転生先生、嘯く   作:あまいろ+

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代わりになれないミカガミ

倒れた小隊長の首元が光ったと思い、確認しようとするとその光はたちまち眩くひかり、壊れた。

 

すると、辺り一面に黒い影のようなものが現れ始めると、そこから大量のユスティナ信徒と、何匹かのアンブロジウスが這い出てくる。

 

『司令部より緊急連絡です!!今現在トリニティに多数のユスティナ信徒が出現中です!!至急対処をお願いします!!』

 

突然の出来事に、現状を把握しようとすると全体に向けた無線が繋がり、ヒフミの声が聞こえてきた。

 

どうやら、今私が目にしている光景は、トリニティ全体で起こっているらしい。

 

そんなヒフミの通信が終えると、今度はハナコからの個人的な無線が私に繋がれた。

 

「アイちゃん!そちらの現状を教えてください!」

 

「ハナコ。こっちの現状は多分同じだよ。ユスティナ信徒とアンブロジウス……あー、ポケモンのデンジュモクに似たやつが現れた」

 

「キャラの検索してもほとんどヒットしなかったからって、余計な注釈はいりません!それよりもそちらに……バルバラは現れましたか!?」

 

「いや……こっちにはいないよ」

 

バルバラ。戒律の守護者、ユスティナ信徒の複製体、その上位種であるバルバラ。

 

以前はベアトリーチェを倒し、ミカを助ける際に戦った相手。

 

大人のカードを使用することで勝った相手だが、その実力は手負いのミカと拮抗するほど。

 

ハナコが私にその名前を聞いたということは。

 

「バルバラがどこかに現れたんだね?」

 

「はい…。トリニティ正門前、コハルちゃんの所に現れました」

 

よりによって要である、正門前。

 

コハルも成長したとはいえ、バルバラが相手では厳しいところがある。

 

「なのでアイちゃん、戦力が一番あるそちらから、どなたか救援をお願いします!」

 

「…わかった。とっておきを派遣する」

 

「お願いします!私はこのままヒフミちゃんのサポートをしつつ、トリニティ全土に避難勧告を出します。…たよりにしていますアイちゃん」

 

「ああ。ユスティナ信徒の方は任せとけ」

 

私はハナコとの通信を切ると、助っ人に派遣するための生徒を探す。

 

バルバラに対抗できるほど強く、頼れる生徒を。

 

その生徒はすぐに見つかった。

 

私のすぐ近く、次々に出てくるユスティナ信徒達を警戒するように、見つめる人物。

 

「ミカ!」

 

「え!?なにボス!?」

 

私に急に声を掛けられたミカはびっくりしたように、こちらに振り返った。

 

「トリニティ正門前にバルバラが現れた」

 

「……っ!?バルバラ…!それに正門前って…!?」

 

「コハルのいるポイントだ。この中でバルバラに対抗できるのはミカしかいないんだ。コハルの救援に行ってくれ!」

 

「でも私…正実とは…!?それにボスが行けばいいじゃん!」

 

「そんなこと言ってる場合じゃあないんだ。それに私が行ったらここの指揮が取れないだろう」

 

「やだ!行かない!!」

 

「頼むミカ!」

 

「行かない!!いかない…!……それにわたしじゃ」

 

なにもまもれない

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

つくづく私は壊すことしかできないのだと思った。

 

エデン条約しかり、今回のことしかり。

 

…あと壁とか。

 

先生が死んだと聞いた時は、自分の心の一部が引きちぎられる思いだった。

 

私の王子様。私にとっては眩しすぎる貴方。だけど私の王子様はみんなが夢見る絵本の王子様みたいじゃなかった。

 

よく生徒と一緒にふざけてるし。私生活もだらしないし。大体いつも隈を作ってるし。

 

そして、絵本の王子様のように無敵じゃない。

 

お葬式の時には人目をはばからずに何で死んじゃったの!?って泣きわめいたし、何も言わずに去ってしまったあの人に自分勝手にも怒ったりもした。

 

先生を撃ったカイザーを潰す時には私も参加したし、先生の姿を思うと力が制御できなかった。

 

カイザーの命乞いも、助けを求める声もなにも頭に入らなかった。

 

これが先生の仇と信じ、跡形もなく壊した。

 

その後のトリニティの空気はお通夜そのものだった。

 

私もその中の一人。

 

