お気に入り227件、評価ありがとうございます。赤バーもちょっと伸びてやる気満点。
実は私、自分の小説に届いた感想を読む時間が大好きでして…批判なども書いてくださって良いので、どしどし書いていただけると励みになります!
今回で一章は終了です。次は順当に二章へ続きます。
フワンがいることによって、運命は変わるのか…では、どうぞ。
重たい挙動で、錆びついた駆動部から金属の擦れる音を立てながらゆっくりと隔壁が開いていく。囚人たちはユーリを後ろに、武器を構え直し態勢を整える。そして、その向こう側に見えたものは…黄金だった。
〈金の…リンゴ?〉
「あれが件の幻想体だと推測されます。ダンテももうお分かりのはず」
〈…うん。確かに気配を感じる。絶対にあいつだ〉
目の前に現れた幻想体…金色に輝く林檎は、木の枝で模った手足でよたよたと歩き回っている。まだこちらには気が付いていないようだ。
「やっとか!じゃあちゃちゃっと
ヒースクリフが勇む。バットを手首でゆるゆると回し、しっかり両手で握り直した。その後ろにフワン、そしてシンクレアと良秀、グレゴールも続く。
「…飾り切りにでもしてやりますか?得意ですよ、おれ」
「あ?なんかいやにお上品だなオマエ」
「うさぎの飾り切り…うちの食卓にもたまに上がりました。母がよく作ってくれて…」
「お・や・つ*1」
「みんないいもん食ってんなあ、俺は果物にはありつけたことあんまりないな…」
「へっ、ボンボンどもがよ」
唾を吐き捨て、ヒースクリフは鋭い目を幻想体に向けた。黄金の林檎はこちらを認識したようで、敵対的な気配が強まってくる。ダンテはPDAを取り出し、人格牌を懐から取り出した。
〈それじゃあ…いま前に出てる5人が対処。あとは後方支援、周囲を警戒して〉
「了解しました。では、こちらは私にお任せください!」
〈ありがとうねウーティス…じゃあ、ちょっとさっきのやり取りでピンときたんだよね〉
ウーティスが後方の囚人を集めるのを一瞥し、ダンテが人格牌をPDAに接続した。それと同時に、フワン以外の4人の姿が鏡の膜に薄らと包まれ…ぱき、と割れる。そこには、統一感のある黒い装いの4人が立っていた。プロテクターのようなものを貼り付けたボディースーツに身を包み、ナイフと銃を携行している。
〈じゃあ、ウサギの皆さん…おやつの時間だよ〉
むらのある照明の影の中で、オレンジ色のラインがぼんやりと輝いた。ばち、と放電の音と共に、4人は一斉に林檎へと飛びかかった。
ーーーーー
「オラッ、新鮮な草のお目見えだァ!!」
どん、と床を蹴りヒースクリフが前へ出た。左手に握りしめた大きな銃を腰だめに構えて乱射する!
「しゃあっ、こいつも持ってけ!」
怯んだ幻想体の懐に飛び込み、ヒースクリフが右手の大ぶりなナイフで銃瘡を抉るように切り刻む。痛みを感じているのか体を震わせる幻想体に手応えを感じたのか、彼はほくそ笑み…はっと気づいて慌てて飛び退いた。途端、そこに弾丸の雨が殺到する!
「あっぶね!…オイ!」
「フッ、しん・いきだろ、良い彩りになったというのに」
「ムダに死ぬこたねえだろ!」
こちらも銃を構えた良秀が、ばらばらと林檎に向かって弾を吐きかけていく。林檎が大量の鉛玉と斬撃を浴びてびくびくと震えるが…怒ったのだろうか。ぶるりと一度身を震わせると、猛烈な勢いで良秀に突進する!
「フウ、トロいな…オイ
「子ウサギって言わないでくださいッ!」
「
直線的な突進を飛び越すように避け、速度に任せてナイフを突き立て、引き裂く。そのまま踏ん張り、林檎を一瞬だけ固定すると…後方から彼女の声に抗議したシンクレアが飛んでくる。背中の
「フウ…さあ、そろそろ切り分けてしまいましょうか…」
二本目のナイフを取り出し、林檎に向かって構えを取るシンクレア。…三人には今回、“R社 第4群ウサギチーム”の人格を被ってもらっていた。囚人達は短期決戦を所望していたから、これ以上ない編成だろう。まあ、しかし…
「仕上げはおれが!」
「あっ……」
シンクレアが踏み出そうとすると、後方から三本の矢が飛来し、林檎に突き立てられ…林檎は動きを止めた。…フワンの分のR社人格はまだ手に入っていなかったので、今回は囚人の姿のまま戦ってもらっていた。
「オイ、白けるじゃねえかよ…」「空気とか読めないんですか?」「林檎に矢……ふふ、あの下には息子がいたのか?」
「え………な、なんすか…?」
トドメを奪われたのが嫌だった三人に指を指されるフワンは、なぜ自分が怒られているのか分からないようだ。〈気にしないで〉とだけ伝えて…動きを止めたのに一向に“卵”に戻らない幻想体に不信感を抱くと、たちまちそれに異変が起こった。
〈あれが…黄金の枝の光…?〉
突如として林檎の果肉の一部がどろりと溶け、割れ、中から黄金の光が垣間見える。あの気配は…もしや、あの中に黄金の枝があるのだろうか?観察していると、待機していたユーリが私に声をかけてきた。
「あの、私が見に行ってもいいですか?」
〈…わざわざ君が行く必要はないよ。危険かもしれないし〉
「…旦那は心配してるらしい。危険かも、ってよ」
戦闘に参加させてはいたが、フワンと共に後方から支援をしていたグレゴール ベレー帽を被り、黒とオレンジの軍服らしきものに身を包んでいる が私の言葉を通訳してくれた。しかし、ユーリは私の方をまっすぐ見つめる。
