プリンの騎士   作:ガンダムラザーニャ

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支配された村(前編)

ブラッドソード領に、血塗れの村人がやってきたということで、俺はスコルピオンの執務室にやってきた。

 

「早いな、流石は我が騎士だ」

 

「その下りは良い、さっさと状況を話せ。ただ事じゃないんだろ?」

 

「…ふっ、そうだな。では今わかってることだけを話そう」

 

と、ふんぞりながら話をするスコルピオン。報告を受けたライカンがその村人を保護したが、重傷だった。やっと聞き出せた話によると、どうやらブラッドソード領と交流のある村が、ヴァルザード魔王国によって支配され、今はその部下の支配下で独裁的な政治が行われているとのことだ。

 

「……ヴァルザード、魔王国」

 

「そうだ、お前たちが以前いた、あの国だ。今は奴が支配してるがな」

 

「…そうだな」

 

ヴァルザード魔王国、俺やイブキの故郷だった、魔族の国。かつてオラディオン陛下が治めていた、俺たちの居場所。だが今はアズガルドによって支配された、人間を拒む国。

 

「それで、村人はどうなったんだ?」

 

「今はベッドで休んでいる。支配してる奴のことを聞こうとしたら意識を失ったがな」

 

「……そうか、じゃあ行ってくる」

 

「待ってください」

 

と、そこへライカンがやってきた。こいつもまた、神妙な面をしてる。

 

「先ほど諜報部隊より、支配してる魔族の情報を聞きました。魔王国直属の騎士団の一員、グランツ・カクレインとグライブ・カクレインです」

 

「あいつらか」

 

あのカクレイン兄弟か。陛下の側近でありながら裏切ったあのクズ共が…!

 

「要は2人を俺が始末すればいいんだろ?なら俺が「いえ、こればかりはわたくしも行かせてもらいます」…何だと」

 

と、ライカンが止めに入った。

 

「支配されてるのは、我々ブラッドソード領と交流のある村です。ですので、わたくしも同行させて欲しいのです」

 

「支配してる奴らは陛下を裏切ったやつらだ!俺一人で十分だ」

 

「駄目です。これあなただけの話ではありません。我々も、被害を被ってるのです。…ご主人様、どうかわたくしにも、出撃の許可を」

 

そう言って、ライカンがスコルピオンに頭を下げて頼み込む。

 

「ふむ、良いだろう。本来ならば俺も出向くところだが、お前が行くとならば、この件は任せよう。我が騎士団騎士団長・ライカンよ」

 

「……かしこまりました、お任せを」

 

「…だる、さっさと行くぞ」

 

「はい、行きましょう」

 

面倒くせぇことになっちまったが、これで目的は果たせそうだ。待ってろカクレイン兄弟、陛下を裏切ったツケを払わせてやるからな。

 

2人で向かった先で、例の村を見つけた。見つからないように遠くから様子を見る。とてものどかであったろう村が、蹂躙され、陵辱されてるかのように荒れ果てている。家屋は燃やされ、男は腹に的を描かれ、そこに配下の魔族どもが死なない程度の威力の魔弾を遊び感覚で撃ち込み、女は服も下着も破り捨てられ、魔族どもに囲まれて犯されてる。

 

「ひでぇな」

 

「はい、見てられませんね」

 

怒りが湧いてきた、こんな光景を見せられれば、まともな思考を持つ人間だろうと魔族だろうと関係ない。

 

「やるなら一気に攻めるぞ」

 

「いえ、ここは二手に別れましょう。情報によれば、奴らがこんなことをしてるのは反乱分子の摘発という名の虐殺。それを今担当してるのが、弟のグライブ。そしてこの村から高額の税金を搾取し、払えないのならば男は重労働、女は自分の慰みのために使って、支配してるのが兄のグランツです」

 

「…だったら俺がグランツをやる。女に擬態して近づいてやるよ」

 

「そうですね。では私はグライブの方を。…健闘を祈っています」

 

「ライカンもな」

 

そうして俺たちは二手に分かれた。

 

ライカンと分かれた後、俺はグランツがいると見られる、他の建物と比べたら豪華な建物に目を向ける。

 

「…気配からして、ここにグランツがいるな」

 