部屋に閉じこもり、悲しみに暮れた。

 

私は恋に恋する女の子のようなものだったが、先生が世界の全てじゃないって思ってた。

 

その理由は先生が私には1歩引いて接していたからかもしれない。

 

暴走しやすい私にとってはありがたい距離感。でも恋する女の子にとってそれは寂しくさせる距離感だ。

 

だからこそ、アピールしてもてんで響かないあの人のことを、どこかで私には手に入らないものだと思ったいたんだ。

 

それでも私には一番大切な人だった。

 

いきなり大事な人を奪われた悲しさと寂しさを抱え、閉じこもっていた私の元に、ナギちゃんとセイアちゃんは、頻繁に私の部屋に来てくれた。

 

私を慰めてくれたし、時には先生の悪口で盛り上がったりもした。

 

おかしいよね。わざわざ私の為にくるなんて。

 

……2人ともメイクで隠してるけど、目元が腫れてるんだよ。

 

だからこそ私はもう一度頑張ることに決めた。

 

あの人が誇れる生徒になろうと決めた。

 

ティーパーティーの業務も頑張った。

 

奉仕活動も頑張った。

 

まだ頑張れる。そう思ったやさきだった。

 

「あそこにいるの魔女じゃん」

 

「本当だ。まだこの学園にいるのかよ」

 

正直またか、と思った。

 

先生が亡くなった後でも当然私の評価は変わらない。

 

いつものように遠くから聞こえる、陰口だ。

 

私のやったことをかんがみても言われるだろうなとは思う。

 

トリニティのこういうところは嫌いだ。

 

その後も聞こえる陰口を無視し奉仕活動に精を出す。

 

「だけどあの魔女をかばってた先生も死んでせいせいしたよな」

 

ピシリと身体が止まった気がした。

 

「まったくだな!どんなに偉大だったかは知らないけど、あの魔女をかばってたやつだ。碌なもんじゃなかったはずだぜ」

 

死んでせいせいする?何を言ってるの?

 

あの人は貴方たちの為に、東奔西走しながら生徒のために尽くしてたんだよ。

 

私のようなダメな子も気にかけて。

 

落ち着いたような気がしていたがそんなことはなかった。

 

私の本質はなにも変わってなかったんだろう。

 

それから先はもう駄目だった。

 

気が付いたら、さっきの2人はとうの昔に地面に倒れ伏していたし、その騒ぎで次々来る他の生徒や正義実現委員会の子もみんな倒れていた。

 

私が思いっきり暴れたらもちろん、校舎なんかもたないわけで。

 

我に返り、周りを見返してみると、荒れ果てた校舎。

 

おかしいけど変に冷静だったのか、重要な施設は壊していないようだった。

 

「…あ…あぁ」

 

どこからか声がして、まだ気を失っていないのかと思い、そちらを見ると1人のお嬢様の生徒。

 

この子のことは知ってる。

 

私に前色々と言ってきてたうちの1人だ。確かこの生徒は他の所でも別の生徒をいじめてたっけ。

 

考えたら、いじめられてた生徒をかばった次の日から、こいつの嫌がらせが始まったんだった。

 

「うん☆あなたもやっちゃっていいよね?」

 

拳を鳴らしながらそいつに近づくと、おびえるように後ずさりし始める。

 

今までいろんなことしてきといて何を怯えてるんだか。

 

だんだんと距離をつめ、ついに腕を振り上げる。

 

その時。

 

「やめてミカ様!」

 

誰かの大きな声が聞こえ、動きを止める。

 

あちゃ見つかっちゃったか…。

 

今1番会いたくない人。

 

私はまだ腕を振り上げながらも後ろを振り向かずに答える。

 

「なにコハルちゃん?出来れば止めないでくれると嬉しいな☆」

 

「だ、ダメ!ミカ様もうやめて!」

 

「もういいでしょ?私もここまでしちゃったし。コハルちゃんは知らないと思うけどね。コイツは裏で色々と悪いことしてきたやつなんだよ?今更悪い奴が1人ぐらいどうなってもいいでしょ」

 

カチャ…。

 

「どういうつもり?…コハルちゃん」

 

私が止まらないためか、無理やりにでも止めたいのだろう。コハルちゃんが銃をこちらに向けているのが空気でわかった。

 

