千束とたきなが下着を買いに押上に行き、押上駅に浅美と柊が移動している頃。
「うーん…」
喫茶リコリコの浴室で風呂に入るクルミはパソコンを叩いていた。
「武器相場に変化なし…か」
それは海外含めた違法サイトであり、中では中古の武器弾薬が販売されていた。
「テメー、何してんだ?」
そんな彼女に浴室の扉を開けて恐ろしい顔でミズキが聞いて来る。
「見て分からんか。風呂だ」
「アホかぁ!営業中だぞ!!」
クルミが言った直後、ミズキは彼女を風呂から釣り上げていた。
「あ”あ”あ”あ”〜」
そして扇風機の前で彼女は声だけ宇宙人をやりながら髪と服を乾かしていると、ミズキが聞いた。
「で?相場に変化がないならどうなのよ?」
「闇市に流れていないって事だよ。この筋じゃ追えないね。おおっと」
そのまま地面に倒れ込むと、ミズキは首を傾げた。
「千丁も銃を貯めてどうすんの?腕は二本しかないのよ?」
「五百人兵隊がいるんじゃないか?」
「軍隊か!」
そう突っ込んだ上でミズキは軽くため息を吐いた。
「そんなの、DAが見つけないはずが無いっしょ」
そう言い話題を終わらせると、彼女は次の話題に移った。
「そういえば、例の映像はどうなったの?」
「今
「ウォールナットてあんたじゃん?」
「ウォールナットは僕が使っているAIの名前。画像から取引現場をVRで再現させているから、あとで潜ってみる」
そう言い彼女は自分のパソコンで行なっている解析作業を他所に、ミカに呼ばれて店に移動した。
その時、押上駅では数人の男達が地下鉄ホームに集結していた。
彼らは全員大きな荷物を肩から下げており、少し周囲を警戒していた。
周囲に人は居らず、まるで無人駅のように静かだった。
「ふぅぅ…」
その真ん中に立つ緑の天然パーマの男は一度大きく息を吸った上で溢す。彼はクルミの解析映像に出ていた取引現場にいた男であった。
「におうなぁ…」
そして彼はそのまま屈むと、足元に置かれたバッグのファスナーを手に取る。
「漂白された、除菌された、健康的で不健全な…」
そしてファスナーを引っ張り、バッグの中身を開ける。
「嘘の匂いだ…」
バッグの中には既に弾倉が取り付けられた
「バランスを、取らなくっちゃあなぁぁああっ!!」
彼は叫ぶと、他の周囲に居た男達も
『間も無く二番線に、東武線直通南栗橋行きが…』
「来た」
遠くから列車の進入してくる音が聞こえてくる。
「来るぞ」
そして全員が銃を構えると、
「始まる」
男は
「始まり、始まりぃ!!」
そして彼は進入してきた列車に向かって無差別に発砲を始める。
無人運転の列車は速度を落として駅に到着するとあらゆる窓が粉々に砕け、中に乗っていた乗客は悲惨な事になっているだろう。
プシュー
そしてコンプレッサーでホームドアと共に列車の扉が開くと、そこには誰もいなかった。
「は?」
男が首を傾げた直後、
ッッッッッッッッ!!
連続した射撃音がすると同時に男の横にいた一人が蜂の巣になって鮮血を撒き散らした。
咄嗟に銃声のした方に視線を向けると、そこでは黒い防弾盾と共に短機関銃を構える一人の黒い学生服を着た少女が居た。
するとそれを皮切りに列車のあらゆる場所から別の同じ色の学生服を着た少女達が銃を構えていた。
「ヤッベ…」
男は最大限の冷や汗をかいて息を呑むと、直後にグロックスイッチを付けた拳銃の引き金を引いて連射する少女達。
「ぐあっ!」
「ぎゃあっ!?」
その弾幕を前に緑髪の男は柱に隠れる。
「援護」
「了解」
すると防弾盾を持った少女が列車から飛び出す。
「出ろ!」
その合図と共に少女達は列車からホームに乗り出し、テロリスト達の掃討を行う。車内から
「っ!!」
ホームに出た一人のサードは別のホームに出た所、接近戦で放った仲間の弾丸が命中しそうになった。
ガンッ
するとその時、間に割って入るように浅美が地面に盾を置いてサードの放った拳銃弾を正面で受け止めた。
「大丈夫?」
「あっ…は、はい!」
怪我がないように見えると、彼女は叫んだ。
「接近戦だ!誤射に注意!」
「味方に当てて死亡はシャレにならんぞ!」
150発ベルト弾倉を使い切り、35発弾倉を装填した柊は発射せず残党の確認をしていた。
「うっ、うわぁあっ!!」
一人のテロリストは持っていたマカロフの引き金を弾くが防弾盾を持った少女は反復横跳びで避け、その後にスライディングの要領で角度をつけて銃弾を弾き返すとそのまま跳躍し、防弾盾を足に回してそのままテロリストを踏み付ける。
「がっ…」
踏みつけられたテロリストは最期に盾に書かれた『
「うほ〜、スプラッタ」
その様子を見て柊は慣れた様子で呟くと、彼女は恐怖に満ちた別のテロリストに向けて無慈悲に発砲した。
そして血だらけになった防弾盾を持って顔も血がついた彼女は言う。
「列車に乗った者以外は撤収!」
無線で伝えると、改札から降りてきた別働隊はそれに頷いてすぐに走って撤収すると、顔が血だらけの浅美は防弾盾と銃を持ったまま先頭に立って接近する。
「掃討は?」
「まだ!」
そう言いホームで機関銃を持って探る柊は言うと、浅美は言う。
「ついて来い」
そう言い班分けで浅美のチームになったサード達は死亡したテロリスト達を避けて先ほど一人隠れた柱に向かった。