周りに誰もいないことを確認し、服を捲って腹を出す。膨らみ、ぐばっと大きく開いた異形の口が顔を出す。そこに手を突っ込み、魔石を取り出す。そして、懐からユノから渡された特別なミミックストーンを取り出すとそれを腹の口に入れる。

 

すると、俺の体は一回り小さくなり、引き締まりはあるがそれでも柔らかい印象のある女の体になった。腹の口もなくなって、スラリとした腹になっていた。服装もいかにもな村娘のそれだ。

 

「…あー、あー!…よし、成功だな」

 

流石ユノだな、ミミックストーンの製作者なだけあって、今の俺は完璧に擬態できてる。声も女のそれで高くなってるし、これで仕草もちゃんとしてれば問題ない。

 

「……よし、行くか」

 

さっきの建物に向かい、扉を叩く。

 

「すみません」

 

「何だ?もうすぐ夕刻だぞ」

 

中から声がし、扉が開いた。出てきたのは異形型の魔族だ。グランツじゃない。

 

「その、税金が払えなくて…」

 

「ほう、それでグランツ様に相談したいと?ならば入れ、案内してやる」

 

「…ありがとう、ございます」

 

わざとらしく怯えた様子を見せながら、その魔族に付いていく。通っていく間、牢屋が見える。若い女同士が互いに寄り添って怯えていたり、牢屋の隅で女が蹲っていたり、あるいは魔族の機嫌を取るために自ら全裸になって奉仕する者もいた。牢屋に入れられてない女は首輪をつけられて、案内される俺のことをまるで次の犠牲者を見るような、そんな哀れみの目を向けては目を伏せる。最早自分たちのことで精一杯なんだ。

 

「……」

 

あの牢屋の女たちを救うには、グランツをぶっ殺してその配下の奴らを全滅させるしかない。だから、それまで保っていてくれ。

 

「どうした?何か気になるのか」

 

「あっ、いえ。……すみません」

 

「ふん、さっさと行くぞ」

 

しばらく歩き、とある部屋の前まで案内された。

 

「グランツ様、税金が払えないことで相談したいという娘をつれてきました」

 

「ああ?……通せ」

 

「かしこまりました」

 

扉が開けられ、俺は部屋の中に入る。そこにいたのは、長身痩躯で金髪の男。この野郎がグランツだ。グライブはまだガキっぽい容姿だから区別しやすい。

 

「……あっ、あの……」

 

「ふむ、金がないんだってな」

 

「はい、この通り」

 

適当に出した袋から、金を出す。1コルだ。

 

「ほう?たったこれだけか?」

 

「ご、ごめんなさいっ。もう、それが全財産なんです…!食料も底をつきかけ、明日生きるお金すらも…」

 

涙声で訴える。これでもかってくらいに頭を下げてやる。

 

「ふん、だがこれだけだと足りないな」

 

「……ですよね」

 

「ああ。だがまあ、払おうという意思があるのは素晴らしい。ならば今すぐ払える方法があるぞ」

 

「ほっ、本当ですか?」

 

顔を上げて目を輝かせて見せる。

 

「ああ、簡単だ」

 

と、ニヤニヤと下卑た様子で俺に近づくグランツ。そして俺の服の胸元を掴むと。乱暴に左右に引きちぎった。

 

「きゃあ!?」

 

驚いたフリをして両手で胸を隠す。

 

「払えないのなら体で払ってもらうしかあるまい。お前の体はそれなりに価値がある。それだけあれば税金は十分賄えるぞ」

 

「でっ、でも!」

 

「黙れ。拒否権などない!」

 

グランツが手を伸ばし、俺の腕を掴もうとする。そこで俺は素早く手を掴む。グランツは俺を無理やり押し倒そうとしたが、逆に俺が引っ張ってグランツを転ばせた。

 

「くっ!貴様!?」

 

「悪いな、グランツ」

 

グランツを押さえつけたまま、思い切り蹴りつける。

 

「がはっ!?」

 

「ほらどうした?良い体の女だぞ今の俺は?襲えるなら襲ってみろよ」

 

片手でグランツの体を持ち上げ、そのままテーブルに叩きつける。グランツは叩きつけられ、割れたテーブルに埋まる形で血反吐を吐いた。

 

「ごほっ!」

 

