転生先生、嘯く   作:あまいろ+

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不良達の憂い、日常の支え

「カズサターゲット見つけたの?」

 

「は、早いよ…カズサちゃん…」

 

「流石はキャスパリーグ…獲物を見つけるのはお手の物だね」

 

私を見つけ銃を構えるカズサ。それに放課後スイーツ部…もとい放課後スイーツ団の面々が遅れてカズサと合流する。

 

「なんか私今賞金首って聞こえたんだけど気のせいだよね?」

 

「いや、確実にそう聞こえたけどアイ何したの?」

 

「いや…これといって何も…。しいて言うならトリニティに入ってから絡んでくる不良を、片っ端からぶっ倒していったぐらいしか覚えが…」

 

「それだね。覚えがないというか、覚えしかないね。……あった見てアイ」

 

私との会話中に何やら携帯で調べてくれていたカヨコ。

 

見せてくれたページには私の写真と懸賞金。そして「捕まえたらニカイアヘルメット連合団まで」の文字。

 

「売られとるやないかい!」

 

「片っ端からぶっ倒していったら当たり前でしょ…」

 

賞金20万か…。これって安いのかな。

 

「呑気に話してる時間あるの?」

 

突然聞こえてきた声。私がカズサの声に気が付くと、もう私たちの近くまでカズサが迫って来ていた。

 

カズサの狙いは私。カズサは私に向かってハイキックを繰り出すが、それをバックステップで避ける。

 

それを追撃するように、カズサからの銃撃が私を襲う。

 

「アイ!援護する!」

 

私が襲われたことで、カヨコは懐からデモンズロアを取り出しカズサに発砲した。

 

しかしカヨコの銃弾は獲物に当たる前に間に入ってきた何者かに防がれる。

 

「ふふ…させないよ」

 

「ナツ、ありがと」

 

「盾持ち…少し厄介かな」

 

カヨコはそうボヤキながらも、ナツに対応する。

 

「カヨコ!上!」

 

「上…?は?ミサイル?」

 

カヨコが頭上を確認すると、そこには迫ってくる小型のミサイル。

 

「さぁ覚悟しなさい!」

 

「こんなものどこから出したの…」

 

遠くでミサイルを発射したヨシミが息まくが、冷静にカヨコが撃ち抜き、ミサイルは空中で爆発した。

 

ここまでカズサとナツが前衛、ヨシミが後衛。後はアイリだが…。

 

私は現状を観察し、対処しようとする。

 

その時背後から感じる寒気。

 

私は反射的に横に飛び、回避を行った。

 

「ご…ごめんなさい!!」

 

カーーーーンッッ!!

 

いつの間に背後に回り込んだのかわからないが、先ほどまで私がいた場所に思い切り金属バットを振り下ろすアイリ。

 

あの…アイリさん?流石のギヴォトス人でも金属バットを思い切り振り下ろされたら致命傷なんですよ?

 

ギヴォトスの普通枠はどうなっているのか。

 

アイリは振り下ろしたバットを、もう一度振り上げまたこちらに向かってくる。

 

私はそのアイリのバットを十手を使って受け止めた。

 

鍔迫り合いのような状態だ。

 

「あ…あなたを倒して、賞金でみんなでチョコミントのアイスケーキを食べるんです!倒されてください!」

 

「それで大人しく捕まるわけにはいかないんだよ!頭にチョコミント詰まってんのか?それ頭から出してパーティしてなさい!」

 

「ちょっと!?アイリの事バカにすんな!!」

 

「チョコミントサークルの騎士は黙ってろ!」

 

私の言葉に怒ったカズサもアイリと一緒に突っ込んでくる。

 

カズサはキャスパリーグ時代の経験からの絡め手、アイリは本人のギャップとは違う勢い。

 

どちらも自分の持ち味を活かして攻めてくる。

 

カヨコもナツとヨシミのコンビネーションに若干だが苦労しているようだ。

 

しかしここで妙だと思う。

 

生前本当に必要な時以外、戦闘ではスイーツ部を呼んだ事は無かったが、ここまで思い切りのいい戦闘をするタイプではなかったはずだ。

 

今の不良時代の経験か、はたまた何かの影響か…。

 

「アイ、そろそろ…」

 

「そうだね。そろそろ…1人ぐらい戦闘不能にしておくか」

 

カヨコは自分の銃を上に掲げ、1発発射する。

 

「パニックブリンガー」

 

発射されると同時にスイーツ団に重い重圧がのし掛かった。

 

