「ういっす~」
「おかえりなさいアイ」
「ただいまカヨコ。スイーツ団のみんなはどうしてる?」
「うん、今のところ大人しくしてるよ」
ニカイアガスメット連合団が攻めてくる予定の1日前。
私は放課後スイーツ部の部室に顔を出すと、カヨコが出迎えてくれた。
出迎えてくれるカヨコの後ろでは、スイーツ団の面々が思い思いにくつろいでいる。
「あ!アイちゃんだ~!」
「あら、帰ったの?」
「おかえりアイちゃん。チョコミントアイスあるよ?」
「アイも一緒に食べて消費手伝って」
「タスケテ…」
スイーツ団からの元気な出迎えを感じながら私も部室に入る。
「チョコミントアイスはあとで食べるけど、その前にみんな座って」
私に促されスイーツ団の面々とカヨコは合わさった長机の各々の席に座る。
カズサはカヨコの膝の上に座って…座らせられてるけど話を聞くのには問題ない。
全員が座ったことを確認した私は、ホワイトボードの前に立った。
「さて…諸君、君達にお知らせがあります」
『なぁに~?』
「実は明日、このトリニティ総合学園が、不良グループに攻め込まれます」
『は?』
「トリニティも応戦するために、正実などの部隊が編成されました」
「トリニティも大変だね☆」
「そしたら明日は出歩けないね…」
「明日出る新作スイーツはなかったよね…」
「ちなみに我々放課後スイーツ団もこの戦闘に参加します」
「はぁ!?なんで私たちも参加すんのよ!?聞いてないわよ!?」
「だって言ってないし笑」
「なに笑ってんのよ!」
私の予想通り文句を言ってくるヨシミ。
「これも奉仕活動の一環だと思って参加してくれ」
「別に私たちは地域に根付いた不良グループじゃないのよ!?……それにまだ私たちは、あんたを認めたわけじゃないわ」
ヨシミが代表して言ったが他のスイーツ団の団員も同じ意見なのか疑いの視線を向けてくる。
「そっかまだ認められないのかぁ。……ところで今回の報酬として、トリニティの上層部からこんなものを貰ったんだけど」
私は、懐からいくつかの紙切れを取り出す。
「なによそれ……ってそれって!?」
「Slice of Happinessの招待券…!?」
「ケーキ専門の超有名スイーツビュッフェの店じゃないですか!?」
「それ私も行ったことないやつだよ!?」
「一応人数分貰ってきたけど、もったいない。これは返してこようか」
私がしまおうとすると、スイーツ団全員が私の腕を掴み、しまうことを阻止する。
「なにしまおうとしてんのよボス」
「そうですよボス!ヨシミちゃんも私たちも断っていませんよ!」
「相手の厚意って言うか~…ほら!無下には出来ないでしょボス!」
「ボス。その券は私たちで有効に利用するから…」
「……参加でいいね?」
『はい!』
ボスの言うことを素直に聞いてくれる部下たち。
信頼とは美しい。
例えそれが打算的なものだったとしても。
スイーツ団に券を差し出すと光の早さで券が奪われ、狂喜乱舞していた。
ちなみにここまでカズサはカヨコに膝の上で抱かれ、死んだ目をしている。
「アイ、もちろん私も参加するからね」
「うん、よろしくカヨコ。アル達の協力は無理そうかな?」
「どうかな…?今忙しいし、急なことだから支社の子も間に合わないかも」
「そっか。まぁ何とかするしかないかな」
カヨコと明日の事で話していると、ふと誰かが近寄ってきた。
「ねぇボス」
「ん?どうしたのミカ」
「明日なんだけどね。別に参加するのはいいんだ。だけどね……できれば正義実現委員会の子たちと一緒に戦いたくないの」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
『こ、この作戦の司令官のヒフミです!みなさん今回の作戦に参加してくれてありがとうございます!改めて今回の作戦を……』
『トリニティ正門前』
コハル+正実s
「わ…私が絶対ここを守らないと」
「一緒に頑張ろうねコハルちゃん!」
『トリニティ荒涼通り』
ハスミ+マシロ+正実s
「ここは私たちで守りますよ」
「はい!ハスミ先輩!」
『トリニティ校舎裏手青空公園付近』
ツルギ+イチカ
「イチカ…お前コハルに当たってたそうだな…」
「うっ!誰から聞いたんっすか…?あの時はコハルにも申し訳なかったっす」
「別にいい。それよりも…もう大丈夫だな…?」
「ツルギ先輩…はいっす!」
『トリニティ大通り』
放課後スイーツ団+アイ、カヨコ
「なんっで私たちが最前線なのよ!!!」
「まぁまぁ落ち着いてヨシミちゃん…」
「物事はいつも諸行無常…」
いつもの様にキレ散らかすヨシミ。
そのヨシミをアイリとナツが宥める。
そう私たちは今最前線に立たされていた。
