完璧なRPができる魔法使い系Vtuberになりたいです! ~え、実際に異世界攻略してこい? 無理ですってば!~   作:しらほし

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耐久コラボ配信 後半

 

 

感触が良さげだった魔法と移動しながらの攻撃をひたすら試してみる。なんとなくバリエーション不足感があって物足りない。五十戦。

 

 

「リーナちゃん、ジャンプで近づいたときに下方向に入力すると着地が早くなるから地上戦に移れるタイミングもあるかもっす!」

「ありがとうございます!」

 

 

相手に近づけて攻撃が入った後のコンボがまだまだ火力不足だ。思ったより掴みが空振りことがある。掴み攻撃の間合いも覚えよう。要研究。六十、七十、ようやくたまに掴めるようになってきた。八十戦。

 

 

「掴めるようになってきたら下投げからのコンボも試してみるといいっすよ!」

「ならまず掴ませてください……!」

「簡単にはやらせないっすよ!」

 

 

モーションの長い魔法も、当たるかどうかはともかく安全に撃てる距離が分かってきた。ダッシュ攻撃やジャンプ攻撃で横移動をしていた名残で、横向きの攻撃が多かったことに気づいた。掴みの後やコンボに続けて上攻撃や下攻撃も混ぜてみる。九十戦。

 

 

「リーナちゃん動き良くなってきたね」

「ホントですか? ありがとうございます!」

「もう油断できなくなってきたよ。口数減っちゃったらごめんっす」

「本気のバトル企画ですもんね。黙らせちゃいますよ~」

 

 

九十五戦目、初めてロロ先輩の一機目を倒した。

 

 

「よしっ!」

「あちゃ~やられた~。よーしボコボコにやり返すっすよー!」

 

 

〇おお!

●いいコンボ

〇上手くなってきたね

●成長速度すごいな

〇三時間前まで初心者だったって思えない

●もう俺より上手い

 

 

今の一戦はいい感じだった。ロロ先輩の動きがよく見えた気がする。

それから一機落とせたり落とせなかったりする試合が続き、おおよそ百三十戦目あたり、ようやく二機目を倒せた。

 

 

〇おお!

●いけるいける!

〇ロローン頑張れ!

●下剋上なるか?

〇もう時間の問題だな

●うおおナイ・カテリーナ最強!ナイ・カテリーナ最強!

〇ロローンも疲れが見えてきた

●ここまで五時間。早いな

 

 

「……やるね、リーナちゃん。期待通りっす。アクションゲームの素質もそうだけど、何度死んでも、何度でも試して、何度も折れずに立ち向かって、きちんと成長するところ。間違いなくリーナちゃんのすごいところっすよ」

「あ、ありがとうございます!」

 

 

笹原ロロちゃんには反映されない動きだけど、先輩が〝私〟の背中をポンと叩きながら言った。後輩に追いつかれつつあるのに、笑顔で私を褒めてくれてる。戦うのに必死で気づかなかったけど、思い返してみれば先輩はずっと笑顔だった。盛り上げるための煽りも織り交ぜつつ、基本的にはアドバイスと雑談ばかりだった。

 

 

「でも、負けないっすよ! 育てた上で、何時間やっても負けない! それが今回のアタシの挑戦!」

 

 

このコラボは、私を育ててくれたり、導いてくれたりする側面が大きいと感じていた。けど、それは先輩にとっても楽しい配信になっているのだろうか。気づくのがすごく遅くなったけど、私も先輩を楽しませられるよう頑張ろう。

 

 

「勝つまでやります!」

今までも全力だったけど、トークにも全力を出し続ける!

「十二時間勝ち続けるっす!」

 

 

配信時間が七時間を超えたあたりで先輩を残り一機まで追い詰めるのが安定してきて、ざっくり八時間ちょっと、私はロロ先輩に初勝利した。

 

 

「やったぁぁぁぁぁぁ!」

「あー!!!! やられたー!!!!!?」

 

 

〇あ、

●いった!!!!

〇刺さったーーーーーー!

●うまい!

〇うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお gg

●やった!

〇おお!!!

●ああああああああ

〇やりやがった!!

●読み勝った!

〇おめでとう!

●gg

 

 

「いやー、さすがに無茶だったかー!」

疲れてらっしゃるはずなのに……本気の勝負をして負けた直後のはずなのに……先輩は明るく悔しがる。すごい。素直にそう思った。私は同じ立場になったとき、先輩のように出来るのかな。

 

 

「ありがとうございました……!!」

 

 

自然と感謝の言葉が出る。

 

 

「おっ? 煽りかー? また燃えるぞー?」

「えっ!? そんなつもりは──」

「嘘だよwwww 話の流れで、というかここまでの頑張りを見て誤解する人なんて居ないって」

 

 

また背中をポンポンと優しく叩かれた。先輩の癖なのかもしれない。

 

 

「えー。というわけで、このゲーム百時間以上遊んでるアタシは、教えながらとはいえプレイ時間八時間くらいのバケモノにやられました、と」

「先輩―? その言い方はちょっといただけないですよ?」

 

 

〇あっ

●wwwwww

〇草

●ワロタ

〇だとしたらロローン雑魚じゃん

●やはりバケモノ

〇言い方よ

●成長速度10倍以上で草

〇そう考えるとやばすぎてやばい(語彙力)

●バケモノバケモノ!

 

 

「まあ負けて悔しいのはともかくっす! こんな感じでめげずにめちゃくちゃ頑張るいい子だから、応援してあげてね。リーナちゃんも、今日は急にコラボに誘ったのに来てくれてありがとっす! 楽しかった!」

カラッとした笑みをこちらに向けてくれる。先輩とはたったの一歳差なのに、精神の成熟具合がすごすぎる。

 

 

「こちらこそ、誘ってくださって本当にありがとうございました! 私も楽しかったですし、先輩からたくさん学べることがありました!」

「色んな技とかテクニック教えたっすからね~。アタシもまだまだ練習すれば強くなれるかもしれないっすね。もしよかったら、これからもたまに勝負してくれるっすか?」

「もちろんです!」

「やったー! リスナーたち! 大決闘仲間が増えたぞー!」

 

 

先輩のうれしそうな声に、ロロ先輩のリスナーさんたちも温かい言葉を返してくれている。「すぐに追い越されるよ」みたなコメントもあるけど、私が今日の感覚を覚えていられるかは怪しいな。

 

 

「ほな! 今日の配信はここまで! アタシとリーナのチャンネル登録と、頑張ったリーナの何かしらの動画に高評価よろしく! おつロローン!」

 

 

エンディングアニメーションをしばらく流して、配信終了を指差し発声確認してから、先輩がフゥと気の抜けた息をもらした。その光景が微笑ましくて笑うと、「一度だけ配信切れてなかったことあってん」と笑った。

 

 

「先輩、本当に長時間ありがとうございました。お疲れさまでした」

「ん。こちらこそありがとーな。結果的に負けてもうたから、バケモノ呼びする方向でオチつけて堪忍な」

「いえ、配信的にはああするほうがキレイでしたから大丈夫です。……あ、でも積極的に受け入れたり、許したってわけではないですからね?」

 

 

そんな会話をして笑いあってから、お布団を用意してもらい、先輩はベッドで、私は床に敷かれたお布団で眠りについた。

 

 

この数十分後に目を覚まさなければならないとは、この時点の私は思っていなかった。

 







明日も仕事なので早めに書き上げたかったけどこんな時間に。

先日、人生で初めて感想をいただきました。とっても嬉しいです。万人受けする話ではないことも分かっているので、感謝もひとしおです。
これからも頑張れるときに頑張ります。
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