スーパーで買い出しを終え、そこで千束の家まで帰る千束・たきな・浅美の三人。
「しかし、今思うとこの歳で煎餅食べるって…なんかババ臭くない?」
千束は帰り道の途中、浅美に言うと言われた側が呆れる。
「ババシャツ着てねえから良いんだよ。あと夜中豚キムチね」
「良いねぇ〜!」
「夜食はダメですよ」
そんな二人の話にたきなが軽く忠告をすると、その帰り道の途中で浅美のつけるイヤリングから骨伝導を伝って納谷から報告が入る。
『隊長、背中にドローンが一機』
「…」
相変わらず優秀な部下だと思いながら聞き耳を立ててドローンのプロペラの音を耳にする。
「(全く、東京だと雑音が多くて聞き取りづらい)」
内心でそんなことを思いながら二人の案内で浅美はマンションに入っていく。
そのドローンを操縦するハッカーはマンションに入って行く三人の少女達を見る。
「よし…なんとか家は突き止められたけど…これじゃ僕も児童盗撮犯じゃないか…」
ロボ太はそこでドローンのカメラ越しに入って行った少女達を見て、唐突に捕まった別の男のことが脳裏をよぎるとともにある女性の声がよぎった。
『(DAの場所?知っていれば教えています。真島の怒りはアナタの作戦のせいなのですから。うまく彼のバランスをとってください)』
「バランス、バランスって…お前らぁああ!!」
前門の真島、後門の依頼主と板挟みに遭っていたロボ太の怒りのボルテージは上昇していた。
「邪魔するで〜」
「邪魔するなら帰って〜」
「はいよ〜」
都内のマンションの一室の扉を開けて、その時の二人のやりとりに後ろから見ていたたきなが呆れた視線を送る。
「何やっているんですか…」
「何って…」
「大阪人のお家芸じゃん。たきな知らないの?」
マンションに入ると、そこには何もない空間が広まっていた。
「あらあら、引っ越し前かしら?」
「んなわけ」
さっぱりな部屋の中、浅美は千束の案内で部屋の壁を押す。
「おぉ〜」
「忍者屋敷みたいでしょう?こっちよ〜」
そこで下に続く梯子を降りると、そこで一気に生活臭の香る部屋が現れた。
「んぁ〜、千束の匂いがするねぇ」
「うわっ、キモいよ。それ」
「馬場チョップするぞ」
二人はそう軽く戯れ合いながら部屋に入ると、二人はそのまま部屋のソファに座り込んだ。
「あははははっ!」
「…ふっ」
その後、二人はテレビをつけて漫才番組を見て自堕落な生活をしている。片手にスナック菓子と煎餅を持って食す姿は遊びに来た友人のようなものだった。片方はパジャマで一度風呂に入っており、浅美は私服姿のまま帽子を外していなかった。
「たきなぁ、今の見た?」
千束はそこで台所に立つ彼女に聞くと、そこでソファに座っていた二人は持っていた煎餅とスナック菓子をボッシュートされる。
「もうすぐ夕飯なんですから。お菓子はもうダメです!」
「え〜、良い〜じゃん。たきなの料理は別腹だよぉ」
すぐに千束はたきなからボッシュートされたスナック菓子を返してもらおうと反論をしたが、たきなは言う。
「駄目です!そもそも千束は無駄なカロリーを摂りすぎですっ!また山岸先生に怒られますよ!?」
たきなは呆れたため息をついてスナック菓子を持って行く。
「チェ〜」
千束は不満げな顔を見せていると、そのやりとりを見ていた浅美が呟いた。
「…親子?」
「誰が親子ですか!!」
それを地獄イヤーで聞き取ったたきなが過去一の勢いでブチギレて浅美に怒鳴った。
「…アレ?」
千束はそこで台所に並べられたシャンプーを見て首を傾げた。
「たきな、シャンプーとか買ってたの?ウチの使ってくれて良いのに」
新品のシャンプーとリンスを見て千束は首を傾げる。
