未来の見えない南の勇者   作:リビングアーマー

7 / 12
ゼーリエ様とのイチャイチャ回です。


主人公する南の勇者

 

sideゼーリエ

 

「さて、では見せてもらおうか」

 

「"魔法を斬る斬撃"とやらを」

 

あれから数日の間を置き、ゼーリエは南の勇者と再度闘技場に来ていた。

 

前回の修行で荒れ果てた壁などは今は見る影もなく綺麗に整備されている。

 

「てっきり古い方は使わなくなるのかと思っていたが」

 

対峙するは二振りの剣を構えた南の勇者。

 

「大切なものですので」

 

先日の対魔の剣は既に元の姿に戻り、今は普通の剣になっている。

どうやら何かしらの"きっかけ"が無いとあの姿にはならないらしい。

 

「まぁいい、では始めるぞ」

 

軽い掛け声と共にゼーリエは組手を始める。

 

"物体を浮かせる魔法"

 

まずは実力を確認するために分身と同じ魔法を使う。

 

ーーー勇者が剣を振るう。

 

瞬間魔法は"斬られ"空中に魔力が霧散する。当然発動もしない。

 

「なるほど、それがお前の編み出した技というわけだ」

 

それを見たゼーリエはそれがどのような原理で成されたのかを観察する。

 

魔法的なものではない。

ただの剣が魔法を"斬った"。

 

ーーー面白い

 

ゼーリエは考える。

 

魔法が効かないとなればどうやって攻めるか?

質量による攻撃は既に初めの戦闘で行っている。

 

もう一度同じことをするか?

いや、それでは芸がない。

 

ーーーならどうするか?

 

ゼーリエは初めての戦闘スタイルを南の勇者に試すことにした。

 

「実はここ数日考えていたことがあってな、初めてだから加減が難しいかもしれんが」

 

「まぁ即死以外なら治してやる」

 

「精々死ぬな」

 

未だ魔道の極みを目指すゼーリエ。

彼女は更なる高みへと脚を掛けるのであった。

 

 

side南の勇者

 

 

「精々死ぬな」

 

ゼーリエ師匠がその言葉を発した次の瞬間。

 

"魔力の予兆"を感じ取る。

 

そしてほぼタイムラグなく飛んでくる"何か"

 

「ッ!?」

 

咄嗟の防御。

今までとは別次元に早い。まるで弾丸のようなそれを俺は必死で弾く。

 

瞬間壊れ、弾け飛ぶ"何か"

 

考えるよりも早く動いた身体に遅れてやってくる死の気配。

 

あまりにも早い刹那の攻防であった。

しかし俺の動体視力は飛んできたもの何なのかを正確に見切っていた。

 

"剣"

 

信じられないことにゼーリエ師匠は恐ろしいほどの速度で剣を飛ばしてきたのだ

 

「ふむ、やはり壊れたか」

 

やはりと言った様子のゼーリエ師匠。

飛ばした剣が俺に壊されることは想定通りのようだ。

 

しかし、恐らく今の攻撃が直撃していればタダでは済まない。それほど濃密な魔力を"剣"自体から感じた。

 

ーーー初撃から殺しに来てる…!

 

ついに本物のゼーリエ師匠との修行ということで浮かれていた俺は戦慄する。

 

頭を切り替えろ!

これはイチャイチャ修行パーティではない!

命をかけた地獄のデスゲームであると!

 

「実は私は数日前から、お前の武器を用意しようと歴史上にある様々な"武器を作る魔法"を研究していてな」

 

ゼーリエ師匠は自身の魔法についてを嬉々として語り出す。

 

「これがなかなか面白い。まぁ言ってしまえば今の剣はその副産物の一つだ」

 

「名を"英雄殺し"」

 

「かつて存在していた宝剣、その再現だ」

 

迸る青雷。

 

ゼーリエ師匠の手には先ほど破壊したはずの剣が生み出されていく。

 

「だが効果のほどは再現が出来ても如何せん脆くてな」

 

剣が同時に次々と生み出されていく。

 

「お前の主力武器にすることは難しかった」

 

ーーーめちゃくちゃ嬉しい

 

俺はこれから起こることに背筋を凍らせながらも、ゼーリエ師匠が自分のために色々してくれていたことに嬉しさを覚える

 

「しかし私は考えた。この古今東西の有り余る宝剣たちを何かに使えないかと」

 

