生に恋を死に愛を   作:まえがみ

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組の案内(前半)

「最初は私たちがさっきまでいた居間だが、

 

 そこは私がこの組を立ち上げた最初期のメンバー、

 

 幹部たちと食事や雑談などをする場所にしている」

 

そのためこの場所は一般家庭のリビングと同じような広さであった。

 

「なるほど。ではさっき所々に空席ありましたがなぜですか?」

 

そう、さっきの食事の時点で3席の空きがあった。

 

「ああ、それは単純に夫婦で新婚旅行に行ってるだけだ。

 

 また帰ってきたら紹介するよ」

 

「そうなのですね!?では、もう1席は…!?」

 

そのことを聞くために鏡夜の顔を見たが、

 

とても難しい表情をしていた。

 

 

 

「私の親友が居たんだ」

 

とても苦しい顔をする鏡夜に

 

「そうなのですね」

 

という声しかかけられなかった。

 

鏡華は察した。

 

彼はもうこの世に居ないのだと。

 

皆で食事をとる場所に存在と居場所を残す為だったのだと、

 

「では、『召喚』にて呼び出せないのですか?」

 

このように言葉を発したことを鏡華は後悔した。

 

「・・・。私もそのことは最初に思い浮かんだ。

 

 だが、最後の姿を思い出すと判断しきれなくてね...」

 

鏡華自身とても軽率な発言だったと己を恥じた。

 

「ごめんなさい!軽々しく言っていい事ではなかったですね」

 

「いや、いいんだ。さて、まだまだこの家は広いんだ。行こうか」

 

「はい」

 

(鏡夜さんは優しすぎる。こんな無神経な発言も自分の責任にしてしまう。だからこそ頼もし頼ってしまう。でも、そこが危うい。わたくしが鏡夜さんの責任を少しでも一緒に背負えるようになりたい)

 

そう密かに胸に誓った。

 

 

 

この居間を出た二人はまず玄関に戻った。

 

「なんで玄関に戻ったのですか?」

 

「ああ、それは入り口からの方が説明しやすいからね」

 

「なるほど」

 

「ぶっちゃけ私たちの家は広い、見た目の倍以上に」

 

敷地のサイズは1辺100メートルほどの綺麗な正方形にかたどられた敷地をしており、その中に大きな平屋の日本家屋が立っており、一見金持ちの家に見えるつくりとなっている。

 

もう一度中に入り、

 

「この廊下をまっすぐ行った所がさっきの居間で、

 

 基本この階の左半分は組員の宿舎、右側が訓練室になっているよ」

 

「そうなのですね。

 

 では、皆さんは何処でお過ごしされているのですか?」

 

「この家の地下だよ。

 

 10階層分地下に広くて機密情報が漏れないようにしている。

 

 それに見える形で高い建物作っても侵入ルートや攻撃範囲が広くなる。

 

 そんな馬鹿馬鹿しいことしてられない」

 

「確かに理にかなっていますね。

 

 わたくしも常日頃から何でこんな攻められやすい形状にするのかと、

 

 城や軍事施設を見ていました」

 

そんなこんなで二人は一階というより、

 

平屋のためこの階しか地上にはないが、組員に挨拶をし、

 

訓練の様子を見つて回った。

 

その後に、

 

「次は庭の紹介するよ。多分、白夜もいるしね」

 

「はい」

 

そうして、中庭には行きそこには立派は池や竹、

 

岩といった平安時代を彷彿させる立地であった。

 

だが、その真ん中には異様な雰囲気を放つ人間が一人いた。

 

「おう。白夜、ちょっと失礼するよ」

 

「ああ、いいぞぉ。何ならちょっと手合わせしてくれよぉ」

 

「私は今案内してるんだが…まぁいいか。

 

 鏡華ちょっと待ってもらってもいいか?」

 

(さっきの話で少し暗くさせてしまったしな。

 

 気分転換にもいいだろう)

 

鏡夜は鏡華がさっきの罪悪感を抱いていることに気付いているので、

 

違うインパクトのある事で書き換えてしまうと考えたのである。

 

「ええ、問題ありませんよ。

 

 それに、鏡夜さんと白夜さんの手合わせ気になります!」

 

とてもわくわくしたような表情で言われては鏡夜もやる気が出る。

 

「白夜、全力で来い。久しぶりに全力を出そう」

 

その瞬間鏡夜の纏う雰囲気が変わり、周囲の空間がゆがむ。

 

そんな中、白夜は冷や汗を流す。

 

「ぼすがやる気で嬉しいぜぇ」

 

(おいおい、まったく勝てる気がしねぇ、シビアだぜ。

 

 だが、全力を出せるってのも楽しみだ)

 

そして、鏡夜からもオーラが出る。

 

この状況には流石に組員たちや幹部陣も気づき見に来る。

 

「どうなってるんだ?」

 

「手合わせするみたいですよ」

 

「おもしろ」

 

なんだかんだで賢史も楽しそうである。

 

「鏡華さん、こちらへ。

 

 そんなところに立っていてはしんどいでしょう?」

 

賢史と一緒に来ていた冴姫が縁側に二枚の座布団を持ってきていた。

 

「いいですか?ありがとうございます」

 

「ええ、一緒に見学いたしましょう。

 

 今後の作戦立案には実力を見ておかなければ」

 

「確かに今は白夜さんも鏡夜さんも力が増幅してますもんね」

 

すると、冴姫は

 

「鏡夜のことは作戦立案とは別次元ですわ。

 

 鏡夜は単独の遊撃人、考えるだけ無駄ですわ」

 

さも当然のようにいう冴姫に疑問を鏡華は持ち、

 

それに気づいた賢史が一言。

 