「いいえ、行かせてください。私でも皆さんのお役に立ちたいんです」
〈……そっか〉
彼女の瞳から、本当にそう思っているのはわかった。その気持ちを尊重してあげたいが…彼女は死んでも生き返らない。それが気がかりだった。それを読み取ったのだろうか…グレゴール、そしてフワンが私に話しかけてくる。
「じゃあ俺もついて行くよ、管理人の旦那。いざって時は身代わりになれる」
「……一応、ユーリさんにもいいものを渡しておきます」
フワンが手首に付けていたブレスレットを外し、ユーリの右手首に付け替えた。その手つきは少しぎこちなかった…おそらく、ユーリに接するのも少し苦手なのだろう。しかし、彼女のことを思ってのことなのが伝わってくる。
「…これは?」
「
「……やっぱり優しいですね、フワンさんは」
彼女はフワンに笑いかけた。フワンはそれから目を逸らしながらも、不器用な笑みで答えた。ユーリにとっては、それで十分だったみたいだ。
「じゃあグレゴールさん、行きましょう!」
「ああ」
ユーリが張り切って幻想体へ歩いていく。その隣にグレゴールも並び、光を漏らす幻想体の近くへ。神々しい黄金の光に、ユーリはゆっくりと手を伸ばし……
幻想体のひび割れから、ぶわ、と蛆虫の大群が噴き出す。
「えっ…?」
「避けろユーリ!!」
飛び退いたグレゴールは、ユーリの反応が遅れたのに気づき、思わず大声をあげて呼び捨てる。しかし間に合わない。ユーリは噴き出した蛆虫の顎に、なすすべなく………
「させません!」
ジィーイ、という巻き取り音が一瞬の静寂に響いた。それと同時に、ユーリの身体が彼女の右手から引っ張られるように後方に投げ出される。私が隣のフワンを見れば、彼は自分の剣、シェキナーに繋がった鋼線を巻き取っていたのだ。先程のお守りのブレスレットは、彼女の命綱…フワンが彼女を案じて渡した、シェキナーを巻き取るブレスレットだったのだ。
引き戻され投げ出されるユーリのすぐ近くで、ばくん、と蛆虫の顎が閉じられる。地面に背中を擦り、ざりざりと音を立ててフワンの足下へ転がってきたユーリに、グレゴールが駆け寄る。
「ユーリさん、大丈夫か!?」
「な、なんとか…」
自らの心臓を抑えながら、ユーリは譫言のように返した。死の危機に瀕したのだからそうなるだろう。しかしその危機を脱したのだから、安心したように笑みを浮かべ………彼女は、自分の下半身を視界に入れてしまった。
「…………え?」
自分は五体満足で無事だった。そう思っていた彼女にとって、それは残酷な光景だった。グレゴールも、フワンも…私も、それを目の当たりにして息を呑んだ。
ユーリの両脚は今まさに、無数の蛆虫に食い荒らされているところだった。
「っ、う。あ、あ゛あ゛あぁ゛あ゛!?!」
アドレナリンで誤魔化されてきた痛みが、現状を直視したことでユーリを容赦なく襲ってくる。叫び、手で脚を蝕む蛆虫を払おうとするが、しかし蛆虫は手で取り除こうとするたびに肉に潜り、力強く齧り付いて行く。そこから血液もだくだくと溢れてくる。ジューシーな果肉をもっと味わうため、蛆虫が蠢く。
「嫌、いやァァァァァァア!!」
「あ、暴れるなユーリさん!暴れるともっと痛いぞ!」
〈くっ…良秀、ヒースクリフ、シンクレア!そっちは任せた!〉
めりめりと自分の肉が喰われていくのに恐怖するユーリを、グレゴールがなんとか宥めようとする。私も残りの三人に指示を飛ばし、ユーリの対処に専念する。
「クソッ、ダメだ離れない…このままじゃ身体に上がってきちまう!」
「さ、酒!酒ぶっかければ…!?」「傷に染みるぞ!それに今は切らしてるんだろ!?」
ユーリを挟んで、フワンが慌ててグレゴールが怒鳴る。グレゴールは少しだけ息を吸い込み、ユーリを見下ろして…苦虫を噛み潰したような顔をして、私とフワンに向き直る。
「旦那、神父さん…彼女の腕と身体を押さえていてくれ。あと、何か口に噛ませてやって…ナイフじゃダメだ、切れ味の良い刃物…神父さん、その剣貸してくれ!」
〈…わ、わかった!〉
私は訳がわからなかったので、このままグレゴールの指示に従って暴れる彼女の上半身を押さえた。しかし、フワンは真っ青な顔でグレゴールを見ている。
「…………待ってください。まさか、そんなことを…!?」
「このまま全身喰われるよりはいい!早く寄越せ!!」
声を荒げるグレゴールに、フワンは肩を震わせ…さっとシェキナーを渡し、ユーリの苦しみに喘ぐ口に自らの腕を噛ませた。
「んぐ、んぐぅぅぅう!!!」
「ひっ……、ユーリさん、しっかり噛んでください!思い切り!」
「ん、ぐぐぅ……!!」
腕を噛み締められる感覚に、フワンはひどい顔をしている。グレゴールもそれを見て、早く終わらせなければならないと思ったようだ。シェキナーを構え、思い切り掲げて…
「ユーリさん、すまない!!」
一息に振り下ろし、ユーリの腿から下を切断した。
「ん゛ぅー!う゛も゛ごゥ゛も゛ぁ゛おおおお!!!」
「すまないッ…誰か、応急処置!止血してくれ!」
〈えっと、ファウスト来て!!〉
「了解しました、ダンテ」
待機人員からファウストが飛び出してきて、的確な応急処置を行う。切断されて床に転がる脚は今もなお蛆虫に食い荒らされているが、腿には登ってきていなかった。足を切断したことで、なんとか蛆虫を食い止めることができたようだ。
「切断面は非常に綺麗ですね。これならば後々の義体施術なども楽に…」
