椿の介錯人   作:Aa_おにぎり

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#25 Wellcome!!

「明治政府以前に樹立された暗殺部隊『彼岸花』」

 

そこは東京湾内のとある貨物船の船内。そこで多数のモニターに写真などの資料が映し出されながら解説をする。

 

「その学名から今はリコリスと呼ばれている」

 

パソコンで資料を説明しているのはロボ太。かつてウォールナットと対決したそのハッカーは説明をしていた。

そしてこの情報を収集させた依頼主は隣でハンバーガーを食べており、その体には包帯が巻かれて怪我をしていた。

 

「こいつが次のターゲット。基本リコリスは都市迷彩服としての制服をーーー」

「おいおい」

 

するとその依頼主は口を挟む。

 

「違うよな?」

 

するとそばに控えていた二人の彼の部下がロボ太に近づく。

 

「俺の目的をお前が理解しているのか、確認してもいいか?」

「え…えっと」

 

そこで屈強な男二人がそばに近づいてきて、ロボ太はやや緊張する。

 

「日本に入国した雇われテロリストたち全員が忽然と姿を消す」

「その理由と原因の解決…」

 

そこで依頼の内容を確認したロボ太と依頼主の男は軽くため息を吐く。

 

「わかってんじゃねえか」

 

ロボ太はそこで安堵したため息をついたのも束の間、男は食べていたハンバーガーを机に叩きつけた。

 

「うわっ!!」

 

そして飛び散ったケチャップにロボ太の顔が汚れる。

 

「そのDAをぶっ潰す。お前がガキたちのスマホを持ってくれば、DAの本拠地が分かるって言うから持ってきた」

 

その男はだんだんと苛立った声色でロボ太に詰め寄る。

 

「そ…そこからIPアドレスを探したけど、民間回線と違って時間が…」

 

そこでロボ太は厳しい事情を伝えるが、彼はそのまま両腕を掴まれ、後ろの二人に顔を突き出された。

 

「へ?」

 

どう言う事だと困惑する。

 

「なっ、なになに?!」

 

そして依頼主の男はロボ太に銃を突きつける。

 

「ひっ」

 

そしてやや悲鳴を上げるロボ太に、一向に成果の上がらない事を前に依頼主は言う。

 

「もう一ヶ月だぞ?お前の指示で俺の仲間が二六人死んだ」

「でっ、でもそれが最速だし、こっちのリコリスも面白いだろ?こいつはリコリスの中でもトップクラスの…」

「だが一人だ」

 

ロボ太は慌てて釈明するが、男は知らんと言う。

 

「こっちは指示通りに動いた」

「ヒィッ」

「このままじゃバランスが合わねぇ」

 

そこで依頼主はロボ太に銃と共に突きつける。

 

「あと三日でDAの場所を探し出せ」

 

するとロボ太はそのままポイ捨てされ、部屋を追い出された。

 

「くそぉ…」

 

こんな状況を前にロボ太はある人に連絡をとる。

 

『ご用件は?』

 

ワンコールで連絡がつくと、ロボ太はすぐに文句をつける。

 

「アンタのボスからの追加の依頼だけど、あのリコリスの真島は全く興味を持たないよ。多分無理だと思う!」

『………お待ちください』

「…」

 

そして長い沈黙の後に女性は言うと、その後にメロディーが流れる。おそらく確認をとっているのだろう。

いつ返事が来るかと、少し期待して待っていると、

 

『「頑張れ」』

「は?」

 

思わぬ返事に変な声が飛び出す。

 

『「頑張れ」と仰っております』

 

するとその女性は確認をとった人物の言葉をそのまま伝え、同時に当たり前とも言うべき事を言う。

 

『DAの場所?知っていれば教えています。真島の怒りは貴方のせいなのですから。うまく彼のバランスをとってください』

 

彼女は最後に言う。

 

『頑張ってください』

 