「な、なにこれっ!?」

 

「身体が…重い…」

 

カヨコが作ってくれた隙を見逃さず、私は素早くナツに近づき背後を取る。

 

「おぉ…」

 

「ナツ君。浪漫は好きかい?」

 

「ほほぅ、なんだ君も浪漫に導かれた民かぁ…」

 

「うんうん。浪漫を求めるのは楽しいよね。ところでさ」

 

私はナツの襟首を強く掴む。

 

「浪漫飛行って知ってる?」

 

「え?お?おおおおおおお!?」

 

私はナツを掴んだまま、その場でグルグルと回転し、ナツも回転の勢いでその身体を浮かして共に回転する。

 

「ナツちゃんの回転がどんどん早くなって…」

 

「なんか合間合間でナツの声聞こえない……?」

 

「うぷっ!無理…ギブ…ギブ…」

 

「無限の彼方へ、さぁ行くぞ!!!」

 

回転が最高潮に達した私は、

 

「浪漫飛行にイン・ザ・スカイ!!!」

 

「ああああぁあああぁぁぁあああ!!!!」

 

ナツを思い切り空にぶん投げた。

 

『ナツーーーーー!?』

 

まだ昼間だがキランと星になったナツ。

 

良いヤツだったよあいつは……。

 

「アイ…大丈夫なの?あれ」

 

「ちゃんとブラックマーケットに流れてる川に落ちるように、かんぺき~な計算で投げたから大丈夫だよ」

 

私はまだナツの状況に呆然としているスイーツ団に向き直り聞いた。

 

「さて、次に星になりたい子は誰かな?」

 

私の問い掛けに身構えるスイーツ団。

 

これで戦闘も終わり。

 

と思ったその時。

 

「ね~?なんか今ミサイルみたいに飛んでった娘がいたけど、あれナツちゃんだよね?」

 

前触れもなく現れた人物。

 

いきなり現れた人物は、私たちと、それに相対するスイーツ団を見て、状況を把握するとこちらにむき出しの威圧感をぶつけてきた。

 

「貴女が私のお友達をいじめたの?そっか…覚悟してね?」

 

私はその敵意をぶつけられながらも、懐から携帯を取り出し、

 

『G3発見しました』

 

とハナコにメールした。

 

トリニティの校舎を破壊した張本人。今も行方不明だった人物。

 

聖園ミカのお出ましである。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「みんな酷いな~。黙ってみんなで戦うなんて」

 

「いやミカにもメール送ったでしょ。見てないの?」

 

「あ、本当だ…」

 

「あはは…見てなかったんだねミカちゃん…」

 

スイーツ団と仲良く談笑するミカ。

 

まさかまさか。どこに行ったのかと思ったら、放課後スイーツ団の一員になっていたとは…。

 

そりゃ今のトリニティ2大不良グループになるわ…。

 

「カヨコ、悪いんだけどピンクの子以外の3人を頼める?」

 

「いいけど、アイは大丈夫なの?あの子かなり強いよ」

 

「むしろアレは私か、正義実現委員会のトップぐらいしか相手にならないからね」

 

「わかった…。無理…しないでね」

 

「………善処します!」

 

私は呼吸を整えると、自身に神秘を流し身体を強化する。

 

「あはは!そっちも準備は終わったかな?さっきも言った通り覚悟してもらうね」

 

「随分と自分に自信があるんだね?まるで我儘なお姫様みたいだ」

 

「……お姫様なんて言わないで。私をお姫様って呼んでいいのは……あの人だけなんだから!!」

 

そう言うと弾丸の様にこちらに向かってくるミカ。

 

すでに腕を振り上げ、こちらに叩きつける体勢を取っている。

 

「こんなすぐに地雷を踏むなんて、地雷原みたいな女だ…な!」

 

私も向かってくる拳めがけて自分の拳をぶつける。

 

ドガァッ!!

