未来の見えない南の勇者   作:リビングアーマー

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梅雨で死んでました。


血の涙を流す南の勇者

 

side:南の勇者

 

———寒いよぉ……! ここはどこだよぉ……!

 

剣の里を出てから、俺はただひたすらに歩き続けていた。

 

気がつけば、見渡す限りの銀世界。

凍えるような吹雪の中を、俺は彷徨っている。

 

耳元で風が唸り声のように吠え、無数の雪片が顔を叩いてくる。

目を細めて前を見ようとしても、すぐに視界は白に染め上げられ、何も見えない。

 

止まれば、きっと次の瞬間には雪に呑まれてしまうと錯覚させるほど吹雪。

 

積もった雪は膝を越え、足元の感覚すら曖昧にする。

足が沈むたび、地面の底へ引きずられていくような感覚。

 

身体は既にびしょ濡れで、服の下の肌は冷え切っている。

まるで骨の芯まで凍りつくような寒さだ。

 

呼吸は白く曇り、手足の感覚は徐々に鈍くなっている。指を動かせなくなるのも時間の問題だろう。

 

どうやら俺は、完全に……遭難してしまったらしい。

 

どこを見ても、白、白、白。

どこまでも続く雪原には目印なんてものはひとつもなく。

人の気配もこれっぽっちも感じられない。

 

———どうして、こうなったんだ……!

 

あの時までは順調だった。

俺は過去を回想する。

 

俺のぶらり北部の旅は、最初こそ和やかで楽しいものだった。

北の人々も親切だったし、温泉や料理も最高だった。

そう、はじめのうちは、北の大地はまるで俺を歓迎してくれているようだったんだ。

 

おかしくなったのは……どこからだったか。

 

ある村を通り過ぎてから、人の気配がパタリと途絶えた。

 

代わりに雪が降り始めて、それが徐々に勢いを増して……いつの間にか、吹雪へと変わっていた。

 

最初は「すぐ止むだろう」とタカを括っていた。

けれど、雪はやむどころか勢いを増し、降り続ける日々が何週間も、いや、もしかしたらもう月単位で続いているのかもしれない。

 

「まぁ、なんとかなるだろう」というその甘さが、今まさに俺の命を削っている。

 

準備不足だったのは明白だ。

 

北部の地理も気候もろくに調べず、周囲の村の位置すら把握していなかった。

 

……まさか、こんなにも雪が降るなんて聞いてない。

 

俺は生粋の南部育ち、雪なんて年に数度ちらつく程度の世界で生きてきた人間だぞ。

 

くそぅ…!誰か教えてくれても良かったじゃないか……!

 

けれど、それでも俺は信じていた。

「歩き続けていれば、きっとどこかに辿り着ける」と

 

甘かった。

 

歩けども、歩けども、白の世界に終わりはない。

風は強さを増し、雪は容赦なく降り積もる。足跡はすぐに掻き消され、自分がどちらに進んでいるかさえ分からなくなった。

 

恐らく、俺はどんどん北へ進んでしまっている。

地図も方位磁石もない今、正確な方角なんて分かるはずもないが、風の冷たさと吹雪の激しさが、それを物語っている気がする。

 

もしかしたら……とっくに、人の住む領域を離れてしまっているのかもしれない。

 

……引き返すか?

 

でも、後ろに戻ったところで何があるというのだろう。

 

俺にはもう、道すら分からない。

 

進むも地獄、戻るも地獄。

 

そんなことを考えていたその時だった。

 

俺の目に、奇跡のようなものが飛び込んできた。

 

———小屋だ。

 

半分以上が雪に埋もれていて、外観も朽ちかけているが、それでもハッキリと"建物" だと分かるものが、そこにあった。

 

助かった……!

 

心の底からそう思った。

こんな吹雪の中、少しでも雪を避けられる場所がある。それだけで、救われた気分になる。

 

俺は雪を掻き分けながら小屋に近づき、どうにかして扉らしきものを探し当てた。

 

硬く凍りついたそれを無理やり押し開けて、中へと転がり込む。

 

中は暗く、冷え切っていた。けれど、外と比べれば天国のようだった。

 

「ふぅ……」

 

安堵の吐息が漏れる。

そのまま俺は雪まみれのまま床に倒れ込む。

身体の疲れが一気に襲ってきて、まぶたが自然と落ちてくる。

 

———あれ? そういえば、寒いところで寝たらダメなんだっけ?