理由は簡単。ミカの言ったことを今回の指令部隊、ヒフミ、ハナコ、イロハに伝えたところ、じゃぁ最前線に行ってくださいと言われたからだ。
いつも苦労するのは現場である。
この元凶となったミカは口笛を吹いてヨシミの話を聞き流そうとしていた。
「放課後スイーツ団のみなさん落ち着いてください。私たちもいますから」
騒いでいるヨシミにある人物が声を掛ける。
「今回の作戦、トリニティ自警団も協力します。出来るだけ貴方たちを守りますから」
そうヨシミを落ち着かせるように、守月スズミが言った。
今回の作戦トリニティ自警団も力を貸してくれるらしい。
「よろしくねスッズ」
「はい、よろしくお願いします。えっと放課後スイーツ団のボスのアイさん…でしたよね?」
「そうだよ。ところで、レイサって子は?見ないけど」
「おや?レイサさんの知り合いでしたか?」
「知り合い…まぁそうかな?」
「そうだ。確かにあいつの姿見てない」
「カズサ、生き返ってのか」
「死んでないわよ」
死んだ目はしていたような。
「レイサさんは今……」
「え?なに、言えないこと?」
「レイサさんは今……寝込んでいます」
「え、あいつ大丈夫なの?」
「大丈夫なのは大丈夫なのですが。何やら杏山カズサさんが不良に戻ったことで、正式に決闘ができる!という思いと、また不良に戻って悪事を働くのは解釈違いという思いが、交錯していて寝込んでいるらしく……」
「「めんどくさいオタクか」」
「アイも同じことしてたってイロハから聞いたけど?」
スズミと話しているカヨコが会話に入ってきた。
「なんのこと?……あぁコハルのことか。あれはコハルが悪い。8:2でコハルが悪い。あ、2がコハルね」
「一応ちゃんと自分が悪いって認めてるんだ」
「カヨコ…さん、なに?また私を抱きしめに来たの…?」
「何言ってるのカズサ。…今は戦闘前だよ?ふざけてるの?」
「コイッツ……!!」
「ははは…みなさんここは敵が多く来るポイントなので仲良くして協力しましょう」
そう、ここ大通りは他のポイントと違って、敵が多い最前線。
セイアのおかげで、敵の進行箇所それぞれに部隊を置くことができた。
敵のB部隊はトリニティ荒涼通り。C部隊はトリニティ校舎裏手青空公園付近。そしてここトリニティ大通りはDとE部隊。
トリニティ正門前は最終防衛だ。
ここまででわかるが、セイアでもニカイアガスメット連合団のトップである隊長が率いているA部隊の経路はわからなかったらしい。
さて隊長とやらはどこから攻め込んでくることやら。
そんなこんなで騒いでいたスイーツ団も文句を言いながら準備をはじめた。
輪から外れて黄昏ているミカを覗いて。
私は何かを思ってそうなミカに声を掛ける。
「なーに黄昏てんの?」
「あ、ボス。何でもないよ☆……ただ、ここにいるみんな、何かを守ろうとして集まったんだなって」
「……ミカ」
「カズサちゃん、アイリちゃん、ヨシミちゃん、ナツちゃん、それと自警団、あと正義実現委員会もか。どんな理由があれ、みんな何かを守ろうとして戦うんだなって。…ねぇボス」
「私なんかが何かを守れるのかな…?」
「それは…」
『敵部隊発見!敵部隊発見!』
ミカの問いに答える前に私の言葉、自軍の報告によって途切れる。
「…ボス!」
「わかってる」
ミカとの会話を切り上げ私も敵影を確認するために、借りた双眼鏡を覗き込む。
「わーお。確かにブラックマーケットとトリニティの不良を束ねているといったけども」
うごめく黒い影。どうやら10や20なんて目じゃなく、どうやら軽く100以上は超えてそうだ。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「閃光弾投擲します!」
スズミの閃光弾であたりがピカッとまばゆい光に包まれる。
その光で光った一瞬を見逃さず、私は自分の神秘を流し強化したサブマシンガンで相手を撃ち抜いていった。
「数が減らないねぇ!」
「それだけの人数を相手側が集めたんですね。人望か…はたまた恐怖か…」
乱戦状態の中スズミと一緒に敵の数を減らしていく。
流石にこの乱戦の中ではいちいちスイーツ団の面々やカヨコ等に指示を出すのは難しく、偶然近くにいたスズミと共闘していた。
大多数がスケバンやヘルメット群とはいえ、数で押し切られるのは厳しい。
「アイさん!大丈夫そうですか!?」
「大丈夫!でもこの状況何とかしないとね」
「この状況…。せめて相手方のリーダーでも倒せれば動揺を誘えるのですが…」
「それもそうだね。確かリーダーは…」
『幹部の方は他の構成員と違って良いガスマスクをしています』
「わかるか!!」
「どうしたんですかアイさん!?」
以前のハナコの言葉を思い出してキレる。
ダァン!!