「……今はそんなことはいい」
「ぅあ…あし…わたしの、あしが…」
「…………」
グレゴールがゆらりと立ち上がる。視線を向けた先には、獲物を食い損ねた林檎…化けの皮が剥がれ、爛れた赤い果肉から大量の蛆が吹き出し頭を形作っている。ウサギチームの三人が押さえ込んでいるが、相当暴れているようだ。これ以上はもたないだろう。
「後悔させてやろう…ほら、返すよ」
「…………ありがとう、ございます」
グレゴールはシェキナーをフワンに返す。フワンはそれを…友人の血に濡れた刀身を、ゆっくりと袖で拭う。そしてグレゴールについて、幻想体へ向かっていく。
「主が言われる…復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する。いま、主の言葉を伝えるのはおれだけです」
フワンが背負った矢筒から普通の矢を引き抜き、何本か放つ。しかしその矢は蛆虫の群れは捉えられず、何匹かを傷つけただけで向こう側に抜けていく。ウサギチームの銃撃も、同じように効果を見せていなかった。
「チッ、ウジどもをちまちま対処したってキリがねえ!」
「しかし本体を狙うとしても蛆虫に喰われちゃいますよ」
「腐った果実の香り、硝煙…くどいな。もう弾も切れた」
暴れ回り、大量の蛆虫を払おうと集めた腕や頭での攻撃を避けつつ対策を考えていたウサギチーム。しかし、ヒースクリフがしくじった。
「マズイ、電力が…ぐあ、クソッタレ!」
スーツのオレンジ色が薄くなる。ウサギチームの機動力を担保するスーツの電力が切れてきてしまったのだ。そこにつけ込んだ林檎による攻撃が、ヒースクリフの右手に喰らい付いた。急いで引き抜き退避するも、指の何本かごとナイフを置いてきてしまった。
「チッ…どうすりゃ…!」
「すまない。今前線に戻った…こりゃあ、苦戦してるみたいだな?」
悪態をつくヒースクリフの後ろから、グレゴールが声をかけた。被ったベレー帽を手で直し、腰からR社の装備であろう長刀を引き抜きウサギチームの後方に立つ。
「…司令官様」
「よせよせ、様はいらないと言ったろ…じゃあ、ここからは俺も支援する」
右手に握った長刀と、グレゴール…R社第四群司令官の機械義手が接続される音が響いた。彼が刀を一振りすると、ウサギチームのスーツのオレンジ色が戻っていく。彼が電力を供給したのだ。
「ほら、追加の弾丸だ。言っとくがこれ以上は出せないぞ?」
「へえへえ、わかってるよ司令官!」
「フフ、が・しん」
「シンクレアは…銃がないのか。まあ、お前ならそれでいいよな?」
「ええ。…トドメは僕に」
コートの内側から替えの弾薬も供給し、ウサギチームの準備が整った。フワンも弓を構え臨戦体制に移り…
「じゃあ、諸君ら…全力を尽くして総攻撃だ。このまま押し通せ!」
「「「「了解」」」」
グレゴールが腕を振ると共に、ウサギチームは一斉に飛び出した。
「よっしゃ…ウジムシに撃って無駄なら、リンゴの方にならどうだよ!?」
腰だめで弾丸をばら撒きながら、ヒースクリフが壁や天井を跳ね回る。幻想体は腕や頭を振って追い払おうとするが、彼はその綻びを見つけ、思い切り壁を蹴って一直線に突撃する!
「しゃあっ、迅速制圧!!!」
すれ違いざまに林檎を強化された脚力で蹴りつけ、大きな傷跡を残す。しかしヒースクリフも蛆虫を喰らったのか、身体のあちこちを食い潰されながら床に勢いよく転がっていく。
「〈じゃあ次、良秀!〉」
「フフ、こん・ポ・と…!*2」
「戦闘射撃だ、手続きが面倒だから弾は撃ち切れ!」
マガジンを交換し、しっかりと狙いをつけて引き金を引き絞る。ばらばら撒かれる弾に本体を撃ち抜かれながらも、林檎はぶわあっと良秀に蛆虫を殺到させ…しかし。
「フッ…この程度の草なら、片手で刈って食んでやるさ」
良秀がナイフを構え、振る、振る、振る。無秩序に見えてしっかりと型の伴った流れるような連撃が、大量の蛆虫を捌いていく。じりじりと本体に近寄り…一気に突貫、ナイフを突き立てる!
「にん・かん。ほれ“隊長”、仕上げは任せた」
噴き出す腐った果汁の血飛沫の中、良秀が後方に向かって言い放つ。彼女が呼びかけた人物は、既に赤い残光を伴って林檎に突貫していた。
「ふ、はは…!」
狂気的な笑みを浮かべ、両手にナイフを構えたシンクレアが迫る。強化施術のせいなのだろう、元の色からはかけ離れた赤色の眼を爛々と輝かせ、ヒースクリフと良秀が作った脆弱な傷口に向けて、自らの
「ぜんぶ食い尽くしてやる…!!!」
二本の牙を振り回し、マントを翻してシンクレアが乱舞。本体と蛆虫とを一緒くたに斬り刻み、果汁と虫の体液とをぐちゃぐちゃに混ぜていく。そして最後には、二本のナイフを思い切り本体の林檎に突き立て、大きく飛び退いた。
「司令官、今です!」
「よくやった…行くぞフワン!」
「は、はひ!」
大きく震えた林檎が、最後の力を振り絞ってグレゴールを阻止せんと暴れる。しかし、フワンが放った矢が林檎を床に縫い止め、束縛して動きを止めた。そこにグレゴールが飛び込み…
「………処分!!」
オレンジ色のエネルギーを纏った刀身をひゅら、と一閃。瞬間、化けの皮の剥がれた林檎が勢いよく弾け、ひときわ大きな飛沫をあげた。よく見れば、破裂の中心地に銃の残骸らしきものが転がっている。