 

最後にそんなことをぼんやりと思い出しながら、俺の意識は、闇へと沈んでいった———

 

 

 

———ガコンッ

 

 

 

『おい、緊張してるのか?』

 

白く整えられた寝台の上、キングサイズのベッドに気付けば俺は寝転がっていた。

 

目の前にいるのは、ゼーリエ師匠。

 

あの恐ろしくも、時折見せる笑顔が妙に可愛い、俺の師匠が、なぜか四つん這いになって迫ってきているという異常事態。

 

いつも身に纏っているあの薄絹のような衣服は、ゼーリエ師匠が脱ぎ捨てた瞬間に消滅し。

気がつけば俺の衣服も、どこかへ行っていた。

 

『安心しろ。天井のシミでも数えていれば、すぐに終わる』

 

どういうことだ!? 何がどうなってこうなって、なぜ俺は裸で、ゼーリエ師匠がこんなことを……!?

 

これは一体…!夢か!?それともゼーリエ師匠の新しい魔法なのか!?

 

いや、間違いなく夢に決まっている…!

 

けれど、この柔らかくしなやかな肌の質感。重なりかけた体から伝わる温もり。甘く、微かに香る師匠の匂い。

 

———……夢じゃ…ない?これは現実?

 

『お前に拒否権はないぞ。お前は私のものなんだから』

 

ああぁあああ!

だめですゼーリエ師匠!!それは師弟の関係を超えてますよぉぉおお!!!

 

 

——よっっっしゃぁあぁぁぁぁあああッッ!!!!

 

 

 

「おや? 目を覚ましたかい」

 

うっすらと意識が浮上し、瞼が重たく開いた瞬間、目に飛び込んできたのは——

 

緑色の髪。凛とした輪郭、引き締まった肉体。

 

薄い肌着を身に纏い俺に腕枕をしているエルフ。

 

———へ、変態だあああああああああああ!!!???

 

心の中で、自分でも驚くほど情けない絶叫が轟いた。

 

いやいや、待て。状況整理だ。

まず現状を認識しろ。これは夢か?いや違う。ということは現実か?今までが…夢…?

 

……夢だったのか。夢……だったんだな。

 

———あんまりだッ……!

 

あれほどリアルだったあの柔肌の感触を残して、現実が無慈悲にも俺を突き落とす。

 

———返せよッ……! 俺のゼーリエ師匠を返せよぉ…!

 

血の涙を心の中で流し、怒りと悲しみを胸の奥に押し込めながら、俺は床から跳ね起きる。

 

「吾輩は……寝てしまっていたのか?」

 

……記憶にない。こんな見知らぬエルフと、一つの屋根の下で寝るような習慣は、俺の人生にはなかったはずだ。

 

つまり、こいつは……俺が寝ている間にこの小屋にやってきたのか?

 

「ああ、俺が来たときには君はすでにぐっすりでね。あんまり気持ちよさそうに寝てるもんだから、起こすのも悪いと思ってな」

 

朗らかな口調でそう言いながら、エルフの男はのっそりと上半身を起こす。

 

その動きには無駄がなく、どこか品があり、無性にイラッとするのはなぜだろうか。

 

「いやぁ、参った参った。実は、私は最近の魔物の異常行動を調べていてね。あれこれ追ってたら、季節がいつの間にか変わってしまった」

 

「気がついたらこの雪景色ってわけさ。改めて、俺は武道僧(モンク)のクラフトだ。よろしく」

 

そう言ってクラフトは、にこやかに右手を差し出してくる。

 

一見して気さくで、人当たりも良く、どこを探しても悪意の欠片すら見当たらない。

 

しかし、次の言葉で空気が変わった。

 

「それにしても……君は”すごい身体”をしてるな」

 

……ん?

