プリンの騎士   作:ガンダムラザーニャ

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活動報告でアウトサイダーズの企画に参加したい方を募集しております。
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夢野飛羽真さんが企画しているシリーズハーメルン・アウトサイダーズです


フェイクライダー

「ユノ?ユノじゃないか!」

 

「えっ?」

 

「は?」

 

男が突然、ユノに話し掛けて、詰め寄ってきた。

 

「どうしたんだユノ!そんなにオドオドして!それに髪も青いし、メガネも掛けて!」

 

「ひっ!いやっ、その…!」

 

詰め寄られた挙句、不用意に髪を触られたりして、ユノは食べてたプリンの入った瓶を落としてしまい割れてしまう。

 

「ユノ、どうした?そんなに怯えて?俺のことが分かるか?ほら、マサトだ!あんなに仲良かったじゃないか!」

 

「や、やめてぇ…っ!」

 

と、涙目になりながら俺に助けを求めるユノ。このままじゃ埒が明かないので、俺が止めに入る。

 

「おいお前、そいつが嫌がってるだろ。何者から知らんしどうでも良いが、不用意に触れてんじゃねぇよ」

 

「な、なんだお前は!ユノの何なんだ!」

 

「俺はこいつの友達だ。で?お前は誰だ?」

 

「俺はマサトだ!ユノの恋人なんだ!」

 

「その割には、随分と怯えられてるみたいだが?」

 

「そ、それは……」

 

と、マサトはユノに視線を向ける。するとユノは、俺の後ろに隠れてしまった。

 

「な?こんな様子じゃ、恋人ってのも怪しいな?」

 

「う……っ!だ、だが!俺は確かにユノと!」

 

「あーもう良いよ。とにかくユノに近付くな」

 

「くっ……!」

 

俺がそう言うとマサトとかいう男は、俺の胸ぐらを掴んだ。

 

「お前か!お前がユノをこんな風にしたこか!?」

 

「は?いきなり何なんだ?」

 

「とぼけるな!!お前が、ユノをこんな暗い女の子にしたんだろ!!」

 

「お前こそユノの何を知ってるんだよ」

 

「そんなものは決まってる…!ユノは太陽みたいに輝く金髪の、光みたいに明るい女なんだ!それをお前が!!!」

 

「…あぁー」

 

こいつの話に、俺は思わず嗤ってしまう。恋人とか抜かしときながら、ユノのこと、何も知らないんだなって。

 

要するこのマサトってやつは、ミミックストーンで擬態して演技しながら逃げ回ってた時のユノと知り合いだったってことだろ。

 

でも、こいつに本当のことを教えるのはミミックストーンのことも教えることになるし、何より協会の掟に背いちまうから言うわけないがな。

 

「…お前、何笑ってるんだ…?やはりお前がユノを!!」

 

「いやいや、お前があまりにもすっごい人違いしてるんで、思わず笑っちまったんだ。悪いな」

 

「何ぃ……っ!」

 

俺が煽るように言うと、俺はマサトを壁に突き飛ばした。

 

「がはっ!」

 

「これ以上付き纏うなよ、怠いし」

 

やつは血走った目で俺を睨みつけると。

 

「お前…!そんなに死にたいらしいな…!」

 

懐から、無機質な籠手とカードを取り出した。

 

「お前、それは」

 

「俺はそこら辺の奴らとは違う。望み通りにしてやるっ!!

 

…変身!」

 

【FAKE RIDE KAIXA!】

 

カードを装填した籠手を構えると、頭上から大きいカードが出現し、奴を擦り抜ける。

 

【COMPLETE】

 

それと同時に奴の体にいくつもの光の線が走り、それらが鎧となり、装甲となり、奴の体を包み、頭全体を覆う仮面にはXの字を象ったものとなる。

 

「フェイク、ライダー…か。これが」

 

「知ってるのか、俺のこの姿を」

 

「噂で存在を聞いただけだ。こうして見るのは初めてだがな」

 

噂で聞いたことがある。フェイクライダー、無機質な籠手と仮面の戦士が描かれたカードで変身する戦士。

 

「まさか、お前がそういう存在だったとはな」

 

「ふっ、そうか。…じゃあそろそろ、死んでもらおうかな?」

 

凄まじい殺気と共に俺に殴り掛かってくるその拳を受け止める。

 

「ぐっ、強いな」

 

「ラ、ラキア…ッ!」

 

「ユノ下がれ!こいつは俺が何とかする!」

 

「う、うん!ラキアも、気を付けて!」

 

攻撃を止めてる間にユノはどこかへ走り去る。それを追おうとするが俺が押さえつける。

 

「ぐっ!」

 

「お前の相手は俺だ」

 

奴を蹴り飛ばす形で距離を取り、俺は直ぐ様ヴラスタムギアを腰に装着し、どっプリンゴチゾウをセットし、奴を睨みつけながら髪を軽く弄る。

 

《カップオン》

 

「変身」

 

《プディング ヴラムシステム》

 

ヴラスタムギアのレバーを下ろし、ヴラムに変身した俺は、奴が攻撃をするよりも早く襟元を掴み、誰も巻き込まない場所に勢いよく投げつけた。

 

奴は地面を転がり、すぐに立ち上がりこっちを見てくる。

 

「お前、その姿は…、仮面ライダーか!」

 

「仮面ライダー…?