そう。先程ヒースクリフと良秀が肉薄した際、撃ち尽くした銃を傷口に押し込んで取り残してきたのだ。脆弱な傷口をシンクレアが抉り、隙を作り出してからグレゴールが傷ごと銃を切ることで爆発させ、内部から大きな負傷を与えた、という筋書きだ。シンクレアの残したナイフも爆発によりメチャクチャに吹き飛んで、林檎を大きく傷つけて…悲鳴のような音と共に、林檎の幻想体は縮んでいき、卵となって沈黙した。
鎮圧、完了である。
ーーーーー
………時間が経ち、夜中、メフィストフェレス内部。グレゴールは硬い己の右腕を枕にしながら、自室で何をすることもなくじっと天井を見つめていた。
あの後、黄金の枝を回収するところで…突然、枝を拾い上げたファウストが斬られた。下手人は、ヘルマンという女性、クボという赤いサングラスの男性、そしてホンルの兄だという人間。彼女らもどうやら黄金の枝を狙う勢力のようで、一瞬のうちにあの枝は奪い去られてしまった。そのことで、LCBはヴェルギリウスからの侮蔑の視線に晒されてしまうのだった。
しかし、グレゴールの胸中に渦巻いているのはそれだけではなかった。彼の頭の中は、ユーリの脚を…自らの手で斬り落としてしまったことでいっぱいだった。
仕方なかった。あの場では、誰から見てもあれは正解の対処法だっただろう。アンピュテーションによって蛆虫の侵食を食い止めたことで、もっと深刻な怪我を負うのを未然に防げた…しかし、彼女のあの苦しみの声が、そして背中で感じた彼女の譫言が頭から離れなかった。
あの後、ユーリはLCCAの人員に運ばれていった。そこで本格的な治療をするらしく、彼は胸を撫で下ろしたが…彼女から生身の両脚を奪ってしまったのも事実である。それに、彼女は苦しい身の上で、義体施術で脚を手に入れることすらままならないかもしれない。会社がどこまで親切なのかは分からないが、彼女が良い義足を手に入れられる保証など…………
「…ん゛、ごほ…あ゛、ん゛?」
考えを巡らすうちに、知らず知らずに口で浅い呼吸を繰り返していたようだ。若干の喉の痛み、そして口腔に渇きを覚え…グレゴールは身体をぽきぽきと鳴らしながら起き上がり、シャツにスウェットで部屋の外に出る。こういう時は、水でも飲んで寝てしまうのが一番だ。
ひたひたと廊下を歩いているうちに、冷蔵庫などがある共用スペースの明かりがついているのが見えた。誰か消し忘れたか、先客がいたか…実際には、後者であった。
「あ………こ、こんばんわ…」
「フワンか、こんばんは。何してたんだ?」
何やら踏み台に載って上の棚に腕を突っ込んでいたフワンを見つけ、グレゴールは左手を軽く振った後、軽く問うた。それに対し、フワンは軽く左右…このスペースの入り口を確認した後、ゆっくりと腕を棚から引き抜く。その手の中には一本の瓶が握られていた。
「…ワインか?」
「ええ、ぶどう酒です」
標準的な大きさの瓶には、白いワインのラベルが貼ってある。しかも、グレゴールも久しぶりに目にかけた、少々値段の張るものだ。
「ハハッ、なんだ。秘蔵の酒をこっそり呑もうってのが俺に見つかっちまったわけかい」
「…………はい。まあ、そうですね」
やはり酒が抜けているのか、少し震えながら青い顔でフワンが答えた。なんだ、この子にも子供らしいところが…いや、酒を飲もうとしてる時点で違うが、まあこっそり何かをしようとするような一面もあったのだなと思い…いいことを思いつく。グレゴールも入り口をちらちらと伺って棚からグラスを二杯分取り出した。
「じゃあ、俺にもそれくれよ」
「………………ワインを、ですか…」
「ダメか?」
フワンは一瞬だけ逡巡した。光に透かすようにボトルを見つめ…フウ、とため息をついた。栓に手をかけ、ぽん!とコルクを抜いた。
「一杯だけにしておいてください。これ結構お高いやつだったと思いますから…」
グラスに向けて瓶を傾けると、次第に共用スペースは甘い香りに包まれ始める。うやうやしく注がれたそれは、グラスを通して金に輝いていた。グレゴールはワイングラスの脚を左手の指の間に挟んで、機械のネジを巻くかのようにくりくりと軽く回して…脚をつまみ、掲げた。
「じゃあ…乾杯」
「乾杯、です」
軽くグラスを合わせ、グレゴールはワイングラスを傾けた。涼しい棚の奥で自然に冷えた白は、丸みのある酸味とコクが少し強めの甘みによって引き立てられている。うまくこの味を表せないが、とにかく高くて上品なワインだ、とグレゴールは感じた。
「………これお前が買ったのか?」
「あー、ヴェル…ヴェルギリウスに頼んで…」
「呼び捨てか…もしかして仲いいのか?」
そう口に出してから、そんなわけないだろうな、という笑みを漏らすグレゴール。何せバスの中ではあんなに怯えていたし、“自分の贔屓にしている娘”と仲のいい男がいれば自分でも邪険に扱う自信が彼にはあった。
「………………短くない付き合いです」
「どれくらい?」
「LCに来たのが一年前です……おれのヘッドハンティングの時からになります」
「…………ああ、L社支部で話してたっけな…」
そのすぐ後にあの幻想体と戦って…ユーリは脚を失った。それがぶり返してきて、二人の間にどんよりとした空気が広がった。しばらくして、それが我慢ならなくなったのか…フワンが口を開いた。
「あの後、ヴェルギリウスに頼んだんです。おれの貯金を崩して、ユーリさんに義足をあげられないかって」