「どうやら相手方。戦車を出してきたようですね」
「戦車かぁ」
これは早急にかたをつけないとまずいな…。
せめてリーダーだけでも。
その時。
『司令部から連絡です!』
渡された無線から聞こえてくるヒフミの声。
『敵A部隊!トリニティ正門前に現れました!今コハルちゃんたちが交戦中です!』
「コハルが…!」
まったく…。
生徒が頑張ってんだ。だったらこっちもやってやりますか!
「カヨコ!アイリ!ナツ!いたら返事しろ!これから私は前に出る!一緒に来い!」
「わかった…!」「了解です!」「ラジャ~」
乱戦中の人だかりに呼びかけると、反応してくれる声。
とりあえず戦力が補給される前に、リーダーだけでもぶっ倒す!
「これから突っ込んでリーダーを探す!スズミも来てくれ!」
「わかりました!」
そうして私は乱戦の中をかきわけ、リーダーを倒すために進んでゆく。
「おい!こっちにものすごい勢いで攻め込んでくる奴がいるぞ!?」
「撃て!先に進ませるな!」
流石に敵陣を突っ切るため当然敵兵に見つかる。
「大丈夫です!私が援護します、アイさんはリーダーを!」
しかし、スズミが即座に対応し鎮圧してくれる。
私も銃に自分の神秘を流し、強化しようとしたところ。
パキバキッ!
なぜか私の持っていたサブマシンガンが、分解するように壊れてしまった。
「…え!?なんで!?」
慌てて銃を直そうとしようとするが、軸のような部分が壊れて、どうにもならなくなっていた。
敵の中心で、丸腰になってしまったピンチ。
しかしそんなピンチの中颯爽と現れた人物。
「アイお待たせ」
「ボス!今来たよ!」
「にひっ、ついに雌雄を決する時が来たね」
全員が私の代わりに応戦してくれる。
私の呼んだ生徒だ。
私が壊れた銃に四苦八苦しているところ、4人が援護をしてくれる。
私はこれを好機と思い、ちょっと良いガスマスクの生徒を見つけるため辺りを見回す。
「ここまで来たけど簡単に見つかるわけ……ん?」
敵陣ど真ん中。その中心に、他とは違い赤いマスクと青いマスクをつけた兵士が見えた。
作戦の相談をしているのか、2人一緒にいる。距離は大体30メートル先。
銃があれば絶好の好機。
だが銃がない今、この状況である者が目に留まった。
「ゴーゴー。……ん?」
私は数瞬考え、ナツの襟首を掴み、自分の脚に神秘を溜める。
「お?おお?何だいボス?」
「飛ぶよナツ」
「え?おおおぉおおぉ!!!」
私はナツをしっかりと掴むと脚に溜めた神秘を利用し宙高く舞い上がった。
「いくぞナツ。
「え?どういう……?今、ばれっとって言った?」
私は空中で、敵のリーダーたちに狙いを定めながらナツに神秘を流し、強化する。
何にも負けないように。あらゆるものを砕くように!
「全身にみなぎっていく…。これが力…」
「飛べ!ナツ!