「はぁ…、だる」

 

「き、貴様ぁ…!そんな見た目でこの怪力!に、人間じゃないな!?」

 

「だる、俺のこれを見れば思い出すか?」

 

腹に意識を集中すると、ぐばぁ!!と腹から大きな口が開く。

 

「その腹の口は…!それにその気だるげな言動…!まさかお前は!」

 

「そう、そのまさかだ」

 

腹の口からミミックストーンを取り出す。俺が本来よりも体積が小さい奴に擬態したからか、ミミックストーンは輝きを失い、使い物にならなくなる。そして、ミミックストーンを抜き取った俺の擬態が解ける。

 

普段の人間の姿じゃない、本来の姿だ。

 

クラゲを人型にしたような上半身に、獣みたいに体毛に覆われた下半身、そして腹には牙を向く大きな口が開いた、異形の姿だ。

 

「お前っ、ラキアか!」

 

「そうだ、久しぶりだな。裏切り者」

 

「くそっ!何故こんな所に!」

 

「そんなことを聞いて何の意味がある?陛下の側近でありながら、陛下を裏切り、アズガルドに与したお前ら兄弟が」

 

「はっ、何を言い出すかと思えば!俺たちがあんな老いぼれに心から忠誠を誓うと思っていたのか!親父が俺たちの教育のためにと推薦したから、仕方なく従ってやってただけさ!」

 

「…だったらなぜアズガルドに与した」

 

「決まっている!あのお方こそが、我ら魔族の理想だ!あのお方は強い、あんな人間と手を取るとか宣う老いぼれなんぞよりもよっぽど上なんだよ!」

 

どこまでも身勝手なやつだな。思えば初めて会った時からこいつらは陛下のそばで不満そうな顔をしていた。最初は未来を憂いてると思っていたが、まさかここまでのクズだったとはな。

 

「……そうか、初めてお前と話をして、良かったと思った。これで心置きなく殺せる」

 

「はっ!殺せるもんならやってみろ!…おいグライブ!こっちを助けろ、グライブ!」

 

奴はそう言って外にいるであろう弟のグライブに助けを求めるが、外では爆発音と共に氷が出来上がっていた。

 

「なっ!」

 

「グライブは来ねぇよ。今ごろもう1人と戦って、くたばってるだろうからな」

 

「くそっ、役立たずが!!…おいお前ら!!出てこい!俺を助けろ!!」

 

その瞬間にバン!!と扉が開き、奴の部下が俺を囲む。武器や杖を構え、いかにも俺を殺そうとしてるのがわかった。

 

だが。

 

「はぁ〜…、だーる」

 

欠伸が出るくらいだるい展開に頭を掻きながら、体から触手を出して、奴らが攻撃するよりも早くに急所を刺し、毒を注入した。

 

「がっ!」

 

「か、体が…!」

 

「お、おい!どうしたお前ら!?」

 

「魔力なんぞなくても、体内で生成できる毒を注入したんだ。しばらくはこいつらは動かねぇよ」

 

「くっ!」

 

「だるい抵抗すんなよ。お前はずる賢いが、グライブと違って弱いんだ。手短に済ませるぞ」

 

そう言ってグランツに近付くと、奴は懐から何かを取り出す。無機質な籠手とカードだ。

 

「っ、お前それは」

 

「舐めるなよ…!確かに俺は弟と比べて弱いが、アズガルド様からこの力を与えられたんだ!…変身!』

 

【FAKE RIDE GAI!】

 

奴が籠手にカードを装填すると、3つの虚像が奴の体を包み込む。その姿はヴァル=ガードの戦士が着てそうな、堅牢な鎧を身に纏った、頭部のサイを思わせる角が特徴的な姿だ。

 

「お前もフェイクライダーか!」

 

「ふっ、そうだ。こいつがあれば俺は無敵だ!!」

 

「はぁ…、だるいことすんなよ」

 

こうなったら素でこいつを仕留めるのは骨が折れる。そう判断した俺は懐からヴラスタムギアを取り出し、腹の口に噛ませる形でも装着した。

 

【ヴラスタムギア】

 

【カップオン】

 

どっプリンゴチゾウを装填し、人間の姿の時は前髪を弄ってた時のように、頭から伸びる触手を軽く弄る。

 