そしてそのまま連絡が切れると、寂しいツーツーという音が耳元で聞こえる。

 

「僕は頑張ってるよぉぉおおお!!」

 

そして激しい怒りと苛立ちを覚えながら彼は椅子に座り込んだ。

 

「政府専用の基地局を見つけたが独自のOSで動いている。こいつの情報を求む!」

 

そして一般ではない掲示板に書き込みを行うと、そこで複数のチャットを確認する。

 

「バックドアを仕込んでいる奴をできれば…」

 

そんな書き込みをするが、

 

『ウォールナットだろ』

『ウォールナット!』

『ウォールナットじゃね?』

 

異口同音、衆口一致。全員がその名を呟いていた。

 

「…」

 

それを見たロボ太はキーボードを投げ飛ばしそうになる。

 

「あああっ!どいつもこいつも!」

 

ウォールナットは、本人を殺したことはすでにロボ太が知っており、その情報も流した。

だが、過去に何度も死んでいるウォールナット。その情報を信じる人はネット上には皆無であった。

 

「ウォールナットは死んだ!今は僕が日本一のーーー」

 

そこでロボ太はある人物から連絡を受けたが、その人物は直接アクセスを行い、無論ラジアータに真正面から殴り込みに行くのは無策そのものであり、初期装備一人で魔王軍と対峙するようなものであった。

結果、そのハッカーは警察に早々にしょっぴかれた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「頑張ってください」

 

秘書が伝えて電話を切ると、そこで秘書である彼女は携帯をしまう。

 

「ご苦労だったね」

 

そしてそんな秘書に優しく声をかけたその人物は机に座る。

 

「…」

 

そしてそこで少し考える。

高級スーツを身に纏うその男は、連絡のあったロボ太の話を聞いてから状況を把握した。

今回の目的からすれば、それを成し遂げるにはあと一歩何か足りない。そう踏んだ。

 

「すまない。直ぐにいくつかの人物に連絡を」

「畏まりました」

 

男はいつも通りの口調で秘書に言うと、ある複数の場所に連絡を取り始めた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

喫茶リコリコに訪れて情報共有を行った浅美は、そこでたきなから話を聞いていた。

 

「へぇ〜、今は二人で泊まっているの…」

「そうなの!」

 

千束は心底嬉しげに、満面の笑みを見せて頷く。

 

「めっちゃ楽しい!浅美も来なよ〜」

「はははっ、できると思う?」

 

浅美は今、新木場のヤードで生活しており、荷物も大量にあるので引越しはほぼ不可能だった。

 

「えー、一緒に暮らそうよ〜、昔みたいにさ〜」

 

ただをこね始める千束に呆れた目を向けるたきな。

 

「それができたら苦労しないよ…」

 

少し大きめにため息を吐く浅美に千束たちは首を傾げた。

 

「どかしたの?」

「近く、この前の四つの件でうちらが駆り出される事になったの」

 

そこで浅美はその事件の真相究明のために駆り出されることとなった。

 

「囮、ですか?」

「そぅ。まぁ海外で結構似たようなことはやってきたから、慣れてはいるんだけどね」

 

コーヒーを片手に、今後の予定をざっくりと言う浅美。

 

「だからサードの制服を借りてきたの」

 

これからの任務を前に軽くため息を吐く。

 

「全く嫌になっちゃうよね…」

「うわぁ、浅美たちも大変だ」

 

千束とそんな話をしていると、浅美の持つ携帯に連絡が入る。

 

「あー、もしもし?」

 

電話に出ると、彼女は数回頷く。そして頷くたびにだんだんと声色が下がっていく。

 

「あーはい…わかりました。はい、では…」

 

そこで電話を切ると、その表情を見た千束が推察する。

 

「わかった、楠木さんでしょ!」

「違うね〜」

 

浅美はそこで千束に伝える。

 

「ちょっと予定が変わって、空きそうだから今晩お邪魔になっていい?」

「…えっ!まじっ!?」

 