生成された剣は全て別々の形をしており、まるで剣の展覧会のようだ。

ゼーリエ師匠の話が本当なのであればこれらは全て何かしらの伝説があるのだろう。

 

「なぁ弟子よ」

 

「お前の剣は本物だ」

 

何十、何百という剣が生成され、その全てが空中でこちらに狙いを定める。

 

「だが、"偽物"が"本物"に勝てない道理などあるまい?」

 

ーーーあ、これまずい

 

 

 

side第三者視点

 

ーーー生成、射出

 

それを絶え間なく同時に行うゼーリエ。

技量と魔力、そのどちらをも信じられないほど高いレベルで持ちうるからこその攻撃。

 

「どうした、防御しているだけでは勝てないぞ?」

 

しかし対する南の勇者も音速の剣を捌き切る。

 

ーーー砕く、避ける、砕く

 

両の手の剣を使いひたすらに迫る剣を叩き落としていく。

致命的な攻撃こそ食らっていないが戦いは防戦一方になるばかりだ。

 

「ッ!!」

 

このままではジリ貧だと思った南の勇者はその場からの脱出を図る。

 

「どこに逃げても変わらんぞ」

 

ゼーリエは更に魔法重ねがけすることによって剣の軌道さえ操作する。

逃げる南の勇者を追うだけではない。

上下左右、緩急を付けるというまさに絶技を使い追い詰めていく。

 

ーーー生成、射出、軌道操作

 

3つの高等魔法の同時発動と同時操作。

もしもここにゼーリエのやっていることが分かる魔法使いが居れば泡を吹いて倒れるだろう。

 

剣の嵐。

そう表現するしかないほどの攻撃密度。

そしてその一つ一つが歴史に刻まれた宝剣たちである。

 

しかしそんな嵐の中を抜けてくる男。

 

「やはりそう来たか」

 

大元を潰すための多少の被弾は覚悟した強行突破。

しかしそれはゼーリエの予測の範疇である。

 

剣の嵐を抜けた南の勇者は更に加速する。

狭い闘技場内。

そしてついにゼーリエの元まで辿り着きーーー

 

「そう言えば言い忘れていたな」

 

「私が再現したのは宝剣だけではない」

 

ーーーしかしその剣は届かない。

 

"天の鎖"

 

かつて存在したとされる神を捕えるのに使われたとされる宝具、その再現。

 

それが南の勇者の四肢に巻きついていた。

 

その者の強さにより拘束力が増す鎖を何重にも巻くことで、再現によるデメリットの耐久力を補い、南の勇者とて身動きが取れないほどの拘束力を実現していた。

 

既に勝負は決した。

 

しかし1つ補足しておこう。

ゼーリエは先程「自身が剣以外も再現できることを言い忘れていた」と言った。

 

しかしこれは真っ赤な嘘。

ゼーリエは敢えてそのことを言わなかったし、勘違いするような言動をとっていた。

 

そう、まさかのブラフである。

 

"弟子との組手に勝つ"それだけのためにゼーリエはワザと自身が宝具を再現できることを言わず、宝剣のみの再現で戦っていた。

 

大人気ないなんてものじゃない。

歳の差は数千年以上である。

 

しかし永く生きたゼーリエはとても負けず嫌いであった。

 

「私の勝ちだ」

 

汚い勝利に胸を誇らしげに張るゼーリエであった。

 

 

 

side南の勇者

 

ーーー勝てるわけないじゃん…!

 

俺の目の前には誇らしげに胸を張るゼーリエ師匠がいる。

 

ーーーいや可愛いけどもぉ!

 

まさか剣だけではなく鎖まで使ってくるとは。

ゼーリエ師匠にその気があったのかは分からないが完全に嵌められた。

 

剣を掻い潜ったあの瞬間、俺は勝ちを確信していた。

分身に勝てたことで多少天狗になっていたのかもしれない。

 

しかしよくよく考えれば恐らくゼーリエ師匠はまだ隠し玉をいくつも持っているのであろう。

 

いつになったら勝てるのであろうか。

俺は絶望的なまでの実力差に項垂れるのであった。

 

ーーーん?そういえば…

 

しかし意気消沈の俺はふと気付く。

鎖に縛られる俺、勝ち誇るゼーリエ師匠。密室?に2人きりという状況。

 

考えてみればこの状態は一種の縛りプレイとも言えなくもないのでは?

