椿の介錯人   作:Aa_おにぎり

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#06 Not kill

ストーカー被害に遭っていたと言う篠原の相談に乗った結果、思わぬ掘り出し物を発掘した浅美達。

 

「ーーじゃ、二人は今日初めて会ったんだ?」

「はい、優秀な人らしいのですが」

「で、前のバイトに戻りたいと?」

 

篠原とたきなは夜の街灯を歩きながら話す。

 

「嫌な事あって辞めたとかじゃなくて?」

「いえ…少し誤解があっただけです」

 

そう言うと、少し後ろを歩いていた浅美が話しかける。

 

「でも私もたきなちゃんの昔のバイト先知ってるんっすけどね。正直あんま好きじゃ無いっすね〜」

「っ?!」

「あらそうなの?」

 

たきなと篠原はそれぞれ驚くと、浅美は言う。

 

「えぇ、私も千束もそれが苦手でバイト先を変えた所あるっすよ?」

 

そう言いたきなに目線を合わせて街灯の光が差し込んだ瞬間に目線を後ろにやると、それに釣られてたきなもカーブミラーを見ると、そこでは一台の白いセダンが止まっていた。

 

少し歩き、またカーブミラーを見ると同じナンバーの同色車種の車が止まっていた。

 

「そんな場所に戻りたいかって話っすよね」

「…私は戻りたいです」

「ほほぅ、勤勉なのはいい事っすよ〜」

 

浅美は感心しながら篠原とたきなの間に入ると、彼女は言う。

 

「でもその年で耳に穴あけちゃったの?」

 

そう言い篠原は浅美のイヤーカフを見ながら言うと、彼女は答える。

 

「あぁこれ、イヤーカフっすよ」

「あら、そうだったの?」

 

イヤーカフを外しながら答えると浅美はニィと笑った。

 

「まぁでも開けてるっすけどね」

「あら、なんて悪い子」

「元々うちは悪い子っすよ〜」

 

そう言って携帯をくるくる回すと、

 

「あっ」

 

彼女の携帯が吹っ飛んで道路の曲がり角の先に滑り込んでいってしまった。

 

「やべっ」

「調子をこくからですよ」

 

たきなは浅美に言うと、篠原は笑う。

 

「でもちょうどここで角を曲がらなきゃいけないの」

「だそうですよ」

「お〜、そうっすか」

 

ラッキーラッキーと言いながら携帯に駆け寄ると、二人を手招き。たきな達も小走りで道路の反対側に走った。

 

「あれ?たきなちゃ〜ん」

「?」

 

そしてそこから少し歩いた先で、浅美はたきなの鞄を見ながら聞いた。

 

「カバンにつけてたキーホルダー、どこに行ったの?」

「…あれ?見当たりませんね」

「あら、落としちゃったの?」

 

キーホルダーを落としたと言うたきなに篠原は少し驚いた表情を見せた。

 

「少し探してきます」

「なら私も…」

「いえ、大丈夫ですので。では」

 

たきなはそう言うとそのまま元来た道を戻り始めた。

 

「大丈夫なの?」

「あぁ、うちら繋がってるんであとで合流できますよ。行き先も既に伝えてあるっす」

 

そう言い携帯を取り出すと、浅美と篠原はそのまま帰路に着く。

 

「浅美ちゃんは千束ちゃんとは仲がいいの?」

「幼馴染に近いっすね。昔は一緒でしたっす」

「昔は?」

「私、この前まで留学してたんっすよ」

 

首を傾げた篠原に言うと、彼女は納得した。

 

「これでも一応元大学生だったんっすよ?」

「え?どこの大学?」

「コロンビアっす」

 

名前を聞き、篠原は驚いた。自分でも知っているような海外の大学だ。

 

「えぇ、すごい!頭いいのね」

「まぁ中退したっすけどね。この頭じゃあ三年生はキツイっすよ」

「でも海外の大学で進学できるなんて凄いわよ。しかも飛び級って事でしょ?」

 

篠原は見かけによらないんだなぁ、と軽く反省しながら風船ガムを膨らましている浅美を見ていると、

 

ッーーー!!