「………それだけの金があるのか?」
「一年前からもらってるお給料と…その前に貯めてた貯金があったんで」
でも、おれがもっと早く反応できていれば…ユーリさんが脚を失うことはなかったのかもしれない。そんなことを言いたげな顔で、白ワインの液面に映る自分の顔を、フワンはじっと見ている。…それに、グレゴールも耐えられなかった。
「たらればの話をしたってしょうがないだろ。それに…直接脚を切り落としたのは俺だからな」
「…………ごめんなさい」
「謝らなくていい。…仕方なかったんだよ」
グレゴールもそれを最後に、同じように俯いた。雰囲気に耐えられなかったが、しかし上手い言葉が見つからなかったのだ。少しだけ息を吐いて、自分の右手を見つめる。黒光りする外骨格に覆われたそれは、何も言ってはくれなかった。グレゴールは懐から煙草のカートンを取り出した。振り出して、その軽さで残りの本数を無言にて察し…ちら、とフワンの方を見た。
「吸っても?」
「かまいませんよ…というか、外ではそんな断り入れなかったじゃないですか」
「今は距離が近いからな…じゃあ、お言葉に甘えて」
煙草を咥え、片手でポケットからオイルライターを取り出した。かちん!と特有の金属音を立てて蓋が開き、フリントを回して着火。火がついたら蓋を閉じて机に置き、ゆっくりと吸って…吐く。共有スペースの中空に紫の雲が吐き出された。
「…」
「おお、悪いね…」
そんな彼を見て、フワンは黙って立ち上がり、食器類のある棚からガラスの灰皿を差し出した。それに灰を落とし、また再び口に咥える。すって、はいて、灰をおとして。その繰り返しを何回か続けた。
「煙草…よく吸えますね、そんなおいしくないの」
「ん?まあ俺は慣れてるから…タバコの味知ってるのか?」
「昔、試してみたことがあって」
うげ、という顔で言う彼は、酔っている時のさながら好々爺のようなニコニコ笑顔とは違た様子だ。まだ酒は回っていないだろうし、シラフに近いのだろう。
「そうなのか…煙草までやってたら、ついに不良少年だったな!」
「……………ええ。でも、今でも不良ですとも」
「…なんで、それがわかってて酒を呑むんだ?」
グレゴールの問いに、フワンは瞳を宙に泳がせた。口の中でなにやらもごもごしている。おそらく、話す内容を吟味しているのだろう。それはそうだ…未だ一回しか任務を共にしていない。だが、フワンは少しだけ話してくれた。
「任務の時も言ったように…おれにとって、これは
「…………心の、か?」
「これを飲んでいないと…その、
くっ、と残ったワインを飲み干し、フワンは目を伏せながら言った。
「酔っ払ってると、
「…もう飲まないのか?」
「ええ。残りはヴェルギリウスが少しずつ呑むでしょうし。本当は
グラスを下げ、フワンは冷蔵庫から一本の小瓶を取り出した。ビール瓶だ。
「では、この後ちょっとヴェルギリウスと用事があるので…おやすみなさい、グレゴールさん」
「………なあ、
「?」
共用スペースを出ようとした彼の背中に、グレゴールの声が投げかけられた。振り向くと、グレゴールは一瞬だけ躊躇して…言う。
「俺らは…俺らが、こんな悲劇に飛び込んできて…他の人間たちを取り残してきて、ひとり生き残っている。それは…罪、だろ?」
その言葉に、フワンの目が震えたのをグレゴールは見逃さなかった。浅い呼気を吐き、革手袋をつけた手を強く握り締め…彼は言うのだ。
「はい。ユーリさんも、あなたも……
懺悔をすれば、罪を忘れられますか?
グレゴールの脳裏に、彼が最後に吐き出した言葉が焼き付いて…寝台に横になって布団を被ったとて、それは忘れられなかった。
ーーーーー
LCB、メフィストフェレス内部には、あらゆる場所につながっている廊下がある。フワンはそこの一室の前…鏡ダンジョンや屈折鉄道、採光などの入り口のさらに奥にある一つの扉の前に立っている。
「んぢゅ、ぢゅう…ぶへぇ…」
必死でビールの瓶に吸いついて、中身をとうに飲み干して…彼は人を待っていた。心の中で、先ほどのやりとりを思い出しながら。
「……………」
罪を後悔することは、誰にでもできることじゃない。でも、それができたからって…生きるのに邪魔なこともあるし、それを突き詰めて命を断つことだって人間にはある。彼もまた、自分の罪を悔いている。
「……ああ…」
耳鳴り。頭痛。酒精が回るまでの苦痛。それも彼の本意じゃない。できることなら、彼はこんなことをしたくなかった。でも、仕方がないことなんだ。彼にとって、これは罪を背負い続けるために
でも、それじゃあ悪循環だ。罪を懺悔して、向き合うために罪を冒し続けるなんて…辛いと思わない?
「…だまれよ」
あなたはずっと罪を冒し続ける人生だった。でも、自ら望んで罪を冒したわけじゃなかったよね。あなたは罪を冒すくらいなら死んだ方がいいとまで思う人間だったのに。
「うるさい…もう、話しかけてくるな…!」
みんなわたしのことを綺麗な声だって言うのに、あなたはずっと受け入れてくれないね。でも、素直になっていいんだよ。その罪は、本当にあなたが背負うべきものなのかな?
「やだ…やめて、やめて…やめろ、やめ…」
あなた自身、迷っているのはわかっているよ。でも、ずっとそれを背負ったままなら、一生苦痛に塗れて生きていくことになる。このままこの旅路を歩めば、今にきっと潰れてしまう。そんなの…嫌じゃない?