 

気のせいか?何だか言い方にやけに熱が籠っているように感じたが。

何かこう、ゾワリと背筋を撫でるような違和感があった。

 

「君の身体は、すごく”温かくてね”。まるで陽だまりの中にいるみたいだったよ」

 

そう言いながらクラフトの視線が、明らかに俺の身体を上下に舐めるように移動していく。

 

———まっずーい!まずいまずいまずい。

 

こいつは危険だ…!

思っていたより数倍ヤバいエルフだこいつ。

 

「そ、そうか——そういえば、吾輩は行かねばならぬ場所があるのだった」

 

とにかく、今は距離を取らなければ。

自然と口を突いて出たのは、逃げ口上だったが、それでも構わない。体が本能的に警戒している。

 

——このエルフ、絶対にヤバい。何かこう、背筋を這うような、いやな予感がする。

 

「おいおい、待てって。少しすれば雪も弱まるさ。外に出るには、その方がいい」

 

呼び止める声に、俺の足がピタリと止まる。

 

———……少し、か。

 

確かに今この吹雪で外に出るのはいい考えだとは言えないだろう。

 

あと少しで止むというのなら考えてやらなくも——

 

「せいぜい……1ヶ月ってところだな。その頃には外も歩けるようになるはずだ」

 

い、1ヶ月……!?!?

 

このエルフとふたりきりで、この小屋の中で1ヶ月も過ごすだと!?!?

 

「せっかくの出会いだ。女神様の導きだと思って、もっとお互いを"深く知り合おう"じゃないか」

 

「とっておきの、"身体を温める運動"もあるんだ」

 

そう言って、クラフトは当たり前のように、自らの肌着に手をかけて脱ぎ始める。

 

———"身体を温める運動"!?!?

 

完全に"アレ"のことだよな…!?間違いないく"アレ"のことだよな…!

 

「い、いや、すまない。吾輩はすぐにでも行かねばならぬ場所があるのだ」

 

完全にパニックだが、それでも自然と出口の方に向かい、足が前へ前へと進み出す。

 

ありがとう、俺の肉体……今だけは本当にお前を誇りに思う……!

 

「お、おい! ちょっと待ってくれって!」

 

クラフトが慌てて手を伸ばしてくる。その必死な姿に、俺は確信する。

 

———間違いない! こいつ、俺の身体目当てだ!

 

俺はこのエルフの本性を見た。もう逃げるしかない。

 

———ふざけるなよ!俺の初めては、ゼーリエ師匠に捧げるって決めてるんだからな!

こんな変態エルフに俺の貞操を捧げてたまるか!

 

「さらばだ!!」

 

叫びとともに、俺は吹雪の渦巻く外へとその身を投げ出した。

 

己の純潔を守るため、俺は凍える世界に飛び込んだのだった——。

 

 

 

side:クラフト 

 

「クラフト様、それって……南の勇者様のことではありませんか?」

 

ぱちぱちと薪が燃える音が静かに響く、暖かい部屋の中。すっかりくつろいだ様子のフェルンが、ふと何かに気づいたようにクラフトの話に割って入った。

 

「……確かに。今思えば、君たちの言っていた"南の勇者" の特徴に、見事に当てはまるな」

 

クラフトは目を細め、遠くを見つめるような表情でうなずいた。

 

「名前くらい聞いておけばよかったのに」

 

フリーレンの少し呆れたような言葉に、クラフトは小さく苦笑する。

 

「あの時はな……気づけば、彼はもう旅立ってしまっていた。名を問う間もなかった。だが……なるほど、そういうことだったか」

 

彼の脳裏に、あの日の光景が蘇る。

 

それは凍えるような吹雪の中での出会いだった。

 

魔族達の活動域で遭難しかけ、もうダメかと思った時になんとか辿り着いた小屋で偶然にも一緒になった青年。

 

彼は明らかに異質だった。

 

常人なら凍えるはずの極寒の中で、彼の身体からはむしろ熱が立ち昇り、筋肉は岩のように盛り上がっていた。

 

ひと目でただ者ではないとわかる、鍛え抜かれた肉体。

 

あの時、彼はまるで何かに怯えるかのように、吹雪の中を駆けていってしまった。

 

まるで、目には見えない何かに追われているように——

 