「こだわりとかあるんだ?」
「いえ、そう言うわけでは…」
たきなはそこで新しいシャンプーを買った訳を話す。
「千束と同じ匂いが自分からしてくるのが、どうも落ち着かなくて…」
「お…おぅ…」
そんな彼女の返答に千束は唖然となっていた。
「なーに、にやついとんじゃ貴様」
振り返り、ソファから生暖かい視線を送っていた浅美に千束はツッコミをかけた。
「いやぁ?あったかい家に、毎日家があって、飯が食えて、熱い風呂に入れるって、良いなぁ…って思って」
「それは女性として以前に、人間として死活問題な気がするんですが!?」
そして唐突に出てきた浅美の事情に色々と突っ込んでしまう千束であった。
その頃、千束達の入ったマンションに二人組の男がエレベーターを登った。
「…」
そしてハンドサインである一室の前で一人がピックングツールを使って部屋の鍵開けを行うと、ガチャリと音を当てて解錠を行った。
「わーい、たきなのおうどんだ〜」
「これが京都っ子のうどん?ゆいちゃんと違ってまた美味しそうね〜」
「関西風!関西風!」
そこで三つの丼に入ったうどんを前に楽しみに声を上げる千束。
「ほら早く食べよ〜」
「はいはい…」
ソファの間を開ける千束にたきなはやや呆れ目にエプロンを取ると、
パラリラパラリラ
ヤンキーのバイクのような警告音が携帯からした。それを聞くと同時に顔を顰める千束。
「ったく、チンピラがまた来た…」
「ほ?」
「え?」
一体どうしたのかと浅美とたきなは首を傾げた。
「あの…何が?」
「あぁ、す〜ぐ片付けてくるから」
来ていたパジャマを着替えながら答えると、浅美が聞いた。
「手伝おうか?」
「ん〜、手だけね〜」
彼女はそう答えると、二人は梯子の方に移動した。
「おい、いないぞ?!」
ピッキングを行い、不法侵入をした二人は片手に拳銃を持っていた。
「でも確かのこの部屋に入ったはずだ!」
「どこだ!くそ!」
そして伽藍堂な部屋を前に困惑していると、静かに部屋の壁が回転して下から千束が顔をだす。
ッ!「ぎゃっ!」
「?!」
そして持っていた拳銃で発砲をすると、一人が背中を打たれた。
「すいませんが、お引き取り願えますかぁ?」
拳銃を片手に不満げな顔で千束は言う。
「今からお夕飯なんでぇ」
彼女は未だ硝煙香る拳銃を前に言うと、
「ホワチャー!」
「うぎゃぁあっ!!」
「アチョーッ!」
「ごホァっ!?」
その後ろから飛び出た浅美の延髄斬りでそのまま窓を突き破って外まで吹っ飛ばされると、下のゴミ捨て場まで一気に落下してしまった。
「死んだ?」
「ばっか!やりすぎだっつーの!」
バルコニーに出て、窓の外まで蹴っ飛ばした浅美の蹴りの威力に思わず突っ込んでしまう。
「ゔっ…」
「まあ、生きてっけど」
千束はベランダに出ると、そこで吹っ飛ばされて困惑している二人に銃口を向ける。すると二人は悲鳴をあげて情けなく逃亡していった。
「あーあー、逃げちまいやがった」
「ま〜た、窓注文しなきゃ…」
そこで浅美の延髄斬りで粉々に割れた窓ガラスを前にため息を吐く千束。
「このためのセーフハウスですか…」
「まぁね、あんな連中なら良いんだけど」
たきなはそこで、リコリスなのに用心で部屋が二つもあって、隠し通路で繋がっている理由を察した。
「昔はリリベルも来てたから」
「リリベル?」
その時、わずかに浅美が耳をピクリと動かした。
「ん〜、男の子版リコリスみたいな?」
リリベルというたきなも知らない組織を前に、首を傾げた。
「おっかないよぉ〜」
「普段何しているんですか?それ…」
「さぁ?よく知らな〜い」
すると浅美が割って入って話す。