「う、うう…あ、あ…お、おさけがまわってきた…」
はあ…またお酒で誤魔化せちゃうなんて、強情だね。楽になった方がずうっといいと思うのに…それだけの力が君にはあるのにね。
「ふう、ふう…ふ、へへ、たのしくなって…きた…」
残念だなあ。…じゃあ、また今度。次はきっと受け入れてくれるよね…。
「ふは………や、やっと止まったぁ…」
へたりと廊下に座り込んで、フワンは安堵の息を漏らすのだった。
ーーーーー
「フワン…準備は?」
「あい、ヴェルギリウっさん。いつでもいいれすよ」
「了解した。…じゃあファウストさん、やってくれ」
とある部屋の中…運動ができるほど広い部屋の中にフワンとヴェルギリウス、そしてファウストが立っている。彼らの様子は至っていつも通りだが…フワンだけ服装が違った。外套を脱いでいるのだ。
「では、
「…………あい」
制服のワイシャツとズボンを着たフワンの背後にファウストが近づく。ぎゅっと目を瞑るフワンの背中に、ファウストは手を伸ばし…フワンの背中、背骨に沿うように取り付けられた
『イスカリオテ・ユニット接続解除。抑止・平準化力解除。ゆっくりと身体を動かし、解除されたことを確認してくれたまえ。解除限界時間はこのアナウンスが終わってから10分。時間は有効に使いたまえよ』
「……………」
珍しく、なんだか不服そうな顔をしてファウストは男のアナウンス音声を聴いていた。黙って離れ、部屋を出て…向こう側から、大きな窓越しにフワンとヴェルギリウスに声をかける。
「ではフワン、身体の調子はどうですか?」
「…確かに、軽いれす。ほんとに
「では、ユニットは正常に作動しているのですね。…私が大部分を組んだとはいえ、あの男の手が入っているのも確かなので、端的に言えば誤作動を憂慮していました」
「別に
軽くぴょんぴょんと跳ねながら、フワンがファウストの言葉に苦言を呈した。そんなやりとりの中、ヴェルギリウスが咳払いをする。
「無駄口はその辺りにしてもらおうか、二人とも。…それを確認するための
「了解しました。では、隔離扉を閉め、計器を作動させます。私がアナウンスをしたら開始してください」
「もっもっもっ…ヴェルも、司教さんもがんばって。」
ファウストがそう言って、彼女の目の前に置かれたパネルを操作すると、音を立ててファウスト達のいる部屋とフワンとヴェルギリウスのいる部屋が遮断された。ファウストと…その隣でポップコーンを食べながら二人を応援するカロンが二人の様子を伺えるのは、大きな分厚いガラス窓越しだけだった。
こちらも部屋の中でそんな二人の様子を見ながら、ヴェルギリウスが呟く。
「…あのポップコーンはどこから持ってきたんだ」
「たぶんぼくの棚にツマミで入れといたヤツれす……ちゃんと隠してあったんだけれど」
「ハア、こんな夜中に…後で歯磨きをさせないとな」
「ぼくからも言っておきやす。虫歯したら大変れすもん」
二人の方を向いた状態から、顔を見合わせ…フワンがふふっと笑い、ヴェルギリウスは眉間に皺を寄せる。ため息をついて…目を紅く光らせた。
「では、始めよう…前回の記録は?」
「5分と13秒ぇした。…れすよね?」
『正確には5分13秒21です。では、カウントダウンします』
パネルについたマイクに声を吹き込みながら、ファウストは首にかけたストップウォッチを左手に握る。
『3…』
ヴェルギリウスが首を回し…赤熱するグラディウスをゆっくりと抜く。
『2…』
フワンはそれを見て、ゆっくりと、左手にシェキナーを持ち替えた。…弓は持っていなかった。
『1…』
ヴェルギリウスが剣先を後ろに、剣の腹が自分を向くように半身になって構え…その先に、三つ
『0。不安定E.G.O試験、開始します』
ファウストがストップウォッチのボタンを押下し、ガラス窓越しの試験室内に…轟音が鳴り響いた。
【To Be Continued…】
ーーーー
【おまけ】
HP:70〜205
防御レベル:人格レベル+3
速度範囲:4〜8
混乱区間:70%,40%,20%
パニックタイプ:パニック
耐性: 斬撃-普通 貫通-耐性 打撃-脆弱
〈スキル1:草食み〉貫通 暴食 スキルレベル:人格レベル+5
マッチ威力:6〜12
基本威力:6 コイン枚数:2 コイン威力:+3 攻撃加重値:1
[使用時]速度が7以上ならコイン威力+1
[使用時]自分の充電回数が3増加
Ⅰ[的中時] 弾丸1を消耗、出血2を付与
Ⅱ[的中時] 弾丸1を消耗、破裂2を付与
〈スキル2:迅速制圧〉貫通 嫉妬 スキルレベル:人格レベル+5
マッチ威力:3〜15
基本威力:3 コイン枚数:4 コイン威力:+3 攻撃加重値:1
[使用時]速度が7以上ならコイン威力+1
[マッチ勝利時]自分の充電回数が5増加
Ⅰ[的中時] 弾丸1を消耗、出血回数が1増加
Ⅱ[的中時] 弾丸1を消耗、出血3を付与
Ⅲ[的中時] 弾丸1を消耗、出血回数を3増加
Ⅳ[的中時] 自分の充電回数が5増加
〈スキル3:凶暴な刃〉斬撃 憤怒 スキルレベル:人格レベル+5
マッチ威力:4〜19
基本威力:4 コイン枚数:5 コイン威力:+3 攻撃加重値:1(+1)
[使用時]メインターゲットに脆弱が付与されているなら、与ダメージ量+(脆弱×5)%(最大30%)
[使用時]充電回数が10以上なら、充電回数を10消費してコイン威力+2
[使用時]弾丸が0なら、攻撃加重値が1増加
Ⅰ[的中時] 弾丸を1消耗、破裂回数2を付与
Ⅱ[的中時] 弾丸を1消耗、破裂回数2を付与
Ⅲ[的中時] 出血2を付与
Ⅳ[的中時] 出血3を付与
Ⅴ[的中時]すべてのターゲットの出血を1回発動。対象の出血回数が1減少。
〈守備スキル:バニー・ホップ〉暴食 回避 スキルレベル:人格レベル+3
基本威力:4 コイン枚数:1 コイン威力:+10
[使用時]速度7以上なら、コイン威力+3
