そこでクルミのタブレットにフキはある映像を流した。
「署内の監視カメラの映像だ」
それは今し方報道されていた警察署襲撃の監視カメラの映像であった。
「紋紋じゃねえじゃん」
ミズキはそこで自動小銃を無差別に発砲をしていく映像が映され、そこにはどこにも紋紋が特徴的なヤクザの男は見当たらなかった。
「報道はカバーしてるに決まってるじゃないっすかー」
サクラは当然のように語っていたが、その一歩後ろで話を聞いていた浅美は驚いていた。
「(逆にラジアータでも隠しきれないって判断されたレベルの被害ってこと?)」
映像を見る限り、確かに無差別に乱射をして複数の警察官が被害に遭っている情報もあった。しかし、それにしたって被害が大きすぎる。
「けど行動前にやるのがアンタらの仕事でしょ」
「ふんっ!」
ミズキはそこで言うと、サクラは鼻を鳴らして答えていた。
「おや、珍しいお客さんだな」
すると厨房からミカが現れてフキ達を見て話しかけた。
「あ、団子セットいいっすか?抹茶のやつ」
「抹茶団子セットね。フキ、お前は?」
「いえ……任務中なので」
ミカの登場にサクラは意気揚々と注文を行い、反対にフキは顔を真っ赤にして顔をタブレットで隠していた。
そしてその顔を隠すようの大声で真隣に座っていた千束に聞いた。
「千束ぉ、どうだ!?どいつが真島だ!?」
「あ〜、そんな大きな声で叫ばなくったって…あ」
その時、監視カメラの映像が流れると、その中で見覚えのある緑色の天然パーマの男が歩いているのが見えた。
「コイツコイツ!ね!浅美!たきな!?」
「そうね」
「ですね」
千束は二人を読んで指差すと、その人物を覗き込んで二人は頷くと、フキはその人物を見る。
「これが…」
そこで彼女は真島の姿を確認すると、少し思考する。
「ほらこれ、髪型は私のじゃない?」
「色だけじゃないですか!」
「形だって似てるよ、少なくともたきなより」
「いや私の方が…」
その後ろで千束とたきなは不毛な似顔絵似ている似てない論争を繰り広げると、浅美が話しかける。
「本部ではどうなっているの?」
「…いや、別に詳しいことは決っちゃいねえよ」
彼女はそう話すと、サクラが話しかける。
「(つまり、完全に後手に回っているってことね…)」
DAにしちゃあらしくない動きだ、と内心で浅美はこの異常事態にため息を漏らす。
「楽勝なお使いでしたね先輩っ」
「…」
そんな彼女の言葉にフキは席を立ち上がる。
「サクラ行くぞ!」
「え?でもまだ団子が…」
帰ろうとするフキにサクラは思わず驚く。
「いいから行くぞ!!」
「ええ〜、なんでですか〜!?」
「せめて!せめてひとくち〜!」
そこでゴネるサクラの首根っこを掴んで二人は慌ただしく店を後にすると、雑に返却されたタブレットを前にクルミは不満げに反応する。
「ったく…」
彼女はそこでタブレットに視線を落とすと、そこで数多の資料の中で特に目を引く写真があった。
襲撃された警察署では、血文字で『勝負だ!リコリス!』と書かれた警察署長の壁があった。その文字を大画面で楠木は、その明らかな挑発を前に至って冷静に見つめていた。
「司令、フキから報告です」
そこで副官から連絡が入ると、すぐに回線を繋いだ。
「確認取れました。奴が真島です」
『分かった。今日のところは戻りなさい』
「はい」
公園でフキは報告を入れると、楠木は千束達に照合を終えて命令を出す。
「帰るぞ」
「…」
そして報告を終えたフキはサクラに言うと、彼女は不満げな様子で返してきた。
「団子食ってからでもよかったじゃないっすかぁ…」
注文して楽しみにしていた抹茶団子を前に連れ出された彼女は、珍しくかりんとう以外の甘味に触れられると意気込んでいたのがこれであったので不満げにフキに言う。
「なんでいっつもミカさんの前でいいカッコするんすか」
彼女はそう言った時、何か気に触れた様子でフキは延髄斬りを叩き込んでいた。
「いてっ!!ナンデェ!?」
叩き込まれた側のサクラは訳がわからない様子で困惑しながら頭を抱えて帰っていった。
フキ達の襲来があっても、対して変わり映えのない業務を終えて浅美達は店仕舞いをする。
「ふぅ、腹減った〜」
「おうどんでも湯がきます?」
「いいねぇ!食べまぁす!」
ミズキ言うと、たきなが反応して千束も乗っかった。
「あぁ、悪いが私は用事で外出する」
そんな中でミカは杖を付きながら店を出ていく。
「あらそぉ?」
「戸締りを頼むよ」
「ほ〜い」
彼はそう言ってから店を後にすると、その直後に彼女達ばバタバタと店を縦横に走り回って準備を始めていく。
「たきなぁ、入らないよ〜」
「強引なんですよ千束!ちゃんと綺麗に畳んでから…」
「車回しておくよ〜」
「着いたら私はウェイターになるからよろしく」
「おう、店で会おうぜベイベー」
彼女達は今から始まる大追跡を前に大忙しで準備していると、店のドアノブの動く音がした。
「あぁ、言い忘れたがガスの元栓ーーー」
そこで顔を覗かせたミカ。
「うどんどこにあんのよ〜?」
「諦めるな!まだ買い置きがあったはずだ!」
「うどんうどん…」
「ここにうどんはありませんでした!」
「見当たんないね〜」
そこで店内では千束達がそんなことを言いながらうどんを探しており、ミカはそんな彼女達を見て時間がないのでとりあえず言付けだけをする。