「ミカ様…。私はその子が悪い生徒はわかりません。ですが、ぼ…暴力はいけません!きちんとしかるべき場所で糾弾すべきです!」

 

「道徳の教科書みたいな模範的な行動だね」

 

「わか…っています…。そんなことぐらい。でもそれが私の正義ですから…。約束したんです」

 

誰と。なんて聞けない。だってその人の名前を聞いたら反射的にでも振り返ってしまうから。

 

今コハルちゃんの方を向いてはいけない。だってもう戻れなくなるから。

 

「エリートになるって約束したんです。……先生と」

 

私はその人の名前を聞いて振り返ってしまう。

 

ああ。もう駄目だ。そんな……そんな眩しい目で見ないでよ。

 

その目はあの人を思い出してしまうから。

 

私はあなたのようにはなれないっ思ってしまうから。

 

そんな目で見られたら、ダメな私はそっちにはもう戻れないとわかってしまうから。

 

ダメな私は、我儘な私は、意地の悪い私は、壊すことしかできない私は。

 

何も守れない私は。ここにいる資格がないとわかってしまうから。

 

全てを悟った私は、いまだに逃げ出すことのできない生徒に、向き直る。

 

「………命拾いしたね」

 

腕をおろした私の一言にその生徒は一息ついた。

 

「でも、もしコハルちゃんが来なかったら、あなたの頭は」

 

私は、その辺に散らばった瓦礫をひょいっと拾うと、

 

「こうなっていたかもね?」

 

その瓦礫を握り潰す。

 

その光景に恐れおののいた生徒は思わず尻もちをつき、目に見えるように震え始めた。

 

「じゃあねコハルちゃん」

 

「待ってくださいミカ様!!」

 

「……追って来ないで」

 

私を追ってこようとするコハルちゃんに向けて、拒絶の意味を持たせて語気を強くして断る。

 

私に恐怖してか、追って来なかったコハルちゃんをあとにして、私はトリニティを去った。

 

「あーあ……やっちゃったな☆」

 

ティーパーティーとはいえ謹慎中の身。

 

しかも今回は私の独断だし、もちろんナギちゃんの言いつけでもない。

 

「あはは…もういっか」

 

やっぱり私はダメだな…。せっかく取り戻した友達も信頼も全部失っちゃった。

 

ごめんね先生。貴方が思うようないい子になれなかったよ。

 

こんな私誇れるはずもない。

 

ははは…ここまできて思うのが先生のことか。

 

私にはその資格がないけど、やっぱり私…。

 

先生のことが好きだったな。

 

 

ああ、お願いだから私に誰も守らせないで。

 

私は貴方やコハルちゃんと違って、悪い子なのだから。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「私に守らせないで…。私は壊すことしかできないの…」

 

私は、知らずのうちに流れてた涙を止めるため必死で手で拭う。

 

「私は…先生やコハルちゃんみたいに…全部守ることは出来ない…。あの人たちと同じようにはなれない…」

 

涙で滲んでよく見えないが、いきなり泣き出した私に、ボスも呆れた顔をしている。

 

「いや…何を言ってんの?」

 

「……え?」

 

ボスから発せられた、呆れ気味の一言に私は思わず顔を上げる。

 

「ミカ、君はいったい先生の何を見てきたの?」

 

「だって…先生は、私や、キヴォトスを守って」

 

「まさか…先生1人でなんでも出来るなんて思ってるんじゃないよね?」

 

私の肯定する仕草にボスは、はぁ~と息を吐く。

 

「いいか、ミカ。私1人で守れる物なんてこの手が届くぐらいだ」

 

ボスが手を前に出す。

 

「手、出して」

 

ボスに急に言われた私は、おずおずと手を出すとボスにギュッと掴まれる。

 

「これで私はミカの距離まで守れるようになった」

 

私は要領の得ない言葉に疑問符を浮かべる。

 

「要するにだ。1人でなんでも守れるなんて思ってんじゃないよって話。私はミカたちの助けがないと何もできないし、コハルだって最初は正義実現委員会でも四苦八苦してた」

 

「先生もコハルちゃんもそんななら私だって…!」

 

「だったら守りたい物だけ守れ!!」

 

「……!?」

 

「自分の我儘で自分勝手に守れ!!」

 

「そんな勝手なこと出来るわけないでしょ!?」

 

そんな暴論じみた言葉を私は否定する。

 

「さっきから聞いてれば、聖女みたいなこと言いやがって…。そんな上等な性格じゃないだろ」

 

「私の何を知ってるの!?」

 

「私の知っているミカは!我儘で!すぐになんか破壊して!気分屋で!ちょっと意地が悪くて!」

 

「そこまで言うこと…!?」

 

なんでこんなことまで知ってるの!?

