生に恋を死に愛を   作:まえがみ

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新たなる計画

「なるほど…

 

 鏡華もそこの神だったのか?」

 

「はい」

 

「そうか」

 

鏡夜の言動は奇妙そのものであった。

 

「鏡夜にぃ。さっきからどうしたの?」

 

「せやで。どないしたん?」

 

2人とも違和感に気付いていたので問いかけるが、返事はない。

 

「鏡夜さん?」

 

「すまないね。少し、考え事をしていたんだ。

 

 冬真に聞きたいんだが、その世界に行くことは可能か?」

 

「可能ではあるで。

 

 でも、帰ってこれる保証は現段階ではない」

 

「なるほどな。

 

 冬真はこの世界に行ってみたいか?」

 

「そらぁ行きたいで。

 

 研究の宝庫が目の前にあって我慢はきついでぇ」

 

「なるほど、冬真らしいな。

 

 朔はどうだ?」

 

「僕ですか?

 

 僕も興味あるよ~」

 

「…」

 

再び鏡夜は考え込むしぐさを見せる。

 

この時、鏡夜は鏡華が消失時に残った後悔の原因がその世界にあるということに気が付いており、その後悔を払拭したいと考えていたが当初の予定よりも規模が大きくこの世界では完結しない問題に対し、頭を悩ませていた。そして、この問題に家族を巻き込んでも良い物かとも考えていた。

 

 

 

「鏡華、もしこの世界に私たちが踏むこむとしたら反対するか?」

 

重い空気の中、鏡夜が口を開く。

 

「反対はしません。

 

 それも、鏡夜さんは私を思ってくださっているのでしょう?」

 

「ばれていたか」

 

「ばれますよ。

 

 何年もあなたを見てきたと言ったでしょう」

 

嬉しいとあきれをふくむ表情でいわれた。

 

「そうだったな」

 

図星をつかれたことで鏡夜が少し恥ずかしそうに言う。

 

 

 

「あのー、僕たち話についていけないよー」

 

両頬を膨らましながら朔はがいったので、

 

「そうだね。

 

 簡単に言えば私たちが鏡華が元々住んでいた世界に行っても大丈夫なのか

 

 についての話だよ。

 

 こんな魅力の欠片もない世界よりも異世界の方が面白いだろうしね」

 

説明する。

 

「なるほどね~

 

 僕は賛成!!

 

 面白そうだし!」

 

「わいも賛成やで。

 

 研究者として興味しかないしな」

 

2人とも賛同した。

 

「そうか。

 

 冬真、さっき言ってた一回行ったら帰れる保証はないについては問題ないよ。

 

 私のスキルで世界間を移動できるからね」

 

「マジかいな!?

 

 そりゃーいいこちゃなぁ」

 

そうして、鏡夜は鏡華の方を向き直り、

 

「何があったは話したくなってから話して欲しい。

 

 それに、鏡華自身が元の世界に行きたくないのであれば

 

 この話はこの場だけで治める」

 

「いいえ。

 

 元々のわたくしの願いは『フレアゴーレ』に帰ることなのです。

 

 過去についてはまだ話せませんが…

 

 どんな世界なのかはお教えられますよ」

 

「そうか。

 

 では、今からそれについて会議するとしよう。

 

 鏡華。朔。冬真。

 

 参謀室に行くよ。

 

 みんなもいるだろうしね」

 

その時ちょうど予定していた時刻になっていた。

 

 

 

 

 

三人は移動し、参謀室に入ると既に皆が揃っていた。

 

「すまない。少し遅れてしまった」

 

「全然いいよ~

 

 あたしたちも今着いたところだし」

 

「鏡夜、今回はどんな内容なんだ?」

 

早速、賢史が集められた理由を聞く。

 

「今回は組のこれからの方針についてだ」

 

「なるほどな」

 

合点がいったという表情で賢史が頷き、他のメンバーも同じような反応であった。

 

「だがその前に言っておきたいことがある。

 

 異世界が確認できた」

 

その瞬間沈黙が空間を支配し、

 

「噓だろ…。

 

 そんなものが実際にあるのか!?」

 

皆の意見を代弁するように賢史が反応を示す。

 

そして、さっきあったことを鏡夜は説明した。

 

 

 

話しが終わると、目を輝かせながら莉緒と莉奈が

 

「「いきたい!」」

 

と声高らかにいい、

 

「興味深いですね」

 

「つぇやついるのか?

