『おい、あのリコリスに関係あるかもしれない情報が見つかったぞ』
「ん〜?」
都内某所の路肩に止めたミニバンの車内で、ロボ太から話を聞いていた真島。
『あいつと同じように非殺傷弾を使って戦った奴の記録…と言うか噂?があるんだ』
ロボ太はそう切り口を入れると、その噂の話をする。
『電波塔事件は知ってるだろ?』
「ああ、折ったの俺だからな」
そこで真島はロボ太に言うと、彼が意外な事実を淡々と変えされて驚いた声を漏らしてしまう。
『え、どゆこと?』
驚くロボ太は、逆に気になってしまっていたが真島が促した。
「でぇ?噂ってのは?」
『ああ…テロリストはコイツともう一人で倒された…とか』
彼に言われて話を続けたロボ太に、真島はその時の光景を回想していく。
「ああ…二人ってのは正しいがな…ただあんときゃもっとちっちぇのが…」
その時、彼の瞼の裏には硝煙と白煙が飛び交い、銃声が幾多も聞こえてくるあの地獄のような光景が思い出される。
「いや、一〇年だ…」
そこで真島はあの電波塔事件から数えた年月を思い出し、まだ裏若い子供であったあの容姿を思い出す。
無数の連続した銃声。聞こえる悲鳴。
全てにおいて向こうに見える白い影と、背後から支援する茶色い小柄な影。
「わはっ!やっぱアイツらか!」
無数の銃撃が飛んでくる中を突っ込んでくる赤い瞳が恐怖として思い起こされる。
『まあ嘘臭ぇな。こう言うのは尾ひれがつくから…』
「また会えて光栄だぜ」
真島はそこで
「ーー手も足も出なかった…」
そしてパソコンに映し出される千束を写した画像に銃口を押し当てる。
「コイツは……運命だな」
そう言い、彼は笑みを浮かべた。直前にあの時の片割れの浅美とも話しており、彼は感銘すら受けていた。
ピロン
その時、軽い音が鳴ってロボ太が反応する。
『おっ、コピーが終わったみたいだな』
そこでメモリーをパソコンから抜いて手に握ると、真島はやや怪訝に聞く。
「…何でこんなもん直接挿しにいなきゃならねぇの?」
その疑問にロボ太は『何当たり前のことを…』とでも言いたげな雰囲気でため息を漏らす。
『あのねぇ…DAのシステムは規格外のAIが制御しているんだけど、入り口を物理的な手段で内側に用意しないとアクセスするだけでこっちがパクられるわけ』
「あ〜、よく分かんねえけど遠くからチョチョイっとやれねえのかよ?」
長引きそうなロボ太のボヤキを察して真島はロボ太に聞いた。
「世界一のハッカーなんだろ?」
『なっ!!』
そんな真島の言葉にロボ太は過剰なまでに激昂して反応する。
『これを作れるのは僕だけなんだぞ!?DAのAIに仕掛けることができる奴なんて、世界にもう一人だっていやしないんだ!!』
ロボ太はそう言い、興奮や嫉妬も混ざったような雰囲気で言う。
『それを成し遂げられれば、僕がトップランカーとして広くつく…』
「おぉ?わかったわかった。お前さんの夢がかかってるわけね」
真島はそんなロボ太を認めている様子で宥めるように答える。
『僕にできないことは世界の誰にもできないと思ってくれ』
「ほぉん、頼もしいこって」
彼はそう言い、ロボ太の腕前を素直に褒めた。
「コイツを所長のパソコンに挿してくればいいんだな?」
その問いかけにロボ太は頷く。
『そう、それがキミの計画を達成するためにまず必要なことだ』
「
真島はそう言うとメモリーを持ったまま車を降りた。
「とりあえず通信ジャミングに逃走経路の確保。頼んだぜ」
そこで彼は期待する視線でバックアップを担当する者に聞いた。
「な?トップハッカー」
『へっ、五分で終わらせろよ』
ロボ太はそんな真島の軽いヨイショにも自信のある様子で答えると、キーボードを叩いた。
しかし悲しいか、世の中にはわざわざ内側に仕掛けずとも外部から侵入をしてハッキングした
その時、ラジアータが警報を鳴らした。
「都内二一ヶ所で対処すべき事案を捕捉!」
監視カメラの映像に映った危険人物をリストアップし、リコリスの出動を要請した、
「ラジアータが爆発物を所持した人物を複数特定。各方面、すでに現場への移動を開始しています」
「同時にか…」
その報告を聞いた楠木は同時多発的に発生した未遂事件に対して冷静に全体を俯瞰していた。監視カメラの映像で追跡を行うと、サードリコリスが急いで現場に急行していた。
「ヒヒっ、よぉし。そうだ…」
その監視カメラで動きを追っていたロボ太は不気味に笑っていた。
「散れ、散れっ!ヒヒヒヒヒヒ…」
ロボ太はひたすらに笑い、現場に急いでいる様子のリコリスを相手に嘲笑っていた。
そして現場に到着したリコリス達は困惑していた。
「こちらチャーリー。ポイントF7に到着」
現着したリコリス達は、そこで対象を捕捉していた公園のベンチを見た。
「当該人物は確認できず!新たな指示を請う!」
しかしその場所は空で、爆弾はおろか人の影すら確認できなかった。
『繰り返す!新たな人物は確認できず!』
「これは…!」
副官が全て空振りに終わった現状を見て目を見開くと、楠木はつぶやいた。
