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side:南の勇者
ーーーヒロインを探していたら俺がヒロインだった件について
フリーレンからゼーリエのことを聞いた俺は教えられた場所に急ぎ向かった。
走ること数日。
森の奥深く、人の手が未だ入っていない場所にそれはあった。
石造りの神殿のような建物。
何百年、もしかしたら何千年も前から存在していそうな荘厳で神聖な神殿はしかし、しっかりと形を保ったまま今もそこに立っている。
入口には杖を持ちローブを羽織ったいかにもな魔法使いが数名。
フリーレンに教えられた場所がここだと確信した俺は、入り口前に立っている魔法使い達にゼーリエのことについて尋ねた。
「ここにゼーリエという魔法使いはいるか?」
驚いた顔をする魔法使い達。
どうやら俺が話しかけて初めて気付いたらしい。
ーーー誰だ貴様は!
ーーーどこから現れた!?
いつもの如く普通に正面から歩いて来たはずなのに何故か驚かれる俺。
ーーーなぜ魔力を隠している!
ーーーおい、結界はどうなっている!まさか破られたのか!?
ーーー貴様ゼーリエ様に何の用だ!
まるで不審者を見つけたかのような魔法使い達の言い振りに、俺は怪しいものではないと自身が勇者であること表明した。
「吾輩は南の勇者!ここに大魔法使いゼーリエがいると聞き馳せ参じたのだ!」
俺もこの数ヶ月で南の勇者として名が売れてきているはず。
ーーー嘘をつくな!お前のような怪しい男が勇者な訳がないだろう!
そう思っての表明だったがどうやら魔法使い達は俺のことを知らなかったらしい。
恥ずかしい(自戒)
続けて魔法使い達は軽蔑した目をして俺に吐き捨てた。
ーーーどうせゼーリエ様が可愛いから一目見に来ただけの変態よ!
ーーーゼーリエ様とそう気軽に会えるわけがないだろうバカが!
ぐっ…!言いがかりと偏見にまみれた言葉のはずなのに何故か心が痛い…!
しかしここまで来てノコノコ帰るわけにも行かない。
「………すまないが押し通る!」
通してくれないのなら無理やり通るしかない。
ヒロインに会うためなら俺は多少強引な手も辞さない!
ーーーぐあっ!なんて力だこいつ!」
ーーー誰かこいつを止めろ!侵入者だ!」
ーーーダメ!何をしても止まる気配がないわ!」
どけッ!!!俺は主人公だぞッ!!!
強行突破の末辿り着いた最奥の石造りの部屋には金髪の美少女エルフがいた。
ちっちゃくて可愛い
第一印象はそれだった。
どう見たってフリーレンから聞いていたような史上最強の魔法使いという風貌ではないが彼女がゼーリエなのだろう。
ビシビシと圧力のようなものを感じる。
これがヒロイン力ってやつか…
数瞬見惚れていたが気を取り直して俺は彼女をヒロインに誘おうとする。
しかし直前に気付く。
ーーーまずは外堀から埋めた方がいいのではないか?
フリーレンとの邂逅で俺は学んだ。
開口一番にヒロインに誘うのは急すぎる。
そもそも仲良くなる前にヒロインになってくれと言うのは失礼なんじゃないか?
と。
そう考え咄嗟にゼーリエに会いに来た理由について「魔法を習いたいから」と嘘をつく俺。
「無理だ、魔力のない者に使える魔法を私は知らない」
しかしゼーリエに即座に断られる。
終わった(絶望)
どうやら俺に魔法の才能はないらしい。
どうにかしなければならないと焦った俺はさらに嘘に嘘を重ねてしまう。
「しかし、あなたから学ぶことはあるはずだ」
ーーー何かあってくれ…!(願望)
意味深なことを言っているが実際何も考えていない。
ゼーリエは俺のことをまじまじと見つめしばらく考え込む。
暫しの沈黙が続き、こんなことなら素直に告白すればよかったと後悔し始めたころ。
「なるほど、つまりお前は私から魔法の対抗策を学びたいんだな」
ーーーそれだァ!
