ヒューム×滅炎があったのでそんなに時間たってないかなーって思ってたんですけど、気が付いたらこんなに開いてしまいました。
お詫びに腹を切ります。・・・妲己が
あと一話の冒頭をちょっとだけ弄りました。
ps.ガンプラ作りたのちい
解けていた糸が再び纏まるかのように、意識が浮上する。
暗闇に慣れていた瞳に日光は些か刺激が強く、焦点が定まるよりも早くもう一度目を閉じた。
どれだけ眠っていただろうか。身体が酷く重い。初陣の時でさえこれほど酷くはなっていない。
幾つかの女の声と共に、酷く慌てた足音が聞こえる。何を言っているのか、自分の名前だけが辛うじて拾い上げることができた。
(あの駄狐・・・)
五郎は心の中で悪態をつく。どうせ妲己あたりが「飯を作れ」と騒いでいるのだろう。
昨夜の戦は大江山での一戦以降最大規模のもの。良く生きていたな、と自分でも驚くほどだ。
もう一度意識を手放したい衝動に駆られたが、無理やりそれをねじ伏せて
別に駄狐は怖くないが、
右腕をきっかけとして左腕、両足と順に外界へ。そして光にようやく慣れたのか、最後に瞳を開けると、
「・・・夢か」
いつもの長屋と同程度の大きさの寝室、障子の隙間から見える豪勢な庭。
ふと
五郎の目に飛び込んできたのは正に夢と断じることしか出来ない、非現実な光景であった。
「そんなに疲れてんのか俺・・・もっかい寝たら醒めるか?」
そんな妄言が自然と出てしまうのも仕方がない。
いそいそと布団へと戻ろうとした五郎の動きは、こちらへと向かってくる一つの足音によって遮られた。
部屋と廊下を隔てる一枚の障子の前で、足音の主は一度立ち止まった。
乱れた息を整えるためなのか、それ以外の意図があったのか。ともかく十ほど数えた後、ゆっくりと障子が開かれた。
「失礼いたします」
優しい声が耳を打つ。凛としていて、すっと心に入ってくるような心地いい声。
部屋と廊下の境界で一人の少女が座している。息が整ってはいるものの、頬は僅かに赤く染まっていた。
十二単を見事に着こなしており、所作も含めて見事な気品を漂わせている。
まさしく住む世界が違う存在。事前の心構えもなく対峙した五郎は、緊張のあまり身体を強張らせ―――
(いや、そう言えば姫さんも貴族様だったか)
―――なかった。
彼が日頃から接している四の姫も『安部家のご令嬢』という列記としたお姫様。(偶の奇行や普段の態度からは全く想像できないが)
彼女と同じような人間だと思えば緊張はかなりマシになった。
「大丈夫ですか?もしや体に異常が―――」
黙っている五郎を案じるように声を掛ける少女。
体調に問題が無いことを懇切丁寧に説明すると、曇っていた顔がようやく明るさを取り戻した。
「それはようございました。が、しばらくはご無理はなさらぬようお願いいたします」
聞くと自分は三日も目を覚まさなかったらしい。道理で身体が重いわけだ。
過労でぶっ倒れた後にここに放り込まれたのだろう。
大人しく横になり、少女と言葉を交わす。
曰く、怪異の大半は祓われた。
曰く、蘆屋道満は既に死んでおり、空亡という怪異によって乗っ取られていたこと。
曰く、空亡や茨木童子といった上位の怪異は取り逃がしてしまい、今も行方が分からないこと。
曰く、源氏武士の介入を拒んだ結果小さくない被害を陰陽寮にもたらしたため、安部従四位の立場が微妙なものになっていること。
二人の間に穏やかな空気が流れる。今ならいいだろうと五郎は心に秘めていた問いを口にする。
つまり、
五郎の問いかけに少女は暫しの間唖然とし、すぐにくすくすと笑いだした。
「そう言えば名乗っていませんでしたね」そう前置きを置いて、少女は姿勢を正した。
「
五郎の家は源氏の中では中流にあたる。
目立つような手柄は無く分家も少ないが、歴史だけは無駄に重ねている家。悪く言えば微妙な家だ。
そんな家の五男。適当なところから嫁を貰うのだと思っていた。
ましてや貴族様からなどとは。
「わたくしが住ませていただいている邸宅の一室です。本家と比べて窮屈ですので少々抵抗がありましたが・・・旦那様の家の方に