 

「でも周りをよく見ていて!柔軟な考えを持っていて!行動的で!おしゃれで可愛くて!」

 

「ん…!?」

 

「そして!誰かの為に戦える女の子だ!だからこそ、こんなとこで腐ってんじゃねえぞ!!」

 

「ボス…貴方っていったい…?」

 

貴方は誰なの?……なんで私をこんなわかってくれるの?

 

「こんだけミカのことを知っている私が言うんだ。どうする?今、君が向かえば守れるものがある。決めるのは誰でもないミカ自身だ!」

 

「……本当に守りたいものだけ守っていいの?」

 

「いい」

 

「私、本当にコハルちゃんだけ守るけど…」

 

「何をさっきから元気なさげな事言ってるんだ…」

 

「だって……」

 

「私のお姫様はもっと我儘なはずだぞ?」

 

「……っ!?」

 

その言葉に私は驚く。だってその言葉はあの場所で貴方が。

 

「ねぇボス、1つ約束して」

 

私は自分の小指を貴方に差し出す。

 

「私頑張るから…。頑張るから…もう一度私を信じて?」

 

「あぁ、任せたよミカ」

 

お互いに小指を絡め、指切りをする。

 

「…うん!行ってくるね!」

 

私は指を離すと、またその信頼に答えるためコハルちゃんの元に向かった。

 

 

「はぁ~。ミカが立ち直って良かった。……それにしても、先生は全部守れた、かぁ」

 

心に刺さった一言。

 

あの、箱舟の中で対峙したプレナパテス。

 

別世界の守れなかった自分自身。

 

やはり彼のことを思うと心に来るものがある。

 

「…話は終わった?」

 

「カヨコ」

 

ミカを説得している間も当然のようにユスティナ信徒達は湧き出ているわけで。

 

今も戦っている銃撃の音が聞こえる。

 

「アイ、元気なさそうだね」

 

「ちょっと思い出してね。少しブルーな感じ」

 

「抱きしめてあげようか?」

 

「………カズサのにのまいになりそうだから止めとく」

 

「そう…。ところで今連絡が来たんだけど」

 

カヨコが携帯に来たメールを私に見せる。

 

「……いいニュースだ。よし、イロハに連絡したら、私たちも参加しよう。どうせ大量にいるんだ、憂さ晴らしといこう」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

あれはいつの日か。

 

校舎が倒壊して、すぐのこと。

 

私、阿慈谷ヒフミはナギサ様に呼ばれ、薔薇や季節の花々が綺麗に咲いた庭園の一角にある、お茶会用のテーブルに招待された。

 

私はいつものような凛としたお姿で、紅茶を飲むナギサ様の前におずおずと座る。

 

そんなナギサ様の隣には、ミネ団長がなぜか立っていて、ナギサ様の代わりに私の紅茶を淹れてくれた。

 

「よく来てくれました、ヒフミさん。気になるとは思いますが、まずミネ団長のことは気にしないでください」

 

「はい…」

 

紅茶を淹れてくれたミネ団長を見ると、邪魔をすることはありませんというように、その場で立ち尽くしている。

 

その姿は主のそばにいる執事の様だった。

 

「さて、私達の仲で前置きはいりませんね。時間もありません。ヒフミさん」

 

ナギサ様が意を決したような目でこちらを見つめる。

 

するとナギサ様は思いもよらないことを言ったのだ

 

「貴女にはぜひティーパーティーを継いでいただきたいのです」

 

「………えぇ!?ティーパーティーを…ですか!?」

 

「驚くのも無理はありません。ヒフミさんにしては思っても見なかった事だと思います」

 

「はい…。ですが急にそんなことを言われましても…」

 

「はい…、それもわかっています。ですが…もう貴女にしか頼めないのです。セイアさんは先生の訃報によって体調が芳しくなく…、ミカさんはやるだけやって行方不明…」

 

「ですが…まだティーパーティーにはナギサ様が残っているじゃありませんか!?」

 

「ええ…私も、そうしたいのはやまやまなのですが……ウゥッ!?」

 