「そのとおりだ」
ゼーリエが出したそれっぽい答えにすかさず飛びつく俺。
そしてゼーリエは続けてこう言う。
「1つ条件付きでならその提案を飲んでやってもいい」
「有史以来お前のようなやつを私は初めて見た」
「血の一滴、髪の毛一本すら研究しがいがある」
「お前の一生を私に捧げるのなら考えてやっても良い」
よろしくお願いしまーーーす(スイッチポチ)
「よろしくお願いする」
お父さん、お母さん。俺、結婚します。
side:ゼーリエ
「お前"呪い"の定義について知っているか?」
「呪い?」
「そうだ、呪いだ」
南の勇者がゼーリエの元を訪ねて3日
"少しだけ血液を取る魔法"
"髪の毛を一本根本から抜く魔法"
などの魔法により全身のサンプルを取り終えたゼーリエは約束通り南の勇者との修行を始めようとしていた。
「一般的には人類が未だ解析できていない魔法のことを我々は総じて"呪い"と称している」
「なるほど」
ゼーリエが地下に作った闘技場。
広く強固に作られたこの場所は普段は弟子の魔法使い達が修練のために使っている。
そこに向かい合って立つ2人。
「魔族の魔法などがその最たる例だが、お前の"魔力のない身体"も現代の魔法体系で説明することは出来ん」
「つまり、お前の全身は"呪われている"ということになる」
修行をするといってもゼーリエは具体的な南の勇者の力量を知らない。
ならば一度戦うのが早いだろうとゼーリエは考え、2人はここに来たのだった。
「お前の持って生まれた"呪い"」
"固めた土を飛ばす魔法"
「その力、見せてもらおうか」
ゼーリエはまずは小手試しとばかりに魔法を放つ。
拳大の石が次々と宙に浮き、爆発的な加速と共に南の勇者に飛んでいく
ーーー避ける、避ける、避ける
加速した石を難なく避ける南の勇者。
石は軌道を変えながら数を増やしていくが一向に当たる気配はない。
「やるな」
"固めた岩を飛ばす魔法"
「少し難易度を上げよう」
ゼーリエの後ろの地面が次々と盛り上がり、大岩を形成していく。
浮かぶ岩は1個、2個、3個と増えていき、20を超えたあたりで南の勇者に降り注ぐ。
少し増やすというにはあまりな所業。
だが。
ーーー壊し、砕き、投げ返す
南の勇者はそれすら容易く打ち破ってみせる。
人類の限界を超えた並外れた身体能力。
「なるほど、とんでもない身体能力だ」
自身に飛んできた岩を魔法で砕きながらゼーリエは呟く。
「南の勇者が魔族の戦線を壊滅させたという噂も納得だ、この力であれば早々の魔族には負けないだろう」
嬉しそうに笑うゼーリエ。
その表情はまるで新しい玩具を見つけたかのようだ。
「だが、まだ足りんな」
"見た者を拘束する魔法"
身体能力だけではどうあがいても超えられない壁。
それが魔法だ。
圧倒的な身体能力があろうと関係ない。
人外級の身体能力"ごとき"では魔族には勝てない。
ーーー瞬間掻き消える南の勇者
「ほぅ、なぜ今私が使う魔法が分かった」
高速で後ろに回り込んだ勇者にゼーリエは問う。
魔法を使うその瞬間に死角に移動し、魔法を避けた。
常人では不可能なタイミング、
「なんとなくだ」
それを"なんとなく"でやってみせた南の勇者
ーーーやはり"視えている"のか
「フッ、フハハッ!」
ーーー面白い…!!
