ゆらゆらしないで布瑠部ちゃん! 作:柚李白
ヒーローとヴィランの激戦により、既に廃墟と化した神野区の一角にて。
周囲の建物が倒壊させられたことにより舞い上がる粉塵の中に立つのは、目も鼻も耳も無い、およそ人間と言うには躊躇いのある風体をした巨悪。かのオールマイトの、真の姿を露わにした化け物。
そして。半身を傷で埋め尽くされた、少女が一人。
「……十種影法術は、まず手持ちに二匹の玉犬が与えられるの。その後調伏の儀を行って、次第に式神を増やして強くなってくんだ」
ゆらゆらと、傷だらけの少女が立ち上がる。左肩、右の脇腹、そして両足に空いた穴から血を溢し続けながら。
既に彼女は、致命傷を負っている。おびただしい出血からそれが分かる。誰が見ても、もう彼女は長くないと察してしまう程だ。仮に今直ぐ救けられたとしても、生き残れるとは思えない。
「この調伏の儀そのものは、術師独りで行わなきゃいけない。複数人でも調伏の儀を行えるけど、後で無効になっちゃう」
口からも血を溢れさせながら。穴だらけになった血塗れの運動着を、更に血で汚しながら。それでも尚、彼女の瞳には意志の光がある。目の前に立つ巨悪ですら消すことは出来ないであろう、黒い光が。
「……続き。調伏したい式神は、いつでも呼び出せる。歴代十種影法術師は、誰一人……この子を調伏出来なかった」
拳を握る。腕を伸ばす。膝が崩れて、もう両足は微塵も動かない。静かに瞼を閉じて、一瞬躊躇う。けれども彼女は、歯を食い縛って掌印を結ぶ。閉じた両目を開いて、ただ目の前の悪に憐れんだ。そして。
「―――布瑠部、由良由良―――」
夢を諦めたかのような顔で。現実を受け入れたかのような声で。ゆっくりと、その祓詞を紡ぐ。
「八握剣。異戒神将、魔虚羅―――!!」
異様な光景が、広がって行く。
少女の足元に広がる影が蠢き、広がり、躍る。幾頭もの玉犬が吠え、何匹もの大蛇が波打ち、数多の兎が溶けていく。
やがて姿を現したのは、白い巨人。頭上に法陣を浮かばせ、瞳の代わりに翼を生やしたその顔は異形としか言いようが無い。この存在が何であるのか、オールマイトを追い詰めた巨悪は理解が追い付かない。だが、それでも分かることが有る。察してしまった事が有る。
この白い巨人が、自らの命に届き得る存在であることに、巨悪は気付いてしまった。
「……じゃあね、クソ野郎。せいぜい足掻けば?」
死にかけの少女は再び両目を瞑り、項垂れた。もう、彼女の身体に生きる力は無い。そして―――。
―――ゆらゆら、と。白い巨人が、動き始めた。
思いつきをひとまず文にしただけだったります。AFOに魔虚羅テロかますオリ主が見たかっただけともいう。
此処に至る話、または此処から先を読ませろって方が多いようでしたら、第一話を考えて見ても良いかもしれません。でも更新速度は期待しないでください♡