聞きました!?「本家と比べて窮屈」ですってよ!(口調崩壊)
五郎の家の庭には池なんてものは存在しないし、石橋が掛けられる大きさなどな猶更だ。
まさかこんな形で対面することになるとは夢にも―――姫様と婚約する中流武家の五男なんて、それこそ夢のようだが―――思わなかった。
「そうそう」と静が思い出したように言う。
「先ほど使いを出しましたので、しばらくすればいらっしゃるかと」
誰が?と静に尋ねる前に、廊下が何やら騒がしくなった。
「お待ちください!」
「今姫様は・・・」
女中の静止する声もものともせず、まるで居場所が分かっているかのように足音が五郎たちの部屋へと一直線に向かう。
ガラリ、と障子が開かれた先には彼にとって見知った顔があった。
「五郎君・・・!」
「おう、姫さん。この通りピンピンしてるぜ」
障子越しからも伝わってきた彼女の感情に対し、安心させるように軽く返した。
しかし四の姫の表情は晴れることなく、むしろ今にも泣きだしてしまいそうなものへ悪化してしまった。
「・・・何かあったのか」
「
「あいつがどうかしたのか?」
「
春の陽気に誘われて、野原に見事な花が咲いている。
赤、青、黄、紫etc。大きさも色もまるで違う彼らは、それが当たり前であるように、無秩序的に、そして秩序的にこの場を支配している。
開発が進み、外来種が多様に流入した令和の時代には先ず見られない景色。写真に収めることすら無粋に感じてしまうほど、見事なものだ。
平安京を一望できる高台。その縁で腰掛ける
感情の見えない瞳で都を見下ろしている。
春の空気も彼女の気分を好転させるにはまるで足りない。
かといって当たり散らすこともなく、まるで人形のように微動だにしない。
いつものように仄暗い炎の温かみを感じるが、言葉が返ってくることはない。
言外に「どちらでもいい」と言ってるようで。
「何故貴女は戦うのです?人間にいいように扱われ、それでなぜ戦場に立てるのです?」
戦場で茨木童子に突き付けられた言葉が、魚の小骨のように
しかしそれに対する答えがまるで出せず、只無為に時間が過ぎるだけ。
このまま時間と共に石像になってしまうのではないか。そう思わせるほど微塵も変化が訪れない。
風と
「よう、ここにいたかよ」
振り返ると軽装の五郎が立っていた。
わざわざ探しに来た彼に対してあんまりな態度だが、五郎は苦笑するだけで特には文句は言わなかった。
「・・・」
「帰ったら姫さんに謝れよ。宥めるのに苦労したんだからな」
軽口を叩きつつ、
彼女自身はそれを拒むでもなく、さりとて歓迎するでもなく視線を都に向けたまま微動だにしない。
「・・・」
「そんなに意外かよ」
五郎の言葉に
「・・・四の姫が最初だと思った」
「あの人も無茶したらしいからな。じゃなきゃここにいるのは姫さんだっただろうよ」
それっきり二人の会話は途切れた。
そのまま時間が過ぎること約半刻。先に痺れを切らしたのは
「・・・」
「理由を聞かないの?」
「何のだよ」
「『人間は飛び出していった理由を問いただして連れ戻そうとするものじゃ』って妲己が言ったから」
如何やら妲己の催促によるものらしい。
不快そうなのは無理やり口を開かされたからか、そんなふうに考える五郎の答えはどこか淡泊なものだった。
「無理に聞くようなもんか?それ」
「・・・」
「別に言いたくなきゃ黙ってりゃいいし、言いたいなら遠慮なく言う。お前はそんな奴だろ」
そう言いながら懐から干し肉を取り出し、かぶりつく。
「いるか?」と
「・・・ちょっとだけ、分からなくなった」
もう一度口を開いたのは、更に半刻経っ手からだった。
「ずっと怪異を殺してきた」
「それしか知らなかったから」
「そうあるべきだと言われてきたから」
「でも、それが、どうしようもなく間違ったものだったかも知れないと言われた」
「見せつけられた」
「だから、分からなくなった」
多分、
人間を信じ、裏切られた末路。