魔道の開祖と呼ばれ、数千年間並び立つものがいなかったゼーリエはこの日久方ぶりの戦闘の喜びに震えたのだった。
「よし、もういいぞ」
それから数刻。
一通りの南の勇者の実力を確かめたゼーリエはそう言って戦闘を止める。
「お前の強さは分かった」
圧倒的な身体能力と未来視。
確かに普通の魔族では手も足も出ないだろう。
「だが、このままだとお前は死ぬな」
ゼーリエは知っている。数百年の時を生きた大魔族の強さを。
その狡猾さ、恐ろしさを。
だからこそ、この出鱈目な強さを持つ男も死ぬだろうと予測した。
「"今のままなら"だがな」
ニヤリと笑うゼーリエ。
「私の弟子になったんだ。お前を"人類史上最強の戦士"にしてやる」
そう、そんなことは男にだって分かっているはずだ。
だからこそゼーリエに弟子入りしたのだ。
魔法による戦闘にかけては地上で最も詳しい魔道の開祖である自分に。
ゼーリエによる男の魔改造計画が始まった。
side:南の勇者
結婚じゃなかった(絶望)
そうですね、勘違いですね。そんなことあるわけないね。
でもいい知らせもある。
なんとゼーリエが俺の師匠になってくれた。
こんな可愛い師匠がいるだろうか、いやいない(反語)
そしてどうやら俺はこのままでは魔王どころか七崩賢と呼ばれる魔王幹部にすら勝てないらしい。
「私はやることがあるからお前は私の分身と戦っていろ」
「死なないように手加減はしてやるつもりだが、死ぬなよ?」
というわけで少年漫画にありがちな修行パートが始まったわけだが
「カハッ…!」
壁にめり込む俺。
ゼーリエ師匠の分身に扱かれ始めてはや数日。
初日から戦いの様相は変わっていない。
ーーー魔法使いってズルくない?
どうやら俺は魔法使いを誤解していたらしい。
ノーモーションから放たれる不可避の一撃。
嫌な予感がしたと思って逃げても関係ない。
地面を破壊して壁にしようと、死角に回り込もうとひたすらに吹っ飛ばされ壁に埋められる。
理不尽極まりない攻撃。
隙を見て直接攻撃を仕掛けても見えない壁に阻まれる。
ーーーこれ無理ゲーでは?
そんな考えが頭を過ぎる。
相手の攻撃は避けれないのに自分の攻撃は通じない。
どう考えても勝てるはずがない。
ーーーいや、ゼーリエ師匠が無意味なことするはずないじゃないか!信じろ俺…!
人類最強、全知全能、美少女エルフだぞ!
うん。疑う余地などないな。
その後もゼーリエ師匠の分身に吹き飛ばされながら俺は何とか打開策を考えるのであった。
side:ゼーリエ
「あいつには悪いが、まずは自分の弱点を身体に刻み込んでやろう」
南の勇者の弱点。
それは"身体に魔力がない"ことだ。
"物体を浮かせる魔法"
ゼーリエが使っているのはこの魔法だけだ。
通常少しでも魔力を持つ生命には使えない魔法だが南の勇者だけは例外だ。
「あんなものは無機物と大差ない」
本来生命を自在に動かすことは難しい。
何故なら魔力に包まれた物体を自身の魔法で動かすイメージをすることは通常出来ないからだ。
しかし奴にだけは出来る。
イメージさえ出来て仕舞えばあとは容易い。
操った身体を吹き飛ばせばいいだけだ。
「さて、どうするか」
ゼーリエ自身も魔力のない、身体能力だけやたらに高い剣士を育成するなど初めての経験だ。
「まぁ武器でも作ってやるか」
考えても仕方ない。
何はともあれ空を飛ぶ魔族と闘うのであればリーチと手数は必要だろう。
そう考えたゼーリエは早速自身が知る古今東西の"武器を作る魔法"で南の勇者に合った武器を作り出すのであった。
南の勇者の修行を開始して5日目。
思ったよりも武器を作ることに夢中になってしまい気が付いたら数日が経っていた。
ゼーリエにとってはたったの数日だがその間南の勇者は拷問に近い訓練を受けていたことになる。
ーーー死んだか?
少しの不安と共に南の勇者の元に向かったゼーリエだったが。
その予想は見事に裏切られることになる。
「すまん、お前の武器を作るのに熱中し過ぎーーー」
ーーーそこには"ゼーリエの分身を倒した"南の勇者の姿があったからだ。
「お前………何をした?」
ガコンッ
シュラハト君が頑張っているので主人公の強さはいくら盛ってもいいと憲法でも定められています。
早くゼーリエ様とのイチャイチャ書きたいなぁ()
※この小説はチマチマと毎日書き、出来上がったらその日に投稿しているので投稿は不定期ですが皆様の感想や高評価によりブーストがかかります。
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