起きたら知ってる天井が見えた。
どうやら俺は布団で寝ているらしい、俺はどっちかと言えばベット派なのだが…布団も中々寝心地がいいものだ。
しかも甘いが匂いする、これ、誰の布団なんだろうか。
…そういえば夢を見ていたような気がする。
夢にしてはやけに鮮明に覚えているが、そういう事もあるだろう。
そんな事を考えながら俺は呟く。
「全く、変な夢だったな。」
「へー、どんな夢だよ。」
俺が寝ていた布団の横にあぐらをかいて座っていた猫白が、いつもとは違う高い女声で俺に聞いてきた。
「聞いてくれよ猫白、猫白が起きたら美少女になってるんだ。TS物じゃよくある展開だが、流石にそんなことありえないと思わないか?。」
「おーそうだな、まぁそれ夢じゃないけど。」
「おいおい冗談が上手いなぁ。あっはっは。」
上手い冗談を言うようになったものだ、猫白が美少女になるなんて、そんなことがあるわけが
「忘れたんなら思い出させてやろうか?」
そう俺が考えている横で、青筋を浮かべた綺麗な笑顔で猫白が拳を鳴らしていた。
「冗談だ、覚えてる覚えてる。」
このまま夢で済ませたかったが、現実は無情にも事実を押し付けてくるらしい。
まぁこの場合は現実(猫白の拳)な訳だが。
「思い出したかよ。」
ジトっとした目で俺を猫白が見てくる。
…TSする前なら少しは迫力があったかもしれないが、今となっては全く怖くないな。
そう思いながら俺は布団から身を起こす。
「それにしても酷くないか?問答無用で気絶させてくるなんて。」
「変な事を言い出したらお前が悪い…。それに気絶させた後は俺の布団に寝かせといたんだから、むしろ感謝して欲しいくらいだぜ。」
どうやら俺が寝ていた布団は猫白のものだったらしい。
「というとこの甘い匂いってお前の匂いなのか。TSすると体臭も変わるんだな。」
そう言うと無言で猫白が拳を顔に放ってきた。
流石に何度も受け止めるわけにもいかない、頭を横に逸らして回避する。
…危なかった、流石に2回も気絶したくはないからな。
「チッ。」
「動きがワンパターンだぜ猫子ちゃん。もうちょっと工夫するんだな。」
「お前まじで一回死んだ方がいい。」
なんて失礼な奴なんだろうか。俺はただ、布団から香る猫白の体臭について冷静に分析してただけだと言うのに。
「それはそうと猫白。」
「なんだよセクハラ変態野郎。」
「お前親に女になったって言ったのか。」
「…………いってねぇ、というか、いえねぇよ。」
どうやらまだ言ってはいないようだ。
「まぁ無理もないか、外見はかなり変わってるしな。」
「…やっぱ信じられないと思うか。」
「うーん……でもお前の親なら普通に受け入れそうな気もするがな。」
どうやら親に打ち明けて信じられるかどうかが心配だったようだ。
猫白は随分と思い詰めていたみたいだが、まぁ杞憂に終わるだろう。
普通なら信じられるか怪しいかもしれないが…猫白の親はなんというか、随分とこう、変わっているのだ。
「そ、そうだよな!信じてくれるよな!そうだよな!。」
「近い近い近い近い。」
相当不安だったのか、まだ布団の上にいた俺に詰め寄ってきた。
というかこいつ顔綺麗すぎだろ、俺じゃなかったら惚れてたわ。
あっなんかいい匂いする。
そんな事を考えていた直後だった。
「白ちゃーん、まだお布団の中なのかしら?そろそろ起きて朝ご飯食べなきゃ…。」
そう言って白猫のお母さんが部屋の中にドアを開けて入ってきた。
…今の状況を整理してみよう。布団の上には俺が寝ている、そして俺に詰め寄っている猫白(TS済み)、この状況は何も知らない人にとっては
布団で寝ている俺に美少女が詰め寄っているようにしか見えない。
つまりは
「あらあらあら、ちょっとお邪魔だったみたいねー、ごゆっくり〜。」
そう言いながらゆっくりドアを閉めていった。
どう考えても勘違いされている。というか自分の子供の友達とはいえ、勝手に上がり込んで布団で寝てる俺についてはいいのだろうか。
いや、どう考えてもツッコむところはそこではないのだが。
「待ってママ!違うから、誤解なんだよ!!!!。」
母親が入ってきてから固まっていた猫白が誤解されたことに気付いたのか、叫びながら部屋のドアを開けて追いかけていく。
俺は布団から身を起こし、寝過ぎて硬くなった体をほぐしながら立ち上がり、ふと思った。
お母さん、貴方の息子さんは立派に女になりました。物理的に。
そうして俺は、走っていった猫白を追いかけるために、開け放たれたドアから部屋から出るのだった。