「変身」

 

【プティング ヴラムシステム】

 

レバーを下ろし、ヴラムに変身する。

 

「その姿を見るのも久しぶりだな。オラディオンお抱えのプリンの騎士様」

 

「そう言えばそんなことも言われてたかな。だが、今はお前を殺すだけだ」

 

奴に近づこうとした瞬間、グランツはベルトから1枚のカードを取り出し、それを左肩のホルダーに投げ入れた。

 

【ストライクベント】

 

すると奴の手元に何かが投げ込まれるように出現した。

 

「こいつの錆にしてやる」

 

と、奴はその籠手を構える。その籠手には巨大な槍がついていて、まるでのようにサイの角のように伸びていた。

 

「うおおおっ!!」

 

グランツは巨大な槍がついた籠手を構えて突撃してきた。そして、猛威を振るうように槍を振り回す。避ければ、先ほどまでいた場所の壁が貫かれ、粉塵を撒き散らしながら壊れた。

 

「ちっ!」

 

当たれば俺のこれもただでは済まないなと思いながら、槍を避けて思い切りカウンターで殴り倒した。

 

「がはっ」

 

「ちっ、浅いか。それに硬い」

 

殴った拳がジンジンと痛む。恐らく奴の鎧はただの金属じゃない。もっと硬くて厄介な材質で出来てる。

 

「ふっ、これはすごく頑丈にできてるんだ!ラキア、いくら怪力なお前な拳も無意味なんだよ!」

 

「だる…、硬い分楽に死ねなくなっただけだろ」

 

【ヴラムブレイカー】

 

ヴラムブレイカーを取り出し、弓モードにして奴を射抜く。

 

「うぉっ!?」

 

「貫くには不十分らしいが、吹っ飛ばすには丁度いいな」

 

そうして壁に叩きつけた奴に近付くと、鎌モードにして奴を斬りつける。

 

ブゥゥン!!

 

「うぉっ!!」

 

奴の鎧が火花を散らす。奴自身は斬られてはいないものの、鎧は少しずつだが削れていた。このまま攻め続ければいいが……

 

「くそっ!調子に乗るなぁ!!」

 

奴が槍を振るうが、避けながら隙だらけで鎧の装甲がない横腹を殴り飛ばす。すると奴が床に叩きつけられてゴロゴロ転がる。

 

「ちっ!効いてないはずなのにっ!?」

 

「それはお前の油断だな。全身に鎧があるわけじゃないから、薄いほうを狙えばその分ダメージも大きいからな」

 

そう言って奴の武器を奪って投げ捨てる。

 

「なっ!?」

 

「武器がなければただの雑魚だな。本当なら俺のパンチ一発でもくたばりそうな雑魚が、楽に死ねない雑魚になったが」

 

「ちっ!舐めやがって!!」

 

奴はベルトからカードを取り出し、左肩のホルダーに装填した。

 

【アドベント】

 

するとどこからともなく鎧を纏ったサイみたいな生き物が俺に目掛けて突進してきた。それに気付いた俺は直ぐ様そいつを踏み台としてジャンプし、そのままその勢いで宙返りしてそいつをグランツに蹴りつけた。

 

「ごはっ!?くっ、どけ!この、役立たず!!」

 

【セット】

 

奴がサイみたいな生き物に気を取られてる隙にどっプリンゴチゾウを弓にしたヴラムブレイカーに装填し、弦を絞る。

 

「じゃあな、グランツ」

 

【ヴラムシューティング】

 

「っ!!」

 

【コンファインベント】

 

奴に向けて矢を放とうとした直前、奴はカードを肩のホルダーに装填すると、矢が消えた。

 

「何?」

 

「ふっ、俺にはこういう力があるんだ!これでお前の力も無力だ」

 

サイのような生き物をどかしたグランツは腹が立つくらいに高らかに笑う。

 

「ちっ、ならもう一度だ」

 

【セット】

 

今度は鎌にしたヴラムブレイカーにどっプリンゴチゾウを装填して3回レバーを引く。

 

【ヴラムスラッシュ】

 

「はぁ!!」

 

「だからそういうのも無駄なんだよ!!」

 

【コンファインベント】

 