「ダミー映像だ…やってくれるな」
ラジアータと現場の監視カメラの直接繋がっていないネットサーバーの弱点を付き、現場から遠く離れて現地を見ることのないDA故の弱点を的確に突いた
「すぐにリコリスを呼び戻せ」
楠木の判断は早かった。この爆発物の対処に派遣した全てのリコリスを早急に回収し、新たな事件の対応に後手に回ったと内心で歯噛みした。
その頃、真島達は部下を率いてある場所に向かっていた。
「リコリスは本当に来ねえのか?」
『僕がいれば地下鉄の時のようにはならない。ただし、初動を遅らせるだけだから早くしてくれ』
真島の懸念にロボ太は自信を持って、しかし警戒している様子で彼らに指示する。
「どう言う仕掛けだ?」
『DAはだって所詮は人の運営する組織だ。まず指揮系統の人間に…』
「あぁ、やっぱいい。どうせわからねえだろうしなぁ」
『ぐぐっ…』
また面倒な専門家の話を聞かされるのかと真島はロボ太を軽くあしらうと、あしらわれた側は歯噛みをしながら真島の動向を確認していた。
「!」
そこで警察署の前で警備を担当していた警察官が真島達に気がつき、彼らが持っていた銃火器を前に言った。
「こらこらキミたち、警察にそういうおもちゃはいかんよ?」
この警察官は真島達が持っていたものをエアソフトガンと思って軽く注意を入れる。
警察としてみれば、相手が本物の銃を持っていた場合、こちらが発砲をすることとなると事後処理が恐ろしいほど面倒なことになるので、たとえエアソフトガンであったとしても警察署の前に堂々と持ってこられるのは面倒なことになってしまう可能性さえあった。
「おもちゃ……」
そこで警察官に指摘された真島は拳銃を前に呆れた様子でため息を吐く。
「はあ」
彼は銃口を向けると、その引き金を握る。
「!?お…おい」
警察官も流石に真島の動作を前にそれが明らかに異質なものであると認識した。
「すまんなぁ、こんなおもちゃで」
彼はそう言うと、警察官に向けて引き金を引いた。
その日、ニュースが流れる。
『お昼のニュースです』
キャスターはそこで淡々と語っていく。
『昨夜、警察署で悲惨な事件が発生しました』
テロップと共にそのニュースが伝えられると、現場の中継映像の切り替わった。
『こちらが暴力団による襲撃を受けた警察署です』
そこでは規制線が張り巡らされ、ブルーシートが被せられた警察署が映し出されていた。
『現場付近には使用された銃器の弾薬が散らばっており、事件の悲惨さを物語っています』
キャスターが空薬莢の映像を見せると、そんな距離まで薬莢が映せる場所にいるのかと思いながら店番をしていたたきな達はニュースを見ていた。
『殺人と銃刀法違反の現行犯で逮捕されたのはーー』
「うっわ、紋紋すげぇな。今時珍し…」
「モンモン?」
ニュースを見ていたミズキにたきなは知らない言葉を前に首を傾げた。すると浅美が教えた。
「刺青だよ。ヤクザが入れてるヤツ。まあ古い呼び方だけど」
「なるほど…」
説明を聞いて納得したたきなは、次にミズキを見て色々と察してしまった気がした。
『指定暴力団大江会の傘下組織の一員であるーー』
「お?」
その時、店の扉が開いて店内にフキとサクラが入店してきた。
『若山ミキオ容疑者、五二歳』
「千束はいるか?」
彼女達は報道を聞きながら千束の居場所を聞くと、カウンター席に近寄る。
「って、なんでお前は着物着てんだよ…」
「バイト。最近ずっと金欠でね〜」
フキはそこで半眼になって浅美を見ると、彼女はヒラヒラとした様子で答えたので彼女は呆れつつも店の奥から出てくる千束を見た。
『若山容疑者はこれまでもーー』
「おぉフキ、いらっしゃ〜い」
そこで彼女は珍しい対客に驚くと、彼女は次に報道を見ながら察するように席に座った。
「説明は不要だな」
フキはそう言うと、カウンター席で座っていたクルミが凝視していたタブレットをやや乱雑に手に取った。
「見せたい物がある。借りるぞ」
「あっ!」
そこで乱雑にタブレットを持って行かれてクルミはややフキを睨みつけてしまいそうになると、彼女の纏っていた赤いファーストリコリスの制服を見て一瞬固まってしまった。
「…お前、見ない顔だな」
フキはそこでクルミを見ながら言うと、クルミはすっかり萎縮してしまう。
「ディ、ディディ…ディーエーのものです…」
「ふーん、あそう…」
声が震え、怯えている節すらあるクルミにフキは大した興味も無さげに千束に聞いた。
「そうなのか?」
「え?!あ、あ、うん、そうそう。うちのコンピューターの人…」
話を振られた千束もやや緊張気味に声が震えながら答えると、その間にクルミは自然とフキから距離をとってしまう。
「まぁいい、これを見ろ」
そこで彼女はクルミを前に持ち込んだメモリーをタブレットに差し込んである映像を見せた。
Do you want a happy end?
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