彼の怯えようは相当なもので。

その異様な姿が、ずっとクラフトの心に引っかかっていた。

 

だが、フェルンたちの話を聞いて、その謎もようやく氷解する。

 

「……そういえば。南の勇者は"未来が見える"のだったな」

 

きっと、あの時も。

あの青年にしか見えない"何か"が、あの吹雪の先にあったのだろう。

 

彼は目覚めてすぐに、何かに気付いたかのような絶望の表情をしていた。

 

きっと彼があそこで寝ていたのは本意ではなかったのだろう。

 

彼の態度を見れば、彼の見た未来がどれほど絶望的な未来なのか想像が付く。

 

だが、それでも彼は躊躇なく進んでいった。

 

恐怖に打ち勝つその姿は今思えばまさしく“英雄”そのものであった。

 

「なるほど納得だ」

 

合点がいったように頷くクラフト。

 

「フリーレンたちは彼と会ったことがあるのか?」

 

「うん。まぁね……」

 

どこか歯切れの悪いフリーレンの返事にクラフトは首を傾げる。

隣でフェルンも、そしてシュタルクまでもが妙な顔をしている。

 

その様子を見て、クラフトはなんとなく悟った。

彼らには言いたくないこと、あるいは言えない事情でもあるのだろうと。

 

「……まあ、無理に聞くつもりはないさ」

 

クラフトはそう言って、窓の外に視線を向ける。

外はまだ雪が降っているが、厚い雲の切れ間からは淡い光が差している。

 

「じきに天気も回復するだろう。春の訪れはもう、すぐそこまで来てる」

 

どこか優しい声音で、クラフトはそう言った。

 

 

 

 

side:魔王軍

 

「うふふ……私の可愛い、ベイビーちゃんたち」

 

甘く、深夜に囁かれるような声。

聞く者の背筋をぞわりと震わせる、毒のような甘さがあった。

 

黒い影が、大地を染めている。

 

それは影などではなかった。

濁流のように蠢く、魔物の群れ――異形であり、異常。それでいて確かな"意思"をもって、地を這っていた。

 

本来なら耳に入るはずの魔物の咆哮はどこにもなく。

その場には、吐息さえ凍りつくような圧力だけが漂っている。

 

すべてを布越しの瞳で見下ろすのは"幽胎のベスティア"。

 

その顔に浮かぶのは、陶酔に似た恍惚の色。白い肌は周りの冷気にも関わらずほんのりと上気している。

 

まるで、子を産み落とした母親が、その成長を愛おしげに見守っているかのように。

その視線の先には、彼女が育て、愛し、そして自らのものとした魔物たちがいた。

 

「今夜も元気ね……ふふっ。とっても、素敵……」

 

声に滲むのは、底知れぬ慈愛。だからこそ、なおさら恐ろしい。

 

だが、そこにいるのはベスティアだけではなかった。

 

"不死なるベーゼ"が展開した魔力障壁の中、外界から完全に隔離されたこの地に——

 

魔王軍幹部〈七崩賢〉が集っている。

 

もしこの光景を、ただの人間が目撃したならば——理解より先に絶望により膝を折っていたはずだ。

 

この場に揃うは、人類にとって"終焉"そのものなのだから。

 

「ねぇ、いつまでここにいるのよ」

 

空気を裂くような、退屈を隠さぬ声。

 

"断頭台のアウラ"は、その鋭い目つきと短気な性格をそのまま写し出したかのような顔で、つまらなそうに氷の地面をつま先で蹴る。

 

苛立ちなど、はなから隠す気もない。

 

「人間ごとき攻めるならさっさと攻めればいいじゃない。なんで吹雪の中で立ち往生してるのよ」

 

「さぁな」

 

"黄金郷のマハト"が乾いた声で、まるで他人事のように返す。

彼にとっては、焦燥も苛立ちも縁遠い感情で、その態度には苛立ちも緊張感もない。

 

「あんたは気にならないわけ?」

 

「私に聞かれましても」

 

続いたのは"奇跡のグラオザーム"。

優しげな声には、しかし、わずかな困惑が混じっている。

 

グラオザームも疑問を持っていたからだ。

なぜこんな所で待機しているのか。

 