[使用時]自分の充電回数が3増加(1ターンにつき2回)
〈バトルパッシブ:首狩りうさぎ〉
必要資源:なし
弾丸を消耗するコインを投げるとき、弾丸がない場合でも該当コインの的中時効果を付与しない代わりに攻撃がキャンセルされない。
〈バトルパッシブ:彼の腕前〉
必要資源:暴食×3所持
自分の速度が攻撃対象の速度よりも上回っている場合、速度差2につきスキル威力+2(最大6)
〈サポートパッシブ:隊長の視線〉
必要資源:暴食×3所持
編成順が最も速い味方1人の斬撃スキルダメージ+10%
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【人格ストーリー】
「いつ見ても凄まじい光景だな…」
R社の司令官らしき男が、窓の向こうに見える凄惨な景色に息をついている。見れば、そこは屍山血河の様相を呈していて…その光景を形作る死体の一つ一つは、全て同じ背格好をしている。
司令官が窓の前にあったコンソールのボタンを押すと、横にあった扉が開く。そこから出てきたのは、頭からつま先まで血に塗れた一人の少年だった。その子が生まれ持った金髪が分からなくなるぐらい血を被って、目は未だ爛々と赤く輝いているね。
「“孵化”お疲れ様。調子はどうだ?」
「いつもより良いくらいです。お迎えありがとうございます」
「………そりゃよかった」
血塗れの身体に似合わない人の良い笑顔と態度を見せる部下に、司令官は怯まない。一瞬だけ考えて、ただ淡々とした様子で黒いアタッシュケースを彼に渡した。
「装備だ。悪いけど、この後すぐ出てもらうぞ」
「ええ、問題ありません…草を食めるというのなら」
「ああ。次の現場でも好きなだけ食い散らかしてもらうさ…」
煙草をちりちり燃やしながら、司令官はそう言った。自分の信頼する部下…ウサギたちの隊長に。
ーーー
「…次、次…ッ、次!!」
どん!どん!と大きな音がしている。これは銃声でもなんでもない…少年が床を蹴って加速する音なんだ。
「ふ、は…お前らもかっ!!」
見敵必殺の勢いで突貫し、すれ違いざまに、あるいは肩を踏み台にしつつ、少年はナイフを標的の首に躊躇なく振り抜き、切断していく。赤い残光を伴うその姿に、同僚や上官は彼に“首狩りウサギ”のあだ名を付けているんだ。
「ここはこれで終わりか…総員、僕に続いてください!もっと草の多いところに行きますよ!!」
マントを翻し、ナイフを行先に向けて鬨の声を叫んだ。その姿は、彼がこの会社に入るきっかけになったような“英雄”のそれにも見えたけれど…
「柔らかい草…硬い草…どれもこれもぜんぶむしって…!!」
強化施術と大義名分で枷の外れた暴力性を振り回すその姿は…本当に英雄のそれだと、胸を張って言えるのかな?
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そう、良・作があるやもな、と
HP:65〜200
防御レベル:人格レベル+5
速度範囲:4〜9
混乱区間:70%,40%,20%
パニックタイプ:パニック
耐性: 斬撃-普通 貫通-耐性 打撃-脆弱
〈スキル1:草食み〉貫通 嫉妬 スキルレベル:人格レベル+5
マッチ威力:6〜12
基本威力:6 コイン枚数:3 コイン威力:+2 攻撃加重値:1
[使用時]相手の出血威力と破裂威力の合計が12以上ならコイン威力+1
[使用時]自分の充電回数が3増加
Ⅰ[的中時] 弾丸1を消耗、出血3を付与
Ⅱ[的中時] 弾丸1を消耗、出血回数が1増加
Ⅲ[的中時]出血回数が1増加
〈スキル2:一点射撃〉貫通 憤怒 スキルレベル:人格レベル+5
マッチ威力:3〜13
基本威力:3 コイン枚数:2 コイン威力:+5 攻撃加重値:1
[使用時]速度が7以上ならコイン威力+1、相手の出血威力と破裂威力の合計が12以上ならマッチ威力+2
[マッチ勝利時]自分の充電回数が5増加
Ⅰ[的中時] 弾丸1を消耗、破裂回数が3増加
Ⅱ[的中時] 弾丸1を消耗、破裂3を付与
〈スキル3:迅速制圧〉貫通 暴食 スキルレベル:人格レベル+5
マッチ威力:4〜19
基本威力:4 コイン枚数:5 コイン威力:+3 攻撃加重値:1
[使用時]速度が7以上ならコイン威力+1、相手の出血威力・破裂威力の合計が12以上なら最終威力+3
Ⅰ[的中時] 弾丸を1消耗、脆弱2を付与
Ⅱ[的中時] 弾丸を1消耗、脆弱2を付与
Ⅲ[的中時] 弾丸を1消耗、出血回数が5増加
Ⅳ[的中時] 弾丸を1消耗、破裂回数が5増加
Ⅴ[コイントス開始時]弾丸が0ならば、このコインのダメージ量+20%
〈守備スキル:げい・かん中だ〉嫉妬 回避 スキルレベル:人格レベル+3
基本威力:4 コイン枚数:1 コイン威力:+10
[使用時]自身の充電回数が3増加(1ターンに最大2回)
〈バトルパッシブ:Rabbit施術〉
必要資源:暴食×3所持
自身の充電回数が5以上ならば、クイック1、攻撃威力増加1を得る。
〈サポートパッシブ:貪欲な鑑賞〉
必要資源:暴食×3所持
編成順の最も速い味方のスキル使用時、E.G.O資源が1個追加で得られる。
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【人格ストーリー】
「…なに、見てるんですか?」
R社の食堂で適当に腹に溜まるものを食っていたら、オレンジ髪のトナカイに話しかけられた。無視して左手に持った冊子のページをめくる。
「ああ、各群のチームとか業務内容紹介のパンフ…良秀さん、他のチームに移るつもりなんですか?」
「チッ…じゃ・ま」
「ああ、邪魔ですか、ごめんなさい…でもどうしても気になって…」
眉間をつまみながらぼやくオレンジモップが、静かになってメシを食い始めた。……そのプレートの傍に散らばる大量の錠剤を見て、俺はパンフのトナカイの欄に大きくバツをつけた。