 

お互いの拳がぶつかり、方範囲にその衝撃が放たれた。

 

スイーツ団はその衝撃に驚き、身をかがめる。

 

「ちょっ!何コレ!?」

 

「一撃の衝撃がここまで!?」

 

「それにミカちゃんの一撃を止めた人なんて初め……て……」

 

いきなりドサっと音を立てて倒れるアイリ。

 

「アイリ!?」

 

「注意を怠りすぎ。アイ以外にも私がいること忘れた?」

 

倒れたアイリの傍らには、硝煙が上がる銃を持ったカヨコが立っていた。

 

「貴女達はこっち」

 

「よくもアイリを!!」

 

「ちょっと、落ち着きなさいカズサ!」

 

身を翻し、逃げていくカヨコ。

 

カズサ達はその背を追っていった。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

ブン!ブン!と風を切る音と共にこちらを殴ってくるミカ。

 

戦車のような勢いのミカの一撃一撃を紙一重で避けていく。

 

ていうか一お嬢様が出していい拳圧じゃないでしょ。

 

「なに?もう私の拳を受け止めてくれないの?」

 

「たわけ。受け止めたら腕が痺れたんだよ!どんな攻撃力してんだ。不良より解体業とかの方があってるんじゃないの?」

 

「それもそうかもね。じゃぁ最初に貴女を解体してあげる…ね!」

 

「おっと…」

 

さらにスピードをあげたか。

 

私もスピードをあげて回避する。

 

回避するのは難しくない。しかしやりづらい相手ではある。

 

ヒナやホシノの様に戦闘慣れした攻撃ではなく、ミカの攻撃は正直素人の喧嘩のそれだ。

 

しかし、桁違いな力と、

 

「よっ…と!」

 

「……!!あは☆」

 

獣のような勘の鋭さ。

 

これがやりづらさを加速する。

 

こちらの攻撃は反射的にかわされる。

 

「おまけに耐久力もあるなんて…。パラメーター、武に振りすぎじゃない?」

 

「最近のお嬢様は強いんだよ。知らない…の!」

 

「パワー系お嬢様、そういうのは燃えるけど…ね!」

 

銃撃、コイン当て。どれもミカを倒せる未来が見えない。

 

だからと言ってこちらもパワーとスピードをフル回転して倒したくない。

 

必要以上に殴る蹴るをしたくないのだ。

 

例えクーデターを起こそうが、校舎を解体しようが私にとってまだ可愛い生徒だ。

 

さて、どうしたものか…。

 

私は自分の中でこの状況を打破する何かがないか考える。

 

生前色々な生徒と関わって来たんだ。何か使えるものは…。

 

『先生は弱いからな。覚えておいて損はないはずだぞ!』

 

あぁそういえば習ってたなぁ。

 

まだ身体が覚えているはず。

 

いっちょやってみるか!

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

私は弱い。

 

そんなことは知っていた。

 

いくら昔伝説のスケバンだともてはやされていても、正義実現委員会や他の治安組織のように、普段から戦ってる生徒にはかなわない。

 

先生は、シャーレで戦闘面の荒事が起こると、そんな戦闘慣れしている生徒を呼んだ。

 

あたりまえだ。プロに素人が混ざるなんて足手まといにしかならない。

 

1回私の我儘で編成を組んでもらったことがある。

 

任務は達成した。怪我人ゼロ。負傷者ゼロ。

 

だけど私は完全にお荷物だった。

 

私では戦闘で先生の役には立てない。

 

だからか、先生が亡くなった時に、自分を責めることは無かった。

 

そこに私がいれば、私が先生を守れれば、なんて思わない。

 

思えない。

 

だって私は弱いから。

 

そんな事実を忘れるように私は放課後スイーツ部を出て、昔のように喧嘩に明け暮れた。

 

その時は強くなろうとしたわけではない。

 

単なる八つ当たりだ。

 

理不尽に自分の怒りをぶつけるように。自分の弱さから目をそらすように。

 

その日も、雨が降る中、不良相手に喧嘩を仕掛けた帰り道。

 

傘を持たず、雨に打たれながら歩いていた時、あの子に出会った。

 

私と同じく、ずぶ濡れで壁を背にもたれながらたたずむ少女。

 

白い服と綺麗であろう翼は、煤や泥で所々黒く汚れている

 

私はその少女に何かを感じ声を掛けた。

 

「ねぇそんなにびしょ濡れだと風邪引くよ」

 

私の言葉に少女は虚ろな目でこちらを向く。

 

「……別にいいよ。なんかもうどうでもよくなっちゃった」

 

「そう…。私もおんなじ」

 

私は彼女の横に座り込み、何をするでもなく一緒に黄昏る。

 

本当にどうでもいいのか、彼女はまったく私を気にしなかった。

 

「ねぇ」

 

お互い雨に打たれている中彼女が口を開く。

 

「王子様がいなくなったお姫様はどうすればいいのかな」

 

「それは……」

 

彼女の問いに答えようとするが、それは近づいてくるたくさんの足音にかき消された。

 

「いた!見つけたぞ!杏山カズサだ!」

 