「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
ブオン!!!と勢いよく射出されるナツ。
トップスピードを維持したままのナツは、相談していたであろうリーダーめがけて飛んでいき、大きな音を立ててぶつかった。
「おい!?なにか飛んできたぞ!?」
「なんだこれ…いや人だ!?奴ら人を飛ばしてきやがった!?」
「人でなしっ!!」
敵側は突然の出来事と、リーダーのリタイヤによって混乱し右往左往し始める。
そんな中私は、華麗に着地し、呼吸を整える。
後ろから感じる3人の非難めいた視線と、無言の圧を無視して。
敵は倒した。後は慌てふためいた烏合の衆ばかり。
勝機はここにあり。そう私は確信し、味方の士気を上げるため自軍に向かって大声で鼓舞する。
「我が軍の勇気ある彼女の犠牲のおかげでリーダーを倒した!後はただ攻めるだけだ!皆の者!彼女の犠牲を無駄にするなー!!」
私の鼓舞が聞いたのか、この後無事に我々のポイントは白星を上げることができたのだった。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「いたた…戦いは終わったのかい?」
「うん、私たちの勝利だよ!大丈夫ナツちゃん?」
「大丈夫だよアイリ。あの瞬間なぜか不思議な力に満ち溢れた気がしたんだ。そのおかげか傷一つ出来てないよ。それで?私を投げ飛ばしてくれた張本人はどこ?」
「ああ……。ボスならあそこで」
「あそこで?」
「カヨコさんとスズミさんから説教を受けてるよ」
・
・
・
「私たちもさ、色々やって来たけどさ?流石のハルカもあんなことしなかったよ?」
「アイさんこっちとこっちのヘッドホン。どちらがいいですか?お好きな方でベイビーを爆音で流してあげます」
「でも…なんかいきなり銃が壊れちゃったし……」
「「言い訳しない」」
「……はい」
「正座しながらステレオで説教受けてるね……」
「あはは…2人とも声を大にしないせいか、コンコンと詰めてるみたいだね…」
「目も覚ましたしそろそろ声を掛けようか。……ボス」
「あ、ナツさん。この度は
「技名をつけているあたり反省している雰囲気が見えないね」
「本当に反省してます。なんなら脚も舐めます」
「それは遠慮しておくよ。それよりも、なんであの時私を投げ飛ばしたんだい?」
「実は、あの寸前で銃が壊れてしまいまして…」
「ほんとだ。何でしょうこれ…。あちこちが壊れて、部品も取れてますね」
「ゲヘナの時に拝借した新品なんだけどなぁ」
「あー、ボス!やっと見つけた!」
銃を感慨深く眺めていると、戦いの終わった中から大きく手を振ってこちらにやってくる人物達。
「も~急にどっか行っちゃって心配したんだよ☆なんで正座してるの?」
「気付いたらあんたたち敵陣に突っ込んで行くの見えたからひやひやしたわ」
「アイリ大丈夫!?どこも怪我してない!?」
「大丈夫だよカズサちゃん!」
「キャスパリーグ…私の心配は?」
「あんたはほっといても大丈夫でしょ」
スイーツ団とも合流し、だべっていると、突然無機質な機械音がこの場に流れる。
「アイ、無線なってる」
「本当だ」
私は渡されていた無線を取り出しつなぐ。
『トリニティ荒涼通り。こちらのポイントは制圧しました』
『校舎裏手青空公園の方もおわったっす~』
どうやら私たちの他のポイントも脅威は過ぎ去ったようだ。
残りはコハルの担当する正門前だが…。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
「これで終わりよ!」
私は最後まで残っていた、ニカイアガスメット連合団の隊長に向かって発砲する。
突然どこからともなく現れた敵のA部隊。
突然のことで驚いたが、先輩たちに教わったことを思い出し、冷静に対処することで今、ニカイアガスメット連合団の隊長を追いつめることができた。
敵も味方も負傷者がたくさん出たけど、幸い重症な怪我をした人はでなかった。
私の発砲した銃弾が隊長の腹部に当たり転がる。
私はその隙を見逃さず、転がった隊長に近づき拘束した。
「ニカイアガスメット連合団の隊長、確保!!」
私の報告に私と一緒に戦ってくれた正義実現委員会の子達がワッと喜ぶ。
「くそう…せっかく見つからないように、アリウスの道を通って来たのに…」
「目的が達成されなくて残念だったわね。あなたには聞きたいことがたくさんあるわ」
この隊長を連れていく前に無線でみんなに連絡しなきゃ…。
私はすぐに無線をつなぎ、今回の結果を報告しようとする。
「こ、こちら正門前!ニカイアガスメット連合団の隊長を拘束しま……」
「フフフフ……」
ふと気づくと、拘束し抑え込んでいるはずの隊長が怪しく笑っている。
「目的…そうだ、目的!!この学園をあの人の物に!!この目的を達成するのは……私たちじゃなくてもいい!!!」
そう言うと、隊長は身体を思い切り揺らし抵抗を始める。
「っ!?大人しくしてなさい!!」
この際銃を使って大人しくさせようか考えていると、
チャリ…
と、小さい音が隊長からした。
隊長をよく確認すると、先ほど暴れたせいで服に隠れていたネックレスが、露わになっていた。
「ロザリオ…?」
出てきたロザリオは薄く青く光っており、だんだんと濃く、鮮明に光っていく。
「あんた何したのよ!!」
「くるぞ…奴らが…!」
ロザリオが限界まで光ると、だんだんひび割れついに割れた。
ズズズ……!
ロザリオが割れた瞬間、辺り一面に湧き出る黒い影。
その陰から次々と人型の実態が現れた。
『司令部より緊急連絡です!!今現在トリニティに多数のユスティナ信徒が出現中です!!至急対処をお願いします!!』
転生先生、嘯く 13話目
キャプション?きょうはなにもないよ
拙き作品ですがよろしくお願いします。