試合が終わり白夜が意識を取り戻した所で医療班に預け、鏡華の下に戻る。
「お疲れ様です。鏡夜さん」
「ありがとう」
「それにしても白夜さんは戦闘者としての才能が素晴らしいですね。
ですが、その才能の影響で攻撃が野性的になる所が少しもったいないですね。」
そこをどううまく改善するかは白夜しだい。これからが楽しみだ」
そんな風に会話していると冴姫が疑問を投げた。
「すごいですわね。なぜ鏡華さんはあれだけでそこまでの理解を?」
「そうですね。わたくしは日本に人が現れた(・・・)頃から見てきましたから、
いわば経験でしょうかね」
「なるほど…
これはまたお話しさせていただきたいですわね。
とても興味深い」
「ええ、こちらこそお願いいたします」
「ありがとうございます。では、さっきの戦闘データをまとめてきますわ」
そう言い、冴姫はまた室内へと戻って行った。
「そう言えば賢史もいたよな?」
「ああ、賢史さんでしたら試合が終わってすぐ戻られました」
「そうか」
「なにか御用が?」
「いや、何もないよ。
ただ、見てたし感想でも聞こうかと思ってただけだよ」
「なるほど」
「じゃあ、部屋紹介の続きとしようか」
そうして室内に入り居間の目の前にある鏡に鏡夜が触れた。
『生体認証を開始します』
突然、何処からともなく音声が流れたことに、
鏡華が驚きの声をあげる。
「いきなりなんですか!?」
「ははっ、いい反応だね。
これは、セキュリティーの一環なんだよ」
「むっ。それなら早くいってください」
不貞腐れた様子の鏡華だが、
状況を楽しんでいるようにも見える。
なんだかんだで見るものすべてが新しく興味深いようだ。
そして、鏡華自身信仰心の低下でここ100年外界を見れず空白と張っていため
仕方のない事である。
「驚かせてしまってすまないね。
ここから先は本当に重要な場所なんだ」
「それは分かっていますが…」
少し、鏡夜は口角をあげる。
「じゃあ、ここから先はもっと驚くと思うから覚悟しといてね」
いきなり、何の前触れもなく景色が変わる。
「えっ?」
素っ頓狂な声をあげる鏡華だがこれは本当に仕方ない事である。
なぜなら、この朧組では瞬間移動を限定的だが
可能とする装置の開発に成功していたのである。
「なん、なんですか?」
「瞬間移動だよ。限定的なね」
「なぜ、そんなことが…
神でもできるものは少なかったのですよ!!」
「そうなのか?
これは、朔と冬真が作ったんだよ」
「そ、そうなのですね」
鏡華は戦慄を覚える・
(まさか…
人類がここまで高度な思考を持ち合わせていたとは…)
《余談だが実際の所、瞬間移動は可能である。何なら現在の技術でも設計は出来るのだが運用が出来ない状況なのだ。原理でいえば、インターネットと同じであり、ポイントとポイントを繋ぎ、人間の体を分子レベルへと瞬時分解・構築すればいいだけであるが、問題として、その時に発生する強いエネルギーを保存する物がないことが問題であり、この時に発生するエネルギーは地球全体の1年分を超える電力量となり、この行動を一回するだけで、地球が崩壊するため。実現が不可能と現在はされている》
「美しいですね。ところで、私たちは地下にいるんですよね?」
「そうだよ。ここは地下一階で私たちは『辺境』を呼んでいる。」
「『辺境』ですか?」
「ああ、ここは冬真が実験で外の世界をどれだけ精度を上げて、
室内で再現できるか?というコンセプトで創った部屋なんだ。
だから今も暇さえあればここの改造をしているよ」
鏡華が綺麗だと思った理由は半分が朝、もう半分が夜であり、
遠くに山や川といったものや匂いも音も現実に近い物であるためだ。
「ま、見せたいものなんて地下はこれぐらいだよ。
他は皆それぞれが自分の遊び場にするためにいじってるというより、
冬真に創ってもらってるから行きたかったら皆と一緒に行っておいで」
「分かりました。
それは、楽しみが増えますわ
ですが、鏡夜さんの部屋は今紹介してくださらないのですか?」
「あっ、それは寝る時じゃ駄目かい?」
さも当然と言った表情で鏡夜が言うが、
それは鏡華に刺激が強かったようで顔を真っ赤にさせている。
「じゃあ、最後に冬真の部屋に遊びに行くか」
「はい」
瞬間移動を使い冬真の部屋に行くと、
朔と冬真が一緒になって話し合いをしていた。
「冬真にぃ、凄いよこれ!!」
「どうしたんだ?」
「おう!?なんや、おったんかいな。鏡夜はん」
「びっくりした~。
でも、鏡夜にぃ聞いて!