「見つけました!ミカ様!」

 

一方からは私目当ての不良たち。

 

もう一方からは多分、彼女目当ての正義実現委員会。

 

「なに?あんた追われてるの?」

 

「あなたも随分人気者なんだね?」

 

「嬉しくない追っかけファンだよ。とりあえず」

 

「そうだね。とりあえず」

 

「「気に入らないからぶっ飛ばす」」

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

「ハァ…ハァ…」

 

向かってくるものをただなぎ倒し、お互い背を合わせ息を整える。

 

もう私たち二人以外に立っている者はいない。

 

「たいしたことなかったけど量が多かったね…」

 

「たいしたことないなんて思ってるのはあんただけ…。いったい何者…?」

 

「…もうただのお嬢様だよ」

 

「お嬢様ねぇ。ねぇ…さっきの答えなんだけどさ」

 

「答え…あぁそういえば私なんか聞いてたんだっけ」

 

「覚えてないの?まぁいいか。…とりあえずさ、一緒にスイーツでも食べながら考えようか?」

 

それから私はミカを放課後スイーツ部の部員たちのもとに連れていき、一緒にスイーツを食べて、不良グループを発足させた。

 

喧嘩を売られたらもちろん買ったし、倒した不良からカツアゲしてスイーツを食べた。

 

流石にパンピーには手を出さなかったけど。

 

好き放題してたら、気付いたらトリニティに2大不良グループなんて言われていた。

 

ミカの影響がでかいんだろうけど、私も少しは強くなった。

 

強くなったはずなのに…。

 

「ハァ……ハァ……」

 

「まだ倒れないの?凄い根性だね」

 

なんでこの女を倒せないの?

 

別に一方的な相手じゃない。

 

私も相手も満身創痍……なはず。

 

なのに、私だけがこんなに疲弊している。

 

「不思議そうな顔だね。別に便利屋ではこのぐらいの怪我は日常茶飯事だから」

 

「……ッ!!」

 

ヨシミはすでにダウンしている。

 

私とあいつの1対1。なのにあいつはケロッとしていた。

 

まだそんなに私は弱いのか…!

 

「私は弱くない…!私はあの時よりも強くなった…!」

 

「……そんなに強くなりたいんだ?」

 

「…当たり前でしょ」

 

単身で暴れてた時は問題なかった。でも今はスイーツ部のみんながいる。

 

なら私は強くなるしかなかった。

 

「もう十分強いと思うよ。少なくてもここ最近の相手では一番強いよ」

 

「それじゃ意味がないんだよ。とにかく強くならなくちゃいけないの…」

 

だって。

 

「いざという時に、役に立たたないのは…もう嫌だから」

 

何もできずに、何もできないのは嫌だから。

 

「役に立たないって……先生が言ったの?」

 

「……!?言ってない!言って…ないけど…」

 

「……貴女。杏山カズサ、だよね」

 

「私を…知ってるの?」

 

「知ってる。先生がたまに話してくれたから。……先生はね」

 

怖い。先生が何を言っていたか知るのが怖い。

 

「貴女のことを、頼りにしてたよ」

 

「…嘘…だって私は、役に立てなかったもの」

 

「あー、それは戦闘の話でしょ。先生が頼りにしていたのは精神面の話し」

 

「…精神面?」

 

「うん。先生が言ってた。カズサは日常を思い出させてくれる生徒だって」

 

先生がそんなことを…?

 

「等身大で、親しみやすく、仲間思いで、カズサを見ていると、安心できるって言ってたよ。……少し妬けちゃうね」

 

「私は…役に立ってた…の?先生の役に…?」

 

「どこで助けになるかはその人次第だよ。…大丈夫。貴女はちゃんと先生の役に立ってたよ」

 

嬉しい。私は先生の役に立ってた。

 

今まで迷惑になってるのとしか思えなかった。あんなに良くしてくれた先生に何もできていなかったのだと。

 

あはは…私が思っていたことは杞憂だったのかな。

 

でも良かった。先生の思いが、こんなにも嬉しい。

 

「それはそれとして」

 

「え?」

 

「貴女は私に勝てないよ。…どんなに強くてもね」

 

さっきまで私に先生のことを話してくれたあいつは、こちらに足取り軽く近づいてくる。

 

「だって貴女は………猫ちゃんだから」

 

「…近づく!?」

 

慌てて銃を構えるも、それより早く銃撃され銃を落としてしまう。

 

「安心して大人しくしてれば痛くしないからさ」

 