直後、千束の目がキラキラと輝く。

 

「泊まるんですか?」

「そう、良いかな?」

「勿論だよ!いらっしゃ〜い!」

 

そこで千束はミカにも確認を取ると、少し早上がりで家に帰る事になった。

 

「んじゃ先生お先〜」

「おう、気をつけてな」

 

リコリスの制服に着替え、店を出るたきな・千束・浅美の三人。

 

「千束をよろしく頼むな」

「了解です。教官」

 

最後にミカに頼まれた浅美は快く承諾すると、ウッキウキの千束と共に歩く。

 

「浅美〜、たきな〜、今夜はなんの映画を観る?」

 

千束は今日見る映画のジャンルを聞いて来る。

 

「千束、浅美さんが来るからって浮かれすぎですよ」

 

たきなはそんな千束に軽く注意を入れると、そこで浅美からの視線を感じる。

 

「ほほぉ〜」

「な、なんですか…」

 

その生暖かい視線にたきなはやや引き気味に浅美を見る。

 

「良いねぇ…」

「な、何がですか…?」

 

たきなの質問に浅美は少し嬉しげにニヤニヤとしていた。

 

「いや、何でもないよ〜」

 

浅美はそこで前を歩く千束に言う。

 

「千束も気をつけおなよ〜、すでに四人やられているんだから」

「ええ、いずれも作戦行動中に待ち伏せされています。敵は明らかにリコリスをターゲットに狙っています。常に警戒を…」

 

その時、風が吹いてたきなの髪の毛が煽られて顔に掛かると、ふとそこで一瞬立ち止まってしまう。

 

「どした〜?」

「い、いえ…帰りにスーパーと薬局によっても構いませんか?食材とか買い足したいので…」

「オッケー、浅美は?」

「良いよ全然」

 

そこで三人は帰り道の途中で必要なものを買いに出る。

 

「浅美の好きな料理ってある?」

「特に無いわね」

 

スーパーで千束とお菓子コーナーを見ながら話す浅美。

 

「あーあ、いつか海外のお菓子とか食べて見たいな〜」

「今度送ってあげようか?」

「まじっ?頼むわ〜」

 

座り込んでお菓子を見ていると、後ろからたきなが呆れた様子で話しかけてきた。

 

「浅美さん、あまり千束を甘やかさないでください…」

「おぉ、ごめんごめん」

 

そこで浅美はお菓子コーナーから煎餅を購入する。

 

「えぇ〜、煎餅とかジジ臭くない?」

「こっちの方が私たちは食い慣れていないからね。今のうちに味を覚えておきたいの」

「ホーン、海外って煎餅ないの?」

「まぁ、お菓子って甘ったるいものしかなかったわね」

 

そこでたきなのカゴの中に煎餅を放り込む。

 

「ほら、アメリカの生活感ってドーナツばっか食ってるでしょ?」

「そうだね〜」

「あれが死ぬほどスーパーとかコンビニに並んでんの」

 

映画でもよく見覚えのあるシーンを思い返し、千束はその想像するだけで甘ったるい空気に思わず舌を出す。

 

「うわぁ、食べるだけで太りそう…」

「だから向こうで死ぬほど味噌とか貴重だったわ〜」

 

しょっぱい物が死ぬほど恋しくなると彼女は言うと、そこでたきながそれに気づいて突っ込む。

 

「なんで私のカゴに入れるんですか?」

「え?だってこれから千束の家に行くんでしょ?」

「ええ、そうですが…」

 

たきなは頷くと、浅美は『当たり前じゃないの?』といった雰囲気で返す。

 

「じゃあ別にせんべいくらい入れても問題ないでしょ?」

「どう言う事ですか?!意味がわかりませんよ!!」

 

謎理論を展開する浅美にツッコミをかけるたきな。

結局煎餅は奢ることとなり、少々不満げなたきなは千束と浅美に不満げな表情を見せながら帰路についた。

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