だから少しだけ、彼女の考えも、他の人間のそれよりは分かるように思うのだ。
・・・そんな風に笑うのは止める。ちょっと斬りたくなってしまうから。
「悪い悪い、思ったより人間らしいことで悩んでんだなって」
殺気を感じ取ったのか、五郎が慌てて謝罪する。
幸運にも白刃が抜かれることはなかった。
「人間らしい・・・?」
「ああ。そんな悩みの一つや二つ、誰でも抱えてるもんだ」
意外そうな目で五郎の方を見る
次は五郎が顔を顰める番になった。
「俺を何だと思ってんだ」
「・・・物好きな人間?」
「本当に何だと思ってんだ」
悪意を持ってならともかく、純粋に、心の底からそう思っているのだからタチが悪い。
いちいち反応していたらコイツの御守は務まらない。それを思い出し、五郎は改めて言葉を紡ぐ。
「俺だって悩みの一つや二つあるわ。父上はとっとと孫を見せろって五月蠅いし、母上は『戦に出るな』の一点張り。兄上方は目の上のたんこぶのように接してくるし、なのに親族衆は俺を出世頭とみてすり寄ってくる」
五郎自身が驚くほど、滑らかに愚痴が漏れ出る。
そんな彼を不思議そうに見る
「・・・なんだよ」
「見たことない五郎だった」
「見せてねえだけだ。俺だけじゃねえ。姫様も静殿も・・・人間なら誰でも持ってるわ」
気恥ずかしさを誤魔化すように、
「ま、何が言いてえかというと、お前がそんな悩みを持つのは普通のことだ。悩むのは良いが、気に病みすぎるなってことだ」
「・・・」
そう言うと、五郎は立ち上がった。
余り長居しすぎると静に心配をかけるだろうし、目が覚めたときにもう一人の姫に癇癪を起される。
「・・・五郎」
「なんだよ」
呼びかけられて足を止める。
当の本人は視線を都に固定したままだ。
「他のやり方なんて、誰も教えてくれなかった」
「まだまだ子供だろ。俺も、お前も。今から学べばいいじゃねえか」
「何も知らない」
「奇遇だな、俺もだ。最近じゃ返歌の為に必死になって物を学んでる」
「私は、人間じゃなくてか―――」
「誰がそんなことを言いやがった。一発殴ってくるから名前教えろ」
最後の問いは言わせない。
言わせては、ならない。
誰が何と言おうと彼女は人間で、五郎の友人なのだから。
「・・・そう」
気が付けば
ここに来て最初に感じた「今にも消えそうな気配」は無くなり、いつもの彼女に戻っていた。
「干し肉渡す」
「・・・おらよ」
「腹減った。飯作る」
「後でな。数日寝込んでたやつに容赦なく飯作らせるとは・・・。あとお前、姫さんに説明しとけよ。死んじまうんじゃねえかって程顔色悪かったぞ」
「・・・善処する」
「おい、そんな言葉誰から教わった」
「妲己」
「マジで余計なことしかしねぇな、あの駄狐」
大きめのイベントをこなした主人公
ちょっと立ち直ったし、ちょっと前向きになった。
放置してたら闇落ちルートもあった。
無事回避。よかったね
黙ってたが、途中でこらえきれなくなっていた駄狐
黙っていたのは本当に「どちらでもよかった」ため。
なので引き続き
うーん、この妖怪
あの後すぐにぶっ倒れた姫様
割と死にかけのまま探し回っていたものだから、精神的にもズタボロ
なお
愛の力ってやつ
ひとりで仕事し過ぎな武士
今章ぶっちぎりでTier1の男。
戦闘では格上相手に時間稼ぎするし、ボロボロになった味方のメンタルを回復もするしでマジで隙の無い男。
いなかったらここでエンディングも有り得た(もちろんバッドエンド)
家庭内が不安定。地位が高い家なら普通に毒殺されてたかも。
幸せになれ
武士の婚約者な姫
マジで格式の高い姫様。具体的には五郎の家の一つや二つ余裕で潰せるくらい。
五郎には一目ぼれ。
なんやかんやあって家庭内の地位が微妙。現当主が聖人なだけで普通なら出家か毒殺コースまっしぐらなレベル。
最近は五郎に和歌を送るのが趣味。
作者
ガンプラ作りの沼に現在進行形で沈んでいっているアホンダラ。
最近はMGガンダムウイングゼロ(EW版)を組み立てた。
映画見てウイングゼロの受領シーンで脳を焼かれた。