ッ!
その日、都内の某邸宅で軽い銃声が響く。
「…」
そこで頭から血を流して倒れるのは一人の男。某国の大使館に出入りした記録のあったとある警察関係者である。彼の手に握られていたのは、国内で押収されて保管されていた
「偽装も楽ではありませんね」
「指紋とかないでしょうね?」
「大丈夫ですよ」
そこで浅美が聞くと、その隊員は無問題と言った様子で笑って頷いて死体を後に自分たちが歩いてきた痕跡を消していく。
「いって〜。まだ痛む」
「血、残すなよ」
そこで暴れられた際に殴られて、鼻血を出して詰め物をしていた少女が言うと、隣で軽く注意される。
彼女達が今いる分譲マンションは、この男が愛人のために借りた部屋であることは事前の下調べと依頼時に渡された資料からわかっていた。
「外は?」
『問題ありません』
浅美の問いかけに三条が答えた。
「ゆっくり寝てますよ」
彼女は蔑みもなく、ただ淡々と外の駐車場に停まっていた高級車の車内を見ると、スモークガラス越しで眠っている一人の女性を見る。その人物は今し方暗殺された男の愛人で、彼らは不倫をしていると言うことは事前にわかっていた。
『撤収して』
「了解しました」
きっと明日には警察関係者が愛人と自殺したと軽くネットニュースになっているだろう。漆黒の制服を纏っていた彼女達は、警察の本気の捜査も逃れる術がある事を知っていた。
夜のこの時間帯に学生服を纏っている学生はまだ多くいた。リコリス全員が持つサッチェルバックにマカロフPBを隠匿してから彼女達は帰りの帰路に着く。
『隊長。内務省と防衛省から連絡です』
「ん、送って」
そこで眼鏡を通して映像を納谷から回してもらうと、そこで資料を見ていく。
「…ふむ」
情報を読んだ彼女は小さく首肯すると、次に三日月型に笑みを浮かべる。
「喜べ、次の仕事は大きいぞ」
「?」
「…」
彼女はそう話すと、全員に同時にメールが伝えられる。
「公安審査委員会が極秘裏に承認した。次は極左組織のアジトに乗り込む」
「「「「「!!」」」」」
移動用の車に乗り込んで彼女は言うと、聞いていた面々は驚いた様子で見上げてくる。
「当該極左組織は共産主義国の支援を受けて重武装を誇っている。既存のリコリスやリリベルによる対処は規則に保存されるため一切の介入を認めないものとし、我々がこの事案に対処する」
彼女はそう話すと、細かい作戦指示を行う。
その日、羽田空港第二ターミナルで一人のスーツ姿の男が到着口を歩いていた。
「っ!?」
そして到着していた車に乗り込む直前、留学帰りの雰囲気のある学生の拳が男の腹に刺さり、つけていたシグネットリングから高圧電流が走って空港を歩いていたその男は倒れた。
男は車に乗り込むと、走り出して空港を後にするとその車内ですぐに男の顔のスキャニングと虹彩の撮影、指紋の採取が行われる。
「すぐに公安に引き渡します」
「ええ、時間通りに行くわよ」
「了解です」
そこでショーファーカーを運転する少年は撮影を行なっていた浅美に答えると、車はすぐに都内の埋立地に到着し、そこで中身の人間だけ放り捨てられると、直後に別の作業員の仕事着をまとった集団が、下着姿で捨てられていた男を手早く回収して消えた。
「今頃、喫茶リコリコはどうなっているんでしょうね…」
「仕事終わったらいく?」
「ええ、そうですね」
任務中に漆黒の戦闘服を纏う三条は頷くと、その手に
「是非とも、千束スペシャルをいただきたいものです」
彼女はそう呟くと、チャージングハンドルを押して薬室に銃弾を装填する。
「え、あれ食べるんだ」
浅美は
「海外じゃあ、滅多にあんな見た目の甘味なんてお目に描かれませんからね」
「全くもって同感だわ」
浅美は三条の意見に大きく同意すると、移動していたミニバンは停車する。そこぜ完全装備でマガジンポーチもおろした彼らは、全員が
「この先の山を二つ超えた山間部に目標の施設がある。表向きは、中華系の富豪の別邸ってことになってる」
全国どこでも移動ができるのが、この部隊の強いところかと内心で思いながら躊躇なく彼らは停車した険道から山の中に入っていく。
『総員無線封止。以後、各自作戦目標に向けて前進。敵性勢力は可能な限りこれを無力化せよ』
無線で彼女は告げると、暗闇の中を暗視装置も付けずに山の中を歩いていく。
足はつま先から踵にかけてつけ、足音が前に進まないようにし、銃床をピッタリと肩に固定して区部を動かさずに周囲の状況を見張る。
「…」