「鏡夜は能力を得る前から別格に強く賢い」

 

「だから、見なくてもいいと?」

 

「いえ、そういうわけではありません。ただ、恥ずかしながら作戦内容を鏡夜に伝えるとその作戦の一番脆くなるところを妾が気付く前に気付いてその場所で行動する。作戦立案の能力は妾の方が高くともその作戦を昇華させる能力は鏡夜の方が高いのですわ。広く言えば妾たちの長所は完璧に伸ばし、短所はフォローする。これだから妾が鏡夜を含めた作戦は考えないようにしているのですわ」

 

「なるほど。でも、今までの冴姫さんならそうかもしれませんでも、今回開花した『俯瞰』ではそれを踏まえた新たな領域での作戦立案ができるのはないですか?」

 

その時冴姫はハッと息を呑むような動作を行い。

 

「すみませんでしたわ。

 

 私は策士であるのに考えることをやめていたとは、情けない。

 

 気付かせていただき感謝いたします」

 

「いえいえ、何か良い方向に進んだのでしたらよかったです」

 

鏡華も伊達に長い期間この世を見てきただけはある。

 

この短期間で冴姫の成長点を見ぬき精神性から適切な思考に導き出したのである。

 

「ところで、普段からよくこのような催しはされているんですか?」

 

「まったくないな。そもそも、鏡夜がやる気になる事が珍しい」

 

「そうなのですか?」

 

「あら、勝手に会話に入らないでくださいまし」

 

「なんでだよ!ひでーな」

 

「ふん!」

 

「仲がいいのですね」

 

「「よくない!!」」

 

「これが噂にいう夫婦漫才ですか?」

 

本当にまじめな質問に周りは爆笑していた。

 

「そろそろ始まりそうですね」

 

 

 

「ぼすぅ始めようぜぇ」

 

「ああ、いつでも来い」

 

その言葉の瞬間に白夜は常人ではありえない速度の踏み込みで鏡夜に迫り、

 

掌底を放つが下段受けで簡単に流される。

 

「見ないうちに早くなったね」

 

「そんなこと言いながらも簡単にふせいでくれるよなっ」

 

そこから流れるように蹴りを放つが、

 

これは見切られワザとすれすれで鏡夜はよけた。

 

(これはまずぃな)

 

よけると同時に、

 

蹴りだされた足を鏡夜は軽く押し重心をずらさせ、

 

白夜と同じように掌底を放つ。

 

それは見事に白夜に突き刺さり、後方に派手にぶっ飛ぶ。

 

が、そこまでダメージはない様子で、

 

「すごいね。

 

 今までならこれで終わっていたのに、

 

 当たる瞬間に後ろに飛んだのかい」

 

「ぺっ、くっそ、かてるビジョンがぜんぜんわかねぇ」

 

少し口から血を流しており、

 

内臓にダメージを負ったようだが怯むどころか満面の笑みで笑い、

 

この戦闘を全力で楽しんでいるようだ。

 

その時不意に白夜の体から赤黒い靄が立ち始めた。

 

「おっ、それが『闘気』かい?」

 

始めてみる現象に鏡夜も湧き立つ。

 

「ああ、そうだぁ。これがべんりでよぉ。

 

 おれのそうぞうどおりにじったいをもつんだぁ」

 

「なるほど、それで、白夜はどうするんだ」

 

にやりと白夜は口角をあげる。

 

すると、その靄が白夜を覆いつくし、形が出来始めると、

 

新たに腕が二本作られ体も甲冑で固められている。

 

「おもしろい」

 

鏡夜もテンションマックスで状況を全力で楽しんでいる。

 

「こっからぺーすあげるぜぇ」

 

「いつでもいいよ」

 

白夜も戦闘にのめり込んでいるようで、

 

日本語が壊滅的に聞き取りずらくなっている

 

さっきとは日にならない速度の踏み込みで鏡夜に接近し、

 

顔と腹に同時に殴りかかった。

 

「おお、随分とはなくなったね」

 

だが、これも軽々と受け流され合間に、

 

カウンターを挟まれ肘を顔面にもろにくらうが気にせず、

 

白夜は突きに張りて、掌底に手刀と、

 

ありとあらゆる格闘技の技を入れ込むが当たる気がしない。

 

「白夜、速度は上がったが目が追いついてないだろ。

 

 今の闘気を少し、動体視力に当ててみて、

 

 それと闘気を流す部分を細部に気をかけてみて、

 

 そうしたらもっとうまくなるよ。

 

 あと、脳の回転もあげれるかは今度の課題だね」

 

と、指導すら挟む余裕があった。

 

「くっそ、とおいってれべるじゃねぇなぁ。でも、」

 

いきなり、比較的単調な攻撃から白夜の攻撃が変則的になった。

 

「いいね、これでこそ白夜だ」

 

「たすかる。いぃまなびになるなぁ」

 

「それは良かったよ。

 

 今度は武器の使用ありでしよう。

 

 楽しかったよ」

 

そういい鏡夜姿がぶれた。

 

だが、決して鏡夜の速度が速すぎるわけではない。

 

それに実際の所、速さで言ったら白夜の方が何倍も速い。

 

それでも、さっきのような動きが出来る理由は鏡夜の観察眼・・・にある。

 

相手を見た時に癖や行動パターンを理解し、

 

何手先をも読みきる能力が身についていることである。

 

今回は白夜が攻撃に移る間際の瞬きの瞬間に体を落とし、

 

視界の中心からずれるたことで、ぶれるように感じる。

 

その一瞬の隙に顎を狙い意識を刈り取った。

 

 

 

「強くなったね、白夜。

 

 能力もだが、素の技量も底上げされている」

 

そう、満足そうな顔で地に伏している白夜に言った。




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