いや、彼だけではない。

〈七崩賢〉の誰もが、なぜここに集められたのかを知らない。

それが不安と緊張を増幅させていた。

 

そこへ、背後からぞんざいな声が飛ぶ。

 

「なぁ、俺はいつになったら南の勇者とやれるんだよ?」

 

“絶剣のファウスト”が氷雪に仰向けで寝そべり、眠たそうに目を細めたままぼやく。

身動きひとつせず、それでいて背中に背負った"生きた魔剣"が妖しく光っている。

 

「もうすぐだ」

 

"全知のシュラハト"が短く、迷いのない声でそう答える。

しかし、彼の視線は七崩賢ではなく、遠く、地平の彼方を見据えている。

 

「はぁ〜……その台詞は何度目だよ」

 

ファウストが諦めたかのように欠伸まじりに毒を吐く。

上空、吹雪の中にふわりと浮かぶ白い影。

 

"天嶺のヴェトラ"が雪の精のような儚い羽衣を舞わせ、気怠げな顔をする。

 

「……ねむい」

 

ここに来て数日。

何度となく繰り返されてきたやりとり。

だが、シュラハトは何も答えない。

 

積もるのは焦燥だけ。

しかし、いつ誰が暴れ出してもおかしくないほどの緊張感がそこにはあった。

 

その空気を断ち切るように、シュラハトが口を開く。

 

「ファウスト。お前は我々が何を成そうとしているかを理解しているか?」

 

「あぁ?知るかよそんなの。興味がねぇ」

 

冷淡に返すファウスト。

 

「そうか」

 

しかしシュラハトはそんなこと意にも介さずに言葉を続ける。

 

「南の勇者は危険だ。千年後の魔族のためにも我々は動かなければならない」

 

「恐らく、今で半分ほど——冬が明ける頃にはすべてが整うだろう」

 

言葉が落ちると、全員が口を閉ざした。

吹雪が、さらに勢いを増していく。

 

シュラハトが何かの計画を話すことはない。

ただひたすらに事実のみを告げる。

 

「私は数多の未来を見てきた」

 

その彼が、唐突に別の話題を口にした。

それは誰に向けたものか、わからない。

まるで独り言のように、ぽつりと語る。

 

「その中で1つ確信したことがある。戦において最も重要なのは、相手に備えさせぬことだと。

油断と混乱こそ、勝利をもたらすと」

 

「だからなんだってんだ」

 

ファウストは、シュラハトの遠回しな言い方にイライラする。

だが、シュラハトの次の言葉でそれは霧散する。

 

「我々の戦力は未だ"整った"とは言い難い。その隙を……“未来の見える”南の勇者が見逃すと思うか?」

 

「私は考えた。どうしたら南の勇者を——"未来の見える"ものに命を賭けさせることが出来るのかと」

 

「未来を見る者の行動は、私が一番よく知っている」

 

その言葉を聞いた瞬間、その優れた感覚で何かを察知したファウストが獣じみた笑みを浮かべる。

 

「そういうことかよ……!」

 

「南の勇者がいつ来るか——その答えを教えてやろう」

 

 

突如、天地を揺らす轟音が鳴り響く。

 

荒れ狂う吹雪が。

 

 

 

———縦に裂けた。

 

 

 

閃光のごとき一閃が走り、雪煙ごと、数千の魔物が一瞬で消し飛ぶ。

 

 

大地を裂く"一本の線"

 

 

その向こうに—————彼はいた。

 

 

「——今だ」






ぬるっと総力戦

ようやくシュラハトくんと南の勇者が直接会えました。
長かった…ようやく楽になれそうです。
原作の南の勇者が活躍した期間が短すぎてスケジュールがパンパンだったんだよなぁ。
改めて考えなくても原作が強すぎる。本当にどうやって勝ったんだ。

次の更新も気長に待ってもらえると嬉しいです。

感想は全て読んでいるのでしてくれると作者が喜びます。
あと考察はたくさんしてくれると嬉しいです。規約違反なのかな…?
物語の結末は決めてるのでいっぱい感想書いてくれ…!
(褒めてくれてもいいよ!)
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