 

「っ?!」

 

彼女のポケットからいきなり爆音が聞こえ、それに篠原が驚くと浅美は慌てて携帯を取り出した。

 

「やべっ、タイマーつけっぱだった!!」

 

どキツイデスメタル音楽が携帯から流れて慌てて音量を落とすと、篠原はやや顔が引き攣っていた。

 

「なかなか…凄い趣味ね」

「そうっすかね?」

 

これが通常と言わんばかりに返した浅美、すると篠原は後ろを見ながら呟く。

 

「しかしたきなちゃん、なかなか戻ってこないわね…」

「落とし物を探すのは苦労するっすからね〜」

「…やっぱり一緒に探してあげた方が…」

「大丈夫っすよ。たきなちゃんは探し物得意っすから」

 

そう言い、篠原をそのまま家まで案内する浅美はたきなが消えて行った薄暗い路地を見ていた。

 

「(ジャミングを突破したか…)」

 

そして次に後ろを見るとそこでは一台のドローンが自分たちを見ており、それに浅美はフードの下に隠していたサプレッサー付きサタデーナイトスペシャルを後ろ向きで撃った。

 

「今変な音しなかった?」

「さぁ?最近は虫も出て来ていますからね、それじゃないっすか?」

 

知らぬ顔でフードの下に銃を隠すと浅美は篠原に答えていた。

 

 

 

 

 

キーホルダーを探しに向かったたきなはサプレッサーを装着したS&W M&P9を手に持って電柱の影に隠れる。

先ほどから自分達を尾行していた白いワゴン車が先ほど自分達が曲がって来た角を曲がってくる。

 

「…」

 

銃を構えて息を殺していると、

 

ッ!!

 

爆発音と共に車のフロントが少し浮いて煙を吐き出し、エンジンが破壊されていた。

 

「っ?!」

「何だ何だ!?」

「おい!どうした!?」

 

たきなはそれが浅美の仕込んだ罠であると一瞬で判断し、車のライトが消え掛かった車に向かって発砲する。

 

「ひぃっ?!」

「何だ?!」

「めちゃくちゃ撃ってくるぞ!!」

 

銃弾が掠め、運転手の肩や車を貫く。

 

「銃の在処を言いなさい!」

 

たきなはやや興奮気味に引き金を弾く。

 

「何で取引のこと知ってんだよ!?」

 

先ほどの浅美の爆音デスメタルは仕掛けた罠の携帯型指向性対人地雷の爆発音を篠原からかき消す為。

元々至近距離で人の顔を破壊できる程度の威力しかないので、車相手には故障程度で終わってしまうだろうし、爆発音も聞こえないだろうが念の為。

 

「知るかよ!」

 

幸いにも人質になり得た篠原は浅美のおかげで遠くに言っている頃合いだ。

 

「まさかアレが…噂のアイツらなのか?!」

 

たきなは持てる火力を用いて発砲を行い、一瞬で弾倉を使い切る。

まだ初日で千束の事をよく知らないが、彼女から溢れ出る呑気な空気感にDAへの復帰を願う彼女は興奮の余り周りが見えなくなっていた。

 

そして弾倉を使い切り、二つ目の弾倉を鞄から取り出して装填して引き金を引こうとした時、

 

グッ!

「っ!?」

 

たきなの拳銃のスライドが強く握られ、その直後に千束が少し鋭い表情でたきなを見ていた。

 

「何してんの…!!」

 

そしてそのまま彼女を近くの建物の影に連れた。

 

「目標を鎮圧するためです」

「車のエンジン壊すまで撃つなんて撃ちすぎだよ!!」

「いえ、アレは浅美さんの罠です」

 

たきなは言うと千束は彼女に少し叱る様に言う。

 

「だとしてもだよ」

 

すると車から出て来た男が拳銃片手に出て来る。

 

「出てこいテメェら!」

「出て来てしまいましたよ」

「たきなが滅多撃ちするからでしょうが」

 

千束はこっそりと角から覗き込むと、エンジンが壊れ、ヘッドライトも消灯したワゴン車に集まる数名の男達を見た。

 

「射撃には自信があります。一発で無力化して見せます」

「だから殺したらダメだって…」

 

千束は言うと愚痴る。

 

「クソゥ、浅美め。ちゃんとたきなを見ておけって言ったのに…」

「…」

「あとでデコピンしてやる」

 

彼女は言うとたきなに耳元で囁いた。

 

「ねぇ、射撃に自信があるなら一つ」

「?」

「七時の上にうちらを見ているのがいる。…多分ドローンだけど」

 

千束は言うとたきなはその意味がすぐに理解できた。

 

「あっ、音出してね」

「分かりました」

 

たきなはサプレッサーを取り除いて銃口を夜空に向けると、引き金を弾いた。

 

ッ!!