 

さぁな、俺もよく知らん。だが、ユノに危害を加えるなら容赦しねぇよ」

 

「貴様…!ユノをあんな姿にしておいて言うことがそれか!!」

 

【READY】

 

腰のベルトから何やらカードよりも薄い板を取り出すと、腰の右側につけた何かしらの武器に装填する。すると持ち手の下部から光り輝く刃が姿を現した。

 

奴はそれを構えると地面を蹴り一気に距離を詰めてくる。

 

「死ねっ!」

 

「……ッ!」

 

《ヴラムブレイカー》

 

咄嗟にヴラムブレイカーで攻撃を防ぎ、至近距離で奴を射抜く。

 

「がはっ!」

 

吹き飛んだ奴に立て続けに撃ち込むが、奴は直ぐ様転がりながら避けて、体制を立て直す。

 

「はぁぁ!!」

 

武器から光線を撃ちながら肉薄してくる奴に対し、俺は軽く避けながらヴラムブレイカーの先端を展開する。魔導鎖鋸を思わせる刃が鎌として展開されたヴラムブレイカーを振るい、奴と斬り合いを始める。

 

「はぁぁぁ!!」

 

奴が斬撃を繰り出すと同時に、俺も振るう。お互いの刃がぶつかり合い、激しく火花が散る。

 

「お前みたいな男がいるから!ユノはあんなにも暗くなってしまったんだ!!」

 

「お前の言うユノとあいつは別人だ。あいつにお前のそれを押し付けるな」

 

「違う!あの娘は間違いなくユノだ!!あんなにも太陽の様に輝いていた彼女が!今となってはあんなにも暗く染まった!!お前がいなければ!!」

 

「人違いも大概にしろよ、怠いんだよお前みたいな奴は」

 

いい加減しつこくなった俺は奴の武器を弾き、胴体を蹴り上げる。

 

「ぐはっ……!」

 

吹っ飛ぶ奴にヴラムブレイカーの矢を撃ち込みながら肉薄し、至近距離で斬撃を叩き込む。

 

「がはっ……!」

 

「どうした?大した攻撃じゃなかったと思うんだが?」

 

「くっ……!」

 

「まともにやり合っても勝てないか?」

 

俺の挑発に奴は一瞬表情を険しくする。

 

「調子に乗るな……っ!そんな態度を取っていられるのも今の内だぞ……!」

 

奴は立ち上がり他の武器を構える。拳に嵌めて殴るタイプの武器だ。

 

【READY】

 

【EXCEED CHARGE】

 

「らぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

奴は拳を構え、一直線に殴りかかろうとする。

 

「ふっ」

 

拳が当たり前に、ヴラムブレイカーで地面を大きく抉りながら土埃を上げて、奴の視界を奪う。

 

「うっ、目がっ」

 

【セット】

 

直ぐ様どっプリンゴチゾウをヴラムブレイカーに装填し、レバーを3回引く。

 

【ヴラムスラッシュ】

 

ブゥン!!と勢いよく回転するヴラムブレイカーで、奴を斬りつける。

 

「がはっ!!」

 

装甲が剥がれ落ち、変身解除しながら地面に叩きつけた。奴が変身に使った籠手は手元から遠くに吹き飛び、そのまま火花を散らして粉々に砕け散り、カードは砂のように風に舞って消えていった。

 

「がはっ!ぐっ、うぅ……!」

 

「ここまでだな。あれがなくなったらお前はもう変身できないだろ?」

 

「まだ……!まだ俺はやれる!」

 

「無駄だ。諦めろ」

 

「くっ!」

 

俺は奴の首元にヴラムブレイカーを突き付けた。

 

「まだ戦う気なら命を取る」

 

「っ!……っ!」

 

俺のその言葉を聞いて、奴は悔しそうに拳を握りしめる。俺は呆れた様子で変身を解除する。

 

「いい加減気づけよ。あいつはお前の知ってるユノじゃない。別の人間だ」

 

「違う!ユノは確かに彼女だ!だからこそ!」

 

「だからこそ?俺が邪魔なのか?お前こそ人違いも甚だしいな」

 

「そんなことはない!ユノはユノだ!!」

 

「……」

 

俺は無言で奴の胸倉を掴み持ち上げる。

 