「ああ…良秀さんは“じゃなかったらなんだ、とんま”と言ってるんですよ」
「あ、そうなん……とんまって、酷いこと言いますね」
「あ・も。思考は明晰じゃなきゃいかん」
「“おりゃあ頭の痛みは嫌いだ、モップ”らしいです」
勝手に言葉を通訳しながら俺の隣に座ってきたのは、ウチのチームの隊長だった。…俺がウサギに来たのも、こいつの作り出すものが気になってのことだった。
「良秀さん、やっぱり別チームに移りたいって司令に頼むんですか?ならトナカイはやめといた方がいいですよ」
「ええ、ゔっ…その通りです。こんなふうに不意な頭痛に呻くことになりますよ」
「……最初からそのつもりさ」
この会社に来たのも、大群により作られるものだとか、沢山の自分で作り出されるものだとか、色々なことが楽しげだったから。それに…こいつらは多種多様で、同じチームでも群が違えばガラッと変わる。今まで結構なチームを渡り歩いて、今のウサギもそろそろ潮時だってところだ。
「しかし偉いですね…良秀さん、キャリアアップとかを考える人だったんですね」
「良秀さんはちょっとクセがありますが、優秀な人です。別のチームでもやっていけますよ!」
オレンジモップと黄色の子ウサギが笑いかけるのを鼻で笑って…最後の一欠片をフォークで口に放り込みつつ、パンフのある箇所に丸をつけた。
「次は…“カラス”なんてのもいいな」
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くたばりたくないんなら…真面目に挑むように
HP:75〜230
防御レベル:人格レベル+5
速度範囲:3〜7
混乱区間:40%,20%
パニックタイプ:パニック
耐性: 斬撃-普通 貫通-耐性 打撃-脆弱
〈スキル1:迅速制圧〉貫通 暴食 スキルレベル:人格レベル+5
マッチ威力:5〜11
基本威力:5 コイン枚数:2 コイン威力:+3 攻撃加重値:1
[戦闘開始時]充電回数を獲得・消耗するスキルを所持した人格が編成されているなら、すべての該当人格へ充電回数3を付与。R社所属人格がこの効果を受ける場合、充電回数2を追加で付与。
[使用時]相手の出血威力と破裂威力の合計が10以上ならコイン威力+1
Ⅰ[的中時] 出血3を付与
Ⅱ[的中時] 出血回数が1増加
〈スキル2:戦闘射撃〉貫通 嫉妬 スキルレベル:人格レベル+5
マッチ威力:8〜16
基本威力:8 コイン枚数:4 コイン威力:+2 攻撃加重値:1
[戦闘開始時]R社所属人格(最大共鳴数)人へ、このターンに攻撃威力増加2を付与
[使用時]相手の出血威力と破裂威力の合計が10以上ならコイン威力+1
Ⅰ[的中時] 破裂2を付与
Ⅱ[的中時] 破裂回数が2増加
Ⅲ[的中時]出血2を付与
Ⅳ[的中時]出血回数が2増加
〈スキル3:処分〉斬撃 憤怒 スキルレベル:人格レベル+5
マッチ威力:5〜17
基本威力:5 コイン枚数:3 コイン威力:+4 攻撃加重値:1
[使用時]相手の出血威力・破裂威力の合計6につきコイン威力+1(最大3)
[使用時]相手の脆弱1につきダメージ量+5%(最大50%)
Ⅰ[的中時] 次のターンに麻痺1を付与
Ⅱ[的中時] 出血3を付与
Ⅲ[的中時] 破裂3を付与
[攻撃終了時]弾丸を使うR社所属人格の保有している弾丸の数が半分未満であるなら、弾丸を最大値の半分だけ再び得る(小数点繰り上げ)。なお、この効果は人格一つにつき戦闘中一回のみ発動する。
〈守備スキル:司令の矜持〉憤怒 回避 スキルレベル:人格レベル+3
基本威力:4 コイン枚数:1 コイン威力:+10
[使用時]相手の出血威力・破裂威力の合計6につきコイン威力+3(最大6)
〈バトルパッシブ:始末〉
必要資源:嫉妬×3共鳴
攻撃的中時、次のターンに“攻撃目標”を付与(1ターンにつき1回)*3
〈サポートパッシブ:RRRスーツ〉
必要資源:嫉妬×3所持
編成順の最も速い味方のスキルダメージ+10%
ーーーーー
【人格ストーリー】
「…では、ご苦労。下がりたまえ、グレゴール司令官」
「はっ」
その子供は姿勢よく敬礼を返して、部屋を出ていく。ドアを閉め、数歩ほど部屋から離れたところで大きく溜息をついた。その歩みは、いつもの喫煙室に向かっているね。
「たぬき共…クソ、コストカットができてそんなに愉快かね」
いや、もはや
「やっとか……………すう…はーーーあ…………」
紫煙を求めるあまり口から煙草を迎えに行って、機械義手に仕込んだライターで火をつけた。心ゆくまで吸って、吐いて…しかし、肺の底に溜まったモヤは晴れない。
「…………トナカイの後釜がもうじきできるんだったか」
先程、上官に伝えられた言葉。先日カラスチームによって処分されたトナカイチームに代わる新たなチームが、彼の率いる第四群に設立されるそうだ。
彼にとって、トナカイの処分に賛成ではなかった。第四群はどれもこれも曲者揃いの厄介者集団であることは確かだが…それでも優秀で、気のいいヤツも沢山いた。だから…
『…メリークリスマス』
あのトナカイの一員からの、最後の通信が忘れられない。きっと死ぬまで忘れないだろう。
「…………仕方ない、ことだったのか…」
新しいチームができて、トナカイ達が忘れ去られても…彼だけは、覚えているでしょうね。いや…
忘れられない、というのが正しいか。
フワン:酒飲み神父。他の囚人達と同様に、もれなく罪を背負っている。…平準化される前の実力は…?
ユーリ:なんとか生き残った。しかし脚を失った。まあ、命を落とすよりかはマシだろう。
ヴェルギリウス:なぜ俺がこの実験に付き合わなければいけないんだ…
カロン:ヴェルも、司教さんも…かっこいいね。
ーーーーー
いかがでしたか?
よければ感想・評価よろしくお願いします。
では、また次回!