「ナギサ様!?」

 

ナギサ様が苦しそうに身体を丸めると、先ほどとは打って変わり、ミネ団長がナギサ様を支えるように動く。

 

「ありがとうございます…ミネ団長」

 

ナギサ様は団長に支えられながら姿勢を正す。その姿は本当に苦しそうだった。

 

「ナギサ様、私から説明しましょう」

 

「ミネ団長…」

 

「ヒフミさん。今のナギサ様は要入院患者なのです」

 

「入院!?ナギサ様どこか悪いのですか!?」

 

「はい。まず胃に穴が3箇所空いています」

 

「3箇所も!?」

 

「おそらくティーパーティーでの重責と、今回の事でのストレスが原因でしょう。そして軽度の鬱状態。こちらも先生が亡くなった今、仕方ありません」

 

「そんな状態で今まで……。早くお休みになってください!」

 

「いえ…最後までティーパーティーの責務は果たします。しかし私は今、現場で動ける状態ではありません…。ですのでヒフミさん。代理でいいのです。私が戻ってくるまでの…」

 

「ですが私には荷が重いですよ!!」

 

「もちろん病室からもサポートはします!資金の提供もします!ですからお願いしたいのです。ヒフミさん…あの時、奇跡を起こした貴女に……!!」

 

ナギサ様は倒れそうになりながらも、私に懇願する。

 

その覚悟に私は圧倒された。

 

私にその覚悟が持てるだろうか…?

 

「ヒフミさんお願いします……。このまま今のティーパーティーが解散してしまったら。………あの子の居場所が」

 

ここで私は理解する。ナギサ様はまだミカ様のことを大切に思っているんだと。

 

自分を犠牲にしてまで、ティーパーティーを…彼女の居場所を残してやりたいのだと。

 

「ナギサ様は、もう無理をしないでください…。もう大丈夫です」

 

私は今にも崩れ落ちそうなナギサ様の元に駆け寄り、ミネ団長と一緒に支える。

 

「私が…引き継ぎます」

 

そんなとても健気なんて言葉じゃ表せられないナギサ様の覚悟を受けて、私もこの人を手伝いたくなった。

 

そんなナギサ様の覚悟を受けて、ティーパーティーの臨時代表をやらせてもらっているが、思った通り簡単な物じゃなかった。

 

「……ということです。今カヨコさんから連絡が来ました」

 

「わかりましたイロハさん。至急トリニティ荒涼通りに向かってもらうように手配してください」

 

今もハナコちゃんと、イロハさんの世話になりながらも、なんとかこの戦場の総指揮をとっている。

 

頭が回るハナコちゃん、経験を活かして戦況を把握するイロハさん。

 

私も時に意見は出すが、大体は決まったことを各隊に知らせるだけ。

 

普段の業務でもそう、ハナコちゃんが私にも出来るように最大限のサポートをしてくれる。

 

いったい私にできることは…。

 

「あとは2箇所の救援ですが…」

 

「いや、あと1つさ。裏手青空公園付近にはもう私が救援を送ったよ」

 

「……!?あなたは!?」

 

話し合いをしている中で、急に声を掛けてきた人物。

 

その人物は、まさかここにはいないであろう人物だった

 

「ふふ。久方ぶりだね」

 

「セイアちゃん!?」

 

「セイア様!?なぜここに!?」

 

「なに。任務が終わったから戻ってきただけさ」

 

「まさか…この方が、あのセクシーですか?」

 

「セイアちゃん…。無事だったんですね…」

 

「無事とは言えないがね。迂闊ながら、敵先で見つかってしまってね。これでも先ほどまで捕まって監禁されていたんだ」

 

「ではなぜここまで戻ってこれたんですか!?」

 

「言っただろう?」

 

敵陣から帰還したセイア様。彼女はそう言うと不敵に笑ったのだ。

 

「私には勝利がついていると」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

『トリニティ校舎裏手青空公園付近』

 

「ケヒャァァァア………」

 

「流石に数が多すぎるっすね…。こんなことになるなら、正実の子たちを連れてきた方がよかったっす…」

 

不良程度ならまだどうにでもなったが、こう強いのが出てくると私とツルギ先輩だげではさばききれない。

 

それにあのでかい化け物。ユスティナ信徒よりも数段強い厄介な相手だ。

 

ここでこの状況なら他も厳しいと思うが、ダメもとで救援を求めようと無線をつなごうとする。

 

ダダダダダダッ!!