「お前に何がわかる…!」

 

「は?」

 

「ユノは、ユノはな…!俺の母になってくれるかもしれない女なんだ…!俺をっ、救ってくれるかもしれない女なんだ!!」

 

「だとしてもだ、お前のクソデカ感情としょうもない勘違いでユノを傷付けんな」

 

「ぐっ……!」

 

「マサトくん!!」

 

「…え?」

 

「ん?」

 

こいつが今まさに俺に掴みかかろうとした時に、誰かが走ってきた。よく見れば擬態したユノだ。

 

「そこのあなた!マサトくんを放して!」

 

「はぁ…、ようやくマシな奴が出てきたか」

 

「うわっ!」

 

言われた通り、こいつを放してやった。尻もちをついたがそんなことは知らん。

 

「大丈夫マサトくん!?」

 

「ユ、ユノ…、なのか?だって、君はさっき」

 

「何言ってるの、私は今旅でこの街に来たところで、何か音がしたから来てみたら、マサトくんがこの人に殴られてて…!」

 

「弁解ぐらいはさせろよ。こいつが俺の連れとお前が似てたからって詰め寄ってきたし、襲われたからシメてただけだ」

 

「襲われた……?あなた何言ってるの?マサトくんがそんなことするわけないよ!」

 

と、ユノが俺を睨みつける。

 

「マサトくんは、とても優しい人なんだよ!確かに思い込みは激しいけど、村にいた時に私のこと良くしてくれたし!」

 

「はっ、だとしたら悪かったな。…で?肝心のお前はご指名が来てから黙り込んでるみたいだが、何とか言ったらどうなんだ?」

 

と、俺はマサトを見下ろす。よく見れば、顔が真っ青になっていた。

 

「ほ、本当に、ユノだったんだ、君は…。だ、だとしたら俺は、あの子になんて酷いことを…!」

 

「ようやく気付いたかよ」

 

「すまなかった!!俺は、俺は自分の思い込みのせいで、お前の連れに、あんなことを…!」

 

「マ、マサトくん…」

 

自分の過ちに気付いたとばかりに土下座をするマサト。それを見てユノは驚いた顔をしている。

 

「彼女には、ちゃんと謝りに行く!せ、せめて、誠意だけでも示したいんだ!」

 

「よせ、あいつは元から人見知りが激しいんだ。謝罪してくれたってだけでも俺が伝えていてやるよ」

 

「……いや、やはり俺自身の口から言わせてくれ!謝らせて欲しいんだ!」

 

「マサトくん……!」

 

ユノが嬉しそうな顔をしているのを見て、こいつが本心から謝るつもりでいるのが伝わってくる。だから、俺も許そうと思う。

 

「その誠意を見せてくれるだけでも十分だ。やっぱり俺が伝えといてやるよ。それにまたお前が来たとかで怯えられても困るし」

 

「……そうか、わかったよ」

 

「それと、俺の方こそ悪かったな。あんたのことそこまでボコして。正直加減とか苦手だったんだ」

 

「いや……いいんだ」

 

「行こう、マサトくん…」

 

マサトはユノと共にこの場を去っていった。

 

「さて、あいつが戻ってくるまで馬車で待ってるか」

 

俺は戻って、馬車の点検をしているとユノが戻ってきて、近くに誰もいないことを確認してから擬態を解く。

 

「遅くなって、ごめん…。それと、演技だったとはいえ、あんなこと言って、ごめんなさい」

 

「気にすんな、無事戻ってきてくれて良かった。それよりもあいつはもう良いのか?」

 

「マサトくん…のこと、だよね?…うん、あの人は明るい私の恋人になりたいって言ってきたけど、私は色んな世界で色んな人たちと触れ合いたいからって、断ってきた」

 

「そうか。その様子だとあいつもすんなり引き下がった訳だな」

 

あんなに思い込みの激しいやつが、フラレたってのにすぐに引き下がったのは意外だった。

 

「うん…、あの人もさっきの戦いで、色々と思うところがあったらしいから。だから、それなら新しい恋に生きたいって、そのまま街を出て行っちゃったの」

 

「そうか。まぁあんな奴だ。前途多難だろうが、これで少しはマシになったってところか」

 

「うん…」

 

と、ユノは俺に対して申し訳なさそうに目を伏せる。

 

「今回は本当にごめんねラキア。私のせいで、あんなことになって…」

 

「気にすんなよ。たまたま、あいつがヤバい性格してたってだけだ。ほら、それよりもさっさと馬車に乗れ。出発するぞ」

 

「うん!分かった!」

 

と、ユノは俺の差し出した手を掴んで馬車に乗り込み、俺も乗った。

 

「それじゃあ行くぞ!」

 

「うん!」

 

俺は馬に鞭を打ち、ブラッドソード領へと向かった。

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