「…あ…あぁ」

 

恐怖。種類はわからないがあいつから、今まで感じたとのない恐怖を感じる。

 

その時。

 

『痛い痛い痛いーーー!?』

 

遠くからミカの悲痛の叫びが聞こえた。

 

「え!?何!?」

 

「向こうも終わったようだね。さて」

 

こちらを見るあいつの顔は、さっきまでの無愛想な顔ではなく、

 

「躾を始めようか」

 

「わ…私のそばに近寄るなああーーーッ」

 

口角をあげ怪しげな笑みを浮かべていた。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「もう、終わりにするね!!」

 

ミカからの渾身の一撃。

 

『まず大切なのは脱力だ。すぐ行動に移れるように脱力するんだぞ』

 

「ふぅ……」

 

『次は力をずらすことが大事だ。先生は弱いからな。間違っても正面から受けてはいけないぞ』

 

私はミカの突きを受け流し、ミカに思い切り近づく。

 

『そしたら相手の力を利用するんだ』

 

ミカに足を引っ掛け、受け流した勢いと、私自身の力を加えてミカを地面に転がした。

 

「…え!?いたた!?」

 

「うん。まだ覚えてる…」

 

「よくも、やったね!」

 

地面に転がったミカは体勢を立て直し、再びこちらに拳をぶつけようとする。

 

「力をずらして…」

 

私はその拳を優しく取り、捻ってミカの体幹をずらし、

 

「投げる!」

 

また地面にぶん投げた。

 

「いったーい!?また投げられた…。これって確か、ジュウドー…?」

 

「違う。これは…CQCだ!!」

 

「ジュウドーと何が違うの…さ!」

 

「それをその身に教えてやるよ!」

 

今度は蹴り…。

 

『基本は大事だぞ先生。特にこういう格闘術は教範の様に基本に忠実なんだ』

 

「わかってるよ!」

 

「また…!?」

 

その後も何度も地面に転がるミカ。

 

そろそろお終いにしよう。

 

「もう…しつこい!」

 

「やっと動きが鈍ってきたね」

 

「あ!?しまった!?」

 

何度も投げられて動きが鈍くなったミカを地面に転がし。

 

「うう…服がドロドロ…」

 

転がったミカの足を取って、

 

「痛い痛い痛いーーー!?」

 

サソリ固めをきめてやる。

 

「何が放課後スイーツ団じゃい!!周りに迷惑かけてんじゃねぇぞ!黙って落雁でも食ってろ!!」

 

「折れちゃう!?折れちゃうから!?本当に痛いー!?」

 

「こっちも心を痛めて折檻してんだ!反省しろ!」

 

「痛めてるのこっち!?離して!?足の感覚無くなっちゃう!?」

 

「あなたたちのために……折るね」

 

「祈って!?そしてお願いだから離して!?もうギブだからギブだからー!?」

 

ありがとう。なにがとはいわないけど、ビッグ・サキ。

 

おかげでミカに勝てたよ。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「ヒック…ヒック…身体の節々が痛いよう…」

 

「集団で無実の私にカツアゲじみたことしてっからだバーロー」

 

バンバンと地面を叩いて降参するミカを離し、一息つく。

 

「そっちも終わった様だねアイ」

 

どうやらカヨコの方も終わったようでこちらに帰ってきた。

 

「カヨコおかえり。この通りバッチリしめて終わったよ」

 

「私の方も躾ておいたよ。ほら」

 

「いきなり襲ってすみませんでした……」

 

「……そっちで何があったの?」

 

「それはお互い様でしょアイ。それよりカズサはうちに持って帰るとして、この子たちどうするの?」

 

「それカズサ納得してる?ものすごい勢いでそっち振り向いたけど?」

 

「納得してるよ…ね?」

 

「……はい」

 

カズサブルブル震えてますけど?

 

このままカヨコの庇護下にしておくのはまずいなぁ。

 

とはいえ、他のスイーツ団のメンバーやミカも放っておくわけにはいかないか。

 

「……しょうがない」

 

 

「というわけで今日から私が放課後スイーツ団の新しいボスになったから。よろしくハナコ」

 

「誰が不良グループの1つを掌握しろって言いましたか?」




転生先生、嘯く 11話目
プチ旅行として伊香保温泉に行ってまいりました
その周辺の観光もしてきたけど、15㎞も歩きました
これは健脚と名乗ってもいいのか…?
目的の伊香保露天風呂がとても良きでした
では拙き作品ですがよろしくお願いします
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