ハンドサインで姿勢を低くしながら彼らは視線の先で
基本的にこの国に諜報機関は、海外からの後世に対して暗殺や殺害といった行動は法律に明記されていない。そもそも諜報員の処罰に関する法律もなく、この国の治安組織はそれらの依頼をDAに依頼していた。
リリベルはこんなを揺るがしかねないような重大事件の際に出動するので、リコリスでも知っている人間は少ない。
その点、暗殺に長けたリコリスは重宝されていた。故に
「うごっ!?」
その警戒を行っていた兵士の一人を、木陰から取り出したナイフで首元を突き刺した。
「おい、どうした…がはっ!」
草を薙ぎ倒す音に驚くと、その直後に暗闇から一本のドライバーが男のむき出しの弱点となっていた喉を貫通すると、直後に頭を撃ち抜かれた。
「…ヒット」
そこで
「ヒット」
そこで観測を担当し、軍用双眼鏡を用いていた小塚原が斃れた民兵を見つめる。
「(GO!)」
ハンドサインを送って彼女達は一斉に走ると、黒い影は足音を立てずに銃口を向けながら歩く。
「っ!?」
腹を銃剣で刺されたその兵士は、直後に噴射されたCO2ガスで体が膨張をして肉が内側から弾ける。
「こほっ」
無音で飛翔した鋼鉄の矢がプレートアーマーをを簡単に貫通し、塗られていた即効性の貝毒由来の神経毒が即座に対象の心臓を停止させる。
ポンプアクション式のコンパウンドクロスボウは銃声一つ立てずに対象を次々と無力化していく。
「…」
「(状況開始)」
ハンドサインで
ポポン
銃口下部の
「撃て」
そこで浅美が無線の電源を入れて指示をすると、一斉にサーモバリック弾が投擲されて爆発を起こしていく。その直後、施設の二階が丸々吹き飛ぶ。先に変装して潜入していた隊員が爆弾を稼働させたのだろう。
「行け行け行け!」
一斉に全員が屋敷を蹴飛ばし、窓に向かって爆発物を叩き込むと中で撃ち込まれたサーモバリック弾頭が酸素を燃焼し尽くし、爆発にとって武装兵達を燃焼させていく。
「発射!」
そこで
「ふんっ!」
「っ!?」
真っ先に盾を持って、人外の速度で建物のドアを蹴飛ばして突入した彼女に面食らった様子の兵士。
「ほれ花火じゃ!受け取れぃ!!」
「うわぁあああ!!?」
直後を走って追いかけてきた複数の小隊隊員が銃の引き金を引いて発砲を行うと、次々と中にいた兵士たちはやられていく。
その中で彼女は
「ほれほれほれぇえ!」
そして庭園の生垣に隠れながら支援で
「いいんですか?こんな派手にやっちゃって」
「どうせ花火工場の爆発事故って事になるわよ」
その近くで手榴弾を投げた部下が聞いてきたので、柊はそう返すと次に建物の周囲を囲むように施設外を走る。
「なにせこの国のAIは優秀だからね…撃って」
「はい」
そこで持っていた自動小銃の引き金を引いて、建物のバルコニーに出てきた兵士を射殺する。
「外周制圧。リリウムは一人も外に逃すな」
『『『了解』』』
施設内でチャージングハンドルを握ったまま新しい弾倉に交換するイラク式で弾倉交換を終えると、浅美は指示を行う。元々今回の任務は殲滅を目的としており、敵の捕縛をしなくて良いのが極めて楽だった。とりあえず手当たり次第に破壊していく。
「あった」
そこで敵が落とした携帯電話をハッキングしてサーバーの場所を抜き取ると、納谷はそこで敵組織の支援ルートの解明を行った。
半日後、山間部の花火工場の爆発事故のニュースを見ながら錦糸町に訪れる浅美と三条の二人。彼女達はそこで意外な光景を目にした。
「え…?」
そこで大繁盛を見せる喫茶リコリコに困惑しながらとりあえず列に並ぶと、そこで店から出てきた千束が並んでいた二人を見つけた。
「あ!浅美!ゆいさん!」
「「?」」
彼女は獲物を見つけた獣のように直後に二人の首根っこを掴むと、そのまま拉致をするように店内に入れ、ロッカーに放り込んだ。
「ちょっと手伝って!」
「「??」」
彼女達はこの一瞬の出来事に困惑すると、その直後にミズキから小突かれた。
「ほら、ボサッとすんな!」
「「は?」」
そこでミズキが持っていた
「え?なにそのウンーー」
浅美は
「Door!?」
「隊長…!!?」
結構な勢いでやられた彼女は、次に唾を吐き出しながら軽く上に吹っ飛んだ。その吹っ飛んだ浅美を見て三条も目を見開いた。
ーー悲報、喫茶リコリコが汚物で行列を作っていた件について。
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