 

その時、私たちの背後からものすごい勢いの銃撃が発射された。

 

「まさか、味方っすか!?」

 

「キシャァァァア……!お前は」

 

私たちが確認するために振り返るとそこには。

 

「あんのチビ狐!!こっちも色々忙しいっつうのに!!人使いが荒いんだよ!!」

 

キレ散らかしながら、銃をブッパするメイド服を着た少女。

 

……味方か?

 

いや見覚えがある。彼女はあの赤い空の下で共に戦った少女だ。

 

「ん?おう。ツルギじゃあねえか。」

 

「……久しぶりだな」

 

「なんだ。セイアのやつにこっちに行けって言われたが、必要なかったか?」

 

「……いや…ここでいい。……あの時の続きをしよう」

 

「へぇ……いいじゃねぇか。あたしもこき使われて溜まってたんだ」

 

そうお互い言うと、戦闘態勢を整え、にらみ合う。

 

「ちょっ!?ストーーップ!ストップっす!!」

 

「……なんだイチカ」

 

「今いいところなんだよ…」

 

「しょ…勝負にしませんか!?敵を何人倒したかみたいな勝負!ほら!あのでかいのは高得点ってことで!?」

 

「……まぁ、いい」

 

「たしかに数倒せるならそれでもいいかもなあ」

 

「キエエェェェエエ……!始めるぞ……!」

 

「いつでもいいぜ!今度こそ決着つけてやるよ!!」

 

意気揚々と2人が突っ込むと、あれだけいた敵達は無残に散っていった。

 

「もしかして、まさか私がいるから、彼女をここに呼んだんすかセイア様?」

 

 

 

『トリニティ荒涼通り』

 

「くっ!!流石に押されてきましたか…」

 

突然現れた、ユスティナ信徒たちの進行によって正義実現委員会の仲間が次々と倒れていく。

 

このままではいけないと思いつつ撤退を下せない状態であった。

 

「ハスミ先輩!一回引いて体制を整えましょう!」

 

「いけませんマシロ!今この状態で私たちが引いては街に影響が出ます!本部からもうすぐ救援がくると通信がありました。それまで耐えるのです!」

 

自分でそうは言っても、厳しい状況。

 

このままでは万事休すと思ったその時。

 

ダダンッ!!

 

突如敵に、降りかかるRLの弾頭。

 

それによろめいた隙をつかれて敵たちは、次々と撃ち抜かれていった。

 

「すまない遅くなった」

 

「ヒヨリがちんたらしてるから」

 

「仕方ないじゃないですかぁ!荷物が重いんですもん!」

 

「ふふ、でも間に合ってよかったね」

 

RLの煙から現れた彼女らは、以前エデン条約の際にテロを起こしたグループ。

 

「アリウス…スクワッド…!?なんでここに!?」

 

「ああ。お前たちが警戒するのもわかる。だが安心してほしい。今はもう違う」

 

彼女らは私達を守るように陣形を取ると敵に向かって銃を構える。

 

「今は…便利屋1号支社。支社長の錠前サオリだ」

 

 

「これでおおむねの所に救援は送れましたね」

 

「残るはトリニティの大通りだけ。アイがいるとはいえ、そこにも誰か送りたいですね」

 

「ですが、これ以上戦力は…」

 

「なに、いるじゃないか」

 

「救護騎士団は後方での援助。シスターフットは今は空になった敵アジトの捜索。これ以上人手は…」

 

「……ヒフミ。自分には出来ることはないという気持ち痛いほどわかる。私も身体が弱く療養していた身みからしてね」

 

「セイア様…」

 

「だけど君にはこれがあるじゃないか」

 

そう言ってセイア様に手渡される懐かしいもの。

 

「これは…!」

 

「ここは私に任せて行ってくるといい」

 

「……わかりました!行ってきます!!」

 

私は紙袋を受け取ると、大通りに行くための準備を始めるのだった。




転生先生、嘯く 14話目
私は大体書くときに、軽くプロットをまとめてから、フィーリングで書いているんですが
フィーリングで書いてたら、ミカが心が宿った殺戮マシーンみたくなっちゃった…
ま!おなじようなもんか!!!
拙き作品ですがよろしくお願いいたします
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