冬真が違う世界を見つけたんだ!!」
そんな興奮冷めやらぬ気持ちで鏡夜に伝える朔に対して、
「すごいな。本当にあったのか?」
事実の照合確認のような態度に
「あれ?
驚かないの?」
「いや、驚いているよ。
ただね、その世界の可能性を考えると感動よりも
興味が勝ってしまって考え込んでしまった」
「なるほどね~。確かにそうだね!」
「せやな。これは研究者冥利につきますわな!!
ところで鏡華はんはどないされたんや?」
さっきから無言を貫く鏡華に冬真が質問するが返事がない。
「鏡華…
大丈夫か??」
鏡夜も声をかけてようやく反応し、
「うそでしょ…」
ようやく出てきた言葉には何やら重みがあった。
少し、時は戻り発見報告の時鏡華は絶句していた。
(確かに能力は手に入りました。
でも、それだけで世界を見つけるなんて不可能だわ。
何があったの?どうやって?疑問がつきないわね。
もしかしたら、日本人が神に連なる一族に関係があるのかしら?)
驚きを通り越して、
原因不明の事態に困惑と考察で周りの声が入ってこなかったのだ。
「どうやって、見つけたのですか…」
「見つける方法を考えたのは冬真にぃで、
結果まで導いたのがぼくだよ!」
「せやで、まずは万象盤で部屋の物を見てみたら丁度あったんよ。
とある飛行機の破片・・・・・・を」
「飛行機の破片?」
「せや。それも37年後に現れた失踪航・・・空機の破片や。
この飛行機は別世界に飛んだ後、
この世界に戻ってきたことがこの破片から分かったんや」
「その理由は?」
「それは簡単やで。
この目で原子配列を見ることが出来るようになったおかげで、
この破片からこの世界には存在せん物質を発見したんや」
「なるほど…
でも、それだけじゃ結論は出せないですよね?」
「せや。だから、ここで朔の出番や」
「そう!
僕が、その飛行機の磁場から他に似たような事例がないかって、
探したらそれに似たことを見つけたんだ!
それが神隠し!!
それが起きたとされる場所の記録が始まった時から今までをみて、
飛行機の場所と考えたらなんと!
同じ条件を見つけたんだ!!
それで、それが定期的に起こる場所に、
飛行機の部品を取り付けた機械を送ったら…」
「送ったら?」
「なんと、違う世界に行っちゃったんだ!
それで、映像は途絶えちゃったけど座標は送られてきてね。
その座標までのルートを僕が計算して割り出して、
冬真に瞬間移動の地点を繋ぎ合わせて完全光学迷彩カメラで、
出力してもらった映像がこれ!」
「こ、これは!?『フレアゴーレ』」
「しってるんか!?」
「はい…」
「何かあったのか?」
あまりの様子のおかしさに鏡夜が声をかけると、
「いえ、ここは元々日本の民が住んでいた場所で、
古き神々の故郷なのです」
「なんやえらい重要なことやないか!」
「そうなの!?」
「ええ…」
この時、鏡夜だけ妙に納得したような表情していた。
ご拝読くださりありがとうございます