ヴラムブレイカーを振り下ろそうとした瞬間に、ヴラムブレイカーに籠められた力がなくなった。だが、俺はそれを気にせずに振り下ろした。

 

それは奴の鎧の隙間に、深く食い込んだ。

 

「な…っ!?」

 

「これならさっきのはできんな」

 

【ヴラムスラッシュ】

 

奴に隙を与えず、そのまま勢いよく斬り裂いた。

 

「がはっ!?な、何で…!?」

 

「お前のそれは、今のような強い一撃くれてやる技はともかく、武器自体の威力まで無効化できないらしいな?」

 

「く……っ」

 

「お前の鎧を貫くにはそれなりの力が必要だが、武器自体の威力と俺の力なら十分なんだ。この刃ならな」

 

奴の鎧の隙間に差し込んだ刃が奴の体内を傷付け、内側から血が溢れ出して鎧を赤く染める。

 

体内を傷つけながらヴラムブレイカーの刃を引き抜く。小さな刃が回転するそれは、奴の血を振り払いながらもその凶悪さを見せつける。そしてそれを構えて俺は奴に告げる。

 

「どれだけ硬かろうと、どれだけ力を無効化しようが、俺は必ずお前を殺してやる」

 

「う、うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

錯乱したグランツを俺を押し退けて部屋から逃げ出した。そして。

 

「きゃっ!!」

 

「この声は!」

 

女の声がする、この方向は確か牢屋だな。急いで向かえば牢屋から一人の女を引きずり出したグランツがいた。

 

「う、動くな!動けばこいつの命が無いぞ!!」

 

「っ!」

 

その女は、先程牢屋で蹲っていた女だった。グランツはその女を引きずり出しては、首元にダガーを突きつける。女は怯えた顔で俺をちらりと見た。その目に浮かんでいたのは俺に助けて欲しいという願いだ。だが、その願いは今のグランツの言葉により潰えた。

 

「おい!こいつの命が惜しければ武器を捨てろ!」

 

「はぁ……、わかった。ほら」

 

ヴラムブレイカーを手放す。奴が満足げに笑ってる。馬鹿だな。

 

「よ、よし、そのまま地に伏せて土下座しろ!偉大なるグランツ様、舐めた態度を取ってすみませんでしたって!!』

 

「だるいな……」

 

そう言いながら奴が牢屋の出口の方に歩いていく。この女の命を盾にした上で逃げ出そうってのか?

 

「おい!聞こえなかったのか!?さっさとやれ!!」

 

「はぁ……」

 

俺は言われた通りに地に伏せる。そして、土下座するふりをして、地面に手をつけると。

 

「がはっ!?」

 

「きゃっ!」

 

地面につけた手を通して、俺の触手が地面を伝って奴を足元から吹っ飛ばし、女は解放され、俺は彼女を優しく抱き留める。

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい…!」

 

「逃げろ」

 

「で、でも……!」

 

「いいから逃げろ」

 

「わ、わかりました!」

 

女はそう言い残して、この場から逃げ出す。これで邪魔者はいなくなった。

 

「うぐっ!くそっ!ラキア貴様!」

 

「逃げれると思ったか?」

 

「なっ!」

 

立ち上がりかけてるグランツの腹を思い切り蹴りつけた。奴はそのまま壁に叩きつけられ、呻いた。

 

「うぐっ……!」

 

「お前には色々思うところがあった。だがもう終わりだ。女を人質にした時点で」

 

ヴラムブレイカーを拾い上げた俺はどっプリンゴチゾウを装填し、レバーを引きながら、その刃を振るう準備をする。

 

【ヴラムスラッシュ】

 

「さようならだ。裏切り者」

 

「ひっ!?」

 

ヴラムブレイカーを振るい、ボロボロになった鎧を引き剥がしながら生身を斬り刻んでいく。

 

そして剥き出しなった奴の喉笛に刃を食い込ませる。小さな刃が回転して奴の喉を斬り裂きながら血を流させる。

 

「がばっ!あばっ!がぁっ!あっ……!!」

 

そのままヴラムブレイカーを思い切り振り抜いて奴の首を刎ね、奴は跡形もなく爆散した。

 

「……だる」

 

俺はヴラムブレイカーを片付けると、屋敷に残ってる魔族どもの拘束と囚われていた女たちの保護を行った。

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