「…うどんなら納戸だ」
そう言うと、彼はドアを閉じる。
「ガスの元栓、お願いな」
そう言って今度こそ店を後にすると、千束達はドッド疲れた様子でへたり込んでいた。
「危なかった…」
「うはははっ、おもしれ」
「アンタはどうして落ち着けるのよ…!!」
ミズキはそう言うと、彼女はつけているイヤーカフから連絡を受けて立ち上がる。
「あっ、じゃあ先失礼〜」
「おう、店でな〜。浅美」
そう言うと、千束は着替えた彼女を見送った。
目的地までの移動中、車内で彼女は運転中の三条に話しかけられた。
「ミカさんのお相手ですか…」
「そうそう。ちょっと気になるよね〜」
乗用車に乗った彼女は三条と軽く笑いながら話していた。
「まあ、いずれにしても分かりますよ」
「そうだね…」
浅美は頷くと、結っていた髪をまとめている髪飾りの中からチャームを取り出す。
「…アラン機関ですか」
「ええ、そうよ」
その梟のようなチャームは、埋もれてしまった才能を支援するための組織。
「私には、世界を駆け巡るための足が与えられた…」
そう話す彼女の鼓膜には、常に無数の砲声、銃声、悲鳴、怨嗟、祈祷の音が聞こえる。
そんな中でこの日本という静寂は、彼女にとってみれば不愉快でしかなかった。
「世界中で紛争が起こっているのに、この国だけ平和を謳歌するなんて出来ないらしい」
「お金になりますからね。戦争は」
三条はそう言い苦笑気味に頷くと浅美も同様に首肯する。
「全くだ。たかが数年の政権を維持するためにナショナリズムを煽って戦争をする。…国家がプレイヤーとなって戦略と戦術を駆使して血で血を洗うゲーム。それが戦争や紛争と呼ばれている…」
そう言い彼女は車のテレビを付けると、そこでは複数の閃光と爆発音が響く状況が展開されていた。
「見ろ。ついに
ニヤリと笑みを浮かべる彼女は、国境沿いに建設されていた壁を越えて次々と
『現在、米国はメキシコ政府からの砲撃を受け、武力による特別軍事作戦の展開をーー…』
そこでヘルメットを被った記者が現状を驚愕した様子で報道していた。
「早速、百合小隊は仕事をこなしたらしい」
「流石ですね。教えた甲斐があったものです」
三条はそう言い、自分達が手解きしたリリベルから送られた人材を思い出しながら満足そうにする。
「この様子じゃあ、展開中の砲兵隊を襲ったな」
「なるほど。まあ手際は少し悪いですが、概ね評価は高くあるべきでしょう」
椿と百合、どちらも花弁が丸ごと落ちることから『首が落ちる』として古来より縁起が悪いとされた植物である。
その名を冠した部隊が創設されて早十年が経過していた。
「どうも、商人達はせっかくの大幅な利益が出せる『打出の小槌』が手に入れられないことを相当悔やんでいるらしい…」
彼女はそう呟くと、国会で武器取引に関する審議が急速に進められている状況を見つめる。
「上層部にはこういう連中とつるんでいるのも多い」
「というより、この連中が上層部であることも多いでしょう」
三条はそう話すと、彼女達の車はある場所の地下駐車場に入った。
「お待たせ」
「準備はできているよ」
「はいよ」
そこで柊が浅美を出迎えると、彼女はその手にウェイトレスの制服を用意していた。
その頃、移動中の千束達では浅美の話題が出ていた。
「昔はあんな風ではなかったのですか?」
たきなは驚いた様子で隣に座っていた千束に聞くと、彼女は頷いた。
「うん。昔はもっとこう…なんて言うかな〜、印象的な子だったんだよ?」
彼女はそう話すと、電波塔事件後に別れる前の彼女の印象を思い出す。
「髪ももっと長くてね?もっと大人しい子だったんだよ〜」
彼女は懐かしんで話すと、隣でたきなは少し意外な彼女の過去に驚いていた。
「多分、先生も驚いていたんだろうな〜」
「店長が?」
「うん。だって全然雰囲気が違うもん」
千束はそう言い、少し昔を懐かしんでいた。
「まあ十年も海外にいたら色々変わっちゃうのかな〜って」
そして次に少し悲しげになって窓の外を見つめる。
「電波塔事件はお二人が解決したと聞いていますが…?」
「うん。そうだよ」
たきなに千束は大いに頷く。しかし彼女の顔は若干優れなかった。
「浅美は優秀だけど、ファーストにはなれなかったんだよね〜、最速でセカンドにはなったけど…」
「どうしてです?」
「一人だと私とかフキには負けちゃうからね。浅美は全方位満遍なくできるけど、それが器用貧乏ってことになっちゃったのかなー…」
「…」
彼女はそう話すと、たきなは以前に彼女の口から語られた浅美という個人の能力について思い出した。
「…本当に支援特化なんですね」
「まあ私としたら楽でありがたいんだけどね〜。安心して突っ込んでいけるから」
彼女は笑って言うと、たきなはそんな手放しで褒める彼女にいずれ組んで仕事をしてみたいと、少し思ってしまった。
「もうそろそろ着くぞ〜」
「りょ〜か〜い」
そこでクルミが言うと、とある場所に到着して彼女達は車を降りた。
Do you want a happy end?
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Yes
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No