「まだ撃つな」
同じような状況で、自分だったらどうするかと頭を回しながら浅美は盾を持って柱に隠れた一人を追い詰める。
「そうか…」
すると柱の影に隠れた男は撃ってきた少女達を見て彼は或る機械を取り出した。
「お前らかぁ!!」
直後、巨大な振動が走った。
その直後、男はホームドアを飛び越えて線路に降りた。
「撃て!」
「っ!!」
瞬間、浅美は叫ぶとホームドアに向かって数発、柊が列車のいない方に撃って直後に彼女が飛び込んでホームドアを叩き割ると、そこにサード達を誘導させる。
「こいっ!」
「ぐぇっ」
首を掴んで一人を線路上に放り投げ、理解したサード達は一斉に線路に逃げる。
「ヤナギ!!」
浅美の部隊に割り振られた彼女残党処理で一番離れており、浅美は叫んだ。
「飛び込め!」
「っ!!」
爆炎が近づく中、爆心地に近かった彼女は全ての武器を捨てて線路に飛び込むのが最後に見えた。
「くっ!!」
そして浅美自身も銃を捨てて咄嗟に両手に盾を構えて爆発に対応すると、爆風で彼女も吹き飛ばされた。
「ぐあ…っ!!」
そして崩落していく地下鉄のホームで、大量の埃と土煙が舞い上がり、視界は一瞬で漆黒となった。その爆風は改札を越え地上の階段まで吹き出し、その様子を千束達も見ていた。
「ーーみっ!」
名前を呼ばれた気がし、直後に頬をビンタされると視界が真っ白になった。
「浅美っ!」
「…うっ」
身体中が痛む。こんなに痛んだのは久しぶりだ。
「無事か?」
「…なん、とか」
彼女はライトに照らされた視界が徐々に収まると、自分を覆っていたベコベコになった血まみれの防弾盾を退けた。
「っ!」
「歩けるか?」
柊が手を差し出しながら聞いてくると、浅美はその手を握り返して聞いた。
「他のみんなは?」
「悪いがまだ確認中だ」
そう言って立ち上がり浅美は見ると、そこでは地下鉄ホームの待避スペースで隠れていたサード達が居た。
咄嗟にホームの下の退避スペースに隠れた事で爆発後の崩落にもなんとか巻き込まれなかったらしい。
「今んとこ軽傷四、重傷一だ」
「そう…」
立ち上がって歩こうとした時、浅美は倒れ掛かってしまった。
「大丈夫?」
「えぇ…でも、」
そこで彼女は自分の足を見た。
「これはちょっとやっちゃったかも」
彼女はそう言うと、柊は少し笑って返した。
「何、壊れててもあとで直してやる」
「…ありがとう」
彼女はそう言うと、柊の肩を借りて生き残ったサード達を見る。
「まだ確認を取れていないのはいるか?!」
そこで浅美は叫んで聴くと、一人のサードが返した。
「ヤナギが見当たりません!!」
「っ!!」
名前を聞いた途端、浅美の顔が青くなった。
「っ!」
「おい、無茶すんな」
「探さないと…」
片足を引き摺りながら彼女は崩落した駅を歩く。
元々地震対策で頑丈に作られていた地下鉄トンネルは仕掛けられた爆弾には耐えきれなかったのか、数多で崩落していた。
「…」
浅美は頭から血を流しながら周囲に耳や目をこれでもかと意識を傾けて探した。
「ヤナギ!聞こえるか!?」
叫び、瓦礫をかき分けて探す。
「っ…」
そして耳を傾けていると、微かに。しかし確かに彼女は耳にした。
「ヤナギ!」
声のした方に向かって一歩一歩歩くと、瓦礫の影に飛び出した手を見た。
「ヤナギっ!」
彼女はその手を見て慌てて瓦礫を退け始めると、それに気づいた柊が叫んだ。
「こっちだ!手伝って!」
そう叫んで動けるサード達が駆け寄って瓦礫を退かすと、そこにはヤナギがいた。
「っ!!」
しかし、彼女を見て他のサード達は絶句した。
「足が…」
「ヤナギ!!」
彼女の下半身は瓦礫の崩落で巻き込まれて切断されており、大量に血が流れていた。
「ヤナギ!ヤナギ!」
「っ…たい、ちょう…?」
浅美は軽く肩を叩いてライトを顔に当てると、彼女はゆっくりと目を開けた。
「すみま…せん…ちょっと、間に合わなかったみたいです…」
彼女はそう言い、自分の消えた下半身を見た。
「隊長…」
「喋るな」
浅美はそう言い、ヤナギの止血を叫ぶ。
「お願いです」
彼女は顔を少し動かして浅美を見る。
「私を、連れてってくれください」
「…」
その意味を彼女見ていた全員が理解した。
そしてその後に浅美を見ると、彼女はヤナギに聞いた。
「ここは…日本なんだぞ?」
「この状況では、さすがに無理ですよ…」
そう言い彼女は千切れた下半身を知っていたので、彼女に頼み込んだ。
「お願い…します…」
「…」
ヤナギは掠れてきた視界でもしっかりと浅美を見つめると、彼女は少し黙った後に徐に立ち上がると一丁の拳銃を取り出しながら彼女の正面に立った。
「時間は?」
「…もう直ぐ一八:〇七。三…二…一…」
そして鞄から
ハンマーをコッキングし、ライフル弾を装填した拳銃の銃口をヤナギに向けると、ゆっくりと口を開いた。
「…どうか安らかな眠りを。嵐木ヤナギさん」
「ありがとう…ございます」
彼女は穏やかに微笑むと、誰もが見守る中で浅美はその引き金を弾き、一発の銃声が彼女の胸を貫通した。
Do you want a happy end?
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Yes
-
No