 

銃弾は夜空を飛んでいた一台のドローンを破壊し、銃声か響いた。

 

「うおっ!?」

「また銃声だ…」

「うっ、撃ってきたのか!?」

 

完全に初手のたきなの乱射で怖気付いてる男達は恐る恐る車のドアを開けると、

 

「やぁ、取引がしたいんだけど」

「ひゅぅっ!?」

 

にゅっといきなり現れた白髪の少女に変な声を漏らして驚いた一人が銃を向けた。

そして発砲すると千束は至近距離であるにも関わらず銃弾を避けた。

 

「あぁもう…」

 

直後、窓越しに発砲して赤い煙が出ると至近距離で撃たれた男は気絶する。

 

「非殺傷弾…」

 

指で摘んで壊れるほどの赤色の銃弾をたきなは見る。

その直後にあっという間に数人を制圧すると、運転席で左肩から血を流していた一人に話しかけて意識があるのを確認すると彼の治療をしていた。

 

「いのちだいじに、って、敵にもですか?」

「そう」

 

治療を終え、たきなは千束に驚いて聞くと彼女は頷いた。彼女は携帯でどこかに連絡していた。

 

「さて、クリーナーにも連絡したし。浅美達のとこに行こ〜!」

 

そう言って千束達は浅美達のいるはずの篠原の家に足を向けた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

翌日、喫茶リコリス。

 

ミカは篠原の写真に大人気なく僻む一人から携帯を抜き取る。

 

「で、結局彼らは雇われたただのチンピラで銃のありかは何も知らなかった訳か」

 

携帯の写真見ながらミカが言うと、三条から報告が入る。

 

「私たちの方でも捕え、尋問を行いましたが同じ様な結果でした」

 

店には昨日の関係者全員が集い、三条達浅美以外の椿小隊の面々も篠原の恋人の方をストーカーしていた不審者を捕縛していた。

たきなは店の従業員としての制服に着替えているのでここには居なかった。

 

「尋問…」

 

椿小隊の実態を知っているとはいえ、カウンターで聞いていた緑の着物を着た元DA情報部出身のミズキほそれ以上踏み込むのを理性が拒んでいた。

そして忘れる様に一升瓶を傾けていた。

 

「その写真は三時間前に撮られたものらしいわね」

「偽の時間をつかまされたわけか…」

 

昨日の少しチャラい女の子の格好で真面目にミカと話す浅美。

 

「ラジアータはちゃんと仕事して欲しいですよね〜」

 

座敷でパソコンを触りながら言う納谷にミズキは言う。

 

「あんたサラッととんでもないこと言うわね」

「だって私が信奉しているのは隊長とウォールナット様だけですし」

 

彼女はそう言うと彼女は聞く。

 

「女襲った奴らはどーしたの?」

「クリーナーに頼んだ」

「はぁっ!?アンタあれ高いのよ?」

 

ミズキは千束に軽く文句をつける。クリーナーは事件が起こった場所の現状復帰や負傷した犯罪者の回収を行う業者である。

事件後、三条達の捕えた不審者もクリーナーに引き渡していた。

 

「まぁDAなんぞに渡したら命ないでしょうけどね」

 

そう言って少し苦笑していると、千束は言う。

 

「んで、DAにこいつらの情報伝えたら。たきながDAに復帰できるんじゃないかって。…どぉたきな?やる〜?」

「やります!」

 

勢いよく扉を開けて出て来た彼女は青い着物にツインテールの髪をしており、見た瞬間に千束は目を輝かせて立ち上がった。

 

「うほほ〜、カーワーイーイー!!ねぇ、写真撮ろ写真!」

「んじゃあ、撮ってあげる」

「わぁありがとー、浅美!」

 

千束の携帯を使って浅美はたきなを中心にして四人の写真を撮った。

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