 

 闘いてぇな」

 

と莉緒莉奈に続き異世界に対する興味を示した。

 

「だが、本題は他にある。

 

 異世界に拠点を移すつもりだが、

 

 どんな危険があるかも分からない状況で皆を危険にさらしたくない。

 

 だから…」

 

言い切る前に、賢史がその言葉を遮るよう言う。

 

「水臭いこと言うなよ鏡夜。

 

 俺たちはずっと命を落とす綱渡りをしてきたんだ。

 

 それくらいどうってことない。

 

 そうだろ!?」

 

その問いに対して他幹部も強く同意していた。

 

「うん!それに鏡夜にぃがいる場所があたしたちの居場所だもん。

 

 置いてくなんて許さないからね!」

 

皆が強い覚悟を孕んだ瞳で頷き答える状況に

 

鏡夜は少し気圧される気持ちであった。

 

「ありがとう」

 

鏡夜自身ここまで慕われていたことを今更ながら気づき、感動していた。

 

そうして、少し間を開け鏡夜が、

 

「一つ聞きたい。

 

 この世界に未練はあるか?」

 

『ない!!』

 

「クフ。

 

 元気のいい返事だ」

 

そんな中、

 

「てか、この国変える必要あるの?

 

 こんな世界必要あるの?

 

 私たちのような境遇の人たちはもう鏡夜が皆救ったじゃない」

 

莉緒がふと疑問を放つ。

 

すると、鏡夜の雰囲気かわる。

 

「そうだな。確かに必要はない。

 

 だが、虐げた者たちに報いは必要だろ?

 

 全員国外追放してからこの国ごと次の世界に旅立とうじゃないか!」

 

国に法に人に様々な制約をかけられ、翼を捥がれた人生に終止符を打ち、

 

飛び立つため大義を掲げて言う。

 

「確かに!

 

 ぼこぼこにしたい!

 

「ぼこぼこにする…」

 

「この世界最後の大ゲンカかぁ

 

 スリルあるなぁ!!」

 

ようは皆のストレス発散してからこの世界を立とうと考えているのである。

 

「鏡華はそれが終わるまで我慢して欲しい」

 

「いいえ、わたくしの希望は元の世界に戻ることなので、

 

今すぐでなくて構いませんわ。

 

それに、これまでの何千年に比べたら一瞬ですわ」

 

その言葉と裏腹に表情はこれから起こることに対して興味津々と言った表情である。

 

そもそも、この武士道の国の神であることから争いごとが嫌いではなく、

 

むしろ鏡華自身娯楽と考えている節はある。

 

「ありがとう。

 

 じゃあ、早いに越したことは無いだろ。

 

 準備はもう万全に出来てるしな」

 

そうすると、

 

「もちろんですわ。

 

 妾の策はいつでも実行可能ですわ」

 

とても頼りになる答えを返ってくる。

 

「よし、じゃあ、

 

 『樋口ひぐち 万葉かずは』と『樋口ひぐち 葉よう』夫妻が

 

 帰宅後に実行に移すことに計画は変更する」

 

《了解》

 

「朔は全機械を伏魔殿(政界)に放ってくれ。

 

 丁度、万葉と葉の帰宅後から国会で会議が始まるだろうからな。

 

 いつでも暗殺できるようにしてくれ」

 

「分かったよ~」

 

次に冴姫に視線を鏡夜が送ると、

 

「分かっていますわ。

 

 妾は他国に対する牽制と介入の妨害ですわね」

 

「ああ、それで頼むよ。

 

 賢史はハブの役割を頼む」

 

「了解」

 

「莉緒、莉奈は配信で扇動を頼む」

 

「「わかった!」」

 

「白夜と冬真は冴姫と一緒にいてくれ」

 

「おう」

 

「おけ」

 

「皆に言う。

 

 金も人材も何もかも自由に使っていい。

 

 やるなら徹底的にだ」

 

《おう!!》

 

「最後に3つ!

 

 悔いは残すな!

 

 自由にやれ!

 

 死ぬな!

 

 これだけだ」

 

皆真剣に鏡夜の言葉を聞きこれかあらのことに思いをはせそれぞれが不敵な笑みを浮かべる。

 

「それじゃあ、今日の会議は解散だ」

 

そうして、国をひっくり返すための行動が始まり、

 

計画の前倒しとともに新たな目的のために朧組は舵を切った。




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