 

ゼーリエ師匠と縛りプレイ 

 

なんとも素晴らしい響きだ。

どうやら俺はいつの間にかゼーリエ師匠とのイチャイチャ修行を成し遂げていたらしい。

 

せっかくだし、ついでに敗北ロールプレイでもしておくか。

 

「認めよう…今は貴方が、強い…!」

 

身動きの取れない状態での敗北くっころ騎士プレイである。

 

「ふむ、そうだろうそうだろう」

 

あ゛あ〜がわい゛い゛〜

 

満足気に頷くゼーリエ師匠は脳が溶けるほど可愛い。

 

これはもう修行ではない。イチャイチャ縛りプレイだ。

俺は今ゼーリエ師匠とイチャイチャ縛りプレイを楽しんでいる。

 

「………あの、ゼーリエ師匠、そろそろ吾輩拘束を解いてほしいのですが…」

 

「ん?あぁそうだな」

 

しかしいつまでもこの状態でいるのも恥ずかしいのでゼーリエ師匠に鎖を解くようにお願いする。

 

するとあっさりと解かれる拘束。もしやここからさらにミンチにされるのかと不安だったがどうやら杞憂だったようだ。

 

安堵する俺。

しかし、次のゼーリエ師匠の言葉に戦慄する。

 

「仕切り直しだ」

 

………え?まだやるの?

既に実力差は自明の理である。

 

「次は宝具ありでやるぞ」

 

この日、俺はゼーリエ師匠の欲求不満を解消するべく激しい運動()に一晩中付き合わされることになった。

 

そしてやはり俺はミンチになった。

 

 

 

ガコンッ

 

 

 

side

 

「お前、好きな魔法はなんだ?」

 

「好きな魔法…ですか」

 

ちょっとした修行の合間。

ゼーリエは南の勇者にそんなことを問いかけた。

 

「吾輩は魔法自体をそれほど知りませんので…」

 

「まぁそうなるか」

 

しかし魔法自体分からないという南の勇者。

 

今までゼーリエの弟子たちは皆、魔法を学んだ魔法使いばかりだった。

 

魔法を使えない、ましてや魔力すらない男を弟子にするのはゼーリエにとって初めてのことである。

のでゼーリエは質問を変える。

 

「じゃあなんでもいい、お前は何が好きなんだ」

 

いつもそうだ、ゼーリエはその長い一生の中の、瞬きをするほどの時間しか一緒にいない弟子たちの好きなものがどうにも気になってしまう。

 

そしてそれを何年も何百年も何千年と覚えている。

ゼーリエは自分自身でも分からないこの現象の正体を探していた。 

 

ーーー振り返ればゼーリエに跪く南の勇者

 

「でしたら貴方が好きです」

 

突然のゼーリエへの愛の告白。

 

「ふざけているのか?」

 

しかしゼーリエには理解できない。

 

唐突過ぎる告白、それ以前に寿命が、種族が違いすぎてその感情を理解できない。

 

「であれば証明しましょう」

「吾輩は永遠(とわ)に貴方の側におります」

 

ーーー戯れ事だ

 

人間には不可能なことを言う南の勇者。

しかしゼーリエは何故だかその言葉を否定もしたくなかった。

 

「ふん、まぁいい」

 

ーーーどうせ人間の言葉だ。

 

うつろげで儚い人間の言葉の相手をするほどゼーリエは子供ではなかった。

 

「さぁ続きだ」

 

しかし心のどこかで、やはり自分はこの言葉を永遠に忘れられないのだろうなと予感していた。

 

 




ゼーリエ様最高!ゼーリエ様最高!
さぁ貴方もゼーリエ様最高と叫ぶのです!

イメージは無◯の剣製ですが絵面はゲー◯・オブ・バ◯ロンです。

追加:ゼーリエ様にはお胸があるとの指摘を受け修正しました。


※そういえば主人公が強過ぎる疑惑がありましたが、主人公の適応ちゃんはオリジナルよりも雑魚なので本当に死にかけないと発動しません。
なので実戦では適応する前に雑魚死します。
ほな、修行で回せるうちに沢山ガコンしとこうね〜。

前回の話は8日ほどかかりましたが今回は2日で書けました。
これもゼーリエ様のおかげか。
ゼーリエ様最高!ゼーリエ様最高!



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。