食ったのか?」

「テルノとササはちゃんと食べたよ。サイカはまだ。見てないから多分まだ寝てる。」

「まぁサイカは予想通りだな。」

「そうですね。」

 

 リーダーは結構食べるスピードが早い。口も体も大きいので納得の早さである。しかし、うちで早食い競争を行った場合一番速いのはリーダーではない。意外にも一番速いのはテルノである。ササの次に小さな体躯であるのにテルノは一番体躯の大きいリーダーよりも早く食べることができるのだ。ちなみに早食い競争でリーダーは3位である。2位はササ。4位サイカで最下位自分。

 

「ごちそうさまでした。」

「そういえば、いつくらいに買い出し行くんですか?」

「俺はいつでもいいが、ルータはいつがいいとかあるか?ないならこのあと行こうと思うんだが。」

「ないですね。いつでもいいです。」

「そうか。ならちょっと待っててくれ。準備してくる。」

 自分はなんとなく自分を見る。今の自分が来ているのは昨夜の寝巻きのままだ。昨夜の寝巻きはジャージであり、別に外出できないような服装ではないが着替えておいた方がいいか。

「自分も着替えたりしないと」

「そうか。なら準備できしだいガレージ集合な。」

「了解です。」

 その場は解散となり、各々の部屋に行く。

 

 

 

 核周砂漠に行く服装と街に行く服装は違う。核周砂漠に行く時の服装はそれ用につくられた機能などがしっかりついたものだ。今は必要ないので普通に普段着を着る。

 着終わると財布やら水筒やらをカバンに入れ、準備ができたのでカバンを持ってガレージに行く。

 

 

 ガレージに行く途中、まだ寝巻き姿であるササに出会った。

「ルータどこかいくのー?」

「リーダーと買い出し、この会話さっきもしたな。」

「デートだねー。私も行くー」

「お前さてはあの時の記憶ないな?」

「???」

 ササは俺が言っていることの意味を理解できないのか首を傾げている。サラサラな髪が重力に従い首のように斜めにならず垂直に落ちて髪に掛かっていた。目に少し掛かっている。しかし、アホ毛はたくましく重量に抗っているようだ。

「まぁいいか。いいか?ササ。デートってのは男女が2人揃って日時を決めていくもんだ。ただただ出かけるのはデートって言わないんだよ。」

「そうなのー?」

「そうなの」

「そっかー」

 ササは納得したように首を戻した。本当に納得したのかは彼女にしかわからない。

「買い出しいついくのー?」

「このあとすぐ」

「!いそいできがえてくるー」

「走らんくてもい…いっちゃった。」

 止めることもできずに走り出していったササを見届け、ガレージに行く。

リーダーにササも行くことを伝えなければ。

 

 

 後半に続く。

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