「リリベルは、まあリコリスの拳銃程度じゃあどーしょーもない連中を相手にしたりする部隊。まあ、リコリスの強化版みたいなことをしている部隊よ」
「ほ?知ってんの?」
「まぁね」
そこで割れたガラスを足で掃き纏めながら言う。
「昔、何度も一緒に任務をしたことがあるし」
「へぇ、椿小隊みたいな?」
「ってか管轄が一緒の部隊よ。同じ上層部」
「「へぇ〜」」
二人はそこでリリベルという知らない組織のことを知っている浅美に『へぇ』としか言えなかった。
「(まあ、メインは脱走を図ったリコリスとかの督戦隊なんだけど)」
浅美はそこでかつて見た景色を前にため息を内心で吐いていた。
「なんだ、コイツ…。こんなにあっさり…」
一方、窓から二人の男が飛び出て逃げるまでを見ていたロボ太は困惑と唖然をしていた。
二人はそれぞれ拳銃で武装していたにも関わらず、わずか数秒。しかも一撃でマンションの窓から二人は飛ばされた。
「この映像を観せれば、真島は興味を持たないか…?」
三日という短い期間の余命宣告もあり、ロボ太は今の映像をダシにすることを思い付いていると、
バンッ!「ドァァァァアアア!?」
部屋に二人の屈強な肉体を持った男が突入を敢行。ロボ太は悲鳴をあげる。
「もう三日たったぞ」
「ど、どうしてここが!!?」
ロボ太はそこで奥から現れた男に驚く。
「そんで?」
「いや、あの…」
そして男はそのままジリジリと近寄りながら詰め寄る。
「そんで?」
「ちょっ、ちょっと待って!」
ジリジリと詰め寄られ、ロボ太は二人の屈強な体の取り押さえられる。
「待って!いやだ!なんだよ!やめて!」
取り押さえられ、もがくがこの体格差ではロボ太の貧弱な肉体では勝てるわけもなくされるがままの姿勢にされる。
「ままま、待って!リコリスが…」
しかし依頼主の男はそんなロボ太の言い訳を前に眼前に銃口を突きつける。
「リコリスじゃねえよ」
「待って!待って!!観て欲しい物があるんだ!」
その依頼主の男は、明らかに苛立っている様子を表に出していた。
「他の奴らは死んでんだよぉ?」
「うぅう、待って!すごい映像が!」
しかしその男はロボ太に向けた銃の引き金をゆっくり弾く。
「バランス取らなきゃなぁ!!」
そしてそのまま頭に一発を向ける。
「頼む!ビデオを観て…!!」
「お願いだ!待ってーーー」
その瞬間、パソコンの画面の一覧に一斉に先ほどの映像が映し出される。
それは浅美が二人の男を蹴飛ばし、その後にバルコニーに出て千束と共に男を見下ろす映像だった。いきなり前面に映し出された映像に、さすがの依頼主の男も何事かとその方を見る。
「こ…こいつがトップのリコリスだ!」
ロボ太はそう言い、赤い学生服を着ている少女を指差す。
「DA襲撃の前にこいつを殺しておかないと…お前らは全滅させられるぞ!」
ここぞと言わんばかりにロボ太はこの映像を前に舌を巻いてしゃべる。
「…」
その映像を前に依頼主の男は静かに、呆然と、ゆっくりとその画面に近づくと、
「明日、そいつを倒しに行く」
「え…?」
突然、先ほどとは打って変わって狂気じみた笑みを見せる。
「すぐに作戦を考えろ…!」
彼はそれだけを言うとスタスタと歩いて部屋を出て行った。
「た…助かっ…た?」
その代わりようにロボ太は自分の命が救われたと思い、腰が抜けてしまった。